評価 3.9

ガジェットとして、ノストラダムスの大予言がある。
自分の好きだった男の子、基(もとき)が亡くなってもしあの時ああしていなかったら・・・
別の道を行っていたなら・・・
「ネギ」こと日高あさぎは後悔の念に駆られている。

クラスメートの八女君が新たに寄り添ってくれることに・・・

・・・
ここに元中学校の親友、綾瀬、水戸チの話が加わり・・・

全体に、新興宗教、LGBT、青春物語、と散漫な印象が強い。
しかも水戸チは途中でフェイドアウト・・・冒頭のところでとても仲の良い三人と思ったのは錯覚だったのか?(立場が違っていったのはわかるにせよ)
悪役が誰かというのもあまりにわかりやすい。
あと・・・・ネギと綾瀬が一緒の場所にいるというある場面で、どう見ても、最初の内はネギしか見えなかったという・・・・ネギ視点だから余計にそう思ったのか。
ネギとお母さんとの関係性もラストになって出てきたけれど、そこまで子供がこんな目に合っているのに放置?とずうっともやもやしていた。あと妹は?妹がとってつけたように出てきたけれど、この子は一体?出てきただけ?お父さんは?と疑問は尽きない。

八女君もいい人だけれど今一つ見えない。
この子はこの特殊な生育環境をどのように受け止めているのかあまり実感としてこちら側に伝わってこなかった、
最初の方と後半と人が変わったようになっていくのにも違和感を感じた。
心をネギに開いたからか。

・・・・
大好きだった基が死んでしまったのはなぜかという話でもなく、分岐点の間違いがあってこうしたら助かったという話でもなく。
後半、彼の死から全く離れてしまうのも何なんだろう?

ラストの方の綾瀬の行動もよく理解できない。
彼女の心の動きもわからないまま終わっていった。

以下ネタバレ
・後半、爆弾による集団自決とかなんだろう。あまりに唐突すぎて・・・

・カウンセラーの桐が怪しいのはかなり初期から分かってしまう。

2016.05.06 忘れな草



評価 4.5

そして丸美中毒にかかった私・・・・
なんだかんだ言っても雪の断章はインパクトがあった。
毒になる小説というのは感想にも書いたが、毒にやられて中毒になった・・・

なんせ、文章の中毒性が強い。
誰も彼も小難しいことを話していて、違和感たっぷり(だってまだ学生の人たち・・・?)なのに読んでいると(そこがいいんだ!)という気持ちになってくる。
もしかしてこの人の話すこと頭にしか存在していない上っ面の言葉?とか思っていても、ついついこの語り口に引き込まれてしまう。

そして物語そのものも・・・・

・・・・
今回は、またしても親がいない二人の子供、泣き虫葵と美しい弥生、の話で、まあ・・・やたらめったら二人が反目しあってるのだ。
ダブル孤児ということで雪の断章の孤児バージョンがさらにパワーアップしている。
こんなに孤児ばかりいるのか!と突っ込みたくなる。
小さい時にはひっかきあったりとっくみあったり、ひがんだり貶めたり、まあこれも子供だから・・・と生ぬるく見ているが・・・。

けれど、大きくなってからさえも変わらない。
さらに面倒なことには、一人の少女の方には小さい時から悔しくて涙を流していると、必ずどこからともなく現れて慰めてくれるという奇跡のような男の人がいる(ここは少女漫画っぽい)
当然ながらこの人に心を寄せるようになる。

そしてある日、驚愕すべきことがわかる。
大企業の継承権を持つのが、葵なのか、弥生なのか、どちらかを見定めるための作業が始まる。
そして二人は屋敷に閉じ込められる。
常識でいえば、もうほとんど犯罪だ、学校はどうした!この子たちの人権はどうした!とここまた突っ込みたくなる。
しかも途中でやめました、とか言って、片方が楊子さんになる・・・ああ・・わかりにくいっ!
突然名前を変えて、それをやめることができるのかっ!

