2017.04.16 月の満ち欠け


『瑠璃も玻璃も照らせば光る』

評価 5

大変面白かった。
途中で読む手が止まらなかった、一体何なのか、どうなるのだろうか、これは一体誰なのか、と。
ミステリだけれど、広義のSFっぽさもある作品だ。
時系列が並んでいないので、あとから、こうだったのか!!!という新たな視点が飛び出してくるのもとても読ませる。
あとから前のところを再読してみると、これはこういうことを言っていたんだ!という伏線らしきものも見えてくる。
どうだろう、この作品、予備知識がゼロの方が更に楽しめるのではないか。
私もほぼゼロだったのでおおいにおおいに楽しめたのだった。
佐藤正午の前作の鳩の撃退法もめちゃくちゃ面白かったが、この月の満ち欠けも私は大好きな作品になった。
このところの佐藤正午、本当に目が離せない!

冒頭では全く状況がわからない。
母子連れがいて、彼女達と話している小山内という中年の男がいる。
彼らは東京ステーションホテルの喫茶店で語り合っている。
母子の娘が「るり」という名前で、奇妙なことをたくさん口走っているのだ。
初めて会うらしい小山内という男に、どら焼きが好きだったよね、とか、コーヒーはブラックで、とか、彼の嗜好を指摘していく。
それに小山内は半信半疑という面持ちで立ち向かっている・・・・

この冒頭がまた秀逸であって、なんだなんだ?と読み手を引き付ける。
一体この三人の関係性は何なのだ?

そこから小山内堅(つよし)のここまでの人生が語られていく。
彼は同郷青森県八出身の梢という女性と大学で「偶然」会って彼女が同じ高校の後輩だということを知る→(このあたり南部藩というサークルの中の班を作って活動した描写とかがあとになって、ああ!と思う箇所)
梢と平凡な結婚をして女の子が生まれた、その名前を瑠璃と名付けた。
瑠璃が7歳の時に発熱して、それ以降彼女の様子が変わっていく・・・・


ここまでで、あ、あの種類の話・・・とおおよその見当はつく。
見当はつくし、それは当たってはいるのだけれど、ここから非常に複雑な経路を物語はたどることになる。
複層的に話が語られて行き、しかも多視点になっていくので、ある人から見た真実とある人から見た真実が異なっていくのだ。

正木瑠璃と三角哲彦(アキヒコ)の青春部分もとても良いと思った。
この当時の風俗が活写されているし(まずビデオ屋自体が懐かしいし、映画館がまだシネコンではないので勝手な席に座るところとか、ゴダール、トリュフォーを語る文学青年とか、懐かしすぎる)、惹かれあっている二人が更に更に惹かれあいお互いに慈しみあう様子が手に取るように伝わってきた。

特にラスト二章の畳みかけがすごかった。
12章のラストの方で、自分の今の状況を自問自答して東京駅で崩れ落ちる堅の姿が忘れ難い。
自問し続けてし続けて、ある一つの答えにたどり着くのだ。
ここは、読み手側のわたしにとっても思ってもみなかった事実だったのでとても驚いた。
最終章13章では、ある時間帯のある人間の行動を出している。
ここは光のある章だ、きらきらとした光に溢れているクライマックスの章だ。
最後の言葉で私はぐっと来た。

人を見分けるのに、名前もだけれど(この場合おなかの中で声を聴いたということになっている)、ある種の癖のようなものが見分ける点になってるのもわかるなあ・・・と思った。
ぺろっと舌を出す癖。
これがキーにもなっている。

ある話を信じてくれる人、くれない人が錯綜している。
普通の感覚だと信じてもらえない状況というのは痛いほどわかる。
その中で瑠璃の言うことを信じた人たちがいるのだ。

・最初の小山内瑠璃の母親、梢。
・正木瑠璃の夫。
・緑坂るりの母親緑坂ゆい。
・当の見つけられる本人の三角アキヒコ。
そして最後に納得したのが
小山内堅だった。


<以下ネタバレではないけれど内容にかなり触れるので一切のことを遮断したい人はあとで読んだ方がいいと思います。
多分ここは書かなければこの話を語れないと思うので。>


この話、転生の物語だ。
誰かが誰かに生まれ変わる、これを君は信じられるかというたぐいの話だ。
何度も生まれ変わっている一人の女性正木瑠璃が、元々は人妻であってそこで愛のない生活を夫としていて、たまたま高田馬場で貸ビデオ屋(まだビデオの時代だった)で、一人の青年、三角哲彦(あきひこ)と愛し合うということに始まっている。
心打たれるのは、道半ばで死んでしまった瑠璃が転生して、またアキヒコと会おうとするところだ、愛の物語であるのだ。

しかしタイムリープではないので、誰かの子供として生まれるしかないという設定になっている。
その間にどんどんどんどん相手側が年を取ってしまうのが悲しい。
子供と大人どころか、下手をしたらお爺さんと子供の出会いということになってしまう。
最初に正木瑠璃が生まれなおしたのは、小山内堅の子供として、だった。
何度も家出を繰り返し、当時のアキヒコ(こちらは年を順当にとっている)に会おうとするが小学生なので補導されたり止められたりする。
これを生まれ変わりと信じたのが、彼女の母親梢のみだった、父の堅は一切信じようとしないばかりか、梢の精神状態まで疑ったのだった。
そして高校生になったら行ってもいいという許可をもらった母子は、三角が当時いた場所に行こうとするところで自動車事故であえなく死んでしまう。

