8月の読書メーター
読んだ本の数:7
読んだページ数:1712
ナイス数:207

風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)感想
ここからいきなり読んでしまうという暴挙・・・でもとても面白かったです。日常の謎をばしばし解いてしまう、ちょっと癖のある屈折した男子高校生裏染天馬の姿も好印象、他の高校生たちも(特に卓球部女子二人)生き生きと活写されていました。表題作は真相に(せこい・・・)と思いつつ、なぜ50円玉を屋台のお釣りに設定したのか、そして誰だったのか、というのを楽しみました。冒頭の丼の話もものすごく納得、男子高校生の気持ちがわかります。密室からの脱出という天使たちの残暑見舞いも非常に学校という場所を巧く使った真相だと思いました。
読了日:08月31日 著者:青崎 有吾
少女は夜を綴らない少女は夜を綴らない感想
理子が、悠人に頼られることによって居場所があると思う気持ち、そこはとても読ませました。
読了日:08月31日 著者:逸木 裕
Y (ハルキ文庫)Y (ハルキ文庫)感想
話が非常に入り組んでいますが、その分とても楽しませてもらいました。もしあの時ああだったら、の話を見事な一編の物語に織り上げています。SFとミステリと究極の恋愛小説の混合体。冒頭の電車場面を最後になって読み返すと、感慨深いものがありました。全く記憶のない男から親友を名乗る電話があった部分から始まるストーリーもまた魅力的で、一体どこが本当なのか、この人は今どこにいるのか、という謎に満ち満ちていて、それがするりと解ける部分が感動的に面白かったです。また自分の身を挺して恋人を守るという恋愛部分にもぐっときました。
読了日:08月31日 著者:佐藤 正午
花のようなひと (岩波現代文庫)花のようなひと (岩波現代文庫)感想
色付きの挿絵と佐藤正午の文章を楽しみました。短編が続いた後、最後に中編が。どちらも短いのであっという間に読めますが、滋味深いです。日常のさりげないことから花を絡めての短編は、何かの予兆に満ち満ちているのです。ちょっとした人の心の揺らめきが光ります。どれも長編の書き出しになりそうで、(このあとこの二人はどうなるのだろう?)とか(このあとこの人はどういう行動をするだろう?)と思いを巡らしました。語り口も、手紙、メール、普通の文章、独白、と多様でした。中編の幼なじみは秘密めいていて美しく切なくて心に残りました。
読了日:08月27日 著者:佐藤 正午
晩夏の墜落 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)晩夏の墜落 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
好きな本でした。プライベートジェットに複数の人がいて墜落、そしてその一人のみが助かって子供を海の中で救うヒーローとなる、という話なのですが。ジェットに乗っていた富豪たちが一癖二癖ある人たちなので、陰謀説、テロ説、と噂が飛び交い・・・。この本、『なぜそれが起こったか、誰か事故を起こした人がいたのか』だけに焦点を当てると真相はそれほどでもと私は思います。ただ、その過程でジェットに乗り込んでいく人たちの人生がどうだったのか、のところが読ませます。ばらばらの人生が一点に集約していく面白さ、があると思いました。
読了日:08月27日 著者:ノア・ホーリー
大雪 (大型絵本 (2))大雪 (大型絵本 (2))感想
多分、ですが、同作者のウルスリのすずをおおいに気に入った私に、両親が買ってくれた本だったと思います、これまた小さい頃の愛読本。今度のウルスリ君はお兄さんで、妹愛に満ちていて、妹を助けるのですが。大雪の場面とカラフルなそり行進場面との対比が素晴らしくて。素朴な感じの絵なんですが、今でもひきつけられます。
読了日:08月27日 著者:ゼリーナ・ヘンツ
ウルスリのすず (大型絵本 (15))ウルスリのすず (大型絵本 (15))感想
小さい頃の愛読本。懐かしくて懐かしくて!すず、が日本のすずと違う形でどういう音色がするんだろうなあ・・・と想像したのも遠い思い出。パレードの先頭を歩くためにちょっとでも大きなすずを持ちたいウルスリ君の気持ち、そして今となると一晩いなかった息子を案じる両親の姿、にも心打たれます。パレードの晴れやかな顔と言ったら!!
読了日:08月27日 著者:ゼリーナ・ヘンツ

読書メーター
7月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:6310
ナイス数:347

AX アックスAX アックス感想
た・・・楽しい!!殺し屋シリーズで、本文中にもくすぐりはちりばめられていて過去作品を読んでいる人はそこも楽しめ、もし読んでいなくてもここから全くオッケー!伊坂幸太郎ワールドが広がっていて、ある一つの出来事が次の何かに繋がっていたり、会話の妙、徹底的な伏線回収、そして今回は兜という殺し屋と、奥さんと、とてもいい息子の克巳君の家族の物語でもありました、ラストあることでちょっと泣けます。超一流の殺し屋が恐妻家であり奥さんにびくびくしている、の設定がおおいに笑えました。蟷螂の斧、古山高麗雄、これがキーワードです。
読了日:07月31日 著者:伊坂 幸太郎
怒り 下 (小学館文庫)怒り 下 (小学館文庫)感想
上巻すごく面白かったのですが、ここにきてやや失速・・・と私は感じました。シャツキの娘が誘拐されるあたりから、捜査がシャツキ中心になってきて(何しろ秘密なのですから)そこも広がりを感じませんでした。上巻でなんだなんだ?と思っていた「夫がおかしい普通の家庭の女性の訴え」も氷解するとそれほどのインパクトもなく。あと・・・ヴィクトリア本人の内面とファルクの背景(特にこちら)がよくわかりませんでした。更に惜しいのは、これが3巻なので、シャツキに馴染みがなく彼の心情が今一つ把握しかねるというところ。面白いんですが!
読了日:07月31日 著者:ジグムント ミウォシェフスキ
怒り 上 (小学館文庫)怒り 上 (小学館文庫)感想
ポーランドミステリ。作者本人もルメートルが好きなようで、作中にもルメートルを読んでいる部分が出てきます。冒頭から、一体何が起こってるのかが全く分からず、「ポーランドの地方都市オルシュティンの防空壕で見つかった白骨の男が10日前には生きていて、なんでじゃあこんな短期間に白骨になったのはどうしてか」という謎を解いていくことがようやく途中でわかってきます。検察官シャツキの独特の佇まい、見習い検察官の エドモンド・ファルクの論理的思考、と癖のある人が何人も出てきて、おまけにフランケンシュタイン博士(!)まで。

読了日:07月31日 著者:ジグムント ミウォシェフスキ
冬雷冬雷感想
因習にとらわれた町の物語・・・読ませるのです、重苦しい気持ちに終始つかまりながら。
読了日:07月31日 著者:遠田 潤子
ジャンプ (光文社文庫)ジャンプ (光文社文庫)感想
祝直木賞受賞なので、過去作品を再読。ジャンプは、「リンゴをコンビニに買いに行ったガールフレンドがそのまま失踪した」という失踪物語です。なぜ失踪したのか。彼女は自分で失踪したのかそれとも連れ去られたのか。最初読んだ時には、(この男!!出張なんか行かずにすぐ探せよ!)と怒りまくってましたが。今、わかるのです、この人は典型的なサラリーマンだったんだなと。状況もわかってない中美業務を中止してそんなことは出来なかったんだなあと。途中で主人公のあ!という面が出てきて、最後深い驚きが。苦い最後ですが、考えさせられます。
読了日:07月31日 著者:佐藤 正午
彼女たちはみな、若くして死んだ (創元推理文庫)彼女たちはみな、若くして死んだ (創元推理文庫)感想
ウォーの「失踪当時の服装は」のきっかけになった本というので楽しみに読みました。全て英米で起こった女性への殺人事件の実話であり、これが物語ではなく実話である、というところに打ちのめされました。被害者も加害者も ある人間は真実を隠そうともせず、ある人間は巧妙に隠そうとして それを暴く刑事たちの真摯な姿があります。ここを非常に淡々と描いています、エモーショナルな書き方の対極を行くような描き方でした。冒頭のボルジアの花嫁からしして衝撃、なぜ無垢な少女が殺されなければならなかったのか、真相はあまりに苦かったです。
読了日:07月24日 著者:チャールズ・ボズウェル
星の王子さま (岩波文庫)星の王子さま (岩波文庫)感想
やっぱりこれこれ!子供の時にしみわたっている内藤濯翻訳がしっくりきます。星の王子様をぼっちゃん、と呼びかける素朴さ、「できやしないよ」とか「してごらんよ」という言葉のやさしさを楽しみました。大切に翻訳した気持ちが伝わります。大人になって読むと現在社会の象徴的な人、言葉がたくさん出てきますが、それも大人の目で楽しめます。また最後の内藤初穂さんのエッセイも秀逸で、美智子皇后とのやり取り、翻訳が内藤先生に決まった経緯など、知らないことが多かったので非常に有意義でした。あと、印象的な挿絵、全てカラーなのですね!
読了日:07月24日 著者:サン=テグジュペリ
われらの独立を記念し (ハヤカワ・ミステリ)われらの独立を記念し (ハヤカワ・ミステリ)感想
1980年レーガン大統領誕生の年のモンタナ州でソーシャルワーカーをしているピートの物語。ピートが一生懸命子供たちを虐待する親、ネグレクトする親、狂信者の親から守ろうとしているのに、凄まじい横槍が入り(主に親から)、ある時は命まで狙われる姿が痛々しかったです。またピート自身の家庭にも問題があり愛する娘レイチェルに対する思い、妻への不信感から女性全般への不信感につながるピートの心のありようもまた可哀想すぎました。途中入る転落していく娘レイチェルと第三者とのやり取りもまたアクセントになって読ませませす。
読了日:07月17日 著者:スミス・ヘンダースン
ピンポン (エクス・リブリス)ピンポン (エクス・リブリス)感想
面白く読みました。カテゴリー分けができない小説で、最初壮絶ないじめにあっている二人の釘とモアイという少年がピンポンで立ち直る話と思ったら違っていて。もう過剰にいろいろなものがごたごたっと入っていて、いじめっ子のチス、双子がいる卓球洋品店のセクラテン、バスの運転手、お金でマッサージをしてくれるホームレスの老人たち、乾電池を舐めて死んでしまう太った人、そしてモアイが語る超絶に面白いジョン・メーソンの小説の話、とどれをとってもエピソードにこと欠きません。ラストのいっちゃう感じがすごい。ピンポンピンポン!

