4月の読書メーター読んだ本の数:12読んだページ数:3896ナイス数:385村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事感想村上春樹が訳した本、全体像を見るとこんなになってるんだ!というのがまず驚きでした。私もサリンジャーのライ麦畑は、野崎訳が染み込んでいるので村上春樹が訳した時にどうだろう?と思いましたが、とても良かったのを覚えています(現代的になりました)。間に柴田元幸との対談が入っていてここも非常に読みどころでした。翻訳にまつわる話、彼との翻訳のスタイルが微妙に違って微妙に同じで、とそのあたりなるほどなあと読みました。しかしこうしてみると村上春樹自身も言及していますが安原顕の存在は大きいなあと改めて思いました。読了日:04月27日 著者:村上 春樹
双蛇密室 (講談社ノベルス)双蛇密室 (講談社ノベルス)感想ぶ・・・ぶっとび。ずうっとこのシリーズ(というか作者)読み続けていますが、誰にも勧められないし誰とも話も出来ません。それほどエロ。口に出すのがはばかれるほどエロ。援助交際をしている女子高生らいちとそこに通ってくる警部補藍川(もう~ここで既に大違反だし!)のミステリ。しかし、です。非常に伏線がよくできていてミステリとして読ませるのです。この本で蛇、詳しくなった気がしますが・・・藍川の蛇嫌いのトラウマの真相が何だったのか、にもぶっとび&大爆笑!「普通」の本格、いつか読みたいです、それもすごく面白いと思う。読了日:04月27日 著者:早坂 吝
旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺感想大ファンなので旅にまつわる話を非常に興味深く読み終えました。単なる旅行記ではなく、世界のあらゆる場所で、旅をするとは何なのか、その場所で何を思ったのか、そこから喚起されるイメージは何なのか、自分の近しい者の死を思い、ギャンブルで身を持ち崩す寸前になる放蕩さから生まれてくるものは何か、などが読みどころでした。ジョイス、ナポレオン、ゴッホなどへの言及も堪能。また作者の別の本でも読んだので知ってはいたのですがゲルニカの話は改めて読むと非常に地方の一本の木の重さと合わせて考えさせられました。読了日:04月27日 著者:伊集院 静
スレーテッド 消された記憶 (祥伝社文庫)スレーテッド 消された記憶 (祥伝社文庫)感想最後の大森望さんの解説に、これと同じ類の話とか映画がたくさん出ていて、それを見ながら(私はこの手の小説、どれだけ好きなんだろう!)と思いました。この手の話とは、「過去の記憶を消され新しい人間として生まれ変わる」という話です。ここでは犯罪者が矯正されたらしい、それがスレーテッドされた人間ということしかわかっていません。でも時折蘇る過去の記憶、過去の癖があり、語り手の16歳の少女カイラは誰が敵なのか味方なのかこの状況で掴まなければならないのです。手首のリング設定、ローダーズも面白いし社会情勢も読ませます。読了日:04月26日 著者:テリ ・ テリー
終りなき夜に生れつく終りなき夜に生れつく感想夜の底は柔らかな幻を読んでいるので、この世界観にすぐ入ることができました。前作は入り込むのに特別な言葉がざくざくいきなり出てきて非常に苦労しましたから。この物語、将来的に残酷な人たちになっていく青年時代を描くスピンオフで、どのようにして彼らが形成されていったのか、というのを読む楽しみがありました。勇司部分が好感持てました。ただ、ちょっと全体には物足りないかなあ・・・タイトルのウィリアム・ブレイクの詩(クリスティにももちろん触れていますが)の話のところはとても良かったです。読了日:04月26日 著者:恩田 陸
すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)感想非常に美しくいとおしい小説。大作ですが比較的短い文章が並んでいるので読みやすく何かの詩を読んでいるような心持にもなりました。一方でミステリの趣も確かにあり、最初の方で孤児の兄妹が必死に聞いているラジオから流れてくる話や宝石の行方など、後半開いていきます。フランスに住む盲目の少女とドイツに住むある種の天才の孤児の少年ヴェルナーのほんの少しの邂逅の部分に心打たれました。また特にヴェルナーのナチスドイツの訓練での心の逡巡、友達への溢れる思い、成長に読む手が止まりませんでした。ラジオ、本、ミニチュアセット、宝石。読了日:04月20日 著者:アンソニー ドーア
月の満ち欠け月の満ち欠け感想読む手が止まりませんでした、大好きですこの本。ミステリでもあり広義のSFでもあり、特に最後の美しく光溢れる章にぐっときました。愛の物語でもあります。冒頭、母子連れと一人の男性が東京駅のホテルの喫茶店で意味の分からない会話をしていますがこれがあとになって・・・。巧みなのです、語られ方が。ここはこうだったんだ!という、後から読み直す快感がありました。12章で自問自答していきついには崩れ落ちる別の真実にも私は驚きました。佐藤正午だから成り立つ本でもあるとも思いました。鳩撃以来、目の離せない作家さんです。読了日:04月16日 著者:佐藤 正午
コンビニ人間コンビニ人間感想とても面白かったです。この本を読んで、現代の若者の持っている時代の閉塞感、と感じる人もいるだろうし、人と自分が違っている違和感、に共感する人もいるだろうし、なんとか普通であろうともがいている人間に対する作品と思う人もいるでしょう。読み方がいろいろできる、ということにおいても、たくさんの人が読むのがわかるという作品でした。無機質なコンビニを舞台にしたというのも秀逸でした。後半の「私」と白羽さんとの関係性も非常に現代の常識を指摘していました。一種強烈な気持ち悪さも残るけれど(←誉め言葉です)
読了日:04月14日 著者:村田 沙耶香
処刑の丘処刑の丘感想まず、このミステリの重要なポイントになるこの時代のフィンランドの内戦状況を知りませんでした。最初のところに日本人向けに赤衛隊白衛隊(いきなりロシアドイツと言われても)の簡単な説明と、この町がどういう状況下にあったかという説明がほしいと強烈に思いました。上司に阻まれながらも正義を貫こうとするケッキ、でもヴェーラに強烈に惹かれてしまう人間らしい部分も持っているケッキ、そしてあらゆる人が来るサウナでマッサージ係として働くヒルダの逞しさなど、読むべきところもありました。ヒルダの夫の心の傷もまた痛々しかったです。読了日:04月14日 著者:ティモ・サンドベリ
魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─感想泣けました、大切なご家族を亡くした方々の絶望の姿に。311の東北地方の津波で肉親を亡くした遺族の方たちに現れた「死者からのしるし」。科学で割り切れないことを扱っているのできっとその部分でフィクションノンフィクションの論議もあるのでしょうが、確実にこれが遺族の救いになっていると思いました。ただ死者からの現象だけではなく家族がどうかつてあったのか、これからどうあるのかというところまで踏み込んで丹念に描かれていてそこに胸打たれました。いつも傍にいるよという気持ちが救ってくれるのですね。そして私は信じます。読了日:04月07日 著者:奥野 修司
堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)感想楽しい!!奇妙なモノクロの挿絵も魅力の一つだし、両表紙の裏にある上の階下の階の断面図もまた楽しくて!話は、ごみの館に暮らしているアイアマンガー一族のクロッドという男の子と外からやってきた元気のいい女の子ルーシーという女の子の、ボーイミーツガールの話でもありますが、『物』の物語でもあるのです。全てのアイアマンガーには生まれた時に物が与えられていてそれはいっしょにいることが必須であり、なぜかその物の声が聞こえるのが体の弱いクロッド。後半凄まじい勢いで話が展開していくところが次巻への期待を膨らませます。読了日:04月05日 著者:エドワード・ケアリー
痛みかたみ妬み - 小泉喜美子傑作短篇集 (中公文庫)痛みかたみ妬み - 小泉喜美子傑作短篇集 (中公文庫)感想昭和、をあらゆるところに意識させられますが、古さは感じずそこがまた味になっていました。どの最後も予想範囲内ではあるものの、語り口が巧みなので思わず引き込まれます。幻影譚と思えるかたみ、の皮肉なラストがとても良かったと思いました(これまたヴェトナム戦争とか時代を感じさせます、重要なキーになってるし)。兄は復讐するは、大切にしていた妹が都会の地である出来事に巻き込まれ・・・というのに兄が復讐する文字通りの物語ですが。これまた語りが巧妙で兄の妹への執着のようなところまで描かれているところに好感を持ちました。読了日:04月05日 著者:小泉 喜美子
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3月の読書メーター読んだ本の数:15読んだページ数:5106ナイス数:358少年Nのいない世界 01 (講談社タイガ)少年Nのいない世界 01 (講談社タイガ)感想好きです、これ。ライトSFって感じかなあ。小学生の子供たちが異世界に行ってしまうという設定で楳図かずおの漂流教室を思い出しました。が。これは一人もしくは二人がばらばらの『別の星』に行ってしまうという設定になっているのでさらに過酷です。誰も頼る人がいない場所、言葉も通じない場所で懸命に生きていった結果、5年の月日が流れて・・・一人の少女(彼女の意図も気になる!)が皆を訪ねて安否確認をし始めるのです。まだ出てこない子もいるので次巻が楽しみ!これと対になる少年Nの長い長い旅の方もぜひ読んでみたいです!読了日:03月29日 著者:石川 宏千花
完璧な家 (ハーパーBOOKS)完璧な家 (ハーパーBOOKS)感想完璧で素敵な弁護士の夫は、グレースという女性の、障害のある妹まで引き取り、明るく一緒に暮らそうよと言ってくれます。皆の前で妹とダンスを踊ってくれます。妹の好きな色の黄色で新しい部屋を作ってくれたりします。なんて素晴らしい人・・・、と思いきや!ありがちなのですが内容としては。ここには惨殺死体もなく血もほぼなく暴力もほとんどないのに、予兆だけでこれだけぞくぞくさせるとは。支配される恐怖、誰も自分を信じてくれない絶望感と閉塞感、脅迫の数々、上手ですそのあたりの描き方が。黄色と赤、そこがとても大きなポイントです。読了日:03月29日 著者:B・A・パリス
ゼロ・アワーゼロ・アワー感想猫、タンゴ、暗殺者、ブエノスアイレス。巧いんだけど。ど。読了日:03月29日 著者:中山可穂
失われた地図失われた地図感想特殊能力を持つ人たちがグンカと闘う、という世界がいきなり語られ始めるので、最初は戸惑いますが、そのうちに引き込まれました。日本各地に残る軍部跡地での記憶の残滓の語られ方が良かったと思います。ただ・・ちょっとストーリー的に弱いかなあと思いました。そして最後まで読んで、まだ途中と思いたいです。非常に読ませる部分がある反面、これではあまりに中途半端に終わっているから。読了日:03月29日 著者:恩田 陸
コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)感想冒頭のところで過酷なナチの捕虜への処遇があり、悲惨な状況の女性が非常に哀れで心傷みました。その後彼女はイギリスのスパイとしてナチの捕虜になっていたことが判明し、手記で情報を書くように強制されます。凄惨な場面も折々に入ってくるのにこの手記だけど、青春物語の素敵なことと言ったら!出自の違うマディとクイーニーの友情、祖国と飛行機への愛と続き、特に印象的な場面は、飛行機から見た色の違った太陽の場面でした。第二章、全く違った観点があるので、第一章をなめるように読み返しました。最後は泣けました、私は好きですこの小説。読了日:03月22日 著者:エリザベス・ウェイン
ぼくが死んだ日 (創元推理文庫)ぼくが死んだ日 (創元推理文庫)感想楽しいです!一人の少年があるきっかけでゴーストたちの物語を聞くという羽目に陥ります。典型的なゴーストストーリーなのですが、中に、アッシャー夫人とか火事とか棺とかでポーを連想させ、またもろに猿の手の使い道が出てきて、先人の作品への強いリスペクトが感じられました。鏡の話もハリーポッターや白雪姫などあらゆるものに出てきますよね。一人一人の若くして死んだゴーストのストーリーが面白いので強く引き込まれました。墓碑に生年と没年あって、解説にもあるようにそこから歴史も話の中に織り込まれていてなかなか凝った作品なのです。読了日:03月22日 著者:キャンデス・フレミング
【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)感想基本は、なぜ保険を掛けた末期癌の人が完全に治るのか、という謎につきます。癌治療のみならず現代医療の問題点、パンの食中毒の話、鬱的な傾向の人の文学作品の高度なことへの言及と話題が多岐にわたる部分が面白かったです。会話で重要な部分が進んでいくので、ここがやや平板でたまに誰が誰やら混乱しました。地の文章だったらなあと。あと・・・謎があいても、一般人の私としては医療への不信と(物語とはいえ)気味悪さが先に立ってというのが正直なところ。決してつまらなくはなかったのですが。最後の一行・・・ううむ・・・読了日:03月22日 著者:岩木 一麻
神様の裏の顔 (角川文庫)神様の裏の顔 (角川文庫)感想このタイトルから当然、誰かの裏の顔の話、と思って読者は読むわけです。聖人君子のような誰からも愛される教師が死んだ、という話が冒頭あり皆が絶賛していて、(怪しい・・・)と読者はここで既に思うわけです。そのあとやっぱり!の展開がありそこで終わりと思っていたら、え!の展開があり、更に、裏の顔はこういう意味だったのか!という・・・・。面白いのですが、全部わかってしまうとそうなのか、となんだか物足りなさが残りました。一読で終わっちゃうかなあ。そこここにユーモア場面があります。読了日:03月17日 著者:藤崎 翔
僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)感想カフカという一文字と、この作者なので読んでみました。カフカ部分は非常に楽しく、もしカフカ作品を読んでいなくても読んでいてもどちらでもこの考察とかおしゃべりは読ませると思いました。ただ、惜しむらくは、主人公と女子学生のキャラクターがあと一歩・・・。特に女子学生の方、なぜ彼女がカフカをそれほど愛するようになったのか、という最初の部分を知りたいと思いました。ちょっと盛り込みすぎなのかなあ・・・彼女の謎、日常の謎、そして大きな事件の謎と。でもでも、198ページの謎は倒れるほど驚きました!!次作希望いたします。読了日:03月17日 著者:森 晶麿
青鉛筆の女 (創元推理文庫)青鉛筆の女 (創元推理文庫)感想青鉛筆の女!(彼我の違いを再認識)話は3つの分野にくっきり分かれています、パルプフィクションと編集者からの手紙と改訂版と称する小説の3つに。編集者からの手紙で、どんどん書き替えさせられるフィクション。3つの中で改訂版の自分がいわゆるタイムスリップ&自分の存在自体が危うい世界に行くという部分が非常に面白く読ませました。それとパルプフィクション部分が重なり合い最後の方で思わぬ展開がありました。史実を知らないと面白くないと思うので、ウィキペディアを横に日付と用語を読むと更になるほど!と思う部分があると思います。読了日:03月15日 著者:ゴードン・マカルパイン
地中の記憶 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)地中の記憶 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想うねるように話が進む緻密なミステリ。過去の視点は『わたし』であり、現在はアニーの視点の三人称でした。15歳の年に井戸の中を覗き込むとそこに将来の伴侶が見える、という言い伝えを信じて屈折した少女アニーが覗き込みに行くというところから物語は開幕します。冒頭から途中まで過去に何が起こっていたのか、起こっているのか、この人は真実を知っているのかいないのか、小出しに出てくるので概観がわかりにくかったのですが途中から一気呵成。過去のジュナのキャラクターが強烈で両方の時代の姉妹のありようが重なってそこも読ませました。読了日:03月15日 著者:ローリー ロイ,Lori Roy
深い穴に落ちてしまった深い穴に落ちてしまった感想自分の頭が深い穴に落ちてしまった、のかと思いました。素数?暗喩?寓話?これの解答編、のような本がほしいです、いかにそれぞれで読むとはいえ。読了日:03月15日 著者:イバン・レピラ
最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常感想藝大の中が音楽系と美術系がまったく違っているというのになるほどなあ・・・と思いました。音楽系の話では、ちょっと前に読んだ小説恩田陸の蜜蜂と遠雷を強く思い出しました。やっぱりコンテストとの戦いなのですね、あと先生とは師匠と弟子の関係。これが美術になると、自分よりもその作品だし、一過性のものでもないし、全く違う藝術なんだと改めて思いました。面白く読んだのですが・・・・続編を出してほしいです、掘り下げるために。藝大の数名の人たちだけではなく、先生とか両親とか(出ていましたが間接的が多い)へのインタビューとか。読了日:03月10日 著者:二宮 敦人
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編感想騎士団長が出てくるところは言葉遣いにユーモラスさを感じました。一方で禍々しい鈴の音が鳴っていた土の中、これが最後になってまたきいてきます、ここは村上春樹の某小説の井戸の底に行く感じでした。免色さんの娘への思いの形がギャツビーの行動と同じだなあというのも強く思いました。父と子のモチーフが形を変えて現れています。夢での交わり、一人称、おしゃれな料理、音楽、文学への造詣とそこも楽しめました。一方で私には謎が残っています、免色さんの心の奥の闇とは何か。なぜ彼は最初の段階で穴を強烈に掘ったのかなど。エピローグは?読了日:03月10日 著者:村上 春樹
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編感想楽しめました。今までの村上春樹を読んでいるとそこに使われていることがたくさん出てきますが、私は焼き直し、ではないと思います。一人称で書かれていて、今回は主人公は画家で、肖像画で糊口をしのいでいたのですが、妻との別居を機にある画家の別荘に住むことになるのです。最初にプロローグがあり、そこに顔なしが出てくるので、これはいったい?と思っているとラストまで読むとこの話だったのか!と膝を打ちました。広義のミステリでもあり、肖像画依頼してくる免色さんは一体何の意図が?とか、鈴の音は?とか引っ張っていってくれました。読了日:03月10日 著者:村上 春樹
読書メーター
2017年1月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2767ページ
ナイス数:350ナイス

