1月の読書メーター
読んだ本の数:3
読んだページ数:745
ナイス数:145

偏愛読書トライアングル偏愛読書トライアングル感想
特に海外本で読んでいる本がかぶっているので、連載から読んでいました(というか今も連載中)。一冊になったので改めて読んでみましたが。感想が違うものもあるし、同じものもあるし。全体にもっと尖ったところがあっても良い気がしました、正直なところ。偏愛ではあるけれど、テーマごとに分かれているのでそこはテーマくくりということで。あと・・・すごくすごくお気持ちはわかるのですが、エッセイ集ではなく書評集なので、いきなりペットロスを語られてもと私はそこに戸惑いを覚えました。
読了日:01月18日 著者:瀧井 朝世
米澤穂信と古典部米澤穂信と古典部感想
楽しい!古典部15年もたつのかあ・・・と感慨深かったです。古典部のミニ短編も読めて大満足(まさかあの作品をこういう風に扱うとは!面白い)。作家さんとの対談もいくつか入っていて、特に恩田陸さんとの対談で、どの海外本にインスパイアされていたかという話が面白かったです。架空の折木奉太郎の本棚、千反田えるの本棚なども(この本、たしかにたしかに)とにんまりしていました。
読了日:01月18日 著者:米澤 穂信
図書館島 (海外文学セレクション)図書館島 (海外文学セレクション)感想
冒頭からしばらく流麗な文章と緻密な(過ぎる?)描写力に圧倒され読み始めました。タイトルから図書館や本が前面に出てくると勝手に思ったのでそこは違いました。思い切り惹きつけられるところがある一方で、あまりに新しい場所名、人物名、事柄が多くここを頭に入れるのにとても手間取りました。暴君とでもいえる父から離れて新しい世界に飛び込んでいく青年ジェヴィックが船である女性に会ったことから始まる世界、後半は二つの勢力がぶつかり合います。文字と声、二つのことを考えさせられました。(この訳者さんの訳そのものは大好きです)
読了日:01月18日 著者:ソフィア・サマター

読書メーター
12月の読書メーター
読んだ本の数:12
読んだページ数:4422
ナイス数:224

TOKYO海月通信TOKYO海月通信感想
今回出るのがちょっと早かった?(というような気が)ぎりぎりで買いますが、今回は余裕で買って読めました。これを読まないと一年が終わった気がしないので。一年の中で、小池人気から凋落まであっという間というのがよくわかったなあ。映画の趣味はいつも全く違うと思っていたのですが今年は比較的シンクロしていて・(ベイビードライバーとかとか・・・)嬉しかったです。ラ・ラ・ランドの試写会のスマホ注意の話も天晴れと思いました、注意した女性に。中野さんのイラストページも大好きでそこはかとなく似てるのが笑えます、毎月の俳句も一興。
読了日:12月30日 著者:中野 翠
ソラリス (ハヤカワ文庫SF)ソラリス (ハヤカワ文庫SF)感想
以前の訳で読んでいたのですがどこまでわかっていたのか・・・そして今回も全部把握しているか?と聞かれたらそうではないとは思うのです。でもです、把握しきれていなくても非常に感動しました。最後まで謎は私の中でたくさん残っています、ソラリスの海が見せたものは人間の中のあるものなのですが、それは友好だったのか反発だったのか、無作為なのか。そもそもコンタクトの概念があるのか。また、ケルヴィンの恋愛話も勿論読ませますが、今回改めて読むとソラリスの海の造形が鮮烈でこちらに迫ってくるようで心に残りました。ラスト一行も秀逸。
読了日:12月30日 著者:スタニスワフ・レム
蝶のいた庭 (創元推理文庫)蝶のいた庭 (創元推理文庫)感想
堪能しました。ぎゃあ!読みたくない、でも先が気になる、止められない一冊でした。若い女性の事情聴取から始まり、最初の内はこの女性が一体誰なのか名前も年齢もわからず、ばかりか、被害者なのか加害者なのかも不明です。女性の語りがはぐらかしが多くそこが面白いです。滝も川もある『ガーデン』という場所で『庭師』が何を行っていたかが徐々に紐解かれていくところがおぞましくまた幻想的でした。内容的にジョン・ファウルズのコレクターをどうしても思いますが、この作品の方の庭師の方が愛などは全く求めないので、より怖いと思いました。
読了日:12月30日 著者:ドット・ハチソン
きっとあの人は眠っているんだよ: 穂村弘の読書日記きっとあの人は眠っているんだよ: 穂村弘の読書日記感想
穂村弘の読書日記って、特別な感じがします。彼の独特の視点、独特の言い回しによって(しかもわかりやすい)、自分が読了した本については(こういう見方があったのか!自分も考えていた?もしかして?)と思わせてくれる一文があるし、また知らない本では(ああ・・・読んでみたい!)と思わせる一文が必ずありました。知らない本、読んでいない有名な本をさくっと普通に読んだよ今、と語っているところにも好感を持ったし、古本屋さんで高い本に買うか買わざるか逡巡する姿にも微笑みました。ほむほむ万歳!
読了日:12月28日 著者:穂村弘
狩人の悪夢狩人の悪夢感想
このシリーズの中では好きな方でした。ホラー作家とミステリ作家の対談から始まるのですが、二人とも作家なので、そのスタンスの違い、売れている売れていないの違い、作家としての矜持、とそのあたりも非常に面白く読みました。また有栖川有栖と火村との会話もいつも通りに楽しんでいましたが、火村の夢は・・・一体?このミステリ、夢と弓矢が重要なアイテムとなってきます。犯人がなぜこういう行動をとったのか、というのを追い詰めていく姿は読ませました。
読了日:12月28日 著者:有栖川 有栖
東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
15歳の黒人少年イーストが、組織のボス(叔父)の指令を受け、三人の少年たちと一緒に長い長い旅に出るのです、それもある重要な証人を殺す旅に。ミステリであるけれどロードノヴェルでもありました。足がつくので、車の移動手段なのですが、ここで4人が軋轢を生み、葛藤し、それぞれの個性の主張をしてぶつかりあう青春物でもあります。特にイーストの弟の一種壊れたタイが暴力的であり、手がつけられない人間なのです。最後の驚きとともに一気に読みはしたのですが・・・ともかくもこの小説に必要なのは地図、だと思いました。
読了日:12月28日 著者:ビル ビバリー
粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)粘土の犬 - 仁木悦子傑作短篇集 (中公文庫)感想
仁木兄妹物はぼちぼち既読なのですが、一冊に仁木悦子がまとまるということが嬉しいです。短編集ですが、「おたね」に衝撃を受けました、犯人が誰ということはすぐにわかりますがそれよりも犯人が取った行動にある種の『選択』がある、その描き方が巧いなあと思いました。「罪なきもの~」はシリーズ化してほしかった、特に転がり込んでくる男のキャラが最高でした。「弾丸~」もあれ?という謎から引っ張ってくる楽しさがあります、映像と実際が連動するなんて!と。表題作は目の見えない子を軸に据えた殺人事件の謎解きが光ります。
読了日:12月28日 著者:仁木 悦子
怖い絵のひみつ。 「怖い絵」スペシャルブック怖い絵のひみつ。 「怖い絵」スペシャルブック感想
大盛況(混みすぎ!)の展覧会の前に熟読した本でした。今までの怖い絵シリーズも楽しめましたが、ピンポイントで展覧会出品の絵を語ってくれているので読み込みました。そのあと実際の展覧会へGO!(夜だったので待ち時間がほぼなかったのが嬉しかった、でも中は大混雑)このスペシャルブックは、最後に宮部みゆきとの対談(宮部みゆきもこのシリーズの大ファンだそうです)も良かったです。中野さんの絵の見方というのは、背景を読み解いてくれるので大好きです、ぼんやりと眺めるのも一興、全てを知って見るのもまた一興。
読了日:12月28日 著者:中野 京子
13・6713・67感想
香港ミステリというので非常に敷居が高かったのですが。最初の話から意外性の連続で驚きまくりました。最初の話にこのミステリの良さが集約されているかも。現在から過去に至る遡りの方式で描かれているので、主人公達の現在の姿を知りながら過去を徐々に知っていくという面白さがあり、(ここが分水嶺だったんだなあ・・・)とか(ここでもし別の道を歩んでいたら・・・)とか(推理部分も面白いのですが)人間的なところで多々思うことがありました。同時に香港の歴史も遡っているのでそこも非常に読みごたえがありました。そしてラストが!!
読了日:12月23日 著者:陳 浩基
エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)エル ELLE (ハヤカワ文庫NV)感想
映画は見損ねたのですが。驚きました、この話、レイプから始まるという話というのは知っていたので、勝手に『そこから立ち直っていく女性の話』だと思っていました。ところが、このレイプされた女性の過去がすさまじく、レイプそのものも異常な状態なのに、あまりに過去が異常でそれが薄れるような、ぞっとする人生だったのです。更に!後半女性が取った行動が思いもよらない行動で、更にその行動をとったことによって、思いもよらない展開が待ち受けている。すさまじい話です。全員が狂気の中、唯一女性の元夫のみが普通の人、に見えました。
読了日:12月23日 著者:フィリップ ジャン,Philippe Djian
雪と毒杯 (創元推理文庫)雪と毒杯 (創元推理文庫)感想
仰々しくないけれど良いミステリを読んだなあというのが印象。雪山に閉じ込められてしまう人達、しかも遺産相続が目の前にある状況の人達なのです。クローズドサークルものでもあるのですが、大雪の中、この村の中だけは行き来できるクローズド具合というのもまたオツです。最後まで読むと最初の死にゆく人の場面をもう一度読み直したくなるし、言葉の伏線もきちんとしています。犯人はこの人だというのが何度も飛びかいますが、真犯人の動機がとてもわかったのと、事件が全て終わってからの真実の開き具合が好きでした。にしても、『彼』可哀想!
読了日:12月23日 著者:エリス・ピーターズ
ダーク・マター (ハヤカワ文庫 NV ク 22-4)ダーク・マター (ハヤカワ文庫 NV ク 22-4)感想
妻と一人息子との幸せなな家庭生活を送っているが学問的にはもうちょい上に行きたかったかも、の物理学の教授が、ある夜突然殴られ目覚めると誰も自分を認識してくれない世界が・・・。もうこのあたりで、どういう展開か、というのは読める気がしたし、その方向に確かに行くのですが。一種のバカSFっぽいところもあります。途中で大いに笑いましたし。が!!!話はここからで後半、私には思いもよらない動きがありました。SF展開でもあるので、好みは分かれるかも。私は最後の顛末のところでとてもとても感動しましたが!
読了日:12月23日 著者:ブレイク・クラウチ