大企業の話がまた、ややわかりにくい。
誰が誰やらわかりにくいし(5人もかかわっている大人の人たちがいる)、継承権がどっちだ、と言われ、小さい頃の思い出をたどっていくがこれまた怪しくて、泣き虫と言っても小さい時に泣き虫だからと言って大きくなって泣き虫とは限らないしなあ・・・と思いつつ読んでいた。
どうやら二人は権力闘争の駒として扱われているのだなあ・・・というのが途中でようやく見えてきた。

教育係の高杉というクールな男がまた二人の心を引き付ける。
どちらもイケメンらしい彼に好意を寄せる。
しかし・・・閉ざされたこんな空間にいてイケメンが一人いたら、それは疑似恋愛でも何でもするだろう・・・
更にに驚くべきことに、片方がいきなり知らない男の人と結婚させられる(これも当時の少女の夢、なんだろうか・・・)
氏名の名前が高杉と同じなので、結婚させられた方は、高杉がその当人じゃないか!黙っているだけじゃないか!と心震わせている(少女としてこの気持ちはよくわかる)

・・・
この中で、雪の断章のトキさんが再び出てくる、それもかなり重要な役で。
しかも!
雪の断章とこの話どうやら並行らしく、雪の断章の方の出来事を愚痴ったりしている、つまりは、雪の断章で出なかったトキさんの本音が出てくるのだ。
もっと私が驚いたのは、この最後の方で、まさかの史郎さんが出てくる、雪の断章の最後の局面の前の史郎さんが!
もう権力闘争とか、誰が誰を好きだとかそっちはどうでもいいような気がしていたが、私のご贔屓の史郎さんの出番で一気に盛り上がった、テンションが(雪の断章の中で唯一惹かれた男の人)。
こうだったのか・・・
雪の断章の裏側にこういうことがあったのか・・・とそこが非常に面白く読めた。

2015.11.18 我が家の問題


評価 5

前作、家日和がとても良かったので、シリーズのこちらも続いて読書。


これまた良かった。
取り上げようによっては深刻な話、になるような話をユーモアとペーソスでうまくコーティングしている。

甘い生活?がわかってわかって、笑いながらこれまたどきっとしたのだった。
誰に相談しても、お前がわがままだと言われる新婚生活。
妻には何の瑕疵もなく、一生懸命尽くしてくれて、遅かったら遅かったで夜食まで作って待っていてくれる。
でも夫は帰宅したくない、挙句の果てに近所の喫茶店で一服して帰宅するようにさえなる・・・
夫が妻を分析していく様子が痛いほどわかったのだった、こういう女性って多いんだろうなあと、思い出作り、とか、スタンプラリーとか、ブランド集めとか名所旧跡で写真を撮る話とかをこういう形で分析すると、そうだなあ・・・と改めて思った。

ハズバンドは、最初妻の勘違いかと思った、妻がふとしたことで、夫が社内で仕事が出来ない、馬鹿にされている存在だと言うことに気づいたのが。
でもそれは真実であって、それに対して、妻は悩む。
悩むがここからが妻の優しさであって、お弁当作りに励んでなんとか夫を楽しくさせてあげたいと思ったりするところがいじらしい。
姑とかのとんちんかんな真実を知らない物言いにも冷静に対処している身重の妻が本当に愛らしい。

夫とUFOの妻もまた素晴らしい。
UFOと川原で交信していると言い放つ夫。
妻は頭を抱えながら、こっそり彼の後をついていく。
2回目に行ったときに
「これからおとうさんを救出してきます」
と子供に言うこの姿に泣けた。
そして彼女のとったとっぴな行動も、そしてそれにこめられた愛にも泣けた。
普通ここで怒るだろう、でもこの妻はものすごく正しい選択をしたのだ。

・・・・・・・・・・・・
小さなことが毎日起こる家庭。
それをどのように対応していくか、どういう受け止め方をするか、それはとりもなおさず、
「生きていく」と言うとの中での小さな困ったこと、に対する対応と繫がるのだと思った。