ただ、それだけでよかったんです (電撃文庫)ただ、それだけでよかったんです (電撃文庫)感想
心の中にぐっと入る人には入る話だと思いました。いじめ、がテーマなのですが、謎に満ち溢れていてストーリー的にはよく出来ていると思います(想像できるにしろ)。特に革命が何だったのか、という謎はなかなかのものでした。あと人間力テストの設定も。ただ・・・キャラクターが深みがないのと、文章が抵抗があるところが多かったかなあ、私には。でも興味持ちましたよ、この人の作品。
読了日:1月31日 著者:松村涼哉
ぐうたら上等ぐうたら上等感想
年末年始に必ず読むシリーズです。一年をこれで振り返ると、去年もいろいろあったなあと思いました。芸能の話題から映画から、政治問題までぶれずに彼女の目線で語ってくれています。毒がやや抜けてきたかとは思いました。こなれた大人にならなくていいので、中野翠道を突き進んでくださいませ!
読了日:1月31日 著者:中野翠
八月は冷たい城 (ミステリーランド)八月は冷たい城 (ミステリーランド)感想
こちらは男の子バージョン。女子と壁を隔てて男子もまた集められているのです、七月から読むこと必須の物語。疑心暗鬼が中心となります、こちらでは。誰が何をしたか、誰が本当のことを言っているのか、本当の姿をさらけ出しているのか。少年たちの思いが交錯します。ホラー要素はこちらの方が強いので、みどり男のこととかはやや強烈かも。個人的には最後ぼんやりと終っても良かった気もします、全てを説明しなくても、と。作者の朝日のようにさわやかにに、みどり男がいるのでそこも読み直してみました。装丁が美しい、やや子供の絵が幼いけど。
読了日:1月29日 著者:恩田陸,酒井駒子
七月に流れる花 (ミステリーランド)七月に流れる花 (ミステリーランド)感想
美しくそして不穏で心をかきむしられるようなそんな気持ちになるミステリでした。ザッツ・恩田陸ワールド。二冊同時刊行ですが未読の方は是非こちらから読むことをお勧めします。すべての謎が解けるのが八月~の方ですから。こちらは女の子バージョンで、そもそもなぜ特定の女の子たちが緑の蔦に覆われるお城に集められたのか、流れる花とは何か、お地蔵様のところに集まる鐘の音の意味は何か、と謎が次々に繰り出されます。謎も、ですが、少女たちの佇まいが際立っていてそこにも魅せられました。
読了日:1月29日 著者:恩田陸,酒井駒子
いまさら翼といわれてもいまさら翼といわれても感想
古典部の最新作。今までのを読んでなくても楽ししめますが、読んでいれば、奉太郎君がなぜあのような省エネになったのか、という理由がわかり、なるほどーーと膝を打つこと間違いなしです。古典部四人の青春ミステリではありますが、今回は人間描写が中心だったような感じでこれはこれで楽しめました。走れメロスへの奉太郎の解釈が面白かったり、表題作のえるの今後が気になったりしますが。個人的には摩耶花の漫画研究会の話の顛末がとても好きでした、こういう場面ぶち当たるだろうなあと。(ちなみにサイン本購入しましたが元気の良いサイン!)
読了日:1月24日 著者:米澤穂信
幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)感想
新訳が出たので読んでみました。前のが読みにくいというわけではないけれど、圧倒的な読みやすさ。哲学小説とも言われますが、話そのものもどきどきするくらいに超絶に面白いです、今の時代でも尚且つ。巨大な宇宙船がある日やってきてオーヴァーロードと言われる異星人は決して姿を見せない。なぜ?何の目的で?こういうミステリでもあるのです、壮大なSFでもちろんありますが。第二部で、異星人の姿が出る時、うわーーーっとのけぞります。また真の目的が第三部で語られますが、そこでまたまたうわーーーー。一度読んだら忘れ難い話です。
読了日:1月24日 著者:クラーク
円卓 (文春文庫)円卓 (文春文庫)感想
西加奈子初読みはこれをチョイスしました、そして正解。弾けるような小3のこっこちゃんが可愛いし、こっこちゃんの大家族がいとおしいし、大阪弁が良いスパイスになっていて、独特のニュアンスが伝わるセンスが素晴らしいと思いました。作品全体がきらきらしています。小学生時代の自分を思い出しながら(誰しも思い出すと思います、自分の中のこっこちゃんを)ふくっと笑ったり。周りの人々もよく描けていて、どもりの男の子の真実を穿つ言葉とか、一文一文切り抜いて貼りだしたいくらいだ!と思いました。こっこちゃんのお爺ちゃんもいいなあ。
読了日:1月24日 著者:西加奈子
とりつくしま (ちくま文庫)とりつくしま (ちくま文庫)感想
単行本で既読だけど再読。この話の肝は、死んだ人が何らかの思いを持って、人にとりつく、のではなく、物にしかとりつけない、ということだと思います。だから勢い、未練のある人もしくは傍にいたい人の傍らにある何か、にとりつく。それは、愛する息子の野球の時に使う粉であったり( この話泣けた)、家族で使っていたマッサージチェアだったり、日記帳だったり。そこにとりつくことによって、自分がいない世界で皆がどうやって暮らしているだろう、というのを死んだ自分がまざまざと突きつけられるのです。自分だったら?と考えさせられました。
読了日:1月24日 著者:東直子
楽天道 (文春文庫)楽天道 (文春文庫)感想
年代別っぽくなってるので、若い時の佐藤愛子が懐かしすぎて!まだお嬢さんの響子さんが結婚していなくて、遠藤周作の息子と結婚させよう話、は有名ですがここのくだり、何度読んでも笑えました。しかしぶれてない、佐藤愛子。ずうっとずうっと愛読者ですがぶれてない姿が素晴らしすぎます!
読了日:1月24日 著者:佐藤愛子
本バスめぐりん。本バスめぐりん。感想
私自身、リアルな移動図書館利用者でした。過去形なのは、もうやっていないから。だからこの感じと雰囲気がとても分かりました。近所の人たちとの濃密な付き合い、図書館では巡り合えないような人たちとの出会いが。それに加えてこの物語ちょっとした謎、が入ってほのぼのとしています。が。私の違和感は、図書館員が借りた人の本をこういう傾向だと話し合っていること・・・あり?なんでしょうか、これは。借りる側にとってみれば嫌だな~~。主人公二人があともう一歩魅力的だったらもっともっと惹かれる話だと思いました。
読了日:1月24日 著者:大崎梢