読了日:07月17日 著者:パク・ミンギュ
海岸の女たち (創元推理文庫)海岸の女たち (創元推理文庫)感想
「失踪した夫を捜索する妻の話」ですが、社会派ミステリと言えると思う作品でした。冒頭、海岸で二人の女性が靴をモチーフとし、ある出来事が描写されて行きます、これが後半非常に重要になるので最後再読しました、この部分。ニューヨーク、パリ、ヨーロッパと妻アリーが夫の足跡を辿っていって、彼が見たものを自分も把握しようとするバイタリティ、小さな手掛かりから何とか引き出そうとする行動にもに感嘆しました。途中で夫婦のあることがわかるのですがそこで私は驚きまくりました。ええっと。しかしこれが大きな物語の鍵にもなっていました。
読了日:07月16日 著者:トーヴェ・アルステルダール
パンドラの少女〈下〉 (創元推理文庫)パンドラの少女〈下〉 (創元推理文庫)感想
それぞれの人の正義はあり、一見残虐な行いをしているようなコールドウェルにさえ、(わかるよ・・・)と言いたくなりました。少女メラニーの独房生活から解き放たれ外を見た反応の数々が新鮮で詩的で美しく、そこも読ませました。またメラニーのミス・ジャスティーノへの無垢な思いと愛情、それに伴う自分の中にある黒い欲望への抑制、も、けなげだなあと思いました。ラスト、こういう結末!こういう結末しかないかも、と改めて感じました。気持ち悪い場面も多々ありますが(この方面私は苦手なんです本来は)、ともかくも読ませるエンタメでした。
読了日:07月16日 著者:M・R・ケアリー
パンドラの少女〈上〉 (創元推理文庫)パンドラの少女〈上〉 (創元推理文庫)感想
出だしが最高潮に面白いです。少女が独房で首と両腕を固定されている、車椅子で。何人もの同じような少年少女がいて、彼らは教室に集められ教育を受けている、親も何もいないようだ、この設定で、なんで?なんで?誰?この世界は?と疑問が頭に渦巻きます。ほどなくこの世界がどういう世界かという開示があり、(ああ!!!)と納得するのです、でも話はそこからで、この軍事施設からの脱出劇があり、ここから荒廃した世界への第一歩が始まるのです。キャラクターが非常にどの人もたっていて、引き込まれました。軍曹への評価が一番変わりました。
読了日:07月16日 著者:M・R・ケアリー
ミツハの一族 (創元推理文庫)ミツハの一族 (創元推理文庫)感想
一章の終わりでええっと驚き、そのあと、(もしかしてこれってあれ?あれ?あれ?)とずうっと心で呟きながら読んでいました。(あれは、解説でも伏字で触れられているので、そうでしたやっぱり)。大正時代の北海道、未練がこのようにあると鬼になって生活圏の水を濁してしまう人の、未練が何かを探るという話。探る人が水守と鳥目役。両方ともいわゆる目の障害があるのですが、この描写が美しく思わず読みふけりました。ラストの章、いやあ・・・驚きよりも、あたたた・・・
読了日:07月10日 著者:乾 ルカ
プリズン・ガール (ハーパーBOOKS)プリズン・ガール (ハーパーBOOKS)感想
『実の父親に監禁され半死半生の目にあっている少女がそこから脱出する話』と勝手に私は思っていましたが、全く違います。まず監禁の話、ではなく、どちらかというとロードムービー的な話。一緒に彼女と旅する羽目になるデッカーが魅力的、普通過ぎて魅力的という稀有な存在の青年でした。ベティは彼のおかげで成長できたんじゃないかな。腑に落ちないところは数か所あるのですが、さくさくっと読めました。
読了日:07月10日 著者:LS ホーカー
風の歌を聴け (講談社文庫)風の歌を聴け (講談社文庫)感想
何度か読み返すのですが、折々に。これが出た時の私の衝撃を思い出すのです、翻訳小説と思ったくらいだったから。それだけ画期的でした、この文章と内容は。これからスタートしたのだなあ・・・と感慨深く今は読み返します。
読了日:07月10日 著者:村上 春樹
ささやかな頼み (ハヤカワ・ミステリ文庫)ささやかな頼み (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
多分、だけど、作者はハイスミス大ファンらしく(何度もハイスミス作品の話が本文でも出てくるし、解説にもあった)、そういう心理サスペンスを目指していたのでしょうが・・・うむ。ママ友の話、と思っていたらそうではなく(そうなんだけどそうではない)、どちらかというと、本当のその人の姿とは、みたいな話。シングルマザーのステファニーの隠れた過去の開き方、大親友になったとステファニーが思ったママ友エミリーへの憧れ、とかこのあたり非常にわかります。二転三転があと一歩かなあ。最後の一ひねりがもうちょっとあったらよかったかも。
読了日:07月10日 著者:ダーシー・ベル
あとは野となれ大和撫子あとは野となれ大和撫子感想
架空の国の物語ですが、世界情勢のいろいろな事実が盛り込まれているので、エンタメとしてはめっぽう面白いです。地図もじっくり見ました。しかも女性ばかりの後宮(といっても今や性産業ではなく、頭脳開発の場になっているところ)で、女性たちがわさわさ頑張っちゃうと言うところも読ませました。が。正直に言うと、女性たちの語りのあまりの軽さに、ちょっとひいちゃったかなあ。アンバランスな感じがしたのです、話し言葉とこの内容とが。
読了日:07月10日 著者:宮内 悠介
映画にまつわるXについて2映画にまつわるXについて2感想
大好きな監督さんのエッセイ集。映画永い言い訳を見ていると、ますます楽しめると思います。もっくん・・・思ってたのと違う人というミーハーな気持ちも出てきて全体に堪能しました。子役の男の子の大ファンだったので裏でこのようなことが・・・。映画って一人だけじゃないというのはわかっていたけど、こんなに多くの人の手を通しているのだなあ・・・。どこまでを妥協点にするか、っていう判断をするのも監督なので大変だなあと思いました。
読了日:07月10日 著者:西川 美和

読書メーター
6月の読書メーター
読んだ本の数:13
読んだページ数:3773
ナイス数:380

漱石漫談漱石漫談感想
とても面白かったです。読んでない人は読みたくなるだろうし、読んでいる人は再読したくなるだろうし、ともかくも漱石本の敷居をばっと低くしてくれる一冊だと思いました。この対談の重要なところは、お二人から漱石への愛が溢れていて読み込んでいる、というところだと思います。愛があるので時におちょくっても突っ込みを入れてもそこは許される。行人の直の考察と、門のある章からの展開についての語りは読ませました。猫温泉は笑ったし、いとうさんの美禰子嫌いにも笑いました(が、私も好きではありません)。バーナード嬢曰くの漫画も最高。
読了日:06月22日 著者:いとうせいこう,奥泉光
穢れの町 (アイアマンガー三部作2) (アイアマンガー三部作 2)穢れの町 (アイアマンガー三部作2) (アイアマンガー三部作 2)感想
前巻から待っていましたが、期待していた以上の面白さ。が、またここで切れる!また次を待ちます・・・。
前巻でどちらかというと線が細いイメージのあったクロッドがたくましく大人に成長していく姿が読ませました。ルーシーは相変わらず元気いっぱい、いいなあ、この娘。今回はお屋敷を出て町、の物語なのでそこに生きる人たちの姿もまた活写されていました。物から人へ、人から物への流れが一気呵成に読ませます。見開きの町の鳥瞰図も裏表紙裏のポスター図も楽しいし、不気味な挿絵も物語を盛り上げてくれてわくわくしました。
読了日:06月22日 著者:エドワード・ケアリー
かがみの孤城かがみの孤城感想
初期作品、特に冷たい校舎~あたりを強烈に思いました。不登校の女子中学生の部屋の鏡が光ってそこから異世界に行く、という出だしでファンタジーっぽい?と敬遠していましたが、全く思った話と違って堪能しました。中学生の少年少女たちのそれぞれの描写の生き生きとしていることと言ったら!現実世界での母親とのやり取りも胸を打ちました。伏線は巧妙ですが物語全体の構成はわかります、早い内に。けれどラスト二つは私はわからなかったので驚愕。そしてラストと最初が呼応して美しい。願わくはこの物語が闘う全ての子供たちに届きますように!
読了日:06月20日 著者:辻村 深月
劇場劇場感想
恋愛小説。どうしても関西弁と頭の中で物と行動を考えて続けている自意識過剰の男が作者本人に重なってきて、それを振り払うのにまず一苦労。劇作家の永田像が頭で考え続けている男で、昭和の時代の文学系演劇系の男子によく見られた男だと思いました。天真爛漫な笑顔の絶えない沙希の「本当によく生きて来れたよね」という言葉がまさに本質を突いていると思います。後半が辛い。私が違和感を感じたのは、手をつなぐ以外に一切の男女の交渉が描かれていないところです。二人の思いというのがあると思うので、ここは重要なところ、だと思うのですが。
読了日:06月17日 著者:又吉 直樹
まっぷたつの子爵 (岩波文庫)まっぷたつの子爵 (岩波文庫)感想
面白かったです。人間の中の善悪の分離ということでジキルとハイドを思いますが、それとは全くアプローチが違っていて。戦場で真っ二つになった子爵の体の半分側が悪になって戻って、後半でもう半分側の体の善が戻ってくる、という奇想天外な物語。大人のメルヘンであり寓話でもあります。悪子爵の悪辣なことと言ったら!この中で隔離されているらい病患者の村が最初放埓な暮らしをしていて、善の子爵が戻ってきて、一見良さそうなのにそれを疎ましいと思うというところになんとも皮肉を感じました。結婚するつもりになった少女の機知が光ります。
読了日:06月17日 著者:カルヴィーノ
少年Nのいない世界 02 (講談社タイガ)少年Nのいない世界 02 (講談社タイガ)感想
このシリーズ楽しみにしています!1を読んだ時にも次が待たれましたが、今回も!!異世界に飛ばされた小学生たち(しかもその異世界が別々の場所)、その子たちがそれぞれの場所で成長しているのですが、まだ何もわかっていません。なぜ異世界に飛ばされたのか、そもそものきっかけの猫殺しの犯人はどこにいるのか、異世界は一体全体何なのか?長谷川歩巳が今回はメインで彼が過酷な労働の場所に来てそこで居場所を見つけているけなげな姿が読ませました。繋ぎ役の二葉の意図がよく1ではわからなかったのですが、徐々に判明、そしてラストの驚き。
読了日:06月17日 著者:石川 宏千花
私の名前はルーシー・バートン私の名前はルーシー・バートン感想
とても良かったです。小説の作りがまず面白いです。病院に入院しているルーシーとその傍らにいる母の姿があると思えば、そこからルーシーの悲惨な過去が語られ、そしてさらにこれを俯瞰しているルーシーの未来があり、更に更に、入れ子のようにその中に『作家になろうとして自分が入院しているときのことを課題で書いているルーシー』の姿も入っている、という何とも読ませる作りで、これが何の引っかかりもなくつるつる入ってくるというのが巧いと思いました。日常の人への視線、描写もまた読ませ、後半の章が断片になるにつれて魅力が加速。
読了日:06月13日 著者:エリザベス ストラウト,Elizabeth Strout
ご本、出しときますね?ご本、出しときますね?感想
テレビ番組を楽しみに見ていたので、本になるのを心待ちにしていました。全体に楽しく読みましたが、やっぱり特に面白いのは本になっても同じで、加藤知恵と村田沙耶香のところと、西加奈子と角田光代の部分でした。角田光代が何でも引き受けてしまうというのは放映でも笑いましたが、本でも笑いました。作家の人となりは作品に出ている場合もあるし出ていない場合もあるけれど、若林の自然体と人となりが彼らの隠された面を外側に出してきて読ませます。ただ・・・やっぱり映像で面白かった微妙な表情とか話し方とかの部分は消えてるかなあ・・・
読了日:06月13日 著者: 
みみずくは黄昏に飛びたつみみずくは黄昏に飛びたつ感想
ちょっと侮っていたかも、川上未映子。とても刺激的で思った以上に、いや、思った数十倍良いインタビュアーでした。読ませます。ファンではあるけれどそれを前面に出さず必要あらば村上春樹の著作の例をきちんとあげていること、作品に妙な解釈をせずにストレートに疑問を投げかけていること、かなりの下調べをして臨んだことに拍手。村上春樹が率直に物事を語っていて知らないことは知らない、違うことは違うとはっきり答えられるのも聞き手が引き出しているからだと思います。騎士団長殺しを読んだのなら必読だし、他作にも言及して興味深いです。
読了日:06月13日 著者:川上 未映子,村上 春樹
夜の谷を行く夜の谷を行く感想
全編息を詰めるようにして一気に読みました、そしてこのラスト。かつてあさま山荘事件にかかわった一人の女性啓子が刑に服した後、息を潜めるようにして生きる姿、かつての同志と図らずも連絡を取り合うことで『同志のその後』を知ってしまうという構図、など読みどころは沢山ありました。なぜ理不尽ともいえる総括があの場で行われたのか、どういう気持ちで彼らが集ったのか、小説とはいえ一つの答えがあると思いました。ただ、実名の人たちがいる一方で、啓子は架空の人物なのでそのいりまじりがやや気になったのと、未消化部分が残りました。
読了日:06月13日 著者:桐野 夏生
素敵な日本人 東野圭吾短編集素敵な日本人 東野圭吾短編集感想
趣向の違った9編の短編ミステリ。
読了日:06月12日 著者:東野 圭吾
女心についての十篇 - 耳瓔珞 (中公文庫)女心についての十篇 - 耳瓔珞 (中公文庫)感想
表紙の絵、そして挿絵、好みはあると思います、小説から喚起される映像って人それぞれだから。けれど、ここに取り上げられている短編群、チョイスが良いので(そしてマイナーなのが多い)、画が好みであろうとなかろうと、これを機会に手に取るというのは非常に重要なことでした、私にとって。岡本かの子はやっぱりすごいなあ・・・とか、円地文子のおはるさんはいかにも彼女らしいなあ!とか。有吉佐和子の地唄が非常に心に残りました、これまた有吉佐和子らしい芸事の話。芥川龍之介のこれって、今の時代でもあるあるネタ、すっごいわかりました!
読了日:06月12日 著者:安野モヨコ 編
少年時代 (ハルキ文庫)少年時代 (ハルキ文庫)感想
ほこっとした昭和の話、で終わると思いきや、そこはこの作者、最後でああっというものは持ってきてくれます。最初のチンドン屋さんについていった男の子の事件目撃者になった顛末、2番目の笑いが充満している東北のある子どもの物語(ご両親の方言に笑った笑った)、3番目の学生時代のしごきのある柔道部の話、とそれぞれも読ませました。
読了日:06月12日 著者:深水 黎一郎