・1.正木瑠璃(電車で轢死)→2.転生して小山内瑠璃(自動車事故で母親とともに死亡)

一方で、最初に死んだ正木瑠璃の夫竜之介は妻が亡くなったことで衝撃を受け、仕事も失い全てに自暴自棄になっているがそのうちに小さな工務店に雇われ、そこで人生を立て直そうとする。
工務店の孫が希美(のぞみ)、希美は異常に竜之介になつくのだが、ある時を境目に彼を疎ましくする、という経緯をたどっている。
しかも彼女はもともとは瑠璃という名前を付けられるはずだったが(これも胎内にいる時に母親が聞いた言葉)、事故が起こった時だったので、祖父と父の反対にあってやめたという過去がある(これが第三の瑠璃)。
彼女はある時を境に、ここにいるのがかつての冷たい夫だということに気づくのだった。
そして彼に自分がかつての妻瑠璃だということを信じさせ、彼とともにアキヒコのところに行こうとするのだが・・・
飛び出しで、希美は死んでしまう。
そして一般的な目で見られた竜之介は、少女の誘拐という罪にさらされてしまう。
(竜之介が工事で行った小学校で既に小山内瑠璃に会っているというエピソードも秀逸、その時に年齢にそぐわない黛じゅんの歌を歌っていた。また竜之介が元々は有能な男で非常に記憶力に優れているという点も重要で、だからこそ、小山内瑠璃が自動車事故で死んだという時に反応できる)

・1.正木瑠璃(電車で轢死)→2.転生して小山内瑠璃(自動車事故で母親とともに死亡)→3.転生して小沼希美(瑠璃の名前が付けられなかったのは、2の事故が当時あったから)

そして冒頭の東京駅ステーションホテルの場面に移る。
小山内はかつての自分の娘瑠璃が描いた三角の肖像画を持ってきている。
ここにいるのは、
女優の緑坂ゆいとその娘「るり」だ。
るりは4番目の瑠璃であり、彼女も記憶を取り戻していた。
だからこそ、2番目の時に父親だった小山内の嗜好を知っていた。
更に、驚くべきことを彼女が言う。
転生は自分だけではないと。
今、小山内堅が結婚しようとしている子連れの女性がいるが、その子供がかつての妻と同じような呼び方で彼を読んでいるということを小山内は自覚する、そして諸々を考え合わせ、義理の娘がかつての梢だったということに気づき、東京駅で崩れ落ちる。
(緑坂ゆいは、かつての娘瑠璃のの同級生で親友である。るいの口から、娘瑠璃が『母親梢が語ったこと』として教えてもらったのは、彼女が小山内を高校の時から後輩として愛していて、追って東京に来たのだ、ということだった。小山内堅は初めてここで知る。)

・1.正木瑠璃(電車で轢死)→2.転生して小山内瑠璃(自動車事故で母親とともに死亡)→3.転生して小沼希美(瑠璃の名前が付けられなかったのは、2の事故が当時あったから。彼女も事故で死亡。) →4.転生して緑坂るり

最後の緑坂るりが最終章で、三角とようやく出会うというところにようやく、という気持ちで涙が出た。
2017.04.05 堆塵館



評価 4.9


ご・・・ご無体な・・・
殺生な・・・・
ここで終わりか!
次を早く!!!(もうすぐ出るらしい)

久々のエドワード・ケアリーだったけれど、とても面白かった。
独特な奇妙な挿絵がまたいい。
振り仮名がふってあるので、子供向けでもあるだろうか。
これを子供の時に読んだら、楽しいだろうなあと羨ましくなった。

読みながら、何かを思い出す・・・と思ったら
テレビドラマのダウントン・アビーとハリーポッターだった。
ダウントンアビーの場合、召使たち(執事なども入る)と上流階級の人たち、なのだが、くっきり上下階に分かれている。
(ちなみに表表紙と裏表紙にその家の断面図?が載っていて、これまたじっくり見ると面白い!)
堆塵館でも、
上の階と下の階(というか地下)はくっきり分かれていて、下の階の人たちは上の階の人たちが寝静まった後いろいろなことをこなさなければならない。

ただ違うのは、これが巨大なゴミ屋敷であり、外側もゴミであるということだ。
屋敷の上の階にいるのは、アイアマンガーという純血の一族なのだ(ここがハリーポッターを想起させる、純血というのがとても重視される魔法世界ではここがマルフォイとかそのあたり)。
下の階にいるのは、そうではない人達で、両親のどちらかがアイアマンガーで、その二世三世の子供たち、が召使になっている。(ハリーポッターだったらここが

まず上の階のアイアマンガーの人たちは、生まれた時に『何かの物』をもらう習慣がある。
これは、把手だったり、暖炉だったり、お風呂の栓だったり、人それぞれだ。
自分の命と同じようにその『物』を大切にしなければならない決まりがある。
この『物』が叫んでいる声が聞こえる一人のアイアマンガーがいる、それが体の弱いクロッドという少年だ。
物は何を叫んでいるかというと、自分の名前(これも後半で意味が分かってくる、なぜ名前を叫んでいるかという意味が)