読書メーター
2016年12月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:5137ページ
ナイス数:384ナイス

猿の見る夢猿の見る夢感想
一気読み。なーにがみゆたんだ!と主人公の薄井に苦笑しかありませんでした。家族がいて、愛人がいてそして更なる愛人を求めて・・・どこまで元気なの、この男は・・・(苦笑)保身の気持ちが強いながらも前半会社家庭愛人と意気揚々としていますが、中盤から詰んでいきます全てに。右往左往するその姿に哀れを感じながら、薄井は全ての人の中に形の大小はあるにしろ、いるんだろうなあとも思いました、それを描く桐野さんがやっぱり巧いです。ただ、占い師の位置がよくわからなかったのと、遺言書の扱いがこれだけは笑えなかったです。

読了日:12月23日 著者:
【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)感想
とてもよくできていると思いました。最後まで楽しめました。ハリーの息子アルバス(屈折してる!)とドラコの息子スコーピウス(なんていい奴!)の友情物語でもあるのですが、しっかりとしたSF仕立ての脚本になっていました。結構複雑なのでよくやったなあと感嘆の思いが。過去に戻るので過去の懐かしいメンバーも勢ぞろいして現在と過去が同時に楽しめる感じでした。小説を読みたいという気持ちもありますが、これだけのレベルだったら脚本でも十分満足します。ただ・・・長太郎の訳はちょっとないなあとそこが惜しかったかなあ。
読了日:12月23日 著者:J.K.ローリング,ジョン・ティファニー,ジャック・ソーン
ドウエル教授の首 (創元SF文庫)ドウエル教授の首 (創元SF文庫)感想
再読。ロシアのジュール・ヴェルヌと言われている著者が書いた長編SF小説。タイトル通り、ドウエル教授の首が生きてしゃべってと前半は静の部分、後半になると全く色合いが違って活劇のような展開になります。
グロテスクな部分もあるので人を選ぶとは思いますが。解説の犬の話に驚きました。
読了日:12月23日 著者:アレクサンドル・ベリャーエフ
二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)感想
自分の名前を騙る男を追いかける、奇妙なパーティーに出くわす、殺人事件が起こる、パーティー会場の誰もが犯人になりえる状況、トリック、そして被害者のなぞめいた言葉「鳴く鳥・・・・」。導入部から解決までお見事の一言。大好きです古典的なこういうミステリ。途中の文学的引用も楽しくて!発表の時代(1951年)ということを考えると比較的早く犯人は特定できるのですが、なぜ?とかどうやって?とかこれは?とかそれでも謎が続いているところが素晴らしすぎます。そして今でもこれって(特にバーディタ嬢)ある問題だと思いました。
読了日:12月15日 著者:ヘレン・マクロイ
熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
非常に満足の一冊。今年の一冊かも、ミステリ的にも。強盗犯ではあるけれど知能犯でもあるので、強盗のやり方とか練習方法の綿密な描写も面白かったし、現在が語られ過去がまた語られ、しかも追う側の警部もまた暴力という過去に苛まされている、という二重構造の話でもありました。レオが幼い三男を助けていた姿も忘れられません。だからレオを憎むことなんてできないんです。そして後半意外な展開に・・・。父と子、兄弟間、恋人、と家族と人間同士の絆の物語でもありました。あとがきを読んで驚きました、知らなかった・・・・この作者・・・
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ
熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
最初の方ちょっと読みづらいです、何が起こってるのか誰なのかよくわからないままの暗中模索状態。けれど!!!150ページあたりから一気に爆発するように面白くなってきます(のでそこまで頑張った方がいいと思います)。三兄弟プラス幼馴染の銀行強盗の話ではあるのですが、過去に暴力に支配された家のことが語られるにつれ、三兄弟の強烈な繋がりを肌で感じて、幼き日々の出来事が現在に至っているというのも痛いほどわかります。読んでいるうちになぜか犯人側に同化している自分がいました。まだ上巻では謎が多々あるのですが・・・下巻に続く
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ
猫と漱石と悪妻 (中公文庫 う 29-4)猫と漱石と悪妻 (中公文庫 う 29-4)感想
軽めのジャブって感じの本。楽しかった~。ちょっと前のドラマを見て興味を持って読んでみましたが、新しい発見とかはなかったもののドラマを思い出しながらところどころでくすり。本格的な漱石の何か、を求める人には違う本なのでしょうが楽しんでこういうのを読んでみたいなあ~悪妻じゃないのになあ~と考えてみたい人には入門書としてよく出来ていると思いました。にしても、癇癪持ちの旦那さんって大変だなあ~。
読了日:12月15日 著者:植松三十里
一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)感想
こういう感じの本、特にローマ帝国ものというのが多くありますが、この本面白かったですとっても。大上端に構えることなく、わかりやすく描いていってくれてローマ帝国の衰亡も目の当たりにしたようでした。なんといっても皇帝のそれぞれのスタンスが目を見張りました。狂気、愛欲、知性が絡み合い戦争があり平和があり、時代が進んでいきます。写真と図版が多いのも魅力的。あまりに頭にさくさく入ったので、この作者の本、もっと読んでみたいです。
読了日:12月15日 著者:本村凌二
望み望み感想
辛い、本当に辛い物語でした。そしてある問いを投げかけられます、自分の子供が犯人側(殺人犯側)でも生きて残っていた方がいいか、それとも死んでいることがあっても被害者側のほうがいいか。これが家族の中で違っている、特に父と母とでは違っているというのが印象的な話でした。自分の進路を心配する妹、加害者だと決めつける親戚、そして周囲の仕事関係者と多くの人たちが色々な立場から考えを持っています。
読了日:12月13日 著者:雫井脩介
静かな炎天 (文春文庫)静かな炎天 (文春文庫)感想
カズレーザーお勧め本(彼のチョイス本どれもいいです)。何と言っても驚いたのが、葉村、四十肩か!と。そこに私は年月を感じました、なんてこったい!不運がやってくる葉村晶探偵が、今回は奔走する姿が印象的でした。表題作がとても面白く、息子を死なせた男の素行調査をしていると次々に違う依頼が舞い込み・・・その真相は・・・というあっという最後のめくれ方が秀逸でした。またラストの聖夜の話はあちこちに依頼され東京中を駆け回る葉村の姿と最後のにんまりに拍手。このレベルで文庫本ってありがたいです。ただ、ややマニア向けかも。
読了日:12月13日 著者:若竹七海
拾った女 (扶桑社文庫)拾った女 (扶桑社文庫)感想
読みやすいノワール小説、金もないアル中の二人のダメ男とダメ女の酔いどれ小説、でも愛情たっぷりの男が織り成す恋愛小説、と思いきや!とても面白かったのですが、何を書いても触れそうです、ある部分に。予備知識ゼロで読むことをお勧めします。再読必至。特に192ページ、よくわからない比喩だったのですが、ああーーと。非常に良かったです。
読了日:12月13日 著者:チャールズウィルフォード
ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)感想
短編集ですが、なんといってもジュリエット三部作が読ませました。人生における岐路って自分ではその時はわからないのですが、そこを鮮やかに切り取り美しい文章で綴ってくれる相変わらずの手練れのマンローがいました。非常に印象深い列車内でのある出来事、そこから派生する事故、そして運命的な夫との出会い、夫との生活、子供との齟齬、そして成長した子供の行方など、映画にしたら・・・機微のある映画になるだろう、と思うような作品でした(と思ったら映画になっていました)
読了日:12月13日 著者:アリスマンロー
カムパネルラ (創元日本SF叢書)カムパネルラ (創元日本SF叢書)感想
前半、宮沢賢治研究していた亡き母(この世界自体も今の世界ではない世界なのですが)の散骨のために花巻を訪れた『僕』が不思議なワールドにはまり込み、異常な殺人事件に遭遇する、そしてすべてが歪んでいる世界、というところまでは非常にワクワクして読み進めました。が、途中からやや私の中で失速。面白いには違いありませんが、広げすぎのような感じがしました。にしても銀河鉄道の夜、読み返してみたい!!という気持ちはふつふつと。
読了日:12月6日 著者:山田正紀
ジェリーフィッシュは凍らないジェリーフィッシュは凍らない感想
面白かったのです、が。SF設定になっている上に海外名前が横溢、更に国名もU国などそのあたりが読みにくかったです、私には。小型飛行船の発明をめぐって最終確認試験の段階で次々に人が犠牲に・・・しかも密室の中で。ということで、本格ミステリ好きなら吉。構成も謎の魅力も話もとてもよくできていると思いました、そして後半のある一つの質問が非常にパンチがきいてます。ただ・・・動機がなあ・・・とうっすらとそこは疑問。
読了日:12月6日 著者:市川憂人