読書メーター
11月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:3066
ナイス数:238

黒い睡蓮 (集英社文庫)黒い睡蓮 (集英社文庫)感想
巧みな技のミステリ。モネの睡蓮で有名な村ジヴェルニーで起こった殺人事件を軸に物語は進んでいきます。好色な眼科医、美貌の小学校教師、イケメン警部、可愛い絵の才能がある少女と彼女を取り巻く友人たち、少女の才能を認めてくれるアメリカン人絵描き等々、人物像も鮮やかです。モネの話もたくさん出てくるので一種の教養小説の趣もありますが、そんなこと全てが吹き飛ぶくらいの破壊力・・・
読了日:11月23日 著者:ミシェル ビュッシ
門 (集英社文庫)門 (集英社文庫)感想
ちょっと必要があって久々に読み返してみました。そして大好きな小説だということに改めて気づきました。一種のミステリでもあります、途中までなぜ東京の崖下(この設定がまた素晴らしい)にひっそりとこの夫婦は息を詰めるように生きているのか、という謎が渦巻いていて、14章でぱくっとわかるのです、全てが。日常の小さなさざなみに身をゆだねながら、自己を見つめる宗助。また崖上の大家さんの華やかな生活との対比も見事です。もしかしたらあったかもしれない人生。でも私は、この隠者のような宗助夫婦の暮らしぶりが非常に今はわかります。
読了日:11月23日 著者:夏目 漱石
ファインダーズ・キーパーズ 下ファインダーズ・キーパーズ 下感想
怖い~強盗モリスと学生のピートの点がどうやって結びついていくのか、というところが、じわじわじわじわ近づいていって怖かったです。二人が共に死んだ作家ロススティーンの熱烈ファンであるということも面白いところです。あと、モリスがそれとは知らずに超重要なものを踏みつけにしたり動かしたり、そのあたりもはらはらしました。やや偶然が多いかなあという印象、あと悪党を追う側の三人組の特性がそれぞれもっと際立ったら面白かったのにとも思いました。で、あの人は、あの人は・・・ああいうことができるようになったのかな?ここも怖い。
読了日:11月12日 著者:スティーヴン・キング
ファインダーズ・キーパーズ 上ファインダーズ・キーパーズ 上感想
ミスター・メルセデスの続編ということでわくわくしながら読みました。ミステリでもありますがスプラッタ的なホラーの要素もあります(下巻)。あと文学論のやり取りもあるのでそのあたりも文学好きだったら楽しめるところ。作者の好きな作家とかも垣間見えます。この巻では強盗モリスのある作家の作品にのめり込む様子の異様さや(でもあるある!)、前巻の自動車事故で障害を負った父を持つピートの家庭の話の中で、家族思いのピートのしたこと、などが描かれています。にしてもピートがけなげでけなげで!しかも頭がいいし!後半にあの三人組が!
読了日:11月12日 著者:スティーヴン・キング
アナログアナログ感想
すみません、下ネタ全開の友達との会話が全く笑えませんでした。あとラスト、映画のめぐり逢い?ラストに至る唐突感が、なんだか・・・
読了日:11月12日 著者:ビートたけし
花嫁のさけび (河出文庫 あ 28-1)花嫁のさけび (河出文庫 あ 28-1)感想
初々しい花嫁と人気映画俳優のロマンスから幕を開け豪華なお屋敷での暮らしが始まる。恩田陸のネタバレ解説にもあるように、某小説(または映画)を見ているかどうかでこのミステリの読み方が違ってくると思います。ある種のバイアスがかかるから、です。そこが非常に巧みなところ。読み終わった後、(あ、真相が私にはわかっていた!)と一瞬思うのですが、それはわかっていたのではなく、違和感を色々なところで感じていただけであって、語りに翻弄されわかっていた気になっていただけでした。時代的にやや古いところもありますが、読ませます。
読了日:11月12日 著者:泡坂 妻夫
屍人荘の殺人屍人荘の殺人感想
読み終わりました・・・
読了日:11月12日 著者:今村 昌弘
ナチの子どもたち:第三帝国指導者の父のもとに生まれてナチの子どもたち:第三帝国指導者の父のもとに生まれて感想
副題からわかるように、名前を言えばあの人!と思うナチの重鎮の子どもたちの物語。いわばその後、なのです。私の勝手な思いで、(きっと自分がナチの娘息子だったことはひた隠しに隠し、名前すらも変えて生きているのだろう、ひっそりと)とぼんやり思っていました。が、実際は、名前を買えずに生きている人の多いこと!その名前のためにたとえ迫害されても拒絶されても生きていく子供たち・・・裕福な暮らしから一転犯罪者の子供たちになる時にその受け止め方が人それぞれ大きく異なるのだなあと思いました。衝撃だった本。
読了日:11月12日 著者:タニア クラスニアンスキ
月明かりの男 (創元推理文庫)月明かりの男 (創元推理文庫)感想
相変わらず掴み抜群であり、大学内に入った警視正が殺人計画の紙を拾うあたりから、奇妙な実験をしているマッドサイエンティストまで、読ませてくれます。ただどうしても古き良き時代のテイストであり、使われる器具なども昔~という感じがするし、月明かりの中で見た全く違った犯人像の真相というのも、頷くというよりほお、ぐらいで。のんびり楽しむミステリだと思いました。それよりなにより(謎ではないのですが)日本の出版が刊行順ではないので、あの人が!んまあ!こういう!という同作者別作品を読んでいたら絶対に驚くことがありました。
読了日:11月12日 著者:ヘレン・マクロイ