評価 4.7

アーサー王伝説があり、竜がいる世界であり、騎士がいる世界であり、ファンタジーめいており、記憶をなくした人間達の話、という事前の情報は入っていた。
このファンタジー部分と言うのがとても引っかかっていたのだが・・・・
ファンタジーはアイテムとしてはつかわれているが、さほど気にならない。
話としては次々と新しい展開があって、引き付けられるし思わず読みふける。

イニシエーションの旅、と言うのを思った。
メタファーが多くて、いかようにもこの物語、受け取れる。
これでいいのか?受け止め方は?と何度もページを繰ったのだった。
が、ここからは好みだろうが、どちらかといえば、カズオ・イシグロのファンタジー要素(要素ではあるが厳然としてあるにはある)が入っていない小説の方が私は好き、かもしれない。
場面場面が目に浮かぶし、会話も非常に示唆に富んでいて滋味深い、とは思う。
実に読ませるのだが、が!

以下ネタバレあり。



・・・・・・・・・・・
最初の、穴倉(!)のような所に住んでいる人間達の姿(これがブリテン人となっている)があり、そこに二人の老夫婦がいる。
この老夫婦はなぜか皆から疎まれていて、真っ暗闇の中で生活している(ろうそくを普通の人間は使えるようだが、この二人は使わせてもらえない)
二人とも集団の中でいじめにあっているようだ。
おまけに二人とも記憶が曖昧になっていて、息子がいる、ということは思い出しても、さて息子はどうしたのかというのは思い出せない。

最初、この二人のみが記憶をなくしている、ちょっと老いてしまった老人の話、と思っていたら、そうではなかった。
霧がかかっているこの世界、皆が過去の記憶をぼんやりとなくしているのだ。
でもこの記憶をなくす、というのが、読んでいると、微妙にばっくりなくしているというのでなく、ある部分のみの欠落でしかも人によって違う、というのが徐々にわかってくる。
それが証拠に、老夫婦が二人で息子のいる島に行こう!(なんで島が突然出てきたのかここもわからないのだが)と思い立った次の日もその次の日も、「息子の島に行こう!」ということは忘れないのだ。
この記憶は保たれている、しかも二人に(だから記憶をなくしている、と言っても、ある部分のなくし方なので、ここがわかりにくい)
お姫様と老妻ベアトリスを呼ぶ夫アクセルがいて、二人はよろよろと旅に出る。

そして旅先で色々な人に出会っていく。
最初にのちのちに意味深い船頭にあって、深い会話がある。
最初に訪れた、サクソン人の村では、長に庇われるものの、村全体が騒然としている。
そこでは悪鬼にやられた村人がいて、囲いの外を警戒する警備人も浮き足立っている。
ここで出会ったのが、サクソン人の若い騎士ウィスタンと、子供で鬼に噛まれた跡が身体にあるというので村人からリンチにあわされそうになっている子供エドウィン。
彼らとともに二人は旅することになる、村を出て。
(ここで、サクソン人とブリテン人の抗争、違いのようなものも語られていて、ここがとても興味深い。
閉鎖された村から異形のものを追い出す(鬼に噛まれた跡のある子供)というのも、村の掟のようだが、元々老夫婦も自らの意思とはいえ、自分の住んでいた穴倉からいじめられて出てきたわけだから共通項はある。
またここで謎の一つ、なぜみんなが記憶をなくしていたのか、と言う謎が解ける。
それは竜クエリグの出す忘却の霧で皆が記憶をやられていたのだ。)

老妻ベアトリスの具合が今ひとつ良くないので、その救済もかねて名高い僧のいる修道院に行こうとする一行。
しかしその途中で今度は別の騎士、自称アーサー王の一派の老騎士に出会う。
この老騎士は、なぜか老人を見るとはっとする・・・隠れた記憶があるので一体何なのか。
修道院で、味方もいて敵もいて、地下に入ったり騙されたり、人に助けられたり、ここは一種の活劇だ。
そのあと、ばらばらになった一行がまた一つになり、瀕死の状態の若い騎士ウィスタンもまたエドウィンとともに合流していくのだ。
(老騎士ガウェインは、実は竜を守っていた。
最終的にウィスタンにやられてしまうのだが。
竜をやっつける場面は案外あっさりとしている、それよりもその後に語られる、忘れられた巨人が目覚める、動き出すというのが実に怖い、忘れると言うことでブリテン(ケルト系)とサクソン(ゲルマン系)の友好の絆が保たれていたが、それがぶっつりと切れるということなのだ。