読書メーター
2016年11月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4443ページ
ナイス数:343ナイス

生か、死か (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)生か、死か (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
大変読みやすくそして最後ぐっときたミステリでした。ミステリであり恋愛小説であり『義』の話であると思います。主人公オーディがなぜ出所1日前に脱獄したか、ここがポイントになりますが、過去場面が非常に美しく抒情的で、特に父親と兄との回想場面、魂を寄り添った女性との恋愛場面はミステリということを忘れるほど堪能しました。あるところで、あ!とそれまでのことが一気にわかり、前のところで交わされた会話を読み返し、こういうことを言いたかったんだ!と思いました。ラストシーンもまた印象的で映像が頭に浮かびました。好きな本です。
読了日:11月30日 著者:
Dの殺人事件、まことに恐ろしきはDの殺人事件、まことに恐ろしきは感想
江戸川乱歩の作品群を現代のIT技術を駆使して今の物語にした作品群。ベースになった乱歩作品を知っていると更に比較ができると思います。一番驚いたのが、、陰獣幻戯、執拗にあることが書かれていますが、最後に(ああ・・だからだったのか!)膝を打ちました。スマホと旅する男は、基本はスマホ技術のあれこれなのですが、乗り物の不思議さ、よくわからない感じがぞくっとさせてくれました。赤い部屋~は原作も好きですが、これもラストがとても良かったです。表題作は展開が面白い。ただ、乱歩の怖さとは全体に違った怖さだとも感じました。
読了日:11月30日 著者:
本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド感想
愛すべき馬鹿(ミステリ馬鹿・誉め言葉)でおおいに楽しめました。博士が女子高生とともに多くの古典ミステリをばしばし斬っていく部分も読ませたし未読本で読んでみたいと思った作品が数多くできました。ネタバレなしでこれだけ語れるってすごい!!みつをのもじりのみすを、には毎回毎回笑わせてもらったし、文字のなぞり書き(ミステリの一文)も笑ったしそのあとの一文もとても良かったし漫画もいいし。国樹由香の探偵の日常も犬愛とミステリ愛に満ちた喜国雅彦の日常が垣間見え楽しめました。トークショーにも行きましたがこれまた極上でした!
読了日:11月28日 著者:喜国雅彦,国樹由香
黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)感想
一般のタレント本とは一線を画した本だと思いました。原宿に住むということ、原宿で遊んだ思い出、彼女のボーイフレンド、複雑(と私には見えます)な家庭環境、ちょっとやさぐれていた中学時代、アイドルであるということ。この中で、別のアイドルのことについて書かれているところが一番胸に刺さりました、そしてそのことを持ち出したファンに食って掛かるところも。生き残りの激しい芸能界という中で、芸能人であり続けるということは自分を問い続けることでもあると感じました。
読了日:11月28日 著者:小泉今日子
罪の声罪の声感想
最後の場面のエピローグで胸詰まりました。グリコ森永事件(ここではギン萬事件となっている)に子供の声が使われていること、未解決のこと、社長が誘拐され途中で解放されたこと、警察の失態があったこと、事件そのものが子供の食べるお菓子をターゲットしていること、など本当の事件とリンクして非常に綿密に描かれていました。この小説の成功は、子供の側の疑問で(それも育った子供の視点)始まっていること、だと思いました。かつてその声を録音した記憶すらないのにふっと見つけてしまった自分の幼い声・・・ここから全てが始まりました。
読了日:11月28日 著者:塩田武士
あひるあひる感想
表題作とともにあと二作品が入っていました。非常に読みやすくそして心のどこかをざわざわとさせる作品群でした。あひる、は、普通の家であひるを飼う(だけの)話、なのにこの不穏さと言ったら!まず語り手が資格試験の勉強をしているけれど謎であり、更には最初微笑ましくやってくる小学生たちの群れが徐々に変化していく様子も怖いし、両親も謎だし、でも一番怖いのは、あひる・・なぜ?なに?どこかが歪んでいる世界が非常に読ませました。あとの二作は緩やかにつながっていて、これまたおばあちゃんが優しいけれど不安感に満ちていました。
読了日:11月28日 著者:今村夏子
パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
二転三転するストーリー展開、そしてなんといっても度肝を抜くような開き方が読ませました。
読了日:11月21日 著者:サンドローネダツィエーリ,SandroneDazieri
パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
11年間幼少期に農場のサイロに監禁されたという異常な過去を持つダンテの造型が見事でした。彼の推理が際立っていて、さながらシャーロック・ホームズのようでした。加えて、これまた過去の捜査で心に傷を負った女性捜査官コロンバとの出会いにより、自分の過去と向き合うと同時に現在でも生きているらしいかつての犯人を追い詰める・・・下巻へ。
読了日:11月21日 著者:サンドローネダツィエーリ,SandroneDazieri
危険なビーナス危険なビーナス感想
読みやすいし読ませる、相変わらず。けれど、ミステリ云々の前に、私は白朗の女性に対する視線とか態度が薄気味悪くて仕方ありませんでした、すみません。
読了日:11月16日 著者:東野圭吾
秘匿患者 (ハーパーBOOKS)秘匿患者 (ハーパーBOOKS)感想
面白く読みました。重大事件を犯した患者の入る精神医療施設に送られてきた一人の男性ジェイソン。彼を診る側の医師リーサは、彼が全て来歴を隠してこの病院に来たということを知り何とかその精神状態を探ろうとします。彼の生育状況、事件、それを聞き出しているうちに・・・。いくつかフックがあり、そこに引っかかりながら読んでいくと最後であ・・・!これはこれだったの?とかあれはあれだったの?とか色々人と話し合いたくなる本だと思いました。場面展開が非常に多いのですが全く気にならず読めました。まだ腑に落ちないところはあるものの。
読了日:11月12日 著者:ジョンバーレー
何様何様感想
前作の何者も読んでいるけれど特に読んでいなくてもこれはこれで・・・。アナザーストーリーかなあ。ちょこちょこと何者の人たちが遠くで出てきたりします(瑞月のお父さん!!しっかりして!!。)強烈に前の何者と関連しているのは最初のコータローの話で、これは高校時代の模索のあれこれで若者の心の揺れとか良かったと思います。しかも光太郎が『何者』でなぜあんなに出版社にこだわったかというのがこれでわかってきます(遠くできっとこのことがあるのでしょう)。烏丸ギンジもある人の叔父さんとして出てきます。ただ・・展開的には・・
読了日:11月12日 著者:朝井リョウ
夜行夜行感想
衝撃的に良かったです。はじまりは、かつて英会話教室のグループで行った京都の鞍馬の火祭りに10年ぶりでメンバーで集まって・・・という話です。ところがその10年前に長谷川さんという一人の女性が姿を消したというところから、夜行という連作の絵がモチーフとなり・・・。全体に漂う不思議感、京都の夜のもやっとした感じ、夜行列車のイメージ、加えて独特の語り口で物語が語られます。全体が茫洋とした靄のようなものに包まれた優れた作品だと思いました。某乱歩小説も思います。そしてあるページで本を取り落とすほど私は驚きました。
読了日:11月12日 著者:森見登美彦
九十歳。何がめでたい九十歳。何がめでたい感想
笑いました、もうそこここで。おっしゃてることがただの「怒りの愛子」ではなく実にまっとうだから、うんうんと頷きながら笑えるのです。以前からのファンですが、お嬢さんもはやこのお歳・・・あら・・・。しかし90歳を超えてもそれを受け止め、しかも世の中の理不尽に目を向けられるという頭を持っていることに驚嘆しました。流されていない、ということが素敵なことですね。犬の話だけはもうじいんとしました。いつまでもお元気で!!(トイレの流すところのわからなさも実にわかりました)
読了日:11月12日 著者:佐藤愛子