読書メーター
10月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:3270
ナイス数:256

Ank: a mirroring apeAnk: a mirroring ape感想
前作も非常に楽しんだので今回も期待していました。そして今回もまた面白かったです。突然京都の町で普通の人間同士が殺戮を始める、これはパンデミックか?霊長類の話から壮大な人類の歴史、DNAの話などこのあたりが好き嫌いの分かれ目だと思います。なぜ殺戮が始まったかという謎も興味はありますが、どちらかというと私はその間に入る人間の歴史の薀蓄などの方に惹かれました。「あるもの」がこの話の鍵になります。今回は文章の中の体言止めがやや多いなあと前半部分はそこに引っかかったのといくつか腑に落ちないところもあったかなあ。
読了日:10月29日 著者:佐藤 究
ホワイトラビットホワイトラビット感想
途中まで(あ・・・ちょっと今回の伊坂幸太郎合わないかも・・それなりの面白さは保っているものの・・・)と思っていました。が!ある時点で驚き狂喜乱舞。後半の怒涛の展開にただただ驚愕の連続でした。面白い!とても!!今まで私の見ていた景色は何だったのかと改めて冒頭からもう一度読むと、見事に最後に全てが回収されているのがわかります。星座やレ・ミゼラブルとかの小ネタも面白いし、今回は作者視点(神視点)も入っているし、あの「彼」も、あの方々も出てくるし、折々にくすっと笑えるし、サービス精神満載。見事なエンタメです。
読了日:10月29日 著者:伊坂 幸太郎
未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)感想
単行本の時に何で読まなかった自分のバカ!と思ってましたが。わかったんです、お仕事小説、会社小説と思って敬遠していたということが。今回読んでみて、その側面は大いにあるけれど、壮大な青春小説でもあり恋愛小説でもあり犯罪小説でもある、と思いました。面白かった!まず文章が好きです、いつまででも読んでいたくなるような文章でした。シェイクスピアのマクベスを随所に絡ませているところもお見事で、バンコーの使い方、魔女の予言、王の使命と行く末と両者を重ね合わせて一気に読みました。そして初恋の冬香は?・・と思っていたら!
読了日:10月26日 著者:早瀬 耕
連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集 (講談社文庫)連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集 (講談社文庫)感想
表紙の作家さんたちの鼎談までついているだけでもどきどきするのに、更に彼らがセレクトした連城三紀彦作品でありその作品ごとについている一文もある、というゴージャスな一冊。それぞれの作家さんがどういう作品を選ぶのかなあという驚きと楽しさもまたあります。私は冒頭の伊坂幸太郎セレクトのぼくを見つけてで誘拐物の逆転を面白く読みました。(この後伊坂最新作ホワイトラビットを読むとさらに感慨深いかも)。度肝抜かれたのが関西弁で語られる白蘭、ある種の宮部作品を思わせる他人たち、一種の完成形の夜の自画像、など堪能しました。
読了日:10月26日 著者:連城 三紀彦
金木犀と彼女の時間 (ミステリ・フロンティア)金木犀と彼女の時間 (ミステリ・フロンティア)感想
タイムリープ物。女子高生の菜月がタイムリープできる(でも5回限りで最後の5回目で決定)体質であるという設定で、クラスの中のある人間が死ぬのを何度もタイムリープで阻止しようとするお話でした。誰が犯人なのかというのも興味ありましたが、それとは別に学園生活のあれこれ、友達との摩擦などのエピソードの方が生き生きしていてそこは面白く読みました。ただ・・・タイムリープが自分の意志ではなくいつ起こるかわからないところ、ラストに至る箇所の展開、タイムリープした後の他の時間軸はどこにいったのか、とか色々疑問は残りましたが。
読了日:10月26日 著者:彩坂 美月
日の名残り (ハヤカワepi文庫)日の名残り (ハヤカワepi文庫)感想
ノーベル賞おめでとうで再読。特にラストの海岸場面、忘れ難くその場にいるかのような気持ちになりました。ドラマダウントン・アビーを見た後だと、この感じが更に良くわかるようになった気がします。古き良き時代のイギリスのお屋敷で執事として采配を振るっていたスティーブンスの身の程をわきまえた、今の目で見るとへりくだりすぎている姿が印象的です。でもこれが彼にとっては喜びであり、ダーリントン卿という尊敬できる主人に仕えるというのが彼の矜持であったのだと思いました。そして気づかなかった愛の行方。静謐で素晴らしい話です。
読了日:10月26日 著者:カズオ イシグロ
怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)感想
東京で展覧会開催中なので再読。このシリーズの人気は、一つの絵からヨーロッパ王族の歴史(血族の連鎖等)、ヨーロッパの歴史そのもの、当時の風俗・生活、果てはギリシア神話まで、その背景やひいては他の本や映画などを引き合いに出してくれるところがまことに楽しいからだと思います。単に背景のみではなく話が広がっていくのです。ということでこの本にセレクトされた絵のどれも見入ってその話の広がりを感じました。しかし表紙のしかしレディジェーン・グレイの処刑が表紙になっているけれど、インパクトのあることと言ったら!斬首って大変。
読了日:10月26日 著者:中野 京子
小川洋子の陶酔短篇箱 (河出文庫)小川洋子の陶酔短篇箱 (河出文庫)感想
楽しいっ。小川洋子がセレクトした短篇がずらっと並んでいるだけでも豪華なのに、それぞれの作品に対しての小川洋子のエッセイとも短篇ともつかぬ一文がプラスされているところまでずずーいと楽しめました。他の本で既読の作品でもこうして新しく読んでみるとまた違った切り口で読むことができました。私は、中井英夫の牧神の春を動物園で必ず思い出すし、梶井基次郎の愛撫の猫話も日和聡子の行方も忘れられないのですが。今回小池真理子の流山寺がめちゃくちゃ怖かったです!木山捷平の逢引きのそこはかとないエロス、葛西善蔵の遊動円木もお見事。
読了日:10月26日 著者:小川 洋子
デンジャラスデンジャラス感想
大変面白く読みました。細雪の雪子のモデルになった谷崎の妻松子の妹の重子の視点から語られていきます。ぼんやりと知識としてあった細君譲渡事件、姉妹への拘泥、老人になってからの嫁への偏愛ぶり、膨大な書簡などが重子の語りで鮮やかに描き出されこちらに伝わってきました。谷崎王国とでもいえる彼の『輪』の中に文字通り取り込まれた人の多いこと多いこと!虚実入り混じった小説が、皮の中に違う中身があることもある、と言い放つ谷崎とか、重子の嫁千萬子への反感とか、最後の最後での谷崎からの言葉の驚きとか。谷崎作品を再読したくなり。
読了日:10月05日 著者:桐野 夏生

読書メーター
9月の読書メーター
読んだ本の数:8
読んだページ数:2606
ナイス数:190

蘭の館 (セブン・シスターズ)〈下〉 (創元推理文庫)蘭の館 (セブン・シスターズ)〈下〉 (創元推理文庫)感想
過去のリオ・デジャネイロ部分は、一人の女性の数奇な恋愛の話であり(あのキリスト像の出来上がる話は面白い)、現在部分は長女マイアの過去への探求話であるけれどこれまた子持ちの作家との恋愛話も混ざっています。過去の部分、ちょっと設定がありふれているとは思いました、私の目から見ると。婚約者がいる、ヨーロッパ旅行に行く、そこで真に愛する人に出会う、帰国してからその愛する人が追いかけてくる、意地悪な姑がいる、人妻なのに密通する、なんだか旦那さんが可哀想です。読ませるが。が。まだ途中なので、これからに期待したいところ。
読了日:09月30日 著者:ルシンダ・ライリー
蘭の館 (セブン・シスターズ)〈上〉 (創元推理文庫)蘭の館 (セブン・シスターズ)〈上〉 (創元推理文庫)感想
湖の館で育てられた6人の娘は気質もそれぞれ違い、血が繋がっていなくて、全員が養女だった・・・優しかった養父が死ぬことで、改めて自分はいったい誰だったのか、なぜここに連れてこられたのかという最大の謎が物語全体を覆っています。残された遺言書と座標による謎解きで、長女マイアは自分の出生地であろう、リオ・デジャネイロに飛び、そこで蘭の館なる場所でその一族の物語を知るのです。読ませます、特に現在の部分が。マイアの闊達さが光る現在部分でした。(下巻に続く)
読了日:09月30日 著者:ルシンダ・ライリー
ねじの回転 (新潮文庫)ねじの回転 (新潮文庫)感想
新訳なので何度目かですが読んでみました。読みやすかったです。また相変わらずこの小説に巻き込まれます。今回、あるお屋敷に家庭教師に行って、美しい兄妹と出会いそこで幽霊を見る女性、わかっていても衝撃のラストの話という物語そのものもですが、最初の出だしに注目しました。枠物語ではありますが、誰がどういう語りをしているのか、というところに行きつくまでの前段に結構ページが割かれていますした。ダグラス、『私』、家庭教師の女性がそれぞれ鮮やかに描写されていました。そして14章の教会場面が一つの分岐点になったと感じました。
読了日:09月24日 著者:ヘンリー ジェイムズ
往復書簡 初恋と不倫往復書簡 初恋と不倫感想
カルテットの(他にもあるけど)坂元裕二作品。書簡体で綴られている二編です。私は、もう息を詰めるように読み終えました、非常に面白かったです。どちらもミステリアスな部分の開き方が一級品だと思いました。最初の不滅の初恋~の方は、小学生のいじめの話から始まるのですが、大逆転劇が後半の大人部分で待っていて、この男子が手紙をもらった時にどういう気持ちだったかが開いていきます。後半のカラシニコフ不倫海峡もまた、疑惑、勘違い、思い込みの面白さが溢れ出ています。トイレ掃除のおばさんの言葉、豆生田の狂言回しの面白さも絶品。
読了日:09月23日 著者:坂元 裕二
Y駅発深夜バス (ミステリ・フロンティア)Y駅発深夜バス (ミステリ・フロンティア)感想
短編が5編入っていました。この中でやはり表題作のY駅~は起承転結が素晴らしく、また謎の提示の仕方が冒頭から何とも魅力的でした。特にパーキングエリアの休憩所の灯が消えて、そこにいる人達全員が同じ方向をじいっと見つめていた謎、というのは内情がわかるとああ!と膝を打つ面白さでした。九人病は鄙びた温泉で偶然同じ部屋になった人からの語り、という土着のホラーのような話でこれまた気味が悪く皮膚感覚で嫌さがわかり、好感が持てました。猫矢来、主人公がいい感じで学校内部の話も読ませるので、シリーズで読んでみたいかも。
読了日:09月10日 著者:青木 知己
湖畔荘〈下〉湖畔荘〈下〉感想
二転三転する真相、しかもミステリ部分だけではなく深い人物造形に魅了されました。『同じ出来事を見ても違う人、違う見方、だと全く違った真実がそこにある』という何度も出てくるテーマにも驚愕させられました。偶然と必然についても考えさせられます。また母と子供の絆ということについても思いを馳せています、セイディの現在の事件もセイディの私生活も含めて。ラスト、私はこのラストで非常に満足しました。全てはこの輝くようなお祭りの日に始まったのだなあ・・・と2章を読むとますます感慨深いです。(一点、登場人物表は欲しかったかも)
読了日:09月07日 著者:ケイト・モートン
湖畔荘〈上〉湖畔荘〈上〉感想
傑作。70年前の湖畔荘で起こった迷宮入りの赤ちゃん失踪事件が語られていきます。謎が謎を呼び、時制も現在と過去を行ったり来たりしながら、多視点で語られていきます。同じような母子の話が、謎を追うセイディ女性刑事の私生活と彼女が扱ってる事件と70年前の事件で重層的に語られて行きました。何しろ読ませる、ページをめくる手が止まりません。そして上巻のラストで、ええっという驚きの声が。アリスも驚きましたが、私も驚きました。最後まで読んで1章を読むとなるほど、と思い、2章はこの話の総てを物語っていることに気づきます。
読了日:09月07日 著者:ケイト・モートン
わたしの本当の子どもたち (創元SF文庫)わたしの本当の子どもたち (創元SF文庫)感想
大好きです。ジョー・ウォルトンにはずれなし、と改めて思いました。読み応えがあり、冒頭から惹きつけられ、混沌としている目次を見て(なんだろう?)と思い、そして大団円へ。ラスト数ページの畳みかけるような言葉の数々がまた素晴らしく胸に刺さりまだ考え続けています。いわゆる歴史改変(その側面もありますが)SFではなく、いわゆるタイムスリップSFでもなく、一見普通小説のようなのですが、実に味わい深い一冊だと思いました。文学好きへの喜ぶ話も沢山入っています。主人公のパトリシアの人生に思いを馳せながら読み耽りました。
読了日:09月04日 著者:ジョー・ウォルトン