またもう一人の主人公は、普通の世界からここに召使としてやってきたルーシー・ペナント。
なんせ元気がいい、そして彼女の視点で不思議に思う質問は、読者が思う質問なのだ。
ルーシーは普通の人間の視点というのを代弁している女の子なのだ。

このクロッドとルーシーの出会いから、クロッドの親友の思いがけない出来事や、ルーシーの窮地など何しろ話はあちこちに行き、楽しませてくれる。

・・・・
後半、なぜ、物が名前を持っていたのか。
なぜ物が名前以外を語り始めたのか。
その謎が解けていくところもまた読ませる、あああ!そういうことだったのか!と。
クロッドが物のの名前を聞けるということはとても意味があったことだった。
また、堆塵館がどうやって出来上がっていったかという語りもまた読ませる部分だった。
外に投げ出された(つまりごみの上に投げ出された)ルーシーの描写もまた迫力がある。

次巻が待たれる。

・・・・
以下内容のことではないのだけれど。
(最後の解説で
クロッドやロザマッドの意味(確かにカタカナじゃわからない・・・)
名前のずれでハリエットがホリエットとか(確かにカタカナじゃわからない)
とあるので、これを一覧にしてほしい。
あと、登場人物表がぜひ欲しいと思った。これはつけてないのに何か意図があるのだろうか?
英語と日本語で登場人物表をつけて、そこに名前とともに、クロッドの英語の意味、ロザマッドのマッドの意味をつけてくれたらこんなにありがたいことはない。)


評価 4.9

私が解釈していたイヤミスとこれは違うように思ったのがまず最初だった(帯に元祖イヤミスとある)
嫌な話というよりも、人間が生きていく上での裏側の真実の話、といった印象だ。
だからいやーな気持ちには私はならなかった、こういう苦いことも人生にあるだろうと思って読んでいた。

・・・・・・・・・・・・・
ともかくも読ませる、導入部分から途中からラストまで、面白い昔話をお爺さんから聞いている子供、のような気持ちにさせてくれる。

どんでん返し的なものもある。
『的』」と書いたのは、どんでんにはなっていなくて、すれからしの読者だったら途中で(もしかして・・・)と気づくつくりになっているからだ。たとえば、切り裂きジャックがやってくる、なんかまさにそうだ。
最初の方から多分こうだろう・・・という予感がしていて、その予感を裏切ることのない結末だ。
冒頭の痛み、の作品もそうだ。
それにもかかわらず読んでしまう、読ませてしまうというのは、やはり巧いからだ、語り口が。
思わずずるずると、切り裂きジャックの話に引き込まれてしまう。
痛みの話も、病院にいる人間の半生が先生ごめんなさいという語り口とともに強烈にこちらに迫ってくる。

幻想の趣のある、影とのあいびきは、歌舞伎という日本特有の文化を語りながらも、アラビアンナイトのような不思議な世界観を作り上げている。
日本文化の歌舞伎に入れあげるナディン氏!
ちなみに、この作品、今の目で読むと差別があるとは思うものの、昭和の時代こうだったなあというのがよくわかる作品でもある。
(差別に関しては最後に断り書きがあります、この作品のみ、に対してなのかどうかはわからないけれど)

兄は復讐する、も妹の無念を晴らそうとする兄の話なのだが、これがただの小説にならないのは、
『兄の妹への執着』
が強烈だからだ。この強烈さにまず目を奪われる。
これが恋人ならわかる、また夫婦ならまだわかる、でも妹。
背徳的なにおいが遠くで醸し出されていながらも、一体妹がこうなったのは誰のせいかというのを突き止めようとした兄。
これまたラストが予想できるのだが、それでも必死の兄の様子が手に取るようにわかっていく。

妬み、も大変面白かった。
幼い頃からずうっと舞踊家を見つめてきた一人の女性がいる。
彼女が行きついた先の天才舞踊家という地位。
そしてそれを見つめてきたいわば影役の女性の鮮やかな台頭。
この二つが強烈に脳裏に焼き付く。

一番好きだったのが、かたみ、だった。
何不自由ないと見える裕福な人妻がホテルで命を絶った。
これはなぜか。
幻想的に見えて、これはラスト、あああっと唸る作品だった。
なんとも皮肉な結末だ。
かつて自分が愛していた男が出征してそのあとやむなく生きるために、年上の男性と愛のない結婚をした女性。
ひたすら虚しさを噛みしめていた女性。
彼女のもとに、軍服姿の昔の男性が戻ってきて歓喜の情を交わす・・・
幽霊譚、または幻想譚、または女性の妄想、と思わせておいて、最後の最後でベトナム戦争のことがクローズアップされてくる。ここまでの描写で、ホテルの中に多くの日本から出兵するアメリカ兵がいた、という事実も描かれている。
つまり、女性のもとに訪れたのは、アメリカ兵であってかつての恋人の幻影ではなかったというのが最後の女性の爪に入っていた金髪でわかる(その前に膣の精液でもわかるのだが、実際に交渉があったということは)
2017.04.02 漫画ベスト



久々にどはまりした漫画。

これってそもそも内容を語ってもいいのでしょうか。
これがどういう漫画かというのを知らないほうがずうっと楽しい。
でも知らないと、なんだかわからないで読めないかもしれない。