読書メーター
2016年10月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:5442ページ
ナイス数:426ナイス

ゴールドフィンチ 4ゴールドフィンチ 4感想
ラスト・・・ここがこの物語を好きになるかどうかの分岐点だと思いました。自己認識の内省が続いて・・・。私は最後まで物語で終わらせてほしいと勝手ながら思いました。ボリスが大好きなので(どういう人間であるにしろ)、彼が出てくると物語が輝くような気がします。全体に一気に読めましたが、途中もラストも非常にもやもやしました。これって映像化の方が圧倒的に面白い気がします。
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ 3ゴールドフィンチ 3感想
少年テオは青年テオになり、ニューヨークに戻りましたが・・・。絵に翻弄される人生が哀れでもありました。骨董商としてなんとかなんとか・・・と思っていたのですが、これでは・・・
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ 2ゴールドフィンチ 2感想
この巻、全体を通してみると一番私は好きな巻かもしれません。大人に見放された二人の少年が心を通い合わせる場面が特に好き。好き勝手にしている父親と義母には怒りしかありませんが、生涯の友になるボリスと結果的に出会ったので相殺かぐらいにまで思いました。しかし父がまたしてもネックに・・・
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ1ゴールドフィンチ1感想
大切な母をニューヨークの美術館で、テロの巻き添えになって失ってしまう、そこから物語は始まりました。しかもこの時に瀕死の老紳士からある絵を託されて・・・この絵が話全体を引っ張ります。少女の造型が素晴らしく一気読み。
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
分かれ道ノストラダムス分かれ道ノストラダムス感想
ノストラダムスの大予言を使っているのはかえますが、全体に盛沢山すぎる、感じがしました。前半の基(もとき)君の死がもしこちらの道だったら、と考える部分と、後半のサスペンス(?)部分がすみやかに移行していない感じが。ごめんなさい。
読了日:10月27日 著者:深緑野分
三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手感想
祝800回突破!今回も楽しませていただきました。今回は特に真田丸裏側を読みたくて。学校の先生の歴史の原因と結果の話、とても参考になりました。先生も嬉しいだろうなあ、自分の話をこんなに覚えてくれていて、しかも今大河を書いている教え子なんて。自意識の強い話が多いのですがそこもまた三谷流。お子さんの話もちらほらっと出て、しっかり親馬鹿していました。
読了日:10月25日 著者:三谷幸喜
その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)感想
一編の美しい詩を読んでいるようでした、残虐なシーンもあるのに。場面場面が映像的で非常に印象的です。殺し屋として生きてきた一人の男性の愛に目覚めた心が奔流のようになだれ込んでいく場面場面が読ませました。裏切り、暴力、死に囲まれながらの静寂観があります。彼が家庭環境を語るのがあるのですがこれも重要。最終章の一歩手前、(ああ・・・こうだったんだ・・・)と思ったら、最終章で(あ!)と、ここもとてもグッド。ミステリとして読むより文学作品として読んだ方が吉かも。だから好みは分かれると思いますが、私は好きです。
読了日:10月25日 著者:ジョー・ネスボ
メビウス・ファクトリーメビウス・ファクトリー感想
出だしから途中までは、(P1って何?お巡りさまって何でいうの?お身削りって何?)と興味津々で読んでいました。最終的に工場で何が作られているか全く誰も知らないという不思議な工場に、外の町から来たアルト一家が町の謎に徐々に気づいていくのです。町が閉ざされた感じもグー。視点も新人鑑定士とか、熟練工とか、外に運び出す人とか変わっていくのも面白かったです。ただ・・・中盤から失速感が。私はラスト消化しきれませんでした、ごめんなさい。
読了日:10月25日 著者:三崎亜記
QJKJQQJKJQ感想
ページをめくる手が止まらないほど楽しみました。前半と後半と一気にテイストが違いますが、どちらも堪能しました。最初、文章の「、」が多いのでそのリズムに慣れませんでしたが、あとは一気呵成に。帯にもあるように「一家全員猟奇殺人鬼」で秘密を共有しながら生きていく女子高校生の目線で語られていきます。全体がペダンディックで思弁的なところが多いのですがそこすら好きで、全体が私には衝撃的でした。伏線回収も丁寧でありました。強烈な殺人場面よりも、私が怖かったのは後半のある一場面。夢にうなされそうに怖かったです。
読了日:10月18日 著者:佐藤究
校閲ガール校閲ガール
読了日:10月18日 著者:宮木あや子
傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)感想
面白く読みました。前作2作を読んでいたので目を凝らしていたのですが全く分かりませんでした、258ページまで全く。281ページの会話で釣瓶打ちの驚き。今回残虐シーンは少ないのですが、カミーユ警部の心の内に沿って読んでいくことができました。繊細なカミーユ警部が思わず我を忘れてしまうほどの逆上にとらわれ暴走するシーンが読ませます。人物の語りが途中で変わるのも楽しめました。私はラストシーンがとても好きです、美しくも悲しい描写だと思いました。長編は終わりのようですが中編楽しみにしています!!
読了日:10月11日 著者:ピエール・ルメートル
許されようとは思いません許されようとは思いません感想
表題作が賞候補になった作品のようですが、今一つ現代の都会に住んでいる私には、動機が腑に落ちませんでした、ごめんなさい。それよりも!「姉のように」が非常に面白かったです。最初の新聞記事から始まり、憧れだった姉が犯罪を犯しそれを知り段々壊れていく妹の姿、と思いきや!!ラストでええええ!という驚きが。伏線がたくさんのところにちりばめられています、もう一度読み返すと。ああ・・そうだったんだと。
読了日:10月10日 著者:芦沢央
お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人感想
「男の人がステキだなあと思うのは、お金を出す時と、髭を剃る時と、死ぬ時ですね」などの名言(!)が飛び出してくる楽しい対談集でした。対談のお相手がお亡くなりになっているのも多い対談で古いのが多いのですが話そのものは全く古びていないのです。向田邦子の人となりが分かり、肉声がその場から聞こえてきそうです。ここには「生活を愛し、猫を大切にし、仕事をバリバリとして、ちょっとユーモラスで頭が良いお料理好きの向田邦子」の姿が見事に焙り出されています。それにしても死にまつわる話を読んでいると彼女の悲劇的な死を思うので涙。
読了日:10月10日 著者:向田邦子
スタフ staphスタフ staph感想
最後の最後まで違和感が・・・。
読了日:10月10日 著者:道尾秀介
ルキノ・ヴィスコンティの肖像ルキノ・ヴィスコンティの肖像感想
写真とそれにまつわる文章にうっとりしました。書いている時期はまちまちでそれを集めた感はありますが、全く古びていない文章に驚きました。書いている人たちも淀川長治に始まり、海野弘、佐藤忠男、荻昌弘、円地文子(!)、そして澁澤龍彦等々、ヴィスコンティ作品に魅せられた人たちの様々な声が圧巻でした。
読了日:10月10日 著者:淀川長治,海野弘,河原晶子,石田美紀,増村保造,佐藤忠男,荻昌弘,倉橋健,寺山修司,高崎俊夫,斎藤龍鳳,唐十郎,三島由紀夫,澁澤龍彦,松田修,円地文子,巖谷國士,由良君美,ルキノ・ヴィスコンティ,白石かずこ,寺岡裕治,山内由紀人,渡部幻
蜜蜂と遠雷蜜蜂と遠雷感想
傑作。恩田陸のいいところが全開になった作品で一種の興奮状態で読みました。ピアノコンクールの話で、音楽の話であると同時に、激しく美しい青春群像劇でもあるのです。天才肌の風間塵、かつての天才少女栄伝亜夜、優勝候補のマサルの三人が非常に魅力的に描かれています。そして冒頭で、風間塵の推薦状を音楽界の亡き重鎮が書いているのですがそこに謎めいた一文があるのです、ギフトか災厄かと。これが後半にわかるのです。コンテスタント達の逡巡、怖れ、祈り、懊悩、それらが伝わってきます。また市井の人高島明石も見逃せません。
読了日:10月8日 著者:恩田陸
泉
読了日:10月8日 著者:キャサリン・チャンター
女子大生桜川東子の推理 ベルサイユの秘密女子大生桜川東子の推理 ベルサイユの秘密感想
愛からず楽しい・・・昭和ネタ満載と脱線話のあらゆる方向の蘊蓄満載でここが楽しめるかどうかの肝かも。毎回大爆笑させてもらってます、ヤクドシトリオの突込みに。とりあえず殺人事件はあって、それを解く美女大学院生桜川東子さんは毎回いるのだけれど、横道が多すぎてたまになんだっけ?謎は?と思うこともしばしばで、でもそれがまた楽しいのです。ウィスキーの蘊蓄なんか素晴らしいです。今回宝塚歌劇の演目が出てきますが、これだけエリザベートとかを簡潔にまとめたものってないだろうなあ。
読了日:10月7日 著者:鯨統一郎

