2017.01.21 2016年読了本
2016年の読書メーター
読んだ本の数:144冊
読んだページ数:45289ページ
ナイス数:3625ナイス

猿の見る夢猿の見る夢感想
一気読み。なーにがみゆたんだ!と主人公の薄井に苦笑しかありませんでした。家族がいて、愛人がいてそして更なる愛人を求めて・・・どこまで元気なの、この男は・・・(苦笑)保身の気持ちが強いながらも前半会社家庭愛人と意気揚々としていますが、中盤から詰んでいきます全てに。右往左往するその姿に哀れを感じながら、薄井は全ての人の中に形の大小はあるにしろ、いるんだろうなあとも思いました、それを描く桐野さんがやっぱり巧いです。ただ、占い師の位置がよくわからなかったのと、遺言書の扱いがこれだけは笑えなかったです。

読了日:12月23日 著者:
【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)【Amazon.co.jp限定】 ホグワーツMAP付き ハリー・ポッターと呪いの子 第一部、第二部 特別リハーサル版 (ハリー・ポッターシリーズ)感想
とてもよくできていると思いました。最後まで楽しめました。ハリーの息子アルバス(屈折してる!)とドラコの息子スコーピウス(なんていい奴!)の友情物語でもあるのですが、しっかりとしたSF仕立ての脚本になっていました。結構複雑なのでよくやったなあと感嘆の思いが。過去に戻るので過去の懐かしいメンバーも勢ぞろいして現在と過去が同時に楽しめる感じでした。小説を読みたいという気持ちもありますが、これだけのレベルだったら脚本でも十分満足します。ただ・・・長太郎の訳はちょっとないなあとそこが惜しかったかなあ。
読了日:12月23日 著者:J.K.ローリング,ジョン・ティファニー,ジャック・ソーン
ドウエル教授の首 (創元SF文庫)ドウエル教授の首 (創元SF文庫)感想
再読。ロシアのジュール・ヴェルヌと言われている著者が書いた長編SF小説。タイトル通り、ドウエル教授の首が生きてしゃべってと前半は静の部分、後半になると全く色合いが違って活劇のような展開になります。
グロテスクな部分もあるので人を選ぶとは思いますが。解説の犬の話に驚きました。
読了日:12月23日 著者:アレクサンドル・ベリャーエフ
二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)二人のウィリング (ちくま文庫 ま 50-2)感想
自分の名前を騙る男を追いかける、奇妙なパーティーに出くわす、殺人事件が起こる、パーティー会場の誰もが犯人になりえる状況、トリック、そして被害者のなぞめいた言葉「鳴く鳥・・・・」。導入部から解決までお見事の一言。大好きです古典的なこういうミステリ。途中の文学的引用も楽しくて!発表の時代(1951年)ということを考えると比較的早く犯人は特定できるのですが、なぜ?とかどうやって?とかこれは?とかそれでも謎が続いているところが素晴らしすぎます。そして今でもこれって(特にバーディタ嬢)ある問題だと思いました。
読了日:12月15日 著者:ヘレン・マクロイ
熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
非常に満足の一冊。今年の一冊かも、ミステリ的にも。強盗犯ではあるけれど知能犯でもあるので、強盗のやり方とか練習方法の綿密な描写も面白かったし、現在が語られ過去がまた語られ、しかも追う側の警部もまた暴力という過去に苛まされている、という二重構造の話でもありました。レオが幼い三男を助けていた姿も忘れられません。だからレオを憎むことなんてできないんです。そして後半意外な展開に・・・。父と子、兄弟間、恋人、と家族と人間同士の絆の物語でもありました。あとがきを読んで驚きました、知らなかった・・・・この作者・・・
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ
熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
最初の方ちょっと読みづらいです、何が起こってるのか誰なのかよくわからないままの暗中模索状態。けれど!!!150ページあたりから一気に爆発するように面白くなってきます(のでそこまで頑張った方がいいと思います)。三兄弟プラス幼馴染の銀行強盗の話ではあるのですが、過去に暴力に支配された家のことが語られるにつれ、三兄弟の強烈な繋がりを肌で感じて、幼き日々の出来事が現在に至っているというのも痛いほどわかります。読んでいるうちになぜか犯人側に同化している自分がいました。まだ上巻では謎が多々あるのですが・・・下巻に続く
読了日:12月15日 著者:アンデシュ・ルースルンド,ステファン・トゥンベリ
猫と漱石と悪妻 (中公文庫 う 29-4)猫と漱石と悪妻 (中公文庫 う 29-4)感想
軽めのジャブって感じの本。楽しかった~。ちょっと前のドラマを見て興味を持って読んでみましたが、新しい発見とかはなかったもののドラマを思い出しながらところどころでくすり。本格的な漱石の何か、を求める人には違う本なのでしょうが楽しんでこういうのを読んでみたいなあ~悪妻じゃないのになあ~と考えてみたい人には入門書としてよく出来ていると思いました。にしても、癇癪持ちの旦那さんって大変だなあ~。