また仲の良い夫婦と思っていた老夫妻には実はさまざまなことがあった。
老人のいない間の妻の不貞、そしてそれに対する老人の対処に反発した息子の家出とそのあとの死、死んだ息子の墓参りを禁じた老人の横暴さと老妻の悲しみ・・・・)

最後、また船頭の話に戻っていく。
老妻ベアトリスは身体が悪い、それはずうっと最初から語られている。
だから船頭は死の世界への船頭だと思った、私は。
老妻のみが船頭に乗せられて行って老人は取り残されるが、自ら川に入っていく・・・

ワタシは最高にツイている (幻冬舎文庫)ワタシは最高にツイている (幻冬舎文庫)
(2010/02)
小林 聡美

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評価 4.7

なんだか裏バージョンのようだ、三谷幸喜のエッセイの。
同じ動物達(とびとかおとっつぁんとか)が出てくるせいだろう。

いい意味で気が抜けたエッセイで読んでいてほっこりする。
タイトルは自己啓発の本からなのだが、これがまた説得力がある文章だ。
また、占いの話があるが、これが出た時点と今と彼女の状況が違っているので、あとからこういう占いを検証してみると実に複雑な気持ちになってくる(私もだが、ご本人もきっと)

白い布を下において撮影する方法、
髪型の変遷、
時代劇のかつらの話、
かもめ食堂のロケの話、
とのんびり読んでいると、心がほこっとするのだった。
私の命はあなたの命より軽い私の命はあなたの命より軽い
(2014/11/13)
近藤 史恵

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評価 4.4

もろもろの事情で実家に帰らざるを得ない妊婦がいる。
そこは実に普通の家庭であったはずだった。
ところが家に帰ってみると
優しかった母、働き者の父、そして年の離れて父に可愛がられたはずの妹が険悪な状態になっていた。
家族がお互いに嘘で塗り固められているようだ。
買ったばかりの家を売ろうとしているのはなぜか。
父が妹に辛く当たるのはなぜか。
一体何があったのだろう・・・・


途中まで何が起こったのかまったくわからない。
そのあたりはサスペンスフルだ。
自分が結婚して家を出て、普通の連絡を取っていて、遠さから多少の距離はあったものの、決定的な何か、がこの家族に起こったことは必至だ。
それを解き明かそうとする姉。
なんせ臨月近い妊婦なので身動きが鈍い。
読んでいてそこもまたはらはら感に拍車をかける。
そして真相がわかるのだが・・・

真相がもっともっと仰天するものだったら良かった。
これだと、予想範囲内でただこのことを家族が妊婦に隠していた話、と見えてしまうからだ。
あと真相がばれる過程が友達の話とかが多い。
妊婦で動き回れないからもあるだろうが、この辺が動きが少なくちょっと不満だった。
が!
面白かったのは、ラスト2ページだった。
ああ・・なんて真っ黒・・・・ここがあるのが非常に面白い。
タイトルの意味も途中でわかるのだが、その意味すらここでばっと関係してくるのだ。

以下ネタバレ
家族の秘密は
中学生の妹が男の子と関係して、妊娠して堕胎したこと。
そしてその男の子が、引っ越したばかりの家の庭で首吊り自殺をしたこと。
さらには妹の親友が、同じ高校に行って妹と間違えられ堕胎した娘の烙印を押され、自殺したこと。

このあたりで妹と父は険悪、家を売ろうにも首吊りの一軒があるので売れない、妹は精神的に参っているということになっている。
タイトルの私の命はあなたの命より軽いは、かたや子供を生める姉、生めなかった妹の差はなんだろうか、というもの。