読書メーター
8月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1712
ナイス数:207

風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)感想
ここからいきなり読んでしまうという暴挙・・・でもとても面白かったです。日常の謎をばしばし解いてしまう、ちょっと癖のある屈折した男子高校生裏染天馬の姿も好印象、他の高校生たちも(特に卓球部女子二人)生き生きと活写されていました。表題作は真相に(せこい・・・)と思いつつ、なぜ50円玉を屋台のお釣りに設定したのか、そして誰だったのか、というのを楽しみました。冒頭の丼の話もものすごく納得、男子高校生の気持ちがわかります。密室からの脱出という天使たちの残暑見舞いも非常に学校という場所を巧く使った真相だと思いました。
読了日:08月31日 著者:青崎 有吾
少女は夜を綴らない少女は夜を綴らない感想
理子が、悠人に頼られることによって居場所があると思う気持ち、そこはとても読ませました。
読了日:08月31日 著者:逸木 裕
Y (ハルキ文庫)Y (ハルキ文庫)感想
話が非常に入り組んでいますが、その分とても楽しませてもらいました。もしあの時ああだったら、の話を見事な一編の物語に織り上げています。SFとミステリと究極の恋愛小説の混合体。冒頭の電車場面を最後になって読み返すと、感慨深いものがありました。全く記憶のない男から親友を名乗る電話があった部分から始まるストーリーもまた魅力的で、一体どこが本当なのか、この人は今どこにいるのか、という謎に満ち満ちていて、それがするりと解ける部分が感動的に面白かったです。また自分の身を挺して恋人を守るという恋愛部分にもぐっときました。
読了日:08月31日 著者:佐藤 正午
花のようなひと (岩波現代文庫)花のようなひと (岩波現代文庫)感想
色付きの挿絵と佐藤正午の文章を楽しみました。短編が続いた後、最後に中編が。どちらも短いのであっという間に読めますが、滋味深いです。日常のさりげないことから花を絡めての短編は、何かの予兆に満ち満ちているのです。ちょっとした人の心の揺らめきが光ります。どれも長編の書き出しになりそうで、(このあとこの二人はどうなるのだろう?)とか(このあとこの人はどういう行動をするだろう?)と思いを巡らしました。語り口も、手紙、メール、普通の文章、独白、と多様でした。中編の幼なじみは秘密めいていて美しく切なくて心に残りました。
読了日:08月27日 著者:佐藤 正午
晩夏の墜落 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)晩夏の墜落 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
好きな本でした。プライベートジェットに複数の人がいて墜落、そしてその一人のみが助かって子供を海の中で救うヒーローとなる、という話なのですが。ジェットに乗っていた富豪たちが一癖二癖ある人たちなので、陰謀説、テロ説、と噂が飛び交い・・・。この本、『なぜそれが起こったか、誰か事故を起こした人がいたのか』だけに焦点を当てると真相はそれほどでもと私は思います。ただ、その過程でジェットに乗り込んでいく人たちの人生がどうだったのか、のところが読ませます。ばらばらの人生が一点に集約していく面白さ、があると思いました。
読了日:08月27日 著者:ノア・ホーリー
大雪 (大型絵本 (2))大雪 (大型絵本 (2))感想
多分、ですが、同作者のウルスリのすずをおおいに気に入った私に、両親が買ってくれた本だったと思います、これまた小さい頃の愛読本。今度のウルスリ君はお兄さんで、妹愛に満ちていて、妹を助けるのですが。大雪の場面とカラフルなそり行進場面との対比が素晴らしくて。素朴な感じの絵なんですが、今でもひきつけられます。
読了日:08月27日 著者:ゼリーナ・ヘンツ
ウルスリのすず (大型絵本 (15))ウルスリのすず (大型絵本 (15))感想
小さい頃の愛読本。懐かしくて懐かしくて!すず、が日本のすずと違う形でどういう音色がするんだろうなあ・・・と想像したのも遠い思い出。パレードの先頭を歩くためにちょっとでも大きなすずを持ちたいウルスリ君の気持ち、そして今となると一晩いなかった息子を案じる両親の姿、にも心打たれます。パレードの晴れやかな顔と言ったら!!
読了日:08月27日 著者:ゼリーナ・ヘンツ

読書メーター
7月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:6310
ナイス数:347

AX アックスAX アックス感想
た・・・楽しい!!殺し屋シリーズで、本文中にもくすぐりはちりばめられていて過去作品を読んでいる人はそこも楽しめ、もし読んでいなくてもここから全くオッケー!伊坂幸太郎ワールドが広がっていて、ある一つの出来事が次の何かに繋がっていたり、会話の妙、徹底的な伏線回収、そして今回は兜という殺し屋と、奥さんと、とてもいい息子の克巳君の家族の物語でもありました、ラストあることでちょっと泣けます。超一流の殺し屋が恐妻家であり奥さんにびくびくしている、の設定がおおいに笑えました。蟷螂の斧、古山高麗雄、これがキーワードです。
読了日:07月31日 著者:伊坂 幸太郎
怒り 下 (小学館文庫)怒り 下 (小学館文庫)感想
上巻すごく面白かったのですが、ここにきてやや失速・・・と私は感じました。シャツキの娘が誘拐されるあたりから、捜査がシャツキ中心になってきて(何しろ秘密なのですから)そこも広がりを感じませんでした。上巻でなんだなんだ?と思っていた「夫がおかしい普通の家庭の女性の訴え」も氷解するとそれほどのインパクトもなく。あと・・・ヴィクトリア本人の内面とファルクの背景(特にこちら)がよくわかりませんでした。更に惜しいのは、これが3巻なので、シャツキに馴染みがなく彼の心情が今一つ把握しかねるというところ。面白いんですが!
読了日:07月31日 著者:ジグムント ミウォシェフスキ
怒り 上 (小学館文庫)怒り 上 (小学館文庫)感想
ポーランドミステリ。作者本人もルメートルが好きなようで、作中にもルメートルを読んでいる部分が出てきます。冒頭から、一体何が起こってるのかが全く分からず、「ポーランドの地方都市オルシュティンの防空壕で見つかった白骨の男が10日前には生きていて、なんでじゃあこんな短期間に白骨になったのはどうしてか」という謎を解いていくことがようやく途中でわかってきます。検察官シャツキの独特の佇まい、見習い検察官の エドモンド・ファルクの論理的思考、と癖のある人が何人も出てきて、おまけにフランケンシュタイン博士(!)まで。

読了日:07月31日 著者:ジグムント ミウォシェフスキ
冬雷冬雷感想
因習にとらわれた町の物語・・・読ませるのです、重苦しい気持ちに終始つかまりながら。
読了日:07月31日 著者:遠田 潤子
ジャンプ (光文社文庫)ジャンプ (光文社文庫)感想
祝直木賞受賞なので、過去作品を再読。ジャンプは、「リンゴをコンビニに買いに行ったガールフレンドがそのまま失踪した」という失踪物語です。なぜ失踪したのか。彼女は自分で失踪したのかそれとも連れ去られたのか。最初読んだ時には、(この男!!出張なんか行かずにすぐ探せよ!)と怒りまくってましたが。今、わかるのです、この人は典型的なサラリーマンだったんだなと。状況もわかってない中美業務を中止してそんなことは出来なかったんだなあと。途中で主人公のあ!という面が出てきて、最後深い驚きが。苦い最後ですが、考えさせられます。
読了日:07月31日 著者:佐藤 正午
彼女たちはみな、若くして死んだ (創元推理文庫)彼女たちはみな、若くして死んだ (創元推理文庫)感想
ウォーの「失踪当時の服装は」のきっかけになった本というので楽しみに読みました。全て英米で起こった女性への殺人事件の実話であり、これが物語ではなく実話である、というところに打ちのめされました。被害者も加害者も ある人間は真実を隠そうともせず、ある人間は巧妙に隠そうとして それを暴く刑事たちの真摯な姿があります。ここを非常に淡々と描いています、エモーショナルな書き方の対極を行くような描き方でした。冒頭のボルジアの花嫁からしして衝撃、なぜ無垢な少女が殺されなければならなかったのか、真相はあまりに苦かったです。
読了日:07月24日 著者:チャールズ・ボズウェル
星の王子さま (岩波文庫)星の王子さま (岩波文庫)感想
やっぱりこれこれ!子供の時にしみわたっている内藤濯翻訳がしっくりきます。星の王子様をぼっちゃん、と呼びかける素朴さ、「できやしないよ」とか「してごらんよ」という言葉のやさしさを楽しみました。大切に翻訳した気持ちが伝わります。大人になって読むと現在社会の象徴的な人、言葉がたくさん出てきますが、それも大人の目で楽しめます。また最後の内藤初穂さんのエッセイも秀逸で、美智子皇后とのやり取り、翻訳が内藤先生に決まった経緯など、知らないことが多かったので非常に有意義でした。あと、印象的な挿絵、全てカラーなのですね!
読了日:07月24日 著者:サン=テグジュペリ
われらの独立を記念し (ハヤカワ・ミステリ)われらの独立を記念し (ハヤカワ・ミステリ)感想
1980年レーガン大統領誕生の年のモンタナ州でソーシャルワーカーをしているピートの物語。ピートが一生懸命子供たちを虐待する親、ネグレクトする親、狂信者の親から守ろうとしているのに、凄まじい横槍が入り(主に親から)、ある時は命まで狙われる姿が痛々しかったです。またピート自身の家庭にも問題があり愛する娘レイチェルに対する思い、妻への不信感から女性全般への不信感につながるピートの心のありようもまた可哀想すぎました。途中入る転落していく娘レイチェルと第三者とのやり取りもまたアクセントになって読ませませす。
読了日:07月17日 著者:スミス・ヘンダースン
ピンポン (エクス・リブリス)ピンポン (エクス・リブリス)感想
面白く読みました。カテゴリー分けができない小説で、最初壮絶ないじめにあっている二人の釘とモアイという少年がピンポンで立ち直る話と思ったら違っていて。もう過剰にいろいろなものがごたごたっと入っていて、いじめっ子のチス、双子がいる卓球洋品店のセクラテン、バスの運転手、お金でマッサージをしてくれるホームレスの老人たち、乾電池を舐めて死んでしまう太った人、そしてモアイが語る超絶に面白いジョン・メーソンの小説の話、とどれをとってもエピソードにこと欠きません。ラストのいっちゃう感じがすごい。ピンポンピンポン!