可愛い絵です。
こちゃこちゃっとした絵です。
ふわふわっと書いてあって、最初はほのぼのとした孤児院(でもなんだか幸せそう・・・)で優しいお母さん代わりの人に見守られながらすくすく元気に子供たちと暮らしている少年少女が描かれています。
ほわほわ可愛い系癒し系かなあと思って手に取った人が一番ひっくり返るほど驚くと思います。

ある映画も思うし、ある小説も思います。
それもネタバレになるし(双方ともに)・・・・
話の骨格がとてもよくできているのです。
ああ・・こうなのだろうなあ・・・と思うような方向にはいかないし、人も全く想像と違った動きをするし。
身体能力の高いエマ(女)とダントツの頭脳を持つノーマン(男)と知恵者でいつも本を読んでいるレイ(男)、この子たち三人が主人公で、三人が三人とも天才児でもあるのです。

騙す騙され、部分も面白いし、根本の話も面白いし、やろうとしていることも破天荒で面白い。
何拍子も揃った漫画だと思いました。

サスペンスというかホラーに近いところもありますが、何しろこの絵なので救われる部分もあります。
2の後半で予想を裏切るまたしても驚きがあったので(ここ驚いた驚いた!!)、これからどう展開するかものすごく楽しみです。
4月4日が待ち遠しい!!(3の出る日)

・・・・・・・・・・・・・・・・・


ぼちぼち読んでるので、まだ2までしか追いついていないのですが、続刊出ています。

これは、天才的な小説の才能を持っている女子高生、がいて
彼女の所属する文芸部があって、という高校生活部分と、
出版不況と闘いながらもなんとか一世一代の作家を見出したいと思っている編集者側部分と
二つが並行して描かれいています。

1より2の方が話が動いていて面白いです(1は導入なので説明が・・・)
何しろ、暴れん坊の一見おとなしそうな女子高生が、最初からヤンキーの指を折るという暴挙に出るとか、すごいのです。
このはちゃめちゃ具合と、内省を必要とする小説とがからんで面白い漫画になっています。

これからの展開が楽しみです。
2017.03.29 ゼロ・アワー


評価 4.3

タンゴと猫を据えてのハードボイルド小説だ。
途中で何度も(中山可穂?)と表紙を見直した、今までの作風と違うから。
とても彼女らしい場面も見られるし、タンゴの描写とかいかにも彼女らしいし、ふてぶてしい猫の話とか通称ハムレットが猫に振り回されている様子など、惨劇のさなかなのにくすっと笑えるところとか。
要は巧いのだ。

通称ハムレットという凄腕の殺し屋。
彼はタンゴをこよなく愛しているのだが、ある一家の皆殺しを依頼される。
皆殺しをした後に、自分のDNAがあるかもしれない爪を持った猫アストルを持って帰ってなぜか引き取ることになる、そしてこれが運命の幕開けだ。
ハムレットに両親と幼い弟を殺された少女広海は偶然家にいなかったのだ。
彼女は復讐を誓い、疎遠だった祖父の住むブエノスアイレスに旅立った・・・・


タンゴへの愛、そして猫への執着が段々殺し屋のハムレットに芽生えていく場面が読ませた。
また祖父の過去も、こういうものだったのか、と予想の範囲内ではあるもののここもまた読ませたのだった。
が。
全体には、私はlこの作者にこういうもの(ストーリー的に)を求めていないのだなあ・・・とつくづく思ったのだった。
中山可穂にしか書けないものを書いてほしい。
2017.03.29 失われた地図


評価 4.5

グンカはなんだろう?
軍靴?
悪意の塊か。

日本の各地にある、軍部の跡地。
そこには、かつての記憶が眠っている。
更に、もっと以前の記憶も増幅し暴れまわる。
『裂け目』から噴き出してくるグンカとそれを閉じようとする風の一族・・・・


女性の鮎観(あゆか)、彼女と息子をもうけながらも離婚した遼平、言葉少ない浩平、の三人が特殊能力を持っていて、他の人には見えないが確実にそこにいる巨大悪(悪意といってもいい)に立ち向かう話だ。
グンカが見えていく様子などは大変面白いし、小出しに情報が出てくるところも良いと思った。
それぞれの土地の昔の記憶のようなところも読ませる。
また、『裂け目』から悪が飛び出てきてそこを『縫う』という作業も非常に面白かった。

が、これ、まだ途中だろう(と思いたい)。
いくらなんでもここで終わりというのはないだろう。
あと・・・全体にちょっと薄い、ストーリーとして。
薀蓄が語られるが(色々なところで)、それがそこだけ話に溶け込んでいないで、浮き上がってくる感じもとても気になった。
次、が出たら読むけれど、ぜひ次に期待したい、鮎観の再婚相手の素性も含めて、おそらく超巨大な能力を持っている子供登場も含めて。
2017.03.17 神様の裏の顔


評価 4.3

視点がころころ変わる展開だ。
軽妙でちょっぴりくすっと笑えるミステリ。
それぞれの人がそれぞれの思いを抱えて吐露していく形式だ。
最初の方は、通夜で始まる。
そのあとは、一連の通夜からの流れに沿って、人の思いが語られていく・・・