・最後の2ページ。
妹はもしかして生めた姉に嫉妬してないか(と姉が考える)
そして、姉が助けた妹は、姉の近くのマンションに住み始める。
しかし姉の夫(つまり妹から見ると義兄)が妹と関係があるのではないか(と姉が考える)
2014.08.15 私に似た人
私に似た人私に似た人
(2014/04/08)
貫井徳郎

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評価 4.8

面白くて一気読みした。
この小説は、「小規模テロ(小口テロと命名)が相次ぐ近未来の日本」が舞台だ。
そこには理想を掲げる熱く語る首相(現実にはだからいない、髣髴とさせる人はいるが)がいて、それを見ながら、小市民が色々考えている。
小市民の中でも、貧困層、中間層、富裕層と分かれいて、近未来ではあるけれどきわめて現代の日本に近い社会だ。
バブルがあった、その時に就職した人は実に楽をして就職して、その分裕福だ。
が、その皺寄せが下世代に来ていて、働けど働けど・・・の暮らしになっている。
就職活動をして、まじめにやっているのに100社受けても受かるところがない。
もしくは受かってもブラック企業で命を落とすことになる。
一方で、上の世代は、一流企業にもぐりこんで人生を享受している。
このあたりが非常にリアルだ。

連作なので、色々な人が出てきて、面白いと思ったのは、小口テロに至る人達が描かれていて彼らが、ネットには参加していてそこで安らぎを見出しているところだ。
SNSの中のサークルのようなところで、トベという人間から心温まる励ましをチャットでもらう。
このあたりも実際にありそうだ。
そしてトベの使い方が面白いと思った、組織と考える古い考えの公安、しかし現実はそこを凌駕している・・・
不登校、ブラック企業、就職難、人を助けない風潮、見てみぬふり、ネット依存そんな社会問題もはらんでいる。

巧みだと思ったのは、ある物語がこの中のある部分にぽんと入れられていることだ。
だからここ、時勢が→方向に流れているのだ、とばかり思っていた
ラスト、犯人がわかったときには驚愕したのだった。

・・・
一方でなんだかすっきりしないところも残る。
中途半端で終わっている感がする物語があるのだ。
・この首相の出番はこれだけなのか、放送されている人というくくりで出てくるだけなのか。
・公安の男が不登校の娘のスマホで、トベの文字を見つけ動揺しながらもスマホを解読した公安の男は最後に娘にスマホをいじったことを見破られる。
この娘に教えた人は誰なのか。
・教育ママの息子の言動は一体なんだったのか。彼もまたトベになる素質がある、またはトベと接触があったのか(私は最後までこの息子がトベだとばかり思っていた・・・・)
・ラストは読者にゆだねたのだろうが、これで終わりなのか。

以下ネタバレ
・トベというネット上の人物が話を聞いてあげていて、
更にはそこから小口テロを教唆しているということで公安は躍起となる。
組織的犯罪なのか、どうなのか。
ところが、実際は、トベという大元がいて、そこからねずみ講のように、子供のトベが何人もいてそこからまた孫のトベが何人もいる、という図式であった。だからトベと名乗る人物は大勢いたのだ。
大元のトベを逮捕しない限りはこれはおさまる気配がない。
(しかし普及しているのだから仮に大元トベを捕まえても
既に広がっているものは回収しきれないのではないか、各地にいるトベは(と私は思った)

・連作で来ていて、最後の話が
途中の「ヘイトさんという正義感の強い人を助けた人と繋がった女性、がトベだった」という真相がわかる。
このヘイトさん話は、さらっと連作の中に紛れ込んでいるので、そしてヘイトさんの死に方が漫画喫茶でみんなの見てみない振りで喘息の発作で死んだと言う話だった。彼自身は身を挺して、他の人を助けた過去があるのに(ここで彼女と知り合う)
そこに理不尽を感じた女性というのがいるが、私はこれは小口テロの背景のようなものの一つと思っていた。
和田誠シネマ画集和田誠シネマ画集
(2014/07)
和田 誠