読了日:07月17日 著者:パク・ミンギュ
海岸の女たち (創元推理文庫)海岸の女たち (創元推理文庫)感想
「失踪した夫を捜索する妻の話」ですが、社会派ミステリと言えると思う作品でした。冒頭、海岸で二人の女性が靴をモチーフとし、ある出来事が描写されて行きます、これが後半非常に重要になるので最後再読しました、この部分。ニューヨーク、パリ、ヨーロッパと妻アリーが夫の足跡を辿っていって、彼が見たものを自分も把握しようとするバイタリティ、小さな手掛かりから何とか引き出そうとする行動にもに感嘆しました。途中で夫婦のあることがわかるのですがそこで私は驚きまくりました。ええっと。しかしこれが大きな物語の鍵にもなっていました。
読了日:07月16日 著者:トーヴェ・アルステルダール
パンドラの少女〈下〉 (創元推理文庫)パンドラの少女〈下〉 (創元推理文庫)感想
それぞれの人の正義はあり、一見残虐な行いをしているようなコールドウェルにさえ、(わかるよ・・・)と言いたくなりました。少女メラニーの独房生活から解き放たれ外を見た反応の数々が新鮮で詩的で美しく、そこも読ませました。またメラニーのミス・ジャスティーノへの無垢な思いと愛情、それに伴う自分の中にある黒い欲望への抑制、も、けなげだなあと思いました。ラスト、こういう結末!こういう結末しかないかも、と改めて感じました。気持ち悪い場面も多々ありますが(この方面私は苦手なんです本来は)、ともかくも読ませるエンタメでした。
読了日:07月16日 著者:M・R・ケアリー
パンドラの少女〈上〉 (創元推理文庫)パンドラの少女〈上〉 (創元推理文庫)感想
出だしが最高潮に面白いです。少女が独房で首と両腕を固定されている、車椅子で。何人もの同じような少年少女がいて、彼らは教室に集められ教育を受けている、親も何もいないようだ、この設定で、なんで?なんで?誰?この世界は?と疑問が頭に渦巻きます。ほどなくこの世界がどういう世界かという開示があり、(ああ!!!)と納得するのです、でも話はそこからで、この軍事施設からの脱出劇があり、ここから荒廃した世界への第一歩が始まるのです。キャラクターが非常にどの人もたっていて、引き込まれました。軍曹への評価が一番変わりました。
読了日:07月16日 著者:M・R・ケアリー
ミツハの一族 (創元推理文庫)ミツハの一族 (創元推理文庫)感想
一章の終わりでええっと驚き、そのあと、(もしかしてこれってあれ?あれ?あれ?)とずうっと心で呟きながら読んでいました。(あれは、解説でも伏字で触れられているので、そうでしたやっぱり)。大正時代の北海道、未練がこのようにあると鬼になって生活圏の水を濁してしまう人の、未練が何かを探るという話。探る人が水守と鳥目役。両方ともいわゆる目の障害があるのですが、この描写が美しく思わず読みふけりました。ラストの章、いやあ・・・驚きよりも、あたたた・・・
読了日:07月10日 著者:乾 ルカ
プリズン・ガール (ハーパーBOOKS)プリズン・ガール (ハーパーBOOKS)感想
『実の父親に監禁され半死半生の目にあっている少女がそこから脱出する話』と勝手に私は思っていましたが、全く違います。まず監禁の話、ではなく、どちらかというとロードムービー的な話。一緒に彼女と旅する羽目になるデッカーが魅力的、普通過ぎて魅力的という稀有な存在の青年でした。ベティは彼のおかげで成長できたんじゃないかな。腑に落ちないところは数か所あるのですが、さくさくっと読めました。
読了日:07月10日 著者:LS ホーカー
風の歌を聴け (講談社文庫)風の歌を聴け (講談社文庫)感想
何度か読み返すのですが、折々に。これが出た時の私の衝撃を思い出すのです、翻訳小説と思ったくらいだったから。それだけ画期的でした、この文章と内容は。これからスタートしたのだなあ・・・と感慨深く今は読み返します。
読了日:07月10日 著者:村上 春樹
ささやかな頼み (ハヤカワ・ミステリ文庫)ささやかな頼み (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
多分、だけど、作者はハイスミス大ファンらしく(何度もハイスミス作品の話が本文でも出てくるし、解説にもあった)、そういう心理サスペンスを目指していたのでしょうが・・・うむ。ママ友の話、と思っていたらそうではなく(そうなんだけどそうではない)、どちらかというと、本当のその人の姿とは、みたいな話。シングルマザーのステファニーの隠れた過去の開き方、大親友になったとステファニーが思ったママ友エミリーへの憧れ、とかこのあたり非常にわかります。二転三転があと一歩かなあ。最後の一ひねりがもうちょっとあったらよかったかも。
読了日:07月10日 著者:ダーシー・ベル
あとは野となれ大和撫子あとは野となれ大和撫子感想
架空の国の物語ですが、世界情勢のいろいろな事実が盛り込まれているので、エンタメとしてはめっぽう面白いです。地図もじっくり見ました。しかも女性ばかりの後宮(といっても今や性産業ではなく、頭脳開発の場になっているところ)で、女性たちがわさわさ頑張っちゃうと言うところも読ませました。が。正直に言うと、女性たちの語りのあまりの軽さに、ちょっとひいちゃったかなあ。アンバランスな感じがしたのです、話し言葉とこの内容とが。
読了日:07月10日 著者:宮内 悠介
映画にまつわるXについて2映画にまつわるXについて2感想
大好きな監督さんのエッセイ集。映画永い言い訳を見ていると、ますます楽しめると思います。もっくん・・・思ってたのと違う人というミーハーな気持ちも出てきて全体に堪能しました。子役の男の子の大ファンだったので裏でこのようなことが・・・。映画って一人だけじゃないというのはわかっていたけど、こんなに多くの人の手を通しているのだなあ・・・。どこまでを妥協点にするか、っていう判断をするのも監督なので大変だなあと思いました。
読了日:07月10日 著者:西川 美和