神様のような男、坪井誠造の死去。
その通夜には多くの関係者が参列した、もちろん教師だった坪井の教え子もまた。
参列者が彼を神様のような人間だった、と言っている中
思わぬ彼の一面が現れてくる・・・


最初の方から途中まで、あまりにこの人がいい教師だったので、読む側としては、このタイトルも相俟って
(胡散臭いなあ・・・)
とまず疑惑の目を向けるだろう。
生徒にも近所の人にも、そして同僚にさえ優しく親身になっていた坪井。
坪井の娘の後悔の念も続いていく・・・

しかし、ここからが読者のみ、あれ?と思うことが徐々に重なっていく。
あれ?これはもしかして坪井がやらかしたこと?
あれ?これはもしかして坪井が悪意を持ったこと?
ここが巧みだと思う、読者のみが優越感を持って彼の裏を知っていくという構成が。

後半、やっぱりね、というところに落ち着く。
私はここで終わりだと思っていた。
このやっぱりね、は前の読者のみ知りえたことを繋ぐ人物が現れたことによって、本当に坪井が善人だったのかという根本の疑問にぶち当たるからだ。

読ませると思うのだが・・・
が、ちょっとぶつ切り過ぎて台本のようで、これがもっと繋がって行ったらとそこはちょっと思ったのだった。
また登場人物表に難ありだと思う、これってずるくないか。

以下ネタバレ
・女子学生を自分のものにした、というところは除くとして。
聖人ではないものの、途中で疑われた殺人犯ではなかったのだった。

・一番の肝は、
姉妹ではなかったということだ。
友美という人間と晴美という人間は同じ人間であった。
一人娘であった。一人芝居であった、心の病から。
(なので、登場人物表にこの人たち二人を出すのはずるいと思う。どちらかを出すべき)
いくらなんでもこの二人が同一人物じゃないというのがわからないものだろうか、列席者に。

そして彼女が坪井を殺したのだった。
2017.03.14 青鉛筆の女


評価 4.7

技巧に満ちた小説。

3つの話が語られていく。
1.1945年にウィリアム・ソーンのペンネームで発表されたスリラー(1945年刊行)
2.その本の編集者から著者への手紙(1941年から1944年まで)
3.作者名がタクミ・サトーとあり未完のハードボイルドで改訂版(1943年から1944年に執筆)

元々これがどこから発見されたかというと、2014年のカリフォルニアの解体予定の家の屋根裏から見つかった、という大枠がある。
1では、日系アメリカ人の(カリフォルニア育ちの朝鮮系アメリカ人)ジミー・パークが主人公だ。
彼はテコンドーが趣味で大変喧嘩などに強い。
彼は日本人農夫が腹を切り裂かれていた事件をきっかけに、日本のスパイ組織の暗殺者と闘おうとする・・・
それに対して、2では常に女性がその小説にアドバイスを送っている。
こうした方がいい、とかこういう風にすれば本にできるとか。
それが青鉛筆で直されているので、タイトルの青鉛筆の女、となる。
このアドバイスを見ながら小説を見ると、確かにその部分が直っていて(推敲していたのだな)というのがうかがえる。

3では、1とシンクロしているのか?と思いつつ読んでいると、これはそもそも主人公が、日系アメリカ人である。名前がサム・スミダという。
彼は東洋美術史を教えていて、自分の妻キョウコが11か月前に殺された事件を自分で追うということを試みようとしている、警察があてにならないからだ。。
マルタの鷹を見て、自分の捜査の参考にしようと映画館に入る。
映画館でフィルムが切れ、そのこといいに行くのだが、そこで、一種のタイムスリップと異世界空間に行くということに巻き込まれている。
そしてその間に真珠湾攻撃があったのでじゃっぷ呼ばわりされながら自分の家に帰ろうとするのだが・・・
既に自分の家そのものも人手に何故か渡っていて、サムそのものも存在が危うくなっている。
いったい自分は誰なのか。
なぜ友達も誰もかれも彼を認めてくれないのか。
この部分大変面白かった、彼が彼であろうともがくほど誰だかわからなくなっていく、という悪夢のような状況が点在している。
しかも、話が進んでいくにつれ、彼が昔捜査でひどい目にあった警察官チャーニチェクが同じような自分を皆が知らない世界にいるという異様な状況にあることがわかってくる。
ここでいったん二人は手を携える方向に行きそうなのだが・・・・

1と3の話が最後の方で融合して溶けていくように収束しているさまも読ませた。

・・・・・・・・・・・・
この話、とても重要ないくつかの歴史的出来事がある。
・折しも1941年の12月7日に日本軍の真珠湾攻撃があった。(なので、3の話の中で、映画館でタイムトラベルがあった時に、三週間のラグがあるので真珠湾攻撃があり、日系人への締め付けが厳しくなっている。それをスミダは最初のうち理解できていない)

・最初のところで、3つの事柄が語られている。
最初は、上に記した真珠湾攻撃だが、次に語られているのは
1942年2月19日に大統領令が出て、日系人が強制収容所に移住させられたとある。