読書メーター

読んだ本の数:19
読んだページ数:5378
ナイス数:448

ガラスの靴 (新潮文庫)ガラスの靴 (新潮文庫)感想
いかにもファージョンらしいシンデレラの物語。夢のような豊饒な言葉で紡がれたシンデレラストーリーは、細部がとても良いのです。王子様のところにいる道化(!)の大きな存在、シンデレラの部屋となっている台所の『物』たちが話すファンタジー性、きらびやかなドレスの描写の数々、極上のお菓子の美味しそうなこと、憧れの舞踏会、そしてちょっぴり忍び笑いさえ起こるお義母様の様子・・・。途中の歌、も、どれも良くて。楽しくそれでいて格調高いシンデレラストーリーを楽しみました。ところどころにシェイクスピア劇を思いながら。
読了日:05月31日 著者:エリナー ファージョン
ミステリ国の人々ミステリ国の人々感想
とても楽しみにしていた一冊でした。面白かったです。いわゆる名探偵一覧とその解説、ではなく、ミステリ小説の中の、名探偵もですが周辺の家族、被害者などにも焦点を当てた一冊。わかりやすく語ってくれていますが、初心者にもまた手練れのミステリ者にも読むべきところは多々あると思いました。各作品の視点のようなものが独特の個所もあり、ああ・・こうやって読むところもあるのだなあ・・・と改めて思った作品もありました(コーデリア・グレイの話で特に)。大した男ではない、とある人物を一刀両断しているのにも大笑いしました、確かに!!
読了日:05月31日 著者:有栖川 有栖
東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。東京日記5 赤いゾンビ、青いゾンビ。感想
魅力的で可愛らしい動物(物も)の装幀と本の手触りと、不思議な文章が相まって、読ませる一冊になっていました、今回も相変わらず。日記、なのですが、妄想もありもしかして創作?もあり、実際の話もあり、これが何とも言えない川上ワールドを構築しています。初期の短編っぽいところも多々あると思いました。エア秘書集団にくすっと笑いつつも、不思議なカップルの行く末にも目を凝らし・・・。このシリーズ大好きなので、これからもどんどん出していってほしいです。
読了日:05月31日 著者:川上 弘美
辺境図書館辺境図書館感想
連載時から楽しみにしていました、一冊になるのを。装幀も美しくここに一冊が出来上がり、改めて読んでみると、皆川博子の選書の奥深さに気づきます。夜のみだらな鳥に始まって、彼女が偏愛した本の数々への言及の素晴らしさといったら!読みやすく手に入りやすい本を紹介しているいわゆるブックガイドとは一線を画しますが、背筋が伸びるような本への愛の数々が胸を打ちました。それぞれの最後の文の本の内容、作者背景もさることながら、最後にそれから喚起触発された自作への言及も読みどころ。そしてラストには嬉しい皆川博子短編のおまけつき。
読了日:05月31日 著者:皆川 博子
いのちの車窓からいのちの車窓から感想
相変わらず癒されます。マルチな才能を持っている星野源。彼のエッセイに癒されるのは、そこはかとないユーモアを底辺に漂わせながら、孤独、というのをこれほど知ってる人もいないからなのだと思います。いわゆるハレの場であるコンサートやドラマ作り、一方でケの場である作曲づくりや自分を見つめる執筆活動。どちらの両輪も彼には欠かせないのだと思いました。育ちの良さみたいのが伝わってきます。
読了日:05月31日 著者:星野 源
渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)渇きと偽り (ハヤカワ・ミステリ)感想
読む手が止まりませんでした。ミステリとしては、現在の殺人事件と過去の殺人事件とのリンク、閉鎖的な人たちがいる町、かつて追われた故郷に再び戻ってくる男、彼の心のうねり、と既視感はあるのです。けれどそれを吹き飛ばしてくれるような骨格のあるミステリでした。何より設定が『旱魃』です。そこで絶望感に苛まされながら苛立ちが最高潮に達しようとして何かのきっかけで爆発寸前の人間を見事に描いていると思いました。現在の犯人はなんとなくわかります、けれどそれでもなお読ませる力がありました。そして文章も読みやすいです、とても。
読了日:05月22日 著者:ジェイン・ハーパー
無限の書 (創元海外SF叢書)無限の書 (創元海外SF叢書)感想
面白くは読んだけれど(特に魔術部分)、これははまる人ははまるんだろうなあ・・・と思いつつ読んでいました。サイバーパンクが私はやや苦手なので、その部分は辛かったかも。映画のインセプション映像を途中で思い出しました。アラブの春を想起させる民衆の暴動(リアル)、ジン等魔物たちの巣窟(ファンタジー)、ネットでの覇権争い(ヴァーチャル)と、話はあちこちに壮大に飛んでいきます。中盤モスクで巻き込まれたピラル師の最後までの高潔さに心打たれました。あとヴィクラムらぶ。アリフの本名が最後になってあれというのに驚きました!
読了日:05月22日 著者:G・ウィロー・ウィルソン
か「」く「」し「」ご「」と「か「」く「」し「」ご「」と「感想
5人の高校生の友情の物語をほのぼのと読み終わりました。この5人がそれぞれ奇妙な特殊能力を持っているというところがスパイスになっています。そのことよりも、皆がちょっとずつ隠し事があってそれが小さなことなんだけど高校生活には重要なことであって・・・というこの部分が読ませました。携帯とかスマホが活躍(?)していないで、昔ながらのクラスで(ちょっとした軋轢はあるもののいじめとかはない)ほっ。ちょっと大人びたパラの気持ちがわかるなあ・・・。あと最後のエルの特殊能力の役立ったことと言ったら!ダブルミーニングがここに!
読了日:05月22日 著者:住野 よる
ifの悲劇 (角川文庫)ifの悲劇 (角川文庫)感想
帯にある通り、ある事件のパラレルワールドが広がっていて、プロローグがあり、AのケースとBのケースというように二つの物語を交互に読んでいきました。途中であれ?あれれ?(→コナン風に)。最後にええええええ!私は仰天しました。ただ非常に凝ってるのでわかりにくく(表面上のことはすぐにわかるのですが、細部がわかりにくい)、付き合わせをしながらの再読必至でした、私は。なるほど!!面白かった~!
読了日:05月18日 著者:浦賀 和宏
新装版 紫のアリス (文春文庫)新装版 紫のアリス (文春文庫)感想
冒頭で、全てに絶望している女性が夜の公園で変死体につまずき、しかも近くに不思議の国のアリスのウサギが・・・ここで幻想方向かファンタジー方向の話かな?と思いました。が、そうではなく。記憶の不確かさ曖昧さが全てを混沌とさせてくれました。不思議の国のアリス、が重要なモチーフ。
読了日:05月18日 著者:柴田 よしき
人間じゃない 綾辻行人未収録作品集人間じゃない 綾辻行人未収録作品集感想
既存作品の後日談、や、スピンオフの形の未収録作品群でした、面白かったです。ホラーとミステリと不思議はなしの融合体。表題作は怖くておぞましくてぞくぞくっとしました、この設定だけで涙目に。犯人宛ての洗礼は、内容もさることながら作者の大学時代からの道程のようなことを考え、最後のあとがきを読むとしみじみとします。
読了日:05月17日 著者:綾辻 行人
毎日っていいな毎日っていいな感想
気楽に読めるエッセイ。スピリチュアルなところは思ったほどなくて、全く知らない人たちなのになぜか懐かしさを感じました、特に亡くなったご両親との旅行とか思い出の話に。ミーハー的には(高齢出産だったんだ!)とか(事実婚なんだ!)とか(息子君がいるんだ!)とか、そんなことにも思いを馳せました。言葉の一つ一つを深く受け取るのも、気軽に受けとめるのも読者次第の本、だと思います、そしてどちらでもいいんじゃないかとも。
読了日:05月16日 著者:吉本 ばなな
最愛の子ども最愛の子ども感想
ぐっと心掴まれた小説、大好き。冒頭の女子高生の会話から秀逸で、三人の女子高生日夏、真汐、空穂のそれぞれがパパママ王子(息子)という疑似家族を作っている、という設定で、『わたしたち』の妄想と事実の視点がある小説。『わたしたち』は何かというと周りの女子高生のいわば観察者グループですが、揺らいでいる人称『わたしたち』の視点がまた面白いと思いました。百合小説の要素もあるし、セクシュアルな部分もあるのですがそこのみで切り取るのは惜しすぎます。実際の家族そして将来の自分を想像する高みから想像する姿など読みどころ満載。
読了日:05月13日 著者:松浦 理英子
蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)蠅の王〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)感想
新訳で読んでみましたが、とても読みやすいです。解説にもあるように読み方は深くも浅くも読めるとは思いました。少年たちがそもそもこの無人島に来てしまったのは、『核戦争が起こって疎開した子供たちだった』という前提をすっぽり私は忘れていました。最初ラルフとジャックには友情さえ感じられるのですが、後半徐々に野性に目覚めてしまうジャックの姿とその仲間が不気味すぎました。島が水もある、食べ物もある(果物とはいえ)、外敵もいない、状況。賢いピギーと子供離れしているサイモンがとても印象的でした。最初に人物表が欲しいかも。
読了日:05月11日 著者:ウィリアム ゴールディング,William Golding
村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!感想
騎士団長殺しだけではなく、多崎つくる~とか1Q84とか、他の本への言及もありました。騎士団長殺しの時系列は軽く私も作ったのですが、細かくここで作られているのでそこは面白く見ました。そうなのかなあ?という感想(説明しすぎと言われてもそこが読みたいところと思う読者が多いのでは?)と、そうなのよ!!(多埼つくるがなぜはぶかれたかという謎への答え)という感想が私の中で入り乱れた本。似たようなモチーフ、似たような主人公が出てくることに対して、50ページで大森望さんが言っていることは非常に正論だと思いましたが。
読了日:05月11日 著者:大森望,豊崎由美
愚者の毒 (祥伝社文庫)愚者の毒 (祥伝社文庫)感想
最後のある一点(私はこれはわからなかった)を除けば、すれた読者ならこの構造は見抜けると思います。でもわかっていてもなお読ませるし、吸引する力があるミステリだと思いました。幸せそうな老後を送っている老人ホームの女性の述懐と、職安で偶然出会った二人の不幸な女性の友情と恋との物語が鮮やかに描かれていました。この中でタイトルにもなる愚者の毒を言葉にする元中学校教師難波先生の気高さと言ったら!この人の存在がある意味かなり暗いこの話の一条の光となります。2章は一転して過去の話。ここから全てが始まるのです・・・
読了日:05月11日 著者:宇佐美 まこと
象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)象と耳鳴り―推理小説 (祥伝社文庫)感想
とてもとても久しぶりに再読。やっぱりいいなあと思いました。恩田陸不思議ワールドがぎゅっと入っている連作集です。元判事の関根多佳雄が出てきて、この人が古典ミステリ好きという設定なので、過去のミステリ作品もよく引き合いに出されています、いわく乱歩のD坂~とか、いわくケメルマンの9マイルでは遠すぎるとか。その使い方も絶妙で、ここにこういう具合に物語として入れ込むのかというのが改めて目を見張りました。関根一族も出てきて息子の春、娘の夏とそこも楽しく、更に他作品に出てくる関根一族を思うと、とても感慨深いです。
読了日:05月11日 著者:恩田 陸
中野京子と読み解く 運命の絵中野京子と読み解く 運命の絵感想
相変わらずこのシリーズ面白いです。何が面白いって、その絵画のことだけではなく、派生する様々な小説、映画、物語のエピソードを語ってくれる中野京子さんの語り口にあると思いました。しかしこの中で、左目の話、怖かった・・・現実が虚構を再構築するということ?表紙の印象的なパオロとフランチェスカの話も面白かったし、有名なムンクの叫びの盗難事件に始まった一連のバリエーションの解説も非常に楽しく読みました。グラディエーターのリドリースコットが一つの絵で刺激されて映画製作に向いたのを知りませんでした・・・
読了日:05月11日 著者:中野 京子
時間のないホテル (創元海外SF叢書)時間のないホテル (創元海外SF叢書)感想
とても面白く読みました。ある特殊な仕事をするためにホテルに泊まるビジネスマンのホテルでの話なのですが、読んでいて冒頭の謎の赤毛の女から引き込まれくらくらしました。ハイ・ライズより好みでした。シャイニングは必ず思いますが、怖さの質が違うような気がしました。謎の壁の絵、何度もきかなくなる219号室のカードキー、行けども行けども着かないコンベンションセンター(カフカ的)、壁の絵、そして後半のホテル内での走り回り方、どれをとっても質の高いエンタメ作品。偶然私はこの作品を旅先のホテルの219号室で読んでいました(怖
読了日:05月11日 著者:ウィル・ワイルズ