読書メーター
6月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3773
ナイス数:380

漱石漫談漱石漫談感想
とても面白かったです。読んでない人は読みたくなるだろうし、読んでいる人は再読したくなるだろうし、ともかくも漱石本の敷居をばっと低くしてくれる一冊だと思いました。この対談の重要なところは、お二人から漱石への愛が溢れていて読み込んでいる、というところだと思います。愛があるので時におちょくっても突っ込みを入れてもそこは許される。行人の直の考察と、門のある章からの展開についての語りは読ませました。猫温泉は笑ったし、いとうさんの美禰子嫌いにも笑いました(が、私も好きではありません)。バーナード嬢曰くの漫画も最高。
読了日:06月22日 著者:いとうせいこう,奥泉光
穢れの町 (アイアマンガー三部作2) (アイアマンガー三部作 2)穢れの町 (アイアマンガー三部作2) (アイアマンガー三部作 2)感想
前巻から待っていましたが、期待していた以上の面白さ。が、またここで切れる!また次を待ちます・・・。
前巻でどちらかというと線が細いイメージのあったクロッドがたくましく大人に成長していく姿が読ませました。ルーシーは相変わらず元気いっぱい、いいなあ、この娘。今回はお屋敷を出て町、の物語なのでそこに生きる人たちの姿もまた活写されていました。物から人へ、人から物への流れが一気呵成に読ませます。見開きの町の鳥瞰図も裏表紙裏のポスター図も楽しいし、不気味な挿絵も物語を盛り上げてくれてわくわくしました。
読了日:06月22日 著者:エドワード・ケアリー
かがみの孤城かがみの孤城感想
初期作品、特に冷たい校舎~あたりを強烈に思いました。不登校の女子中学生の部屋の鏡が光ってそこから異世界に行く、という出だしでファンタジーっぽい?と敬遠していましたが、全く思った話と違って堪能しました。中学生の少年少女たちのそれぞれの描写の生き生きとしていることと言ったら!現実世界での母親とのやり取りも胸を打ちました。伏線は巧妙ですが物語全体の構成はわかります、早い内に。けれどラスト二つは私はわからなかったので驚愕。そしてラストと最初が呼応して美しい。願わくはこの物語が闘う全ての子供たちに届きますように!
読了日:06月20日 著者:辻村 深月
劇場劇場感想
恋愛小説。どうしても関西弁と頭の中で物と行動を考えて続けている自意識過剰の男が作者本人に重なってきて、それを振り払うのにまず一苦労。劇作家の永田像が頭で考え続けている男で、昭和の時代の文学系演劇系の男子によく見られた男だと思いました。天真爛漫な笑顔の絶えない沙希の「本当によく生きて来れたよね」という言葉がまさに本質を突いていると思います。後半が辛い。私が違和感を感じたのは、手をつなぐ以外に一切の男女の交渉が描かれていないところです。二人の思いというのがあると思うので、ここは重要なところ、だと思うのですが。
読了日:06月17日 著者:又吉 直樹
まっぷたつの子爵 (岩波文庫)まっぷたつの子爵 (岩波文庫)感想
面白かったです。人間の中の善悪の分離ということでジキルとハイドを思いますが、それとは全くアプローチが違っていて。戦場で真っ二つになった子爵の体の半分側が悪になって戻って、後半でもう半分側の体の善が戻ってくる、という奇想天外な物語。大人のメルヘンであり寓話でもあります。悪子爵の悪辣なことと言ったら!この中で隔離されているらい病患者の村が最初放埓な暮らしをしていて、善の子爵が戻ってきて、一見良さそうなのにそれを疎ましいと思うというところになんとも皮肉を感じました。結婚するつもりになった少女の機知が光ります。
読了日:06月17日 著者:カルヴィーノ
少年Nのいない世界 02 (講談社タイガ)少年Nのいない世界 02 (講談社タイガ)感想
このシリーズ楽しみにしています!1を読んだ時にも次が待たれましたが、今回も!!異世界に飛ばされた小学生たち(しかもその異世界が別々の場所)、その子たちがそれぞれの場所で成長しているのですが、まだ何もわかっていません。なぜ異世界に飛ばされたのか、そもそものきっかけの猫殺しの犯人はどこにいるのか、異世界は一体全体何なのか?長谷川歩巳が今回はメインで彼が過酷な労働の場所に来てそこで居場所を見つけているけなげな姿が読ませました。繋ぎ役の二葉の意図がよく1ではわからなかったのですが、徐々に判明、そしてラストの驚き。
読了日:06月17日 著者:石川 宏千花
私の名前はルーシー・バートン私の名前はルーシー・バートン感想
とても良かったです。小説の作りがまず面白いです。病院に入院しているルーシーとその傍らにいる母の姿があると思えば、そこからルーシーの悲惨な過去が語られ、そしてさらにこれを俯瞰しているルーシーの未来があり、更に更に、入れ子のようにその中に『作家になろうとして自分が入院しているときのことを課題で書いているルーシー』の姿も入っている、という何とも読ませる作りで、これが何の引っかかりもなくつるつる入ってくるというのが巧いと思いました。日常の人への視線、描写もまた読ませ、後半の章が断片になるにつれて魅力が加速。
読了日:06月13日 著者:エリザベス ストラウト,Elizabeth Strout
ご本、出しときますね?ご本、出しときますね?感想
テレビ番組を楽しみに見ていたので、本になるのを心待ちにしていました。全体に楽しく読みましたが、やっぱり特に面白いのは本になっても同じで、加藤知恵と村田沙耶香のところと、西加奈子と角田光代の部分でした。角田光代が何でも引き受けてしまうというのは放映でも笑いましたが、本でも笑いました。作家の人となりは作品に出ている場合もあるし出ていない場合もあるけれど、若林の自然体と人となりが彼らの隠された面を外側に出してきて読ませます。ただ・・・やっぱり映像で面白かった微妙な表情とか話し方とかの部分は消えてるかなあ・・・
読了日:06月13日 著者: 
みみずくは黄昏に飛びたつみみずくは黄昏に飛びたつ感想
ちょっと侮っていたかも、川上未映子。とても刺激的で思った以上に、いや、思った数十倍良いインタビュアーでした。読ませます。ファンではあるけれどそれを前面に出さず必要あらば村上春樹の著作の例をきちんとあげていること、作品に妙な解釈をせずにストレートに疑問を投げかけていること、かなりの下調べをして臨んだことに拍手。村上春樹が率直に物事を語っていて知らないことは知らない、違うことは違うとはっきり答えられるのも聞き手が引き出しているからだと思います。騎士団長殺しを読んだのなら必読だし、他作にも言及して興味深いです。
読了日:06月13日 著者:川上 未映子,村上 春樹
夜の谷を行く夜の谷を行く感想
全編息を詰めるようにして一気に読みました、そしてこのラスト。かつてあさま山荘事件にかかわった一人の女性啓子が刑に服した後、息を潜めるようにして生きる姿、かつての同志と図らずも連絡を取り合うことで『同志のその後』を知ってしまうという構図、など読みどころは沢山ありました。なぜ理不尽ともいえる総括があの場で行われたのか、どういう気持ちで彼らが集ったのか、小説とはいえ一つの答えがあると思いました。ただ、実名の人たちがいる一方で、啓子は架空の人物なのでそのいりまじりがやや気になったのと、未消化部分が残りました。
読了日:06月13日 著者:桐野 夏生
素敵な日本人 東野圭吾短編集素敵な日本人 東野圭吾短編集感想
趣向の違った9編の短編ミステリ。
読了日:06月12日 著者:東野 圭吾
女心についての十篇 - 耳瓔珞 (中公文庫)女心についての十篇 - 耳瓔珞 (中公文庫)感想
表紙の絵、そして挿絵、好みはあると思います、小説から喚起される映像って人それぞれだから。けれど、ここに取り上げられている短編群、チョイスが良いので(そしてマイナーなのが多い)、画が好みであろうとなかろうと、これを機会に手に取るというのは非常に重要なことでした、私にとって。岡本かの子はやっぱりすごいなあ・・・とか、円地文子のおはるさんはいかにも彼女らしいなあ!とか。有吉佐和子の地唄が非常に心に残りました、これまた有吉佐和子らしい芸事の話。芥川龍之介のこれって、今の時代でもあるあるネタ、すっごいわかりました!
読了日:06月12日 著者:安野モヨコ 編
少年時代 (ハルキ文庫)少年時代 (ハルキ文庫)感想
ほこっとした昭和の話、で終わると思いきや、そこはこの作者、最後でああっというものは持ってきてくれます。最初のチンドン屋さんについていった男の子の事件目撃者になった顛末、2番目の笑いが充満している東北のある子どもの物語(ご両親の方言に笑った笑った)、3番目の学生時代のしごきのある柔道部の話、とそれぞれも読ませました。
読了日:06月12日 著者:深水 黎一郎