また最後の項目で、2014年に見つかった貴重品箱の中の中身は(ここからは小説内の話)
改訂版が、血と泥にまみれていたという中編小説であったということだ。
つまりそのような状況で書かれた小説と言っていいだろう。
これは、とりもなおさず、改訂版の最後に起稿がキャンプシェルビーでというところとリンクしている。
編集者が手紙で、442連隊戦闘団に作者が入隊することを懸念し、キャンプシェルビー、第442連隊戦闘団、といってもなじみがないが、以下のような説明を見るとなるほど、と思う。

・第442連隊戦闘団は、第二次世界大戦中のアメリカ陸軍が有した連隊規模の部隊であり、士官などを除くほとんどの隊員が日系アメリカ人により構成されていた(以上ウィキペディアより引用)

・1942年6月に、在ハワイの日系二世の陸軍将兵約1,400名は「ハワイ緊急大隊」に編成され、ウィスコンシン州に送られた。同地のキャンプ・マッコイで部隊は再編され、第100歩兵大隊(100th infantry battalion)と命名される[4]。大隊長以下3人の幹部は白人だったが、その他の士官と兵員は日系人で占められていた。ここで部隊は訓練を重ね、1943年1月にはミシシッピ州のキャンプ・シェルビーに移駐する(以上ウィキペディアより引用)

つまり戦火の中でこの改訂版は書かれたものであって(だから泥と血にまみれていた)、それには編集者の手は全く加わっていないのだ。
そして改訂版では厳しい日系人への弾圧そのものも細かに描かれている、自分の妻を探していく男の行動も勿論気になるのだが、日系人への差別そのものも確かに描かれているのだ。


・それにしても。
手紙の主の編集者は、なぜ自分が結婚していると嘘をついたのだろう?
夫が戦死したといったのだろう?←

2017.03.06 騎士団長殺し



以下まだ読んでいない人のために全面伏字とします。
ネタバレも当然入ります(ある程度は、わけるつもりですが)
ある時期になったら解除いたします。

評価 4.9

全体を読んだ感触は、ねじまき鳥クロニクルを思い出すなあ・・・だった。
でもそれよりも、まずこれを読んで、最初に思ったのが、『形を変えたグレートギャツビーだなあ』ということだった。
なぜかというと、→ギャツビーで、別れた恋人のデイジーの姿を求めて、港を隔てた反対側に豪邸があるのがギャツビーなのだ。

恋人の動向を知りたい一途な思いのギャツビー。
人妻になってしまってもまだ思い続けるギャツビー。
謎めいた彼の姿が、ここでも謎めいている免色さんに重なるのだった。
免色さんがが何を見ているかというと
彼が自分自身で自分の子供だ、と思っている女の子を双眼鏡で反対側の家から見続けることになる。
 
・・・・・
最初のプロローグを読んで、この顔のない人は何だ?と思っていると、途中でそれがわかってくる。
だから全部読み終わってから再びプロローグに戻ると感慨深い。
にしても、エピローグはないんだろうか?
まだ未完なんだろうか?

この話、謎が謎を引っ張っていって、ある種読ませるミステリでもあると思う。
何が謎といって数え上げればたくさん出てくる。
あるところでは、幻想の雰囲気も保っていて、ファンタジーの領域も見受けられる。
村上春樹の他の作品を確かに思い出しはするけれど、焼き直し、では私はないと思う。
これだけの分量を飽きさせず読ませたのだから。それだけの力があったのだから。

肖像画で糊口をしのいでいる絵描きの男が妻と別居する。
妻には男がいたらしい。
割り切れない思いの男は、東北を放浪したのち、友人の父親の別荘に住まわせてもらうことになる。
友人の父親は高名な日本画家であり、今は施設にいて意識が混濁しているような状況だ。
ある日、彼はこの家で妙な物音を聞いてしまう・・・それは確かに外から聞こえてきた鈴の音だった。
それを追求していくと・・・・
また、屋根裏部屋に一つの絵を発見してしまう。
そこには異常なものが描かれていた・・・・


この鈴の音が出てくる場所が、村上春樹の某小説の井戸のようだ。
井戸ではないけれど、深い場所にあるのだ、鈴は、はしごをかけるほどに。
更にこの鈴をだれが鳴らしていたか、という謎がある。
また、これを必死になってクレーンまで使ってお金をかけて出してくれたのは、ちょっと前に知り合いになった免色という男だった。もともと彼は肖像画を描いてほしいという依頼をしてきた人物だった。
この免色がどこに繋がるのか。
彼が頼んだ肖像画はとても不思議なもので出来上がったけれど、そこには彼の本質が描かれている、と理解していた。

絵の描写がとても良い。
人の絵を描いているだけではなく、その人の周辺状況を知ることによりまたその人の人となりを知ることにより絵が完成していくのだ。
ところが免色の絵は結界を破ったように破調の絵になる。
このあたりが読んでいて非常に面白かった。
何かが崩れていくように、肖像画をやめて自分の思いのままの絵を描き始める男。
芸術が花開くような姿にちょっと心打たれたのだった。
しかしこの描き始めは思いもよらないところに着地していく。

そして彼に目に見えたのは、一人の(小さな)騎士団長だった。
騎士団長の話はオペラドン・ジョバンニの話にも通じていく。
精巧な人形のような騎士団長は、奇妙な丁寧すぎる言葉遣いで彼を翻弄していく。
緊張が多いこの小説の中で、なぜかユーモラスな感じのする騎士団長の登場部分だった。
が、最後の方で彼は意外な役割を果たす。
画家に自分を殺させるのだ、彼は自分自身をイデアと言っている。免色の娘が行方不明になった時に、彼女を探す最後の手段が、彼を殺すことだった。