読書メーター
4月の読書メーター読んだ本の数:12読んだページ数:3896ナイス数:385村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事村上春樹 翻訳(ほとんど)全仕事感想村上春樹が訳した本、全体像を見るとこんなになってるんだ!というのがまず驚きでした。私もサリンジャーのライ麦畑は、野崎訳が染み込んでいるので村上春樹が訳した時にどうだろう?と思いましたが、とても良かったのを覚えています(現代的になりました)。間に柴田元幸との対談が入っていてここも非常に読みどころでした。翻訳にまつわる話、彼との翻訳のスタイルが微妙に違って微妙に同じで、とそのあたりなるほどなあと読みました。しかしこうしてみると村上春樹自身も言及していますが安原顕の存在は大きいなあと改めて思いました。読了日:04月27日 著者:村上 春樹
双蛇密室 (講談社ノベルス)双蛇密室 (講談社ノベルス)感想ぶ・・・ぶっとび。ずうっとこのシリーズ(というか作者)読み続けていますが、誰にも勧められないし誰とも話も出来ません。それほどエロ。口に出すのがはばかれるほどエロ。援助交際をしている女子高生らいちとそこに通ってくる警部補藍川(もう~ここで既に大違反だし!)のミステリ。しかし、です。非常に伏線がよくできていてミステリとして読ませるのです。この本で蛇、詳しくなった気がしますが・・・藍川の蛇嫌いのトラウマの真相が何だったのか、にもぶっとび&大爆笑!「普通」の本格、いつか読みたいです、それもすごく面白いと思う。読了日:04月27日 著者:早坂 吝
旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺旅人よ どの街で死ぬか。 男の美眺感想大ファンなので旅にまつわる話を非常に興味深く読み終えました。単なる旅行記ではなく、世界のあらゆる場所で、旅をするとは何なのか、その場所で何を思ったのか、そこから喚起されるイメージは何なのか、自分の近しい者の死を思い、ギャンブルで身を持ち崩す寸前になる放蕩さから生まれてくるものは何か、などが読みどころでした。ジョイス、ナポレオン、ゴッホなどへの言及も堪能。また作者の別の本でも読んだので知ってはいたのですがゲルニカの話は改めて読むと非常に地方の一本の木の重さと合わせて考えさせられました。読了日:04月27日 著者:伊集院 静
スレーテッド 消された記憶 (祥伝社文庫)スレーテッド 消された記憶 (祥伝社文庫)感想最後の大森望さんの解説に、これと同じ類の話とか映画がたくさん出ていて、それを見ながら(私はこの手の小説、どれだけ好きなんだろう!)と思いました。この手の話とは、「過去の記憶を消され新しい人間として生まれ変わる」という話です。ここでは犯罪者が矯正されたらしい、それがスレーテッドされた人間ということしかわかっていません。でも時折蘇る過去の記憶、過去の癖があり、語り手の16歳の少女カイラは誰が敵なのか味方なのかこの状況で掴まなければならないのです。手首のリング設定、ローダーズも面白いし社会情勢も読ませます。読了日:04月26日 著者:テリ ・ テリー
終りなき夜に生れつく終りなき夜に生れつく感想夜の底は柔らかな幻を読んでいるので、この世界観にすぐ入ることができました。前作は入り込むのに特別な言葉がざくざくいきなり出てきて非常に苦労しましたから。この物語、将来的に残酷な人たちになっていく青年時代を描くスピンオフで、どのようにして彼らが形成されていったのか、というのを読む楽しみがありました。勇司部分が好感持てました。ただ、ちょっと全体には物足りないかなあ・・・タイトルのウィリアム・ブレイクの詩(クリスティにももちろん触れていますが)の話のところはとても良かったです。読了日:04月26日 著者:恩田 陸
すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)すべての見えない光 (新潮クレスト・ブックス)感想非常に美しくいとおしい小説。大作ですが比較的短い文章が並んでいるので読みやすく何かの詩を読んでいるような心持にもなりました。一方でミステリの趣も確かにあり、最初の方で孤児の兄妹が必死に聞いているラジオから流れてくる話や宝石の行方など、後半開いていきます。フランスに住む盲目の少女とドイツに住むある種の天才の孤児の少年ヴェルナーのほんの少しの邂逅の部分に心打たれました。また特にヴェルナーのナチスドイツの訓練での心の逡巡、友達への溢れる思い、成長に読む手が止まりませんでした。ラジオ、本、ミニチュアセット、宝石。読了日:04月20日 著者:アンソニー ドーア
月の満ち欠け月の満ち欠け感想読む手が止まりませんでした、大好きですこの本。ミステリでもあり広義のSFでもあり、特に最後の美しく光溢れる章にぐっときました。愛の物語でもあります。冒頭、母子連れと一人の男性が東京駅のホテルの喫茶店で意味の分からない会話をしていますがこれがあとになって・・・。巧みなのです、語られ方が。ここはこうだったんだ!という、後から読み直す快感がありました。12章で自問自答していきついには崩れ落ちる別の真実にも私は驚きました。佐藤正午だから成り立つ本でもあるとも思いました。鳩撃以来、目の離せない作家さんです。読了日:04月16日 著者:佐藤 正午
コンビニ人間コンビニ人間感想とても面白かったです。この本を読んで、現代の若者の持っている時代の閉塞感、と感じる人もいるだろうし、人と自分が違っている違和感、に共感する人もいるだろうし、なんとか普通であろうともがいている人間に対する作品と思う人もいるでしょう。読み方がいろいろできる、ということにおいても、たくさんの人が読むのがわかるという作品でした。無機質なコンビニを舞台にしたというのも秀逸でした。後半の「私」と白羽さんとの関係性も非常に現代の常識を指摘していました。一種強烈な気持ち悪さも残るけれど(←誉め言葉です)
読了日:04月14日 著者:村田 沙耶香
処刑の丘処刑の丘感想まず、このミステリの重要なポイントになるこの時代のフィンランドの内戦状況を知りませんでした。最初のところに日本人向けに赤衛隊白衛隊(いきなりロシアドイツと言われても)の簡単な説明と、この町がどういう状況下にあったかという説明がほしいと強烈に思いました。上司に阻まれながらも正義を貫こうとするケッキ、でもヴェーラに強烈に惹かれてしまう人間らしい部分も持っているケッキ、そしてあらゆる人が来るサウナでマッサージ係として働くヒルダの逞しさなど、読むべきところもありました。ヒルダの夫の心の傷もまた痛々しかったです。読了日:04月14日 著者:ティモ・サンドベリ
魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─魂でもいいから、そばにいて ─3・11後の霊体験を聞く─感想泣けました、大切なご家族を亡くした方々の絶望の姿に。311の東北地方の津波で肉親を亡くした遺族の方たちに現れた「死者からのしるし」。科学で割り切れないことを扱っているのできっとその部分でフィクションノンフィクションの論議もあるのでしょうが、確実にこれが遺族の救いになっていると思いました。ただ死者からの現象だけではなく家族がどうかつてあったのか、これからどうあるのかというところまで踏み込んで丹念に描かれていてそこに胸打たれました。いつも傍にいるよという気持ちが救ってくれるのですね。そして私は信じます。読了日:04月07日 著者:奥野 修司
堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)感想楽しい!!奇妙なモノクロの挿絵も魅力の一つだし、両表紙の裏にある上の階下の階の断面図もまた楽しくて!話は、ごみの館に暮らしているアイアマンガー一族のクロッドという男の子と外からやってきた元気のいい女の子ルーシーという女の子の、ボーイミーツガールの話でもありますが、『物』の物語でもあるのです。全てのアイアマンガーには生まれた時に物が与えられていてそれはいっしょにいることが必須であり、なぜかその物の声が聞こえるのが体の弱いクロッド。後半凄まじい勢いで話が展開していくところが次巻への期待を膨らませます。読了日:04月05日 著者:エドワード・ケアリー
痛みかたみ妬み - 小泉喜美子傑作短篇集 (中公文庫)痛みかたみ妬み - 小泉喜美子傑作短篇集 (中公文庫)感想昭和、をあらゆるところに意識させられますが、古さは感じずそこがまた味になっていました。どの最後も予想範囲内ではあるものの、語り口が巧みなので思わず引き込まれます。幻影譚と思えるかたみ、の皮肉なラストがとても良かったと思いました(これまたヴェトナム戦争とか時代を感じさせます、重要なキーになってるし)。兄は復讐するは、大切にしていた妹が都会の地である出来事に巻き込まれ・・・というのに兄が復讐する文字通りの物語ですが。これまた語りが巧妙で兄の妹への執着のようなところまで描かれているところに好感を持ちました。読了日:04月05日 著者:小泉 喜美子
読書メーター
3月の読書メーター読んだ本の数:15読んだページ数:5106ナイス数:358少年Nのいない世界 01 (講談社タイガ)少年Nのいない世界 01 (講談社タイガ)感想好きです、これ。ライトSFって感じかなあ。小学生の子供たちが異世界に行ってしまうという設定で楳図かずおの漂流教室を思い出しました。が。これは一人もしくは二人がばらばらの『別の星』に行ってしまうという設定になっているのでさらに過酷です。誰も頼る人がいない場所、言葉も通じない場所で懸命に生きていった結果、5年の月日が流れて・・・一人の少女(彼女の意図も気になる!)が皆を訪ねて安否確認をし始めるのです。まだ出てこない子もいるので次巻が楽しみ!これと対になる少年Nの長い長い旅の方もぜひ読んでみたいです!読了日:03月29日 著者:石川 宏千花