読書メーター
2016年9月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3381ページ
ナイス数:269ナイス

地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
良かったです!もうぐりぐりに良かったです!!小惑星が半年後に地球に衝突する、この事実が分かって人々がどうするかという、主人公以外の周りの様子がとても面白く読ませました。狂信的になる人、ドラッグに走る人、自殺する人、好きなことをしまくる人・・・・。自殺者が多い世の中で自殺とされた一つの事件を殺人事件ではないか?と愚直に追い続けている刑事パレスの姿にも胸打たれました。騒然としている世の中で、職務を全うする人達がいるという救いが。文章も短文が連なっていて小気味よく読みやすく、三部作だそうなので次に行きたいです。
読了日:9月30日 著者:ベンHウィンタース,BenH.Winters
霧に橋を架ける (創元SF文庫)霧に橋を架ける (創元SF文庫)感想
ものすごく好みの作品と普通の作品とに分かれました。ものすごく好みは、以下の三作品。26モンキーズは消失する猿たちの謎、で、謎は謎のままですが非常に印象深く読ませます。絶望している人に1ドル渡しもいいなあと。スパーがもう怖くて怖くて、宇宙で遭難してこんなことになりたくないもんだ!とぞくぞくしました。最後は希望なのか新たな絶望なのか?表題作は霧が全てを決定づけている世界観が素晴らしく、プラス恋愛がほのかに混ざっている好みの作品。連綿と続く渡し守一族の姉弟造型が素敵でした。
読了日:9月30日 著者:キジ・ジョンスン
ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)感想
またまた再読。懐かしいし、安西水丸さんがお亡くなりになったということを考えると絵を見るだけでぐっときました。ちょこちょこっと軽く書いたように見えるけれど(実際そうなのかもしれないけれど)こういう大上段に構えていない気の張らないエッセイって貴重だと思いました。そして村上春樹、ぶれてないなあ・・・とも感じました、言ってることが。ウォークマンの記述とかは明らかに古いけれどね。
読了日:9月30日 著者:村上春樹,安西水丸
四人の女【新版】 (創元推理文庫)四人の女【新版】 (創元推理文庫)感想
有名コラムニストに成り上がるまでのラリーの姿に最初のうちは(最低の男!!)と思っていましたが、後半なんだか哀れで可哀想になってきました。あくまで自分の出自を隠すラリー。コネゼロの中なんとか強力なコネをつかもうとなりふり構わぬ姿をさらすラリー。これを一番理解していたのが最初の妻シャノンであり、次の現夫人クレアは美しいけれど頭足らず、次の愛人マギーは本の共著者でラリーにとっての重要人物、そしてフィアンセのディーは若くて妊娠中。この4人がラリーのそれぞれの時代を語りながら、話は進んでいきます。傑作。
読了日:9月29日 著者:パット・マガー
新 怖い絵新 怖い絵感想
このシリーズ大好きなわけは、いわゆる怖い絵を語るだけではなくそこから派生する小説とか映画をも縦横無尽に語ってくれているところです。今回も非常にそこが楽しめました。どうしたって幼年期の終わりをある部分を確認するために再読したくなります。また表紙の絵の話から、ハムレットは勿論のこと、漱石の草枕、椿姫にまで辿り行くのがお見事。またゲイシー『自画像』のピエロの絵が、キングのITのピエロのモデルの人だというので驚愕しました。暗鬱な修道院の絵から、ゴシック→オースティンのノーサンガー・アビーに移っていくところも良く。
読了日:9月29日 著者:中野京子
鳥肌が鳥肌が感想
穂村弘の笑える部分と怖い部分がミックスされたようなエッセイでした。ほむほむの目で見ると、世界はこう見えているのだなあ・・・。(あ、私もあるある!)(こういうことあるある!)とあるある感を持たせるのが天下一品に巧い人、だと思います、穂村弘という人は。この中で、現実ではこうという、子ヤギの話と千人針の話とが怖かったし、似た奥さんと結婚した人の話も怖かったし、あと、子役の話を語りつくしている話のオチが最高潮に怖かったです(と同時に笑いました)。ところでこの栞、乙一のある種の本の栞と同じですが、怖すぎます!!!
読了日:9月29日 著者:穂村弘
ささやく真実 (創元推理文庫)ささやく真実 (創元推理文庫)感想
とても優れた本格ミステリだと思いました。美女クローディアが悪魔のような心を持ち、ただのお遊びで自宅パーティーで全員に自白剤を飲ませ本当のことをしゃべらせる・・・そして殺される・・・誰が一体殺したのかというミステリでした。告白大会のある部分で切れているのでその先が非常に気になりました(後半分かります)。随所に伏線が潜んでいて、それを読み解きながら進んでいくのが楽しい読書でした。探偵役になっているウィリング博士のお手並みご披露がお見事の作品でした。最後まで行くと最初に戻って読みたくなりました、確かに。
読了日:9月29日 著者:ヘレン・マクロイ
終わりなき道 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)終わりなき道 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
読んでいてとてもつらい物語ではありました。なんせ少女監禁レイプが話の軸になっているので。冤罪でひどい監獄に閉じ込められていた元刑事エイドリアン、監禁された少女チャニングを助けるために犯人射殺が過剰防衛ではないか問題視されているエリザベス、それぞれが自分だけの強烈な秘密を持っているのです。そしてまたこれはジョン・ハートお得意の家族の物語でもありました。この中でなんといっても魅力的なのは、エイドリアンでもエリザベスでもなく後半出てくる老弁護士でした。彼の映画を撮ってほしいと思うほど大好きでした。
読了日:9月29日 著者:ジョンハート
ミスター・メルセデス 下ミスター・メルセデス 下感想
そして下巻へ。面白かったです!犯人は早い段階で名前すらわかっているのですが、追う側が段々増えていく、というところに妙があると思いました。年取った男性(元刑事なので足場がしっかりしている捜査をする)、若い男性(だからIT系に強いし頭冴え冴え)、若い女性(これまたIT系に強く尚且つしぶといので食らいついたら離さない)の三つ巴が魅力的でした。ホラーの要素はありません、ほぼ。ミステリとしてまた心理サスペンスの側面もちらほらあって非常に楽しかったです。続巻があるようなので、ぜひぜひ!この三人にまた会いたいです!
読了日:9月29日 著者:スティーヴン・キング
ミスター・メルセデス 上ミスター・メルセデス 上感想
職探しの列に車が突っ込んだ・・・というところから始まる掴みから、定年退職してまるで何もやる気のしない元刑事ホッジスと、彼に今どきの挑戦状をたたきつける犯人とのやり取りが読ませます。ただこの巻の前半から中盤あたりまではやや、ですが、乗り切れませんでした。しかし。後半から一気に加速、ぶぅーーーん!下巻に続く。
読了日:9月29日 著者:スティーヴン・キング
テロテロ感想
サッカースタジアムの7万人を救うために、そこに突入しようとしているテロリストを含む乗客164人の飛行機を撃墜した・・・その空軍少佐は有罪か無罪か。法廷劇でありました。最初の方ですぐにサンデル教授の講義にあった「トロッコ問題」を思い出しました。具体的な例とともに進んでいく法廷の場。弁護側と検察側との丁々発止のやり取りが考えさせられました。ただ、娯楽性は非常に薄いかも。
読了日:9月7日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ

読書メーター
2016年8月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2376ページ
ナイス数:191ナイス

ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
夜を徹して読むほど引き込まれました。この世界本当はどうなってるのだろう?自分という人間は誰なのだろう?系(本の虚構の男、映画のトゥルーマンショー系)が好きな人なら吉。冒頭でピストル自殺をまさにしようとしている男の元に実に奇妙な依頼をする人間が飛び込むところから、え!?第一部で腰が抜けるほど驚いていたら、第二部冒頭で更にえ!!!これは・・・誰が誰を殺したの?息を持つかせぬ展開で、第三部第四部に突入で、更にえーーー!!各部の冒頭に登場人物表があり、それが実に感慨深いのです。着地点は全く全く読めませんでした!
読了日:8月31日 著者:フェデリコ・アシャット
その先は想像しろ (集英社文庫)その先は想像しろ (集英社文庫)感想
面白い!悪意の波紋が「あることが起きることによって野連鎖反応」ミステリとすれば、これは「各自の思い込み」が思いもかけない展開を生む面白さがあると思いました。最初の方で、世界的なロックスター、ニノが失踪した事件が書かれ、そのあと全く違った二人の街のチンピラがどのように破滅の道を辿ったかが描かれていました。ニノは?と思っていると、ああ・・・こういう繋がりが!!しかもページをめくるごとに、え!そうだったの?この人は実はこう考えていたの?という驚きがありました。そして、私は開いたすがすがしいラストが大好きです。
読了日:8月30日 著者:エルヴェコメール
帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく (4)帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく (4)感想
相変わらずの菅野彰節炸裂、楽しい!お友達の月夜野も全く知らない人なのにこちらまでお友達気分になりました。そして大爆笑。お爺ちゃんの胸に書く墨の話で一番笑ったかなあ。気持ちの弱い弟君の千羽鶴にも大爆笑。しかし・・・情弱の話の中で、くまモンに驚愕!情弱の私でも知ってる!というか逆にくまモンをどうやったら遮断できるんだろう・・・・。ただ、ですね、私のせいか慣れかわからないのですが、前回より笑いは減った気がします。きっと私のせい。
読了日:8月23日 著者:菅野彰
伯爵夫人伯爵夫人感想
日米開戦の前夜の物語。官能小説のようで、英語で言う4wordsの連続でありました。しかしそこここにそこはかとないユーモアがありくすり(と笑えるかどうかが受け入れかどうかの基準になると思います)。話として面白くて、伯爵夫人とはいったい誰だったんだろう、という根本的なことから、挑発する彼女に翻弄される二朗さんがけなげ(と私には見えた)であり、更に、物語全体が幻想的で迷宮的なのです、卑猥に隠れているので見えにくいのですが。擬音も印象深く、何度も出てくるココア缶(是非調べるといいと思います)も迷宮に拍車をかけて。
読了日:8月23日 著者:蓮實重彦
このあたりの人たち (Switch library)このあたりの人たち (Switch library)感想
良かった~。このところ川上弘美の話がぴんとこなくてどうかなと危ぶみながら読みましたが、これはとてもとても良かったです。いわゆる不思議話で、書きようによってはただの夢のような話でつまらなくなりそうなのに、それが心地よい不思議さがあり心癒されたのです。「わたし」の視点が過去になったり未来から過去を見たり(つまり今は大人)変化し、狂言回しのようなかなえちゃんがたくさん出てきたりの非常に短い話が積み上げられた連作集。不思議な人と不思議な出来事がたくさん起こり、うっとりとしました。
読了日:8月19日 著者:川上弘美
クララ殺し (創元クライム・クラブ)クララ殺し (創元クライム・クラブ)感想
アリス殺しを読まなくてもわかる本です。が、読んでいると懐かしいビルとか井森とかこの奇妙奇天烈な世界観とか理解するのが簡単なのでその面は楽でした、前作よりも(前作は話は非常に面白かったのですが世界観になじむまで時間が私はかかりました)。ただ、アリスの話は多かれ少なかれ知られている話ですが、これは・・・前作知っている人の方が少数派でしょう、知っている人が。巻末のガイドに従って全部読んでからもう一度再読してみたいものです。
読了日:8月19日 著者:小林泰三
人生の真実 (創元海外SF叢書)人生の真実 (創元海外SF叢書)感想
幻想の部分は濃くはなく、それよりも家族の物語だと思いました、そして非常に面白い!アメリカのドラマBrothers and Sistersを私は強く思い出しました、強烈な家長がお母さんで、それぞれの子供達の問題が惹きつけられる問題です、どちらも。笑える部分もたくさんありました(死体が起き上がったところにも笑ったし、ベッドでフランク取り違えのところも大爆笑)。フランクという一人の男の子が8人の女性に育てられていく過程も読みごたえありでした。コヴェントリーの爆撃で『犬は勘定に入れません』がふっとよぎりました・・
読了日:8月4日 著者:グレアム・ジョイス