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評価 4.9

HBギャラリーという画廊で行われた個展の映画に関する作品を集めたものらしい。
映画に関したものなのでそれはそれは見ていて楽しい。
そしてうれしいおまけというか最初には文学者の似顔絵がある。
映画に関したものでは、絵を眺めているだけでも楽しいのだが、その横に詳細なその作品についての覚書があるし索引もあるしの優れものなので、そこもまた役に立ちそうだ。

ただ、一つ一つの作品についての和田誠の文章が欲しかった。
あるものもあるのだが、ないものが多い、ここが惜しい。
和田誠の文章もまた読ませるわけだから。
この映画を選んだ理由、思い入れなど全てを語っていたら更に面白いものになったのではないか。
私がデビューしたころ (ミステリ作家51人の始まり)私がデビューしたころ (ミステリ作家51人の始まり)
(2014/06/28)
東京創元社編集部

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評価 4.6

それぞれの推理作家がどうやってデビューしたか、デビューの頃を書いた始まりの書だ。
それを正直にがっちり書いた人も入るし、韜晦気味に書いた人もいるし、インタビュー形式を自分で作って書いた人もいるし、それはさまざまだ。
投稿をし続ける人、そこから拾われる人、そこで賞をとる人、ある賞ではじかれて別の賞でとる人。
どの話も大変面白い、作家が作家以前の話とか、どうやってこの世界に入ってきたかと言うのを読むと、必然がある人と、全くの偶然が重なり(これも必然なのかもしれないが)作家になった人とか、それは色々だ。
ただ、推理作家の場合、推理小説を読むのが好きだったという人が多いので、そこは一般小説の作家とはやや違っているだろう。
読み手から始まる推理作家、そんな感じがした。
一般小説であれば、全く今まで本を読んでいなかったと言う作家もいるからだ、ある時に書き始めましたと。

また「出会い」というのも大切なんだなあと改めて思ったのだ。
良き編集者との出会い、良き友人との出会い(作家の友人)が高めてくれるのだなあと。
何度も出てくる講談社の宇山さんと言う方と、創元の戸川さんが何度も色々な人の話の中で出てくるので、とても重要な人だというのがわかったりもした。

この中で、島田荘司の「ナツコとの出会い」が怪談のようで怖かった。
これは本当の物語なのか、それとも創作か、とちょっと思ったりもした。
こっくりさんの話が入っているが、最初から最後までとても怖い。
宮部みゆきの覆面作家北村薫の話もとても面白かた、まだ北村薫が北村薫ではない時代の話だったが。
あと驚いたのは小林泰三の話は本当なのか。
妻が作家を彼に勧めた話はとても印象深かった、思ってもみなかった勧めということで(しかも最初は妻が作家になろうとしていたって・・・)

ただ。
別の本で自分の作家人生の最初というのを語っている人が多いのもわかる。
けれど、この本で最初にその人の作家人生を知る人だって入るわけだから、それを他の本にもう書きました、というのはいかがなものか。
ここはもうこれが最初のエッセイとしてたとえ過去のものと重複しても書いて欲しい。
いくつかのエッセイでそう思ったのだった。

―WONDER SPOT― 世界の絶景・秘境100―WONDER SPOT― 世界の絶景・秘境100
(2013/10/02)
成美堂出版編集部

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評価 4.9

息を呑むほど美しい写真の数々に圧倒させれられる。
そして世界は広いと言うことも。

旅行心を誘ってくれるという簡単な感じのガイドブックではなく、ただただ(こういうところもある、そしてもしかしたら行ける?私?)と疑問符を自分に投げかけてくれるような一冊だ。
いくつか私が実際に行った所もあるのだが、そこもきちんと交通事情とかそのあたりの政治事情とか書いてあってそのあたりも好感が持てた。

何度も言うけれど、世界は広く目の前に広がっている。
が、同時代でも全部見ることは出来ないのだ。