またこの別荘を貸してくれる友人の父が、なぜドイツに行きながら帰国したら日本画になり(それで成功したとはいえ)戦前と戦後の画風が変わったかという話も読ませたのだった。
彼が口を閉ざして言わなかったある事実。
ここも謎に満ちている。
なんせ話す唯一の人はもう意識が混濁している状況なのだから。


・・・・・

以下疑問と覚書

・ミステリアスな免色さんはどういう人だったのか、結局。
なぜあのような生活をしていたのか。
あれは自分の子供を見るためだけのことだったのか。
全ての彼の行動はそこに結びついていくのか。

・彼の娘が彼の家に侵入して息をひそめる場所のクローゼット。
ここに免色さんが最接近した時がある。
開けようとした時がある、開けなかったのだが。
何か邪悪なものがそこにいた・・・・
それは誰だったのか、いや何だったのか、免色さんの中にある邪悪なものだったのか。
とすれば、それは何なのか、免色さんはなぜそのようなものを持っているのか。

・父親があの絵を描いた経緯というのは、ここに書かれていることだけだったのか。
どのような気持ちでどのような状況で描いたというのはない。
だからそこは想像しろということなのか。
誰かもうちょっと知っている人はいなかったのか。

・免色さんの年頃の娘が自分の胸が小さい話を、それも何度も赤の他人ともいえる人に語る、というのがとても違和感があった。
なぜだろう、ここを何度も何度も執拗に描いたのは?
そこまで面白いエピソードなのだろうか。

・妻との和解。
こういう感じで和解できるのか。彼の冒険の末(心の)、にここにようやくたどり着くのか。
それよりも前の段階で、妻と別れるのが、こういう感じで夫が納得していないのに別れるんだろうか。
ここまでして別れたのにまた簡単に和解できるのか。
また妻はこの子供についてどう思ってるのか。
夢は見たのだろうか妻側は。


・一人称が懐かしい。またこまめに食事を用意する風景も懐かしい。
ところどころに海外文学への造詣、音楽への薀蓄(そもそも騎士団長そのものがオペラの主人公なわけだがそれ以外にも)
、また過去の現実の歴史、が語られるのも懐かしい、夢で性行為をするというのもまた懐かしい、それが現実の子供になっているという含みがあるおまけがついてくるが。
もうここは全開の村上春樹節で、温かいお湯の中に入った気がした(肯定的な意味で)。