読書メーター
2016年7月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:3376ページ
ナイス数:284ナイス

失われた過去と未来の犯罪失われた過去と未来の犯罪感想
記憶の物語。いわば大いなる法螺話(褒め言葉です)を楽しんで読めました。冒頭の何が何だか分からなくなっちゃったでも賢い女子高校生の物語からしてとっつきやすく、SFだと妙に構えなくても読むことができました。後半になって、自分が何者かという哲学的なところまでいくところも面白く読みました。
読了日:7月28日 著者:小林泰三
自分を好きになる方法 (講談社文庫)自分を好きになる方法 (講談社文庫)感想
リンデという一人の女性の物語でした。各年代で切り取っていて、リンデが自分と心から一緒にいたいと思う人を求めてやまない姿にぐっときました、わかるなあと。学生時代はそれは友情であって友達を求めていく姿であるし、長じては恋愛でのずれ、結婚でのおおいなる齟齬、決断と後悔がないまぜになった感じがそれぞれの年代で色濃く描写され、この世界に引き込まれました。途中三歳のリンデが出てくるのですが、ここのみ満たされたリンデがいるというのもまた胸打たれました。孤独は底辺に流れていますがリンデの常に何かを求めていく姿が好きです。
読了日:7月28日 著者:本谷有希子
エレンディラ (ちくま文庫)エレンディラ (ちくま文庫)感想
堪能。短編もまた素晴らしいのだと改めて思いました。幻想的で魔術的で呪術的な世界。現実とそういう世界が並列に並んでいる、しかも登場人物がそれを平然と受け止めていることに感動すら覚えました。タイトルのエレンディラは他の作品に比べてやや長い中編ですが、一度読んだら忘れ難く、娼婦のエレンディラのラストに戦慄しました。また海底の村を描いた失われた時の海も大変好きでした、海に行くたびにこの物語を思い出すでしょう。木村榮一先生の解説もこれまた素晴らしく、エレンディラのみならず他の作品への温かい道標になっていました。
読了日:7月21日 著者:ガブリエルガルシア=マルケス
不変の神の事件 (創元推理文庫)不変の神の事件 (創元推理文庫)感想
妙な言い方ですが、のんびりとした気持ちになったミステリでした。古き良き時代のミステリで好きです。全編に漂うふんわりとしたユーモアにくるまれ、冒頭から死体を運ぶ車の中を見た、と大騒ぎの一般人が出てきます。更に車の中の人達と一般人がホテルで遭遇・・・。なぜこういうことになったのかという経緯がこのあと語られていきます。かなり初期のここで読者は犯人も動機も方法もすべてを知るのです。は?と思うところは多々あるには違いないのですが、それでもラストは驚きました、完全にミスリードされていたので。
読了日:7月21日 著者:ルーファスキング
犯罪は王侯の楽しみ (創元推理文庫)犯罪は王侯の楽しみ (創元推理文庫)感想
なんてたってアルレー。ところがこの本、全体が私の考えているアルレーっぽくないなあ・・と思いながら最初のうちは読んでいました。お金持ちの男が暇に飽かせて現金輸送車を襲うという計画を立て、その綿密な計画の元色々な人を動かしていく、ある時は脅迫である時は誘拐で。非常に映像的で話はわかりやすくするすると進みます。が!私はこのラスト2ページで(あーアルレー!)と思い直しました。特にラスト2行の衝撃。ここに至るまでのダブルダブルの妻の心理描写が非常に読ませます。ためらい迷い決心する、そして悔悟の念とがないまぜに・・・
読了日:7月21日 著者:カトリーヌ・アルレー
『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命 (ベスト新書)『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命 (ベスト新書)感想
とても面白かったです。ベルばらファンはもちろん漫画とともに楽しめますが、そうでなくてもフランス革命に少しでも興味があれば入門の一冊としてわかりやすく紐解いてくれています。漫画で描かれなかったこと、描かれたけれど多少事実と違うこと、など細かいところが読ませどころでした。ベルばらを読んだ頃にこれがあれば片手にこの本、片手にベルばら、とできたのに、と今の人を羨ましいと思う気持ちでいっぱいです。
読了日:7月21日 著者:池田理代子
珠玉の短編珠玉の短編感想
作者の大ファンですが・・・この哄笑と諧謔のつまった一冊、私には合いませんでした、申し訳ありません。合う人にこの本が届きますように。
読了日:7月21日 著者:山田詠美
ジョイランド (文春文庫)ジョイランド (文春文庫)感想
ノスタルジックな物語。青年時代のひと夏の思い出、それは海辺の遊園地ジョイランドで大学生のデヴィンがアルバイトを始めたことによって引き起こされたことだった・・・。この話、失なった恋があり、友情があり、ホラーがあり、ミステリがあり、超常現象的なことがあり、たくさんの要素がふんだんにつまっていました。特に、デヴィンと二人の男女大学生の友情物語は読んでいて心地よく楽しかったし、デヴィンの新しい恋も胸をきゅっとつかまれたような気がしました。アンとデヴィンとマイクの三人場面が美しいこと。
読了日:7月12日 著者:スティーヴンキング
囀(さえず)る魚囀(さえず)る魚感想
虚実混ざった一冊。とても魅力的な出だしなのですが・・・
読了日:7月9日 著者:AndreasSéché
偽りの書簡 (創元推理文庫)偽りの書簡 (創元推理文庫)感想
当時のスペイン情勢を呑み込むのまでに時間がかかりました、そしてそれはこの物語に非常に重要な事柄なので最初の方で苦戦。また探偵役がこの二人になるというのが意外でありました。それならば、もっと早くこの二人を出せばいいのに、と中盤で思いました。アナが上流婦人たちに探りを入れるところとか、代書屋さんをして色々な階層の人に会うところとか、そういう細かいところは非常に好きでした。
読了日:7月9日 著者:ロサ・リーバス,ザビーネ・ホフマン
戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)感想
読んで良かった!と思った一冊でした。そもそもこんな風に戦争中にアメリカの図書館員たちが軍も巻き込んで戦地の兵隊さんたちに本を送っていたという事実すら知りませんでした。冒頭のヒトラーの焚書の顛末からおおいに引き付けられ涙し、そしてこれに対抗するように(事実対抗していたのですが)本を送り続けそして読み続ける兵士達。表紙の写真にも圧倒されますが冒頭の写真の数々にも心打たれました。そしてラスト、この戦地から戻ってきた人たちがどういう人生を歩むか、ここにも大きく戦地の本が関係しているところにもぐっときました。
読了日:7月6日 著者:モリー・グプティル・マニング
亀と観覧車亀と観覧車感想
申し訳ない、作者の大ファンでありますが、よくわかりませんでした。
読了日:7月6日 著者:樋口有介

読書メーター
2016年6月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:5039ページ
ナイス数:371ナイス