完璧な家 (ハーパーBOOKS)完璧な家 (ハーパーBOOKS)感想完璧で素敵な弁護士の夫は、グレースという女性の、障害のある妹まで引き取り、明るく一緒に暮らそうよと言ってくれます。皆の前で妹とダンスを踊ってくれます。妹の好きな色の黄色で新しい部屋を作ってくれたりします。なんて素晴らしい人・・・、と思いきや!ありがちなのですが内容としては。ここには惨殺死体もなく血もほぼなく暴力もほとんどないのに、予兆だけでこれだけぞくぞくさせるとは。支配される恐怖、誰も自分を信じてくれない絶望感と閉塞感、脅迫の数々、上手ですそのあたりの描き方が。黄色と赤、そこがとても大きなポイントです。読了日:03月29日 著者:B・A・パリス
ゼロ・アワーゼロ・アワー感想猫、タンゴ、暗殺者、ブエノスアイレス。巧いんだけど。ど。読了日:03月29日 著者:中山可穂
失われた地図失われた地図感想特殊能力を持つ人たちがグンカと闘う、という世界がいきなり語られ始めるので、最初は戸惑いますが、そのうちに引き込まれました。日本各地に残る軍部跡地での記憶の残滓の語られ方が良かったと思います。ただ・・ちょっとストーリー的に弱いかなあと思いました。そして最後まで読んで、まだ途中と思いたいです。非常に読ませる部分がある反面、これではあまりに中途半端に終わっているから。読了日:03月29日 著者:恩田 陸
コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)コードネーム・ヴェリティ (創元推理文庫)感想冒頭のところで過酷なナチの捕虜への処遇があり、悲惨な状況の女性が非常に哀れで心傷みました。その後彼女はイギリスのスパイとしてナチの捕虜になっていたことが判明し、手記で情報を書くように強制されます。凄惨な場面も折々に入ってくるのにこの手記だけど、青春物語の素敵なことと言ったら!出自の違うマディとクイーニーの友情、祖国と飛行機への愛と続き、特に印象的な場面は、飛行機から見た色の違った太陽の場面でした。第二章、全く違った観点があるので、第一章をなめるように読み返しました。最後は泣けました、私は好きですこの小説。読了日:03月22日 著者:エリザベス・ウェイン
ぼくが死んだ日 (創元推理文庫)ぼくが死んだ日 (創元推理文庫)感想楽しいです!一人の少年があるきっかけでゴーストたちの物語を聞くという羽目に陥ります。典型的なゴーストストーリーなのですが、中に、アッシャー夫人とか火事とか棺とかでポーを連想させ、またもろに猿の手の使い道が出てきて、先人の作品への強いリスペクトが感じられました。鏡の話もハリーポッターや白雪姫などあらゆるものに出てきますよね。一人一人の若くして死んだゴーストのストーリーが面白いので強く引き込まれました。墓碑に生年と没年あって、解説にもあるようにそこから歴史も話の中に織り込まれていてなかなか凝った作品なのです。読了日:03月22日 著者:キャンデス・フレミング
【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)【2017年・第15回『このミステリーがすごい!大賞』大賞受賞作】 がん消滅の罠 完全寛解の謎 (『このミス』大賞シリーズ)感想基本は、なぜ保険を掛けた末期癌の人が完全に治るのか、という謎につきます。癌治療のみならず現代医療の問題点、パンの食中毒の話、鬱的な傾向の人の文学作品の高度なことへの言及と話題が多岐にわたる部分が面白かったです。会話で重要な部分が進んでいくので、ここがやや平板でたまに誰が誰やら混乱しました。地の文章だったらなあと。あと・・・謎があいても、一般人の私としては医療への不信と(物語とはいえ)気味悪さが先に立ってというのが正直なところ。決してつまらなくはなかったのですが。最後の一行・・・ううむ・・・読了日:03月22日 著者:岩木 一麻
神様の裏の顔 (角川文庫)神様の裏の顔 (角川文庫)感想このタイトルから当然、誰かの裏の顔の話、と思って読者は読むわけです。聖人君子のような誰からも愛される教師が死んだ、という話が冒頭あり皆が絶賛していて、(怪しい・・・)と読者はここで既に思うわけです。そのあとやっぱり!の展開がありそこで終わりと思っていたら、え!の展開があり、更に、裏の顔はこういう意味だったのか!という・・・・。面白いのですが、全部わかってしまうとそうなのか、となんだか物足りなさが残りました。一読で終わっちゃうかなあ。そこここにユーモア場面があります。読了日:03月17日 著者:藤崎 翔
僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)僕が恋したカフカな彼女 (富士見L文庫)感想カフカという一文字と、この作者なので読んでみました。カフカ部分は非常に楽しく、もしカフカ作品を読んでいなくても読んでいてもどちらでもこの考察とかおしゃべりは読ませると思いました。ただ、惜しむらくは、主人公と女子学生のキャラクターがあと一歩・・・。特に女子学生の方、なぜ彼女がカフカをそれほど愛するようになったのか、という最初の部分を知りたいと思いました。ちょっと盛り込みすぎなのかなあ・・・彼女の謎、日常の謎、そして大きな事件の謎と。でもでも、198ページの謎は倒れるほど驚きました!!次作希望いたします。読了日:03月17日 著者:森 晶麿
青鉛筆の女 (創元推理文庫)青鉛筆の女 (創元推理文庫)感想青鉛筆の女!(彼我の違いを再認識)話は3つの分野にくっきり分かれています、パルプフィクションと編集者からの手紙と改訂版と称する小説の3つに。編集者からの手紙で、どんどん書き替えさせられるフィクション。3つの中で改訂版の自分がいわゆるタイムスリップ&自分の存在自体が危うい世界に行くという部分が非常に面白く読ませました。それとパルプフィクション部分が重なり合い最後の方で思わぬ展開がありました。史実を知らないと面白くないと思うので、ウィキペディアを横に日付と用語を読むと更になるほど!と思う部分があると思います。読了日:03月15日 著者:ゴードン・マカルパイン
地中の記憶 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)地中の記憶 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想うねるように話が進む緻密なミステリ。過去の視点は『わたし』であり、現在はアニーの視点の三人称でした。15歳の年に井戸の中を覗き込むとそこに将来の伴侶が見える、という言い伝えを信じて屈折した少女アニーが覗き込みに行くというところから物語は開幕します。冒頭から途中まで過去に何が起こっていたのか、起こっているのか、この人は真実を知っているのかいないのか、小出しに出てくるので概観がわかりにくかったのですが途中から一気呵成。過去のジュナのキャラクターが強烈で両方の時代の姉妹のありようが重なってそこも読ませました。読了日:03月15日 著者:ローリー ロイ,Lori Roy
深い穴に落ちてしまった深い穴に落ちてしまった感想自分の頭が深い穴に落ちてしまった、のかと思いました。素数?暗喩?寓話?これの解答編、のような本がほしいです、いかにそれぞれで読むとはいえ。読了日:03月15日 著者:イバン・レピラ
最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常感想藝大の中が音楽系と美術系がまったく違っているというのになるほどなあ・・・と思いました。音楽系の話では、ちょっと前に読んだ小説恩田陸の蜜蜂と遠雷を強く思い出しました。やっぱりコンテストとの戦いなのですね、あと先生とは師匠と弟子の関係。これが美術になると、自分よりもその作品だし、一過性のものでもないし、全く違う藝術なんだと改めて思いました。面白く読んだのですが・・・・続編を出してほしいです、掘り下げるために。藝大の数名の人たちだけではなく、先生とか両親とか(出ていましたが間接的が多い)へのインタビューとか。読了日:03月10日 著者:二宮 敦人
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編感想騎士団長が出てくるところは言葉遣いにユーモラスさを感じました。一方で禍々しい鈴の音が鳴っていた土の中、これが最後になってまたきいてきます、ここは村上春樹の某小説の井戸の底に行く感じでした。免色さんの娘への思いの形がギャツビーの行動と同じだなあというのも強く思いました。父と子のモチーフが形を変えて現れています。夢での交わり、一人称、おしゃれな料理、音楽、文学への造詣とそこも楽しめました。一方で私には謎が残っています、免色さんの心の奥の闇とは何か。なぜ彼は最初の段階で穴を強烈に掘ったのかなど。エピローグは?読了日:03月10日 著者:村上 春樹
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編感想楽しめました。今までの村上春樹を読んでいるとそこに使われていることがたくさん出てきますが、私は焼き直し、ではないと思います。一人称で書かれていて、今回は主人公は画家で、肖像画で糊口をしのいでいたのですが、妻との別居を機にある画家の別荘に住むことになるのです。最初にプロローグがあり、そこに顔なしが出てくるので、これはいったい?と思っているとラストまで読むとこの話だったのか!と膝を打ちました。広義のミステリでもあり、肖像画依頼してくる免色さんは一体何の意図が?とか、鈴の音は?とか引っ張っていってくれました。読了日:03月10日 著者:村上 春樹
読書メーター
2017年1月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2767ページ
ナイス数:350ナイス