読書メーター

読んだ本の数:19
読んだページ数:5378
ナイス数:448

ガラスの靴 (新潮文庫)ガラスの靴 (新潮文庫)感想
いかにもファージョンらしいシンデレラの物語。夢のような豊饒な言葉で紡がれたシンデレラストーリーは、細部がとても良いのです。王子様のところにいる道化(!)の大きな存在、シンデレラの部屋となっている台所の『物』たちが話すファンタジー性、きらびやかなドレスの描写の数々、極上のお菓子の美味しそうなこと、憧れの舞踏会、そしてちょっぴり忍び笑いさえ起こるお義母様の様子・・・。途中の歌、も、どれも良くて。楽しくそれでいて格調高いシンデレラストーリーを楽しみました。ところどころにシェイクスピア劇を思いながら。
読了日:05月31日 著者:エリナー ファージョン
ミステリ国の人々ミステリ国の人々感想
とても楽しみにしていた一冊でした。面白かったです。いわゆる名探偵一覧とその解説、ではなく、ミステリ小説の中の、名探偵もですが周辺の家族、被害者などにも焦点を当てた一冊。わかりやすく語ってくれていますが、初心者にもまた手練れのミステリ者にも読むべきところは多々あると思いました。各作品の視点のようなものが独特の個所もあり、ああ・・こうやって読むところもあるのだなあ・・・と改めて思った作品もありました(コーデリア・グレイの話で特に)。大した男ではない、とある人物を一刀両断しているのにも大笑いしました、確かに!!
読了日:05月31日 著者:有栖川 有栖
東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。感想
魅力的で可愛らしい動物(物も)の装幀と本の手触りと、不思議な文章が相まって、読ませる一冊になっていました、今回も相変わらず。日記、なのですが、妄想もありもしかして創作?もあり、実際の話もあり、これが何とも言えない川上ワールドを構築しています。初期の短編っぽいところも多々あると思いました。エア秘書集団にくすっと笑いつつも、不思議なカップルの行く末にも目を凝らし・・・。このシリーズ大好きなので、これからもどんどん出していってほしいです。
読了日:05月31日 著者:川上 弘美
辺境図書館辺境図書館感想
連載時から楽しみにしていました、一冊になるのを。装幀も美しくここに一冊が出来上がり、改めて読んでみると、皆川博子の選書の奥深さに気づきます。夜のみだらな鳥に始まって、彼女が偏愛した本の数々への言及の素晴らしさといったら!読みやすく手に入りやすい本を紹介しているいわゆるブックガイドとは一線を画しますが、背筋が伸びるような本への愛の数々が胸を打ちました。それぞれの最後の文の本の内容、作者背景もさることながら、最後にそれから喚起触発された自作への言及も読みどころ。そしてラストには嬉しい皆川博子短編のおまけつき。
読了日:05月31日 著者:皆川 博子
いのちの車窓からいのちの車窓から感想
相変わらず癒されます。マルチな才能を持っている星野源。彼のエッセイに癒されるのは、そこはかとないユーモアを底辺に漂わせながら、孤独、というのをこれほど知ってる人もいないからなのだと思います。いわゆるハレの場であるコンサートやドラマ作り、一方でケの場である作曲づくりや自分を見つめる執筆活動。どちらの両輪も彼には欠かせないのだと思いました。育ちの良さみたいのが伝わってきます。
読了日:05月31日 著者:星野 源
渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)感想
読む手が止まりませんでした。ミステリとしては、現在の殺人事件と過去の殺人事件とのリンク、閉鎖的な人たちがいる町、かつて追われた故郷に再び戻ってくる男、彼の心のうねり、と既視感はあるのです。けれどそれを吹き飛ばしてくれるような骨格のあるミステリでした。何より設定が『旱魃』です。そこで絶望感に苛まされながら苛立ちが最高潮に達しようとして何かのきっかけで爆発寸前の人間を見事に描いていると思いました。現在の犯人はなんとなくわかります、けれどそれでもなお読ませる力がありました。そして文章も読みやすいです、とても。
読了日:05月22日 著者:ジェイン・ハーパー
無限の書 (創元海外SF叢書)無限の書 (創元海外SF叢書)感想
面白くは読んだけれど(特に魔術部分)、これははまる人ははまるんだろうなあ・・・と思いつつ読んでいました。サイバーパンクが私はやや苦手なので、その部分は辛かったかも。映画のインセプション映像を途中で思い出しました。アラブの春を想起させる民衆の暴動(リアル)、ジン等魔物たちの巣窟(ファンタジー)、ネットでの覇権争い(ヴァーチャル)と、話はあちこちに壮大に飛んでいきます。中盤モスクで巻き込まれたピラル師の最後までの高潔さに心打たれました。あとヴィクラムらぶ。アリフの本名が最後になってあれというのに驚きました!
読了日:05月22日 著者:G・ウィロー・ウィルソン
か「」く「」し「」ご「」と「か「」く「」し「」ご「」と「感想
5人の高校生の友情の物語をほのぼのと読み終わりました。この5人がそれぞれ奇妙な特殊能力を持っているというところがスパイスになっています。そのことよりも、皆がちょっとずつ隠し事があってそれが小さなことなんだけど高校生活には重要なことであって・・・というこの部分が読ませました。携帯とかスマホが活躍(?)していないで、昔ながらのクラスで(ちょっとした軋轢はあるもののいじめとかはない)ほっ。ちょっと大人びたパラの気持ちがわかるなあ・・・。あと最後のエルの特殊能力の役立ったことと言ったら!ダブルミーニングがここに!
読了日:05月22日 著者:住野 よる
ifの悲劇 (角川文庫)ifの悲劇 (角川文庫)感想
帯にある通り、ある事件のパラレルワールドが広がっていて、プロローグがあり、AのケースとBのケースというように二つの物語を交互に読んでいきました。途中であれ?あれれ?(→コナン風に)。最後にええええええ!私は仰天しました。ただ非常に凝ってるのでわかりにくく(表面上のことはすぐにわかるのですが、細部がわかりにくい)、付き合わせをしながらの再読必至でした、私は。なるほど!!面白かった~!
読了日:05月18日 著者:浦賀 和宏
新装版 紫のアリス (文春文庫)新装版 紫のアリス (文春文庫)感想
冒頭で、全てに絶望している女性が夜の公園で変死体につまずき、しかも近くに不思議の国のアリスのウサギが・・・ここで幻想方向かファンタジー方向の話かな?と思いました。が、そうではなく。記憶の不確かさ曖昧さが全てを混沌とさせてくれました。不思議の国のアリス、が重要なモチーフ。
読了日:05月18日 著者:柴田 よしき
人間じゃない 綾辻行人未収録作品集人間じゃない 綾辻行人未収録作品集感想
既存作品の後日談、や、スピンオフの形の未収録作品群でした、面白かったです。ホラーとミステリと不思議はなしの融合体。表題作は怖くておぞましくてぞくぞくっとしました、この設定だけで涙目に。犯人宛ての洗礼は、内容もさることながら作者の大学時代からの道程のようなことを考え、最後のあとがきを読むとしみじみとします。
読了日:05月17日 著者:綾辻 行人
毎日っていいな毎日っていいな感想
気楽に読めるエッセイ。スピリチュアルなところは思ったほどなくて、全く知らない人たちなのになぜか懐かしさを感じました、特に亡くなったご両親との旅行とか思い出の話に。ミーハー的には(高齢出産だったんだ!)とか(事実婚なんだ!)とか(息子君がいるんだ!)とか、そんなことにも思いを馳せました。言葉の一つ一つを深く受け取るのも、気軽に受けとめるのも読者次第の本、だと思います、そしてどちらでもいいんじゃないかとも。
読了日:05月16日 著者:吉本 ばなな
最愛の子ども最愛の子ども感想
ぐっと心掴まれた小説、大好き。冒頭の女子高生の会話から秀逸で、三人の女子高生日夏、真汐、空穂のそれぞれがパパママ王子(息子)という疑似家族を作っている、という設定で、『わたしたち』の妄想と事実の視点がある小説。『わたしたち』は何かというと周りの女子高生のいわば観察者グループですが、揺らいでいる人称『わたしたち』の視点がまた面白いと思いました。百合小説の要素もあるし、セクシュアルな部分もあるのですがそこのみで切り取るのは惜しすぎます。実際の家族そして将来の自分を想像する高みから想像する姿など読みどころ満載。
読了日:05月13日 著者:松浦 理英子
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)感想
新訳で読んでみましたが、とても読みやすいです。解説にもあるように読み方は深くも浅くも読めるとは思いました。少年たちがそもそもこの無人島に来てしまったのは、『核戦争が起こって疎開した子供たちだった』という前提をすっぽり私は忘れていました。最初ラルフとジャックには友情さえ感じられるのですが、後半徐々に野性に目覚めてしまうジャックの姿とその仲間が不気味すぎました。島が水もある、食べ物もある(果物とはいえ)、外敵もいない、状況。賢いピギーと子供離れしているサイモンがとても印象的でした。最初に人物表が欲しいかも。
読了日:05月11日 著者:ウィリアム ゴールディング,William Golding
村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!感想
騎士団長殺しだけではなく、多崎つくる~とか1Q84とか、他の本への言及もありました。騎士団長殺しの時系列は軽く私も作ったのですが、細かくここで作られているのでそこは面白く見ました。そうなのかなあ?という感想(説明しすぎと言われてもそこが読みたいところと思う読者が多いのでは?)と、そうなのよ!!(多埼つくるがなぜはぶかれたかという謎への答え)という感想が私の中で入り乱れた本。似たようなモチーフ、似たような主人公が出てくることに対して、50ページで大森望さんが言っていることは非常に正論だと思いましたが。
読了日:05月11日 著者:大森望,豊崎由美
愚者の毒 (祥伝社文庫)愚者の毒 (祥伝社文庫)感想
最後のある一点(私はこれはわからなかった)を除けば、すれた読者ならこの構造は見抜けると思います。でもわかっていてもなお読ませるし、吸引する力があるミステリだと思いました。幸せそうな老後を送っている老人ホームの女性の述懐と、職安で偶然出会った二人の不幸な女性の友情と恋との物語が鮮やかに描かれていました。この中でタイトルにもなる愚者の毒を言葉にする元中学校教師難波先生の気高さと言ったら!この人の存在がある意味かなり暗いこの話の一条の光となります。2章は一転して過去の話。ここから全てが始まるのです・・・
読了日:05月11日 著者:宇佐美 まこと
象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)感想
とてもとても久しぶりに再読。やっぱりいいなあと思いました。恩田陸不思議ワールドがぎゅっと入っている連作集です。元判事の関根多佳雄が出てきて、この人が古典ミステリ好きという設定なので、過去のミステリ作品もよく引き合いに出されています、いわく乱歩のD坂~とか、いわくケメルマンの9マイルでは遠すぎるとか。その使い方も絶妙で、ここにこういう具合に物語として入れ込むのかというのが改めて目を見張りました。関根一族も出てきて息子の春、娘の夏とそこも楽しく、更に他作品に出てくる関根一族を思うと、とても感慨深いです。
読了日:05月11日 著者:恩田 陸
中野京子と読み解く 運命の絵中野京子と読み解く 運命の絵感想
相変わらずこのシリーズ面白いです。何が面白いって、その絵画のことだけではなく、派生する様々な小説、映画、物語のエピソードを語ってくれる中野京子さんの語り口にあると思いました。しかしこの中で、左目の話、怖かった・・・現実が虚構を再構築するということ?表紙の印象的なパオロとフランチェスカの話も面白かったし、有名なムンクの叫びの盗難事件に始まった一連のバリエーションの解説も非常に楽しく読みました。グラディエーターのリドリースコットが一つの絵で刺激されて映画製作に向いたのを知りませんでした・・・
読了日:05月11日 著者:中野 京子
時間のないホテル (創元海外SF叢書)時間のないホテル (創元海外SF叢書)感想
とても面白く読みました。ある特殊な仕事をするためにホテルに泊まるビジネスマンのホテルでの話なのですが、読んでいて冒頭の謎の赤毛の女から引き込まれくらくらしました。ハイ・ライズより好みでした。シャイニングは必ず思いますが、怖さの質が違うような気がしました。謎の壁の絵、何度もきかなくなる219号室のカードキー、行けども行けども着かないコンベンションセンター(カフカ的)、壁の絵、そして後半のホテル内での走り回り方、どれをとっても質の高いエンタメ作品。偶然私はこの作品を旅先のホテルの219号室で読んでいました(怖
読了日:05月11日 著者:ウィル・ワイルズ