帰って来たヒトラー下帰って来たヒトラー下感想
ラスト、私の予想があったのですが見事裏切られ、こういう結末に・・・。でもこの結末が非常にまた納得できるのです。ヒトラーの言葉にいちいち、えっと驚愕しながらも思わず引き込まれていく本でした。過去を踏まえつつの現代の演説もこれだったら人が惹きつけられるだろうなあ・・・と思わせるものでした。またラストの註は一般的な知識しかヒトラーにない私にはとてもとても読ませる註で、初めて知ったこともたくさんありました。この表紙も秀逸、髪型と髭だけで(髭はタイトルだし)ヒトラーと分かるなんて!さあ、映画館へ行きます~~!
読了日:6月30日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)感想
映画のために読み始めたのですが・・・いやあ・・・面白かったです。あのヒトラーがなんだかわからないけど現代に甦って、「彼の目」で現代のドイツの現状を見て憂えたり悲しんだり考えたりする、というある意味荒唐無稽な話なのですが、読ませます。ヒトラーが物真似している人、と捉えるマスコミと一般大衆側、と、本当のヒトラーとの齟齬が笑えました。わからないゼロのところから、ヒトラーの看破力のすごさからどんどん新しい知識を吸収していく、というところも読ませました。EUが問題になっている現在、更にこの本、楽しめます。(下巻へ
読了日:6月30日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)感想
大好き。二転三転の展開に取りつかれたように読み進めました。ある映画を思い出すし、このところのある小説も思い出します(だから話としては既存である話)。けれどこの話の面白いところは、こちらが(こうだろうなあ)と思っている展開と違う展開になっていくところ。小さな村にそれなりに暮らしている小説家のアランが隣人リーとのほのぼのとしたやり取りや、村の人たちの温厚な様子とか、最初をよく読んでおくと、後半で、ええええ!の連打が始まりました。しかし1965年に書かれた小説とは!そして小説家が書く小説の設定が2016年とは!
読了日:6月28日 著者:L.P.デイヴィス
魔法の夜魔法の夜感想
色々なものとか人が一気に動き出す月夜の魔法の物語。
読了日:6月28日 著者:スティーヴン・ミルハウザー
ターミナルから荒れ地へ - 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学ターミナルから荒れ地へ - 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学感想
非常に刺激的であり読ませるエッセイでした。翻訳者という立場から、アメリカ文学を縦横無尽に語ってくれています、そこはかとないユーモアとともに。目から鱗という部分が非常に多く、どの文章も一つ一つ頷けたのでした。具体的な署名がたくさん載っているのでそこもまた魅力的、村上春樹にも言及していてその部分も膝を打つと言った感じでした。読んでみたい本がたくさんできて、更にはそれを読んでからもう一度この本を読んでみたいです。
読了日:6月28日 著者:藤井光
希望荘希望荘感想
最初から最後までページをめくる手が止まりませんでした。杉村三郎シリーズの最新刊。衝撃の結末のペテロの葬列以来なので杉村三郎がどうしているかという興味もありました。4編入っていますが、特に表題作の希望荘が秀逸でした。施設に入っていた父が人殺しをしたという告白を残して死んだ、その真偽は、という話ですが、なぜ彼が告白をしたのか、そしてこの中に出てくる人間の一つの姿に対する言葉など忘れない文章がたくさんありました、更にラストも含蓄ある終わり方。次の砂男も実に忘れ難い名品でした、想像していたのを超えていました。
読了日:6月24日 著者:宮部みゆき
ささやかな手記 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ささやかな手記 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
解説にあるように、どんでん返しとか派手なパフォーマンスのあるミステリではありません。じわじわじわじわと主人公と一緒に心を蝕むような監禁がこれでもかと描かれていきます。でも私はこの小説とても好きでした。妻を兄に寝取られ暴力をふるって刑務所に入れられたテオ。前半ある部分までは美しい山歩きでテオが徐々に人間の心を取り戻していき、そのあと老兄弟によって監禁され働かされるという絶望状況が始まります。とことん人間が堕ちていく設定がすさまじく、飼い犬になってしまう人間とそれでも生きていくことを選択する姿に戦慄しました。
読了日:6月21日 著者:サンドリーヌコレット,SandrineCollette
埋葬された夏 (創元推理文庫)埋葬された夏 (創元推理文庫)感想
20年前にイギリスの小さな田舎町で起こった一つの殺人事件。逮捕されたのは問題の多かった少女コリーン。20年後に弁護士に依頼され私立探偵のショーンが再捜査を始めるのです。現在と過去が交互に出てくるミステリで「誰が殺されたのか」というのは最後に至るまで全く分かりません。過去の学生生活場面が非常に読ませます、一人の転校生によって壊される友情、恋の行方、人を支配していく雰囲気がよく描けています。そして最後驚きました、こういうことだったのかと。惜しむらくは、ショーンがキャラクターとしてやや弱いように思いました。
読了日:6月21日 著者:キャシー・アンズワース
スクープのたまごスクープのたまご感想
出版社の週刊誌記者のお仕事小説。わかったこととかそうだったのか、というのは多くあったのですが。日向子があと一歩心に響きませんでした。
読了日:6月21日 著者:大崎梢
あの素晴らしき七年 (新潮クレスト・ブックス)あの素晴らしき七年 (新潮クレスト・ブックス)感想
この素晴らしき本!エッセイの全てに奥ゆかしいユーモアがあり、涙もあり、根底には愛がありました。どの話もどうやったらこんなにうまく書けるのかと思うくらいにエッセイとしても短編としても素晴らしい作品でした。イスラエルに暮らすということ、日々自分がユダヤ人ということを認識するということ、その中で息子が生まれ、ゲットーを生き延びた父が癌のため余命いくばくもなくなり、優秀だった兄がいて、と強烈な家族の物語でもありました。ポーランドのゲットーから抜け出して食料を求めていた少女(作者の母)の話にも涙。奇縁の住居話も涙。
読了日:6月10日 著者:エトガルケレット
記憶屋 (角川ホラー文庫)記憶屋 (角川ホラー文庫)感想
都市伝説でもある人の記憶を消す記憶屋。記憶屋の有無をめぐって、大学生の遼一が探っていくのです、記憶屋は一体いるのかいないのか。そして探っていくうちに幼い日の記憶も鮮やかに甦ってきて。面白く読みました、現代の都市伝説の探り方ってサイトをめぐっていくのだなあというのも新鮮だったし、オフでその人たちに会うという手法もいかにも今、だし。最後多少の驚きもありました(予測していたものの)。が、物語とはいえ記憶がどの部分を消すのかという細かい設定をしてほしいと思いました。記憶って連続なのである記憶のスポットだけ消す?
読了日:6月8日 著者:織守きょうや
大きな鳥にさらわれないよう大きな鳥にさらわれないよう感想
冒頭の静かに外の温泉場で湯浴みをする女性集団、その傍らにいる子供集団の姿に圧倒されました。そしてこれが現在の日本とかではなくSF的世界であると分かった時に、非常に引き込まれました。この世界ではヒトが科目に属していて死なないとわからない(ネズミとかカンガルーとか)、ヒト同志交わらず工場で人や食べ物が作られている、見守りと呼ばれる人が存在。連作集で薄紙をはがすようにこの世界の成り立ちがわかってきます。ただ、私は途中で世界観にのめりこめず非常に微妙な気持ちになりました。この小説、詩なんだと思います。
読了日:6月8日 著者:川上弘美
タマゴマジックタマゴマジック感想
エッセイと小説のサンドイッチ(交互に出てきます)なのですが、このエッセイが不思議と効果を上げていて(日常で見る不思議な話が多いです)小説の方も楽しめたし、エッセイも楽しめたというお得感溢れる一冊でした。ものすごいガツン!はないものの、さくさくと読める恩田ワールドが広がっていました。ブリキの卵(小説)は、途中大いに盛り上げてくれました。また冒頭に魔術師(象と耳鳴り)が置いてあって懐かしい関根多佳雄に再会しました。最後の魔術師は地震後に書かれた作品で仙台の希望のようなものを受け取りました(関根春がここに!)
読了日:6月8日 著者:恩田陸
砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)感想
途中までは「高校で壮絶ないじめを受けている後輩女子」を救う先輩の男子の話と思いきや、途中で反転しました。いじめは表面に見えている小さな問題なのだと。もっと山のようにそびえる大きな問題があったのだと。あくまで玻璃を救おうとする清澄の姿が印象的です。ある作品とコンセプトが似ているなあと強く思いました。なんですが!ラスト20ページで?一応の解釈は出しましたが、まだ咀嚼しきれていません。あと、UFOとか、真っ赤な嵐とか、!!とか、特有な言葉遣いが連発するので私にはなんというか・・・。あ、尾崎姉妹はいいなあ。
読了日:6月8日 著者:竹宮ゆゆこ
たましいのふたりごと (単行本)たましいのふたりごと (単行本)感想
川上・穂村の両人と編集の方が出したお題に対して、二人が対談していくという趣向。一番の驚きは、作家と歌人が個人的に親しいということでした、違う雰囲気の二人だったから。でもこの対談を見ていると、二人の違っているところはもちろん大きくあるのですが、もしかして理解度ということで深く理解しあえる何物かが二人にはあるなあと思いました。二人の話、必ずしもぴったりと噛み合っていないのです、齟齬があるのです。そこが面白いと思いました。ただ・・・お題に対して、文章の多少があるのはなぜでしょう?ちょっと掘り下げが少ないかなあ。
読了日:6月6日 著者:川上未映子,穂村弘
ささやかで大きな嘘〈下〉 (創元推理文庫)ささやかで大きな嘘〈下〉 (創元推理文庫)感想
「誰かが殺された」というのは途中の会話文で間違いがないのに、最後の方に行くまで一体誰が殺されたのか、そしてもちろんのこと誰が犯人なのかというのもわからず、状況もわからずという構成が面白かったです。しかも途中で私は違った人が殺されたと思い込み(あーあ)と思い込みました。それぞれの秘密を抱えたデスパレートな妻たちじゃなくて(このドラマをちょっと思い出した)、ママ友たち。予備知識ゼロであらすじも見ない方が楽しめると思います。私は驚きました、この事件の全貌が見えた時に。そして爽快でした、読み終わって。
読了日:6月6日 著者:リアーン・モリアーティ
ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)感想
微妙かなあ・・・と思いつつ(ママ友トラブルから発展した殺人事件の話という事前情報)、読み始めたら、これが意外に面白かったです。ママ友トラブルは海外でもあるんだなあ!と感心していましたが、そこよりも、それぞれのママの生活が浮き彫りになっていって、ついでにその人の性格もくっきりと現れていて、すぐに誰が誰かというのが頭に入りました。公立なんだけどいわゆるセレブ幼稚園に一人のシングルマザーの異分子がやってきた・・・。なぜ彼女はここに来たのか。彼女の子供は本当にいじめをしているのか。そしてなによりも、(以下下巻に)
読了日:6月6日 著者:リアーン・モリアーティ

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