ただ、それだけでよかったんです (電撃文庫)ただ、それだけでよかったんです (電撃文庫)感想
心の中にぐっと入る人には入る話だと思いました。いじめ、がテーマなのですが、謎に満ち溢れていてストーリー的にはよく出来ていると思います(想像できるにしろ)。特に革命が何だったのか、という謎はなかなかのものでした。あと人間力テストの設定も。ただ・・・キャラクターが深みがないのと、文章が抵抗があるところが多かったかなあ、私には。でも興味持ちましたよ、この人の作品。
読了日:1月31日 著者:松村涼哉
ぐうたら上等ぐうたら上等感想
年末年始に必ず読むシリーズです。一年をこれで振り返ると、去年もいろいろあったなあと思いました。芸能の話題から映画から、政治問題までぶれずに彼女の目線で語ってくれています。毒がやや抜けてきたかとは思いました。こなれた大人にならなくていいので、中野翠道を突き進んでくださいませ!
読了日:1月31日 著者:中野翠
八月は冷たい城 (ミステリーランド)八月は冷たい城 (ミステリーランド)感想
こちらは男の子バージョン。女子と壁を隔てて男子もまた集められているのです、七月から読むこと必須の物語。疑心暗鬼が中心となります、こちらでは。誰が何をしたか、誰が本当のことを言っているのか、本当の姿をさらけ出しているのか。少年たちの思いが交錯します。ホラー要素はこちらの方が強いので、みどり男のこととかはやや強烈かも。個人的には最後ぼんやりと終っても良かった気もします、全てを説明しなくても、と。作者の朝日のようにさわやかにに、みどり男がいるのでそこも読み直してみました。装丁が美しい、やや子供の絵が幼いけど。
読了日:1月29日 著者:恩田陸,酒井駒子
七月に流れる花 (ミステリーランド)七月に流れる花 (ミステリーランド)感想
美しくそして不穏で心をかきむしられるようなそんな気持ちになるミステリでした。ザッツ・恩田陸ワールド。二冊同時刊行ですが未読の方は是非こちらから読むことをお勧めします。すべての謎が解けるのが八月~の方ですから。こちらは女の子バージョンで、そもそもなぜ特定の女の子たちが緑の蔦に覆われるお城に集められたのか、流れる花とは何か、お地蔵様のところに集まる鐘の音の意味は何か、と謎が次々に繰り出されます。謎も、ですが、少女たちの佇まいが際立っていてそこにも魅せられました。
読了日:1月29日 著者:恩田陸,酒井駒子
いまさら翼といわれてもいまさら翼といわれても感想
古典部の最新作。今までのを読んでなくても楽ししめますが、読んでいれば、奉太郎君がなぜあのような省エネになったのか、という理由がわかり、なるほどーーと膝を打つこと間違いなしです。古典部四人の青春ミステリではありますが、今回は人間描写が中心だったような感じでこれはこれで楽しめました。走れメロスへの奉太郎の解釈が面白かったり、表題作のえるの今後が気になったりしますが。個人的には摩耶花の漫画研究会の話の顛末がとても好きでした、こういう場面ぶち当たるだろうなあと。(ちなみにサイン本購入しましたが元気の良いサイン!)
読了日:1月24日 著者:米澤穂信
幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)感想
新訳が出たので読んでみました。前のが読みにくいというわけではないけれど、圧倒的な読みやすさ。哲学小説とも言われますが、話そのものもどきどきするくらいに超絶に面白いです、今の時代でも尚且つ。巨大な宇宙船がある日やってきてオーヴァーロードと言われる異星人は決して姿を見せない。なぜ?何の目的で?こういうミステリでもあるのです、壮大なSFでもちろんありますが。第二部で、異星人の姿が出る時、うわーーーっとのけぞります。また真の目的が第三部で語られますが、そこでまたまたうわーーーー。一度読んだら忘れ難い話です。
読了日:1月24日 著者:クラーク
円卓 (文春文庫)円卓 (文春文庫)感想
西加奈子初読みはこれをチョイスしました、そして正解。弾けるような小3のこっこちゃんが可愛いし、こっこちゃんの大家族がいとおしいし、大阪弁が良いスパイスになっていて、独特のニュアンスが伝わるセンスが素晴らしいと思いました。作品全体がきらきらしています。小学生時代の自分を思い出しながら(誰しも思い出すと思います、自分の中のこっこちゃんを)ふくっと笑ったり。周りの人々もよく描けていて、どもりの男の子の真実を穿つ言葉とか、一文一文切り抜いて貼りだしたいくらいだ!と思いました。こっこちゃんのお爺ちゃんもいいなあ。
読了日:1月24日 著者:西加奈子
とりつくしま (ちくま文庫)とりつくしま (ちくま文庫)感想
単行本で既読だけど再読。この話の肝は、死んだ人が何らかの思いを持って、人にとりつく、のではなく、物にしかとりつけない、ということだと思います。だから勢い、未練のある人もしくは傍にいたい人の傍らにある何か、にとりつく。それは、愛する息子の野球の時に使う粉であったり( この話泣けた)、家族で使っていたマッサージチェアだったり、日記帳だったり。そこにとりつくことによって、自分がいない世界で皆がどうやって暮らしているだろう、というのを死んだ自分がまざまざと突きつけられるのです。自分だったら?と考えさせられました。
読了日:1月24日 著者:東直子
楽天道 (文春文庫)楽天道 (文春文庫)感想
年代別っぽくなってるので、若い時の佐藤愛子が懐かしすぎて!まだお嬢さんの響子さんが結婚していなくて、遠藤周作の息子と結婚させよう話、は有名ですがここのくだり、何度読んでも笑えました。しかしぶれてない、佐藤愛子。ずうっとずうっと愛読者ですがぶれてない姿が素晴らしすぎます!
読了日:1月24日 著者:佐藤愛子
本バスめぐりん。本バスめぐりん。感想
私自身、リアルな移動図書館利用者でした。過去形なのは、もうやっていないから。だからこの感じと雰囲気がとても分かりました。近所の人たちとの濃密な付き合い、図書館では巡り合えないような人たちとの出会いが。それに加えてこの物語ちょっとした謎、が入ってほのぼのとしています。が。私の違和感は、図書館員が借りた人の本をこういう傾向だと話し合っていること・・・あり?なんでしょうか、これは。借りる側にとってみれば嫌だな~~。主人公二人があともう一歩魅力的だったらもっともっと惹かれる話だと思いました。
読了日:1月24日 著者:大崎梢