読書メーター
4月の読書メーター読んだ本の数:12読んだページ数:3896ナイス数:385村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事感想村上春樹が訳した本、全体像を見るとこんなになってるんだ!というのがまず驚きでした。私もサリンジャーのライ麦畑は、野崎訳が染み込んでいるので村上春樹が訳した時にどうだろう?と思いましたが、とても良かったのを覚えています(現代的になりました)。間に柴田元幸との対談が入っていてここも非常に読みどころでした。翻訳にまつわる話、彼との翻訳のスタイルが微妙に違って微妙に同じで、とそのあたりなるほどなあと読みました。しかしこうしてみると村上春樹自身も言及していますが安原顕の存在は大きいなあと改めて思いました。読了日:04月27日 著者:村上 春樹
双蛇密室 (講談社ノベルス)双蛇密室 (講談社ノベルス)感想ぶ・・・ぶっとび。ずうっとこのシリーズ(というか作者)読み続けていますが、誰にも勧められないし誰とも話も出来ません。それほどエロ。口に出すのがはばかれるほどエロ。援助交際をしている女子高生らいちとそこに通ってくる警部補藍川(もう~ここで既に大違反だし!)のミステリ。しかし、です。非常に伏線がよくできていてミステリとして読ませるのです。この本で蛇、詳しくなった気がしますが・・・藍川の蛇嫌いのトラウマの真相が何だったのか、にもぶっとび&大爆笑!「普通」の本格、いつか読みたいです、それもすごく面白いと思う。読了日:04月27日 著者:早坂 吝
旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺感想大ファンなので旅にまつわる話を非常に興味深く読み終えました。単なる旅行記ではなく、世界のあらゆる場所で、旅をするとは何なのか、その場所で何を思ったのか、そこから喚起されるイメージは何なのか、自分の近しい者の死を思い、ギャンブルで身を持ち崩す寸前になる放蕩さから生まれてくるものは何か、などが読みどころでした。ジョイス、ナポレオン、ゴッホなどへの言及も堪能。また作者の別の本でも読んだので知ってはいたのですがゲルニカの話は改めて読むと非常に地方の一本の木の重さと合わせて考えさせられました。読了日:04月27日 著者:伊集院 静
スレーテッド 消された記憶 (祥伝社文庫)スレーテッド 消された記憶 (祥伝社文庫)感想最後の大森望さんの解説に、これと同じ類の話とか映画がたくさん出ていて、それを見ながら(私はこの手の小説、どれだけ好きなんだろう!)と思いました。この手の話とは、「過去の記憶を消され新しい人間として生まれ変わる」という話です。ここでは犯罪者が矯正されたらしい、それがスレーテッドされた人間ということしかわかっていません。でも時折蘇る過去の記憶、過去の癖があり、語り手の16歳の少女カイラは誰が敵なのか味方なのかこの状況で掴まなければならないのです。手首のリング設定、ローダーズも面白いし社会情勢も読ませます。読了日:04月26日 著者:テリ ・ テリー
終りなき夜に生れつく終りなき夜に生れつく感想夜の底は柔らかな幻を読んでいるので、この世界観にすぐ入ることができました。前作は入り込むのに特別な言葉がざくざくいきなり出てきて非常に苦労しましたから。この物語、将来的に残酷な人たちになっていく青年時代を描くスピンオフで、どのようにして彼らが形成されていったのか、というのを読む楽しみがありました。勇司部分が好感持てました。ただ、ちょっと全体には物足りないかなあ・・・タイトルのウィリアム・ブレイクの詩(クリスティにももちろん触れていますが)の話のところはとても良かったです。読了日:04月26日 著者:恩田 陸
すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)感想非常に美しくいとおしい小説。大作ですが比較的短い文章が並んでいるので読みやすく何かの詩を読んでいるような心持にもなりました。一方でミステリの趣も確かにあり、最初の方で孤児の兄妹が必死に聞いているラジオから流れてくる話や宝石の行方など、後半開いていきます。フランスに住む盲目の少女とドイツに住むある種の天才の孤児の少年ヴェルナーのほんの少しの邂逅の部分に心打たれました。また特にヴェルナーのナチスドイツの訓練での心の逡巡、友達への溢れる思い、成長に読む手が止まりませんでした。ラジオ、本、ミニチュアセット、宝石。読了日:04月20日 著者:アンソニー ドーア
月の満ち欠け月の満ち欠け感想読む手が止まりませんでした、大好きですこの本。ミステリでもあり広義のSFでもあり、特に最後の美しく光溢れる章にぐっときました。愛の物語でもあります。冒頭、母子連れと一人の男性が東京駅のホテルの喫茶店で意味の分からない会話をしていますがこれがあとになって・・・。巧みなのです、語られ方が。ここはこうだったんだ!という、後から読み直す快感がありました。12章で自問自答していきついには崩れ落ちる別の真実にも私は驚きました。佐藤正午だから成り立つ本でもあるとも思いました。鳩撃以来、目の離せない作家さんです。読了日:04月16日 著者:佐藤 正午
コンビニ人間コンビニ人間感想とても面白かったです。この本を読んで、現代の若者の持っている時代の閉塞感、と感じる人もいるだろうし、人と自分が違っている違和感、に共感する人もいるだろうし、なんとか普通であろうともがいている人間に対する作品と思う人もいるでしょう。読み方がいろいろできる、ということにおいても、たくさんの人が読むのがわかるという作品でした。無機質なコンビニを舞台にしたというのも秀逸でした。後半の「私」と白羽さんとの関係性も非常に現代の常識を指摘していました。一種強烈な気持ち悪さも残るけれど(←誉め言葉です)
読了日:04月14日 著者:村田 沙耶香
処刑の丘処刑の丘感想まず、このミステリの重要なポイントになるこの時代のフィンランドの内戦状況を知りませんでした。最初のところに日本人向けに赤衛隊白衛隊(いきなりロシアドイツと言われても)の簡単な説明と、この町がどういう状況下にあったかという説明がほしいと強烈に思いました。上司に阻まれながらも正義を貫こうとするケッキ、でもヴェーラに強烈に惹かれてしまう人間らしい部分も持っているケッキ、そしてあらゆる人が来るサウナでマッサージ係として働くヒルダの逞しさなど、読むべきところもありました。ヒルダの夫の心の傷もまた痛々しかったです。読了日:04月14日 著者:ティモ・サンドベリ
魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─感想泣けました、大切なご家族を亡くした方々の絶望の姿に。311の東北地方の津波で肉親を亡くした遺族の方たちに現れた「死者からのしるし」。科学で割り切れないことを扱っているのできっとその部分でフィクションノンフィクションの論議もあるのでしょうが、確実にこれが遺族の救いになっていると思いました。ただ死者からの現象だけではなく家族がどうかつてあったのか、これからどうあるのかというところまで踏み込んで丹念に描かれていてそこに胸打たれました。いつも傍にいるよという気持ちが救ってくれるのですね。そして私は信じます。読了日:04月07日 著者:奥野 修司
堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)感想楽しい!!奇妙なモノクロの挿絵も魅力の一つだし、両表紙の裏にある上の階下の階の断面図もまた楽しくて!話は、ごみの館に暮らしているアイアマンガー一族のクロッドという男の子と外からやってきた元気のいい女の子ルーシーという女の子の、ボーイミーツガールの話でもありますが、『物』の物語でもあるのです。全てのアイアマンガーには生まれた時に物が与えられていてそれはいっしょにいることが必須であり、なぜかその物の声が聞こえるのが体の弱いクロッド。後半凄まじい勢いで話が展開していくところが次巻への期待を膨らませます。読了日:04月05日 著者:エドワード・ケアリー
痛みかたみ妬み - 小泉喜美子傑作短篇集 (中公文庫)痛みかたみ妬み - 小泉喜美子傑作短篇集 (中公文庫)感想昭和、をあらゆるところに意識させられますが、古さは感じずそこがまた味になっていました。どの最後も予想範囲内ではあるものの、語り口が巧みなので思わず引き込まれます。幻影譚と思えるかたみ、の皮肉なラストがとても良かったと思いました(これまたヴェトナム戦争とか時代を感じさせます、重要なキーになってるし)。兄は復讐するは、大切にしていた妹が都会の地である出来事に巻き込まれ・・・というのに兄が復讐する文字通りの物語ですが。これまた語りが巧妙で兄の妹への執着のようなところまで描かれているところに好感を持ちました。読了日:04月05日 著者:小泉 喜美子
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