・主人公が比較的若い。
また父と子、という関係が非常に濃密にあちこちに出ている。
1.免色→まりえへの父と子の感情
2.主人公→夢で作ったと思われる小さな子供への慈しみ
3.主人公の友人(子の側)→施設にいる元画家への気持ち
この中で、1と2は極めて似ている。
『本当にその人の子供かどうかわからないのだが、二人とも信じようとしている、いや信じている、自分の子供だと』
2月の読書メーター読んだ本の数:10読んだページ数:3522ナイス数:284失踪者〈下〉 (創元推理文庫)失踪者〈下〉 (創元推理文庫)感想途中途中で、全く関係のない話と見える『何かに怯えて身を潜めている女性』『娼婦と、不幸な家の少女の二つの殺人事件』という出来事が見事に本筋に絡まってきます。また5年前の事件で一晩の宿のせいでマスコミの餌食になったマーク・リーヴの姿もくっきりと浮かび上がってきます。私はこの中で、ラストの真相にも驚きはしたのですが、もっともっとぐっときたのは、『ロザンナがなぜエレインを結婚式に呼んだのか、それほど親しくもないのに。』の告白でした。ここも人間の心のある種の部分を抉り出していると思いました。嘘についても考えました。読了日:02月23日 著者:シャルロッテ・リンク
失踪者〈上〉 (創元推理文庫)失踪者〈上〉 (創元推理文庫)感想非常に面白く一気に読みました。最大のミステリは『5年前に幼馴染の結婚式に行くために空港まで行ったのにあいにくの欠航で、そのあと杳として行方が分からなくなったエレインはどうなったのか』ということなのです。けれど、それだけではなく登場人物全員が生き生きと活写され、内面の心理描写もこちらにぐっと伝わってきました。冴えない容貌でぱっとしない辛い人生を送っていたエレインの姿が実際は失踪していないものの、痛いほどわかりました。そして、エレインの幼馴染で彼女を結婚式に呼んだ当の本人のロザンナの心理もまた克明に綴られて。読了日:02月23日 著者:シャルロッテ・リンク
ブロンテ三姉妹の抽斗―物語を作ったものたちブロンテ三姉妹の抽斗―物語を作ったものたち感想とてもとても面白く読みました。ブロンテ三姉妹の使った物を通して彼女たちの生活、作品などが語られていきます。詳しく作品に触れられているのでそこも読みどころの一つでした。私が面白いと思ったのは、犬への視点(確かに嵐ヶ丘、犬が出てきます、ヒースクリフの変貌と犬との関連性も面白い)と、手紙の章(親友エレンへの手紙は確かにジェインエアの親友を思い出させるし、一方的な恋文も興味深いし、何よりも郵便代!)と、墓の中に自分の何かを入れるということの意味など、堪能しました。ディケンズ、ウルフ、テニスン等他作家にも言及。読了日:02月14日 著者:デボラ ラッツ
人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)感想あの『レベッカ』の作者の初期傑作短編集。とても良かったです。人間の心のざわめき、ちょっとしたことで崩れる心の何か、心の奥に潜む怪物のようなものを焙り出していくのが本当にうまい作家だと思います。私が好きなのは、島民のたまらなく退屈で平穏な日常がある一転で崩れる東風、最後も怖いが途中も怖い表題作人形、幻想的な雰囲気をたっぷり保ちつつ最後のところで現実が迫ってくる怖さのある幸福の谷、こういう女性いるいる、と思わせる笠貝、あたりです。しかしホラウェイ牧師!二回出てきてるけどなんとかしろ!とここは笑いました。読了日:02月12日 著者:ダフネ・デュ・モーリア
ライムスター宇多丸の映画カウンセリングライムスター宇多丸の映画カウンセリング感想質問があってそれに対してこういう映画を見るといいですよ、みたいな答えがあるという形式の本。面白いんだけど、きっと口頭で聞いたら(ラジオとかで聞いたら)宇多丸さんのあの弁がたつ感じとかでばしばし斬っていく感じとかがもっともっと伝わって面白いような気がしました。文字だとちょっとそれが欠けるかなあ。アイドル論のところは文字で思い切り楽しめましたが!読了後たくさんの映画が見たくなったし、見直したくなったのもまた事実であります。一点、出てくる作品の索引がほしいと思いました。読了日:02月12日 著者:宇多丸
帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく(5)帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく(5)感想友達を交えての生誕祭、前は大爆笑だったんだけど、今回私が大爆笑したのはそこではなく、ディーンフジオカ花粉症からの脱出の話、でした。いやあ・・・いいのかいいのかこんなことを書いて!と思いつつ大爆笑。わからないことを聞いてしまうどちて坊やにも大爆笑(私もこの傾向あるので)。あと体のことですが、健康面で見てもらっているお医者さんの怖さにも、くふくふしました。いるいる、こういうお医者さん!シリーズ長いですがこれからも続けていってほしいなあ~お体お気をつけて!!読了日:02月12日 著者:菅野 彰
文庫解説ワンダーランド (岩波新書)文庫解説ワンダーランド (岩波新書)感想時に大爆笑しながら読み進めました。こばひでって!(最大級に笑ったところ。重鎮小林秀雄)。いわゆる文庫の解説の解説、のような本です(過去の名作が多い)。文庫についている解説がこれほどまで出版社によって違っているとは!坊ちゃん一つにしても悲劇喜劇とこれだけあるとは!個人的には伊豆の踊子のラストがどうにも昔から解せなかったのですがすっきりしました。実は生真面目に分析しています。またわけのわからない解説をわからないと言ってしまうあたり、男気があると思いました(女性ですが)。切り口が非常に斬新でありました。読了日:02月05日 著者:斎藤 美奈子
映画と本の意外な関係! (インターナショナル新書)映画と本の意外な関係! (インターナショナル新書)感想大変面白く読みました。映画好き本好きだったら楽しめる本。最初のベルリン天使の詩のくだりも驚きました。インセプションのキルケゴールとの関係もそそられたし、leap of faithというのはこういうことなのか!!! という驚きもありました。ここからマトリックス続いてポセイドンアドベンチャーに行くところもお見事。20章のキャロルからハイスミスへの言及の中で、かたつむり小説はこういうことだったのか・・・というようにそうだったのか!という驚きが多かったです。見た映画も見ていない映画ももう一度見てみたくなりました。読了日:02月05日 著者:町山 智浩
三人目のわたし (ハヤカワ・ミステリ文庫)三人目のわたし (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想全てを捨てて新しい人生を歩もうとしている主婦エミリー。過去からの思いを断ち切って名前まで変えて新生活に飛び込むエミリー。でも断ち切ろうとしても断ち切れない過去がずうっと彼女に付きまとっています。詳細な生い立ちから現在に至るまでが視点を変え、細かな心理描写を交えて描かれています。それにしてもなぜ出奔?それが大きな大きな謎になっています。ラストで確かに驚きはあるのですが・・・ちょっと私には腑に落ちないことが色々とありました、すみません。読了日:02月05日 著者:ティナ セスキス
聖エセルドレダ女学院の殺人 (創元推理文庫)聖エセルドレダ女学院の殺人 (創元推理文庫)感想極上のミステリ!犯人が誰かというのはもう最後どうでもよくなっていました、すみません。それよりも寮にいる7人の少女の生き生きしていることと言ったら!それぞれが得意分野があり持ち味があるのです、共通項は、「家で疎んじられているので家に帰りたくない少女たち」なのです。彼女たちの性格が実に鮮やかに描かれていて、読んでいて何度笑ったことやら。絶妙なのは、どんどん人がやってきて少女たちを混乱させその混乱が新たなる才能を開花させる(演技だったり、メイク技術だったり)ところでした。あり得ない箇所というのもまたご愛敬。読了日:02月02日 著者:ジュリー・ベリー
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