読書メーター
2016年12月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:5137ページ
ナイス数:384ナイス

猿の見る夢猿の見る夢感想
一気読み。なーにがみゆたんだ!と主人公の薄井に苦笑しかありませんでした。家族がいて、愛人がいてそして更なる愛人を求めて・・・どこまで元気なの、この男は・・・(苦笑)保身の気持ちが強いながらも前半会社家庭愛人と意気揚々としていますが、中盤から詰んでいきます全てに。右往左往するその姿に哀れを感じながら、薄井は全ての人の中に形の大小はあるにしろ、いるんだろうなあとも思いました、それを描く桐野さんがやっぱり巧いです。ただ、占い師の位置がよくわからなかったのと、遺言書の扱いがこれだけは笑えなかったです。

読了日:12月23日 著者:
【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)感想
とてもよくできていると思いました。最後まで楽しめました。ハリーの息子アルバス(屈折してる!)とドラコの息子スコーピウス(なんていい奴!)の友情物語でもあるのですが、しっかりとしたSF仕立ての脚本になっていました。結構複雑なのでよくやったなあと感嘆の思いが。過去に戻るので過去の懐かしいメンバーも勢ぞろいして現在と過去が同時に楽しめる感じでした。小説を読みたいという気持ちもありますが、これだけのレベルだったら脚本でも十分満足します。ただ・・・長太郎の訳はちょっとないなあとそこが惜しかったかなあ。
読了日:12月23日 著者:J.K.ローリング,ジョン・ティファニー,ジャック・ソーン
ドウエル教授の首 (創元SF文庫)ドウエル教授の首 (創元SF文庫)感想
再読。ロシアのジュール・ヴェルヌと言われている著者が書いた長編SF小説。タイトル通り、ドウエル教授の首が生きてしゃべってと前半は静の部分、後半になると全く色合いが違って活劇のような展開になります。
グロテスクな部分もあるので人を選ぶとは思いますが。解説の犬の話に驚きました。
読了日:12月23日 著者:アレクサンドル・ベリャーエフ
二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)感想
自分の名前を騙る男を追いかける、奇妙なパーティーに出くわす、殺人事件が起こる、パーティー会場の誰もが犯人になりえる状況、トリック、そして被害者のなぞめいた言葉「鳴く鳥・・・・」。導入部から解決までお見事の一言。大好きです古典的なこういうミステリ。途中の文学的引用も楽しくて!発表の時代(1951年)ということを考えると比較的早く犯人は特定できるのですが、なぜ?とかどうやって?とかこれは?とかそれでも謎が続いているところが素晴らしすぎます。そして今でもこれって(特にバーディタ嬢)ある問題だと思いました。
読了日:12月15日 著者:ヘレン・マクロイ
熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
非常に満足の一冊。今年の一冊かも、ミステリ的にも。強盗犯ではあるけれど知能犯でもあるので、強盗のやり方とか練習方法の綿密な描写も面白かったし、現在が語られ過去がまた語られ、しかも追う側の警部もまた暴力という過去に苛まされている、という二重構造の話でもありました。レオが幼い三男を助けていた姿も忘れられません。だからレオを憎むことなんてできないんです。そして後半意外な展開に・・・。父と子、兄弟間、恋人、と家族と人間同士の絆の物語でもありました。あとがきを読んで驚きました、知らなかった・・・・この作者・・・
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ
熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
最初の方ちょっと読みづらいです、何が起こってるのか誰なのかよくわからないままの暗中模索状態。けれど!!!150ページあたりから一気に爆発するように面白くなってきます(のでそこまで頑張った方がいいと思います)。三兄弟プラス幼馴染の銀行強盗の話ではあるのですが、過去に暴力に支配された家のことが語られるにつれ、三兄弟の強烈な繋がりを肌で感じて、幼き日々の出来事が現在に至っているというのも痛いほどわかります。読んでいるうちになぜか犯人側に同化している自分がいました。まだ上巻では謎が多々あるのですが・・・下巻に続く
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ
猫と漱石と悪妻 (中公文庫 う 29-4)猫と漱石と悪妻 (中公文庫 う 29-4)感想
軽めのジャブって感じの本。楽しかった~。ちょっと前のドラマを見て興味を持って読んでみましたが、新しい発見とかはなかったもののドラマを思い出しながらところどころでくすり。本格的な漱石の何か、を求める人には違う本なのでしょうが楽しんでこういうのを読んでみたいなあ~悪妻じゃないのになあ~と考えてみたい人には入門書としてよく出来ていると思いました。にしても、癇癪持ちの旦那さんって大変だなあ~。
読了日:12月15日 著者:植松三十里
一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)感想
こういう感じの本、特にローマ帝国ものというのが多くありますが、この本面白かったですとっても。大上端に構えることなく、わかりやすく描いていってくれてローマ帝国の衰亡も目の当たりにしたようでした。なんといっても皇帝のそれぞれのスタンスが目を見張りました。狂気、愛欲、知性が絡み合い戦争があり平和があり、時代が進んでいきます。写真と図版が多いのも魅力的。あまりに頭にさくさく入ったので、この作者の本、もっと読んでみたいです。
読了日:12月15日 著者:本村凌二
望み望み感想
辛い、本当に辛い物語でした。そしてある問いを投げかけられます、自分の子供が犯人側(殺人犯側)でも生きて残っていた方がいいか、それとも死んでいることがあっても被害者側のほうがいいか。これが家族の中で違っている、特に父と母とでは違っているというのが印象的な話でした。自分の進路を心配する妹、加害者だと決めつける親戚、そして周囲の仕事関係者と多くの人たちが色々な立場から考えを持っています。
読了日:12月13日 著者:雫井脩介
静かな炎天 (文春文庫)静かな炎天 (文春文庫)感想
カズレーザーお勧め本(彼のチョイス本どれもいいです)。何と言っても驚いたのが、葉村、四十肩か!と。そこに私は年月を感じました、なんてこったい!不運がやってくる葉村晶探偵が、今回は奔走する姿が印象的でした。表題作がとても面白く、息子を死なせた男の素行調査をしていると次々に違う依頼が舞い込み・・・その真相は・・・というあっという最後のめくれ方が秀逸でした。またラストの聖夜の話はあちこちに依頼され東京中を駆け回る葉村の姿と最後のにんまりに拍手。このレベルで文庫本ってありがたいです。ただ、ややマニア向けかも。
読了日:12月13日 著者:若竹七海
拾った女 (扶桑社文庫)拾った女 (扶桑社文庫)感想
読みやすいノワール小説、金もないアル中の二人のダメ男とダメ女の酔いどれ小説、でも愛情たっぷりの男が織り成す恋愛小説、と思いきや!とても面白かったのですが、何を書いても触れそうです、ある部分に。予備知識ゼロで読むことをお勧めします。再読必至。特に192ページ、よくわからない比喩だったのですが、ああーーと。非常に良かったです。
読了日:12月13日 著者:チャールズウィルフォード
ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)感想
短編集ですが、なんといってもジュリエット三部作が読ませました。人生における岐路って自分ではその時はわからないのですが、そこを鮮やかに切り取り美しい文章で綴ってくれる相変わらずの手練れのマンローがいました。非常に印象深い列車内でのある出来事、そこから派生する事故、そして運命的な夫との出会い、夫との生活、子供との齟齬、そして成長した子供の行方など、映画にしたら・・・機微のある映画になるだろう、と思うような作品でした(と思ったら映画になっていました)
読了日:12月13日 著者:アリスマンロー
カムパネルラ (創元日本SF叢書)カムパネルラ (創元日本SF叢書)感想
前半、宮沢賢治研究していた亡き母(この世界自体も今の世界ではない世界なのですが)の散骨のために花巻を訪れた『僕』が不思議なワールドにはまり込み、異常な殺人事件に遭遇する、そしてすべてが歪んでいる世界、というところまでは非常にワクワクして読み進めました。が、途中からやや私の中で失速。面白いには違いありませんが、広げすぎのような感じがしました。にしても銀河鉄道の夜、読み返してみたい!!という気持ちはふつふつと。
読了日:12月6日 著者:山田正紀
ジェリーフィッシュは凍らないジェリーフィッシュは凍らない感想
面白かったのです、が。SF設定になっている上に海外名前が横溢、更に国名もU国などそのあたりが読みにくかったです、私には。小型飛行船の発明をめぐって最終確認試験の段階で次々に人が犠牲に・・・しかも密室の中で。ということで、本格ミステリ好きなら吉。構成も謎の魅力も話もとてもよくできていると思いました、そして後半のある一つの質問が非常にパンチがきいてます。ただ・・・動機がなあ・・・とうっすらとそこは疑問。
読了日:12月6日 著者:市川憂人

読書メーター
2016年11月の読書メーター
読んだ本の数:13冊
読んだページ数:4443ページ
ナイス数:343ナイス

生か、死か (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)生か、死か (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
大変読みやすくそして最後ぐっときたミステリでした。ミステリであり恋愛小説であり『義』の話であると思います。主人公オーディがなぜ出所1日前に脱獄したか、ここがポイントになりますが、過去場面が非常に美しく抒情的で、特に父親と兄との回想場面、魂を寄り添った女性との恋愛場面はミステリということを忘れるほど堪能しました。あるところで、あ!とそれまでのことが一気にわかり、前のところで交わされた会話を読み返し、こういうことを言いたかったんだ!と思いました。ラストシーンもまた印象的で映像が頭に浮かびました。好きな本です。
読了日:11月30日 著者:
Dの殺人事件、まことに恐ろしきはDの殺人事件、まことに恐ろしきは感想
江戸川乱歩の作品群を現代のIT技術を駆使して今の物語にした作品群。ベースになった乱歩作品を知っていると更に比較ができると思います。一番驚いたのが、、陰獣幻戯、執拗にあることが書かれていますが、最後に(ああ・・だからだったのか!)膝を打ちました。スマホと旅する男は、基本はスマホ技術のあれこれなのですが、乗り物の不思議さ、よくわからない感じがぞくっとさせてくれました。赤い部屋~は原作も好きですが、これもラストがとても良かったです。表題作は展開が面白い。ただ、乱歩の怖さとは全体に違った怖さだとも感じました。
読了日:11月30日 著者:
本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド感想
愛すべき馬鹿(ミステリ馬鹿・誉め言葉)でおおいに楽しめました。博士が女子高生とともに多くの古典ミステリをばしばし斬っていく部分も読ませたし未読本で読んでみたいと思った作品が数多くできました。ネタバレなしでこれだけ語れるってすごい!!みつをのもじりのみすを、には毎回毎回笑わせてもらったし、文字のなぞり書き(ミステリの一文)も笑ったしそのあとの一文もとても良かったし漫画もいいし。国樹由香の探偵の日常も犬愛とミステリ愛に満ちた喜国雅彦の日常が垣間見え楽しめました。トークショーにも行きましたがこれまた極上でした!
読了日:11月28日 著者:喜国雅彦,国樹由香
黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)感想
一般のタレント本とは一線を画した本だと思いました。原宿に住むということ、原宿で遊んだ思い出、彼女のボーイフレンド、複雑(と私には見えます)な家庭環境、ちょっとやさぐれていた中学時代、アイドルであるということ。この中で、別のアイドルのことについて書かれているところが一番胸に刺さりました、そしてそのことを持ち出したファンに食って掛かるところも。生き残りの激しい芸能界という中で、芸能人であり続けるということは自分を問い続けることでもあると感じました。
読了日:11月28日 著者:小泉今日子
罪の声罪の声感想
最後の場面のエピローグで胸詰まりました。グリコ森永事件(ここではギン萬事件となっている)に子供の声が使われていること、未解決のこと、社長が誘拐され途中で解放されたこと、警察の失態があったこと、事件そのものが子供の食べるお菓子をターゲットしていること、など本当の事件とリンクして非常に綿密に描かれていました。この小説の成功は、子供の側の疑問で(それも育った子供の視点)始まっていること、だと思いました。かつてその声を録音した記憶すらないのにふっと見つけてしまった自分の幼い声・・・ここから全てが始まりました。
読了日:11月28日 著者:塩田武士
あひるあひる感想
表題作とともにあと二作品が入っていました。非常に読みやすくそして心のどこかをざわざわとさせる作品群でした。あひる、は、普通の家であひるを飼う(だけの)話、なのにこの不穏さと言ったら!まず語り手が資格試験の勉強をしているけれど謎であり、更には最初微笑ましくやってくる小学生たちの群れが徐々に変化していく様子も怖いし、両親も謎だし、でも一番怖いのは、あひる・・なぜ?なに?どこかが歪んでいる世界が非常に読ませました。あとの二作は緩やかにつながっていて、これまたおばあちゃんが優しいけれど不安感に満ちていました。
読了日:11月28日 著者:今村夏子
パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
二転三転するストーリー展開、そしてなんといっても度肝を抜くような開き方が読ませました。
読了日:11月21日 著者:サンドローネダツィエーリ,SandroneDazieri
パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
11年間幼少期に農場のサイロに監禁されたという異常な過去を持つダンテの造型が見事でした。彼の推理が際立っていて、さながらシャーロック・ホームズのようでした。加えて、これまた過去の捜査で心に傷を負った女性捜査官コロンバとの出会いにより、自分の過去と向き合うと同時に現在でも生きているらしいかつての犯人を追い詰める・・・下巻へ。
読了日:11月21日 著者:サンドローネダツィエーリ,SandroneDazieri
危険なビーナス危険なビーナス感想
読みやすいし読ませる、相変わらず。けれど、ミステリ云々の前に、私は白朗の女性に対する視線とか態度が薄気味悪くて仕方ありませんでした、すみません。
読了日:11月16日 著者:東野圭吾
秘匿患者 (ハーパーBOOKS)秘匿患者 (ハーパーBOOKS)感想
面白く読みました。重大事件を犯した患者の入る精神医療施設に送られてきた一人の男性ジェイソン。彼を診る側の医師リーサは、彼が全て来歴を隠してこの病院に来たということを知り何とかその精神状態を探ろうとします。彼の生育状況、事件、それを聞き出しているうちに・・・。いくつかフックがあり、そこに引っかかりながら読んでいくと最後であ・・・!これはこれだったの?とかあれはあれだったの?とか色々人と話し合いたくなる本だと思いました。場面展開が非常に多いのですが全く気にならず読めました。まだ腑に落ちないところはあるものの。
読了日:11月12日 著者:ジョンバーレー
何様何様感想
前作の何者も読んでいるけれど特に読んでいなくてもこれはこれで・・・。アナザーストーリーかなあ。ちょこちょこと何者の人たちが遠くで出てきたりします(瑞月のお父さん!!しっかりして!!。)強烈に前の何者と関連しているのは最初のコータローの話で、これは高校時代の模索のあれこれで若者の心の揺れとか良かったと思います。しかも光太郎が『何者』でなぜあんなに出版社にこだわったかというのがこれでわかってきます(遠くできっとこのことがあるのでしょう)。烏丸ギンジもある人の叔父さんとして出てきます。ただ・・展開的には・・
読了日:11月12日 著者:朝井リョウ
夜行夜行感想
衝撃的に良かったです。はじまりは、かつて英会話教室のグループで行った京都の鞍馬の火祭りに10年ぶりでメンバーで集まって・・・という話です。ところがその10年前に長谷川さんという一人の女性が姿を消したというところから、夜行という連作の絵がモチーフとなり・・・。全体に漂う不思議感、京都の夜のもやっとした感じ、夜行列車のイメージ、加えて独特の語り口で物語が語られます。全体が茫洋とした靄のようなものに包まれた優れた作品だと思いました。某乱歩小説も思います。そしてあるページで本を取り落とすほど私は驚きました。
読了日:11月12日 著者:森見登美彦
九十歳。何がめでたい九十歳。何がめでたい感想
笑いました、もうそこここで。おっしゃてることがただの「怒りの愛子」ではなく実にまっとうだから、うんうんと頷きながら笑えるのです。以前からのファンですが、お嬢さんもはやこのお歳・・・あら・・・。しかし90歳を超えてもそれを受け止め、しかも世の中の理不尽に目を向けられるという頭を持っていることに驚嘆しました。流されていない、ということが素敵なことですね。犬の話だけはもうじいんとしました。いつまでもお元気で!!(トイレの流すところのわからなさも実にわかりました)
読了日:11月12日 著者:佐藤愛子

読書メーター
2016年10月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:5442ページ
ナイス数:426ナイス

ゴールドフィンチ 4ゴールドフィンチ 4感想
ラスト・・・ここがこの物語を好きになるかどうかの分岐点だと思いました。自己認識の内省が続いて・・・。私は最後まで物語で終わらせてほしいと勝手ながら思いました。ボリスが大好きなので(どういう人間であるにしろ)、彼が出てくると物語が輝くような気がします。全体に一気に読めましたが、途中もラストも非常にもやもやしました。これって映像化の方が圧倒的に面白い気がします。
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ 3ゴールドフィンチ 3感想
少年テオは青年テオになり、ニューヨークに戻りましたが・・・。絵に翻弄される人生が哀れでもありました。骨董商としてなんとかなんとか・・・と思っていたのですが、これでは・・・
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ 2ゴールドフィンチ 2感想
この巻、全体を通してみると一番私は好きな巻かもしれません。大人に見放された二人の少年が心を通い合わせる場面が特に好き。好き勝手にしている父親と義母には怒りしかありませんが、生涯の友になるボリスと結果的に出会ったので相殺かぐらいにまで思いました。しかし父がまたしてもネックに・・・
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ1ゴールドフィンチ1感想
大切な母をニューヨークの美術館で、テロの巻き添えになって失ってしまう、そこから物語は始まりました。しかもこの時に瀕死の老紳士からある絵を託されて・・・この絵が話全体を引っ張ります。少女の造型が素晴らしく一気読み。
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
分かれ道ノストラダムス分かれ道ノストラダムス感想
ノストラダムスの大予言を使っているのはかえますが、全体に盛沢山すぎる、感じがしました。前半の基(もとき)君の死がもしこちらの道だったら、と考える部分と、後半のサスペンス(?)部分がすみやかに移行していない感じが。ごめんなさい。
読了日:10月27日 著者:深緑野分
三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手感想
祝800回突破!今回も楽しませていただきました。今回は特に真田丸裏側を読みたくて。学校の先生の歴史の原因と結果の話、とても参考になりました。先生も嬉しいだろうなあ、自分の話をこんなに覚えてくれていて、しかも今大河を書いている教え子なんて。自意識の強い話が多いのですがそこもまた三谷流。お子さんの話もちらほらっと出て、しっかり親馬鹿していました。
読了日:10月25日 著者:三谷幸喜
その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)感想
一編の美しい詩を読んでいるようでした、残虐なシーンもあるのに。場面場面が映像的で非常に印象的です。殺し屋として生きてきた一人の男性の愛に目覚めた心が奔流のようになだれ込んでいく場面場面が読ませました。裏切り、暴力、死に囲まれながらの静寂観があります。彼が家庭環境を語るのがあるのですがこれも重要。最終章の一歩手前、(ああ・・・こうだったんだ・・・)と思ったら、最終章で(あ!)と、ここもとてもグッド。ミステリとして読むより文学作品として読んだ方が吉かも。だから好みは分かれると思いますが、私は好きです。
読了日:10月25日 著者:ジョー・ネスボ
メビウス・ファクトリーメビウス・ファクトリー感想
出だしから途中までは、(P1って何?お巡りさまって何でいうの?お身削りって何?)と興味津々で読んでいました。最終的に工場で何が作られているか全く誰も知らないという不思議な工場に、外の町から来たアルト一家が町の謎に徐々に気づいていくのです。町が閉ざされた感じもグー。視点も新人鑑定士とか、熟練工とか、外に運び出す人とか変わっていくのも面白かったです。ただ・・・中盤から失速感が。私はラスト消化しきれませんでした、ごめんなさい。
読了日:10月25日 著者:三崎亜記
QJKJQQJKJQ感想
ページをめくる手が止まらないほど楽しみました。前半と後半と一気にテイストが違いますが、どちらも堪能しました。最初、文章の「、」が多いのでそのリズムに慣れませんでしたが、あとは一気呵成に。帯にもあるように「一家全員猟奇殺人鬼」で秘密を共有しながら生きていく女子高校生の目線で語られていきます。全体がペダンディックで思弁的なところが多いのですがそこすら好きで、全体が私には衝撃的でした。伏線回収も丁寧でありました。強烈な殺人場面よりも、私が怖かったのは後半のある一場面。夢にうなされそうに怖かったです。
読了日:10月18日 著者:佐藤究
校閲ガール校閲ガール
読了日:10月18日 著者:宮木あや子
傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)感想
面白く読みました。前作2作を読んでいたので目を凝らしていたのですが全く分かりませんでした、258ページまで全く。281ページの会話で釣瓶打ちの驚き。今回残虐シーンは少ないのですが、カミーユ警部の心の内に沿って読んでいくことができました。繊細なカミーユ警部が思わず我を忘れてしまうほどの逆上にとらわれ暴走するシーンが読ませます。人物の語りが途中で変わるのも楽しめました。私はラストシーンがとても好きです、美しくも悲しい描写だと思いました。長編は終わりのようですが中編楽しみにしています!!
読了日:10月11日 著者:ピエール・ルメートル
許されようとは思いません許されようとは思いません感想
表題作が賞候補になった作品のようですが、今一つ現代の都会に住んでいる私には、動機が腑に落ちませんでした、ごめんなさい。それよりも!「姉のように」が非常に面白かったです。最初の新聞記事から始まり、憧れだった姉が犯罪を犯しそれを知り段々壊れていく妹の姿、と思いきや!!ラストでええええ!という驚きが。伏線がたくさんのところにちりばめられています、もう一度読み返すと。ああ・・そうだったんだと。
読了日:10月10日 著者:芦沢央
お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人感想
「男の人がステキだなあと思うのは、お金を出す時と、髭を剃る時と、死ぬ時ですね」などの名言(!)が飛び出してくる楽しい対談集でした。対談のお相手がお亡くなりになっているのも多い対談で古いのが多いのですが話そのものは全く古びていないのです。向田邦子の人となりが分かり、肉声がその場から聞こえてきそうです。ここには「生活を愛し、猫を大切にし、仕事をバリバリとして、ちょっとユーモラスで頭が良いお料理好きの向田邦子」の姿が見事に焙り出されています。それにしても死にまつわる話を読んでいると彼女の悲劇的な死を思うので涙。
読了日:10月10日 著者:向田邦子
スタフ staphスタフ staph感想
最後の最後まで違和感が・・・。
読了日:10月10日 著者:道尾秀介
ルキノ・ヴィスコンティの肖像ルキノ・ヴィスコンティの肖像感想
写真とそれにまつわる文章にうっとりしました。書いている時期はまちまちでそれを集めた感はありますが、全く古びていない文章に驚きました。書いている人たちも淀川長治に始まり、海野弘、佐藤忠男、荻昌弘、円地文子(!)、そして澁澤龍彦等々、ヴィスコンティ作品に魅せられた人たちの様々な声が圧巻でした。
読了日:10月10日 著者:淀川長治,海野弘,河原晶子,石田美紀,増村保造,佐藤忠男,荻昌弘,倉橋健,寺山修司,高崎俊夫,斎藤龍鳳,唐十郎,三島由紀夫,澁澤龍彦,松田修,円地文子,巖谷國士,由良君美,ルキノ・ヴィスコンティ,白石かずこ,寺岡裕治,山内由紀人,渡部幻
蜜蜂と遠雷蜜蜂と遠雷感想
傑作。恩田陸のいいところが全開になった作品で一種の興奮状態で読みました。ピアノコンクールの話で、音楽の話であると同時に、激しく美しい青春群像劇でもあるのです。天才肌の風間塵、かつての天才少女栄伝亜夜、優勝候補のマサルの三人が非常に魅力的に描かれています。そして冒頭で、風間塵の推薦状を音楽界の亡き重鎮が書いているのですがそこに謎めいた一文があるのです、ギフトか災厄かと。これが後半にわかるのです。コンテスタント達の逡巡、怖れ、祈り、懊悩、それらが伝わってきます。また市井の人高島明石も見逃せません。
読了日:10月8日 著者:恩田陸
泉
読了日:10月8日 著者:キャサリン・チャンター
女子大生桜川東子の推理 ベルサイユの秘密女子大生桜川東子の推理 ベルサイユの秘密感想
愛からず楽しい・・・昭和ネタ満載と脱線話のあらゆる方向の蘊蓄満載でここが楽しめるかどうかの肝かも。毎回大爆笑させてもらってます、ヤクドシトリオの突込みに。とりあえず殺人事件はあって、それを解く美女大学院生桜川東子さんは毎回いるのだけれど、横道が多すぎてたまになんだっけ?謎は?と思うこともしばしばで、でもそれがまた楽しいのです。ウィスキーの蘊蓄なんか素晴らしいです。今回宝塚歌劇の演目が出てきますが、これだけエリザベートとかを簡潔にまとめたものってないだろうなあ。
読了日:10月7日 著者:鯨統一郎

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