読了日:12月15日 著者:植松三十里
一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)一冊でまるごとわかるローマ帝国 (だいわ文庫)感想
こういう感じの本、特にローマ帝国ものというのが多くありますが、この本面白かったですとっても。大上端に構えることなく、わかりやすく描いていってくれてローマ帝国の衰亡も目の当たりにしたようでした。なんといっても皇帝のそれぞれのスタンスが目を見張りました。狂気、愛欲、知性が絡み合い戦争があり平和があり、時代が進んでいきます。写真と図版が多いのも魅力的。あまりに頭にさくさく入ったので、この作者の本、もっと読んでみたいです。
読了日:12月15日 著者:本村凌二
望み望み感想
辛い、本当に辛い物語でした。そしてある問いを投げかけられます、自分の子供が犯人側(殺人犯側)でも生きて残っていた方がいいか、それとも死んでいることがあっても被害者側のほうがいいか。これが家族の中で違っている、特に父と母とでは違っているというのが印象的な話でした。自分の進路を心配する妹、加害者だと決めつける親戚、そして周囲の仕事関係者と多くの人たちが色々な立場から考えを持っています。
読了日:12月13日 著者:雫井脩介
静かな炎天 (文春文庫)静かな炎天 (文春文庫)感想
カズレーザーお勧め本(彼のチョイス本どれもいいです)。何と言っても驚いたのが、葉村、四十肩か!と。そこに私は年月を感じました、なんてこったい!不運がやってくる葉村晶探偵が、今回は奔走する姿が印象的でした。表題作がとても面白く、息子を死なせた男の素行調査をしていると次々に違う依頼が舞い込み・・・その真相は・・・というあっという最後のめくれ方が秀逸でした。またラストの聖夜の話はあちこちに依頼され東京中を駆け回る葉村の姿と最後のにんまりに拍手。このレベルで文庫本ってありがたいです。ただ、ややマニア向けかも。
読了日:12月13日 著者:若竹七海
拾った女 (扶桑社文庫)拾った女 (扶桑社文庫)感想
読みやすいノワール小説、金もないアル中の二人のダメ男とダメ女の酔いどれ小説、でも愛情たっぷりの男が織り成す恋愛小説、と思いきや!とても面白かったのですが、何を書いても触れそうです、ある部分に。予備知識ゼロで読むことをお勧めします。再読必至。特に192ページ、よくわからない比喩だったのですが、ああーーと。非常に良かったです。
読了日:12月13日 著者:チャールズウィルフォード
ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)ジュリエット (新潮クレスト・ブックス)感想
短編集ですが、なんといってもジュリエット三部作が読ませました。人生における岐路って自分ではその時はわからないのですが、そこを鮮やかに切り取り美しい文章で綴ってくれる相変わらずの手練れのマンローがいました。非常に印象深い列車内でのある出来事、そこから派生する事故、そして運命的な夫との出会い、夫との生活、子供との齟齬、そして成長した子供の行方など、映画にしたら・・・機微のある映画になるだろう、と思うような作品でした(と思ったら映画になっていました)
読了日:12月13日 著者:アリスマンロー
カムパネルラ (創元日本SF叢書)カムパネルラ (創元日本SF叢書)感想
前半、宮沢賢治研究していた亡き母(この世界自体も今の世界ではない世界なのですが)の散骨のために花巻を訪れた『僕』が不思議なワールドにはまり込み、異常な殺人事件に遭遇する、そしてすべてが歪んでいる世界、というところまでは非常にワクワクして読み進めました。が、途中からやや私の中で失速。面白いには違いありませんが、広げすぎのような感じがしました。にしても銀河鉄道の夜、読み返してみたい!!という気持ちはふつふつと。
読了日:12月6日 著者:山田正紀
ジェリーフィッシュは凍らないジェリーフィッシュは凍らない感想
面白かったのです、が。SF設定になっている上に海外名前が横溢、更に国名もU国などそのあたりが読みにくかったです、私には。小型飛行船の発明をめぐって最終確認試験の段階で次々に人が犠牲に・・・しかも密室の中で。ということで、本格ミステリ好きなら吉。構成も謎の魅力も話もとてもよくできていると思いました、そして後半のある一つの質問が非常にパンチがきいてます。ただ・・・動機がなあ・・・とうっすらとそこは疑問。
読了日:12月6日 著者:市川憂人
生か、死か (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)生か、死か (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
大変読みやすくそして最後ぐっときたミステリでした。ミステリであり恋愛小説であり『義』の話であると思います。主人公オーディがなぜ出所1日前に脱獄したか、ここがポイントになりますが、過去場面が非常に美しく抒情的で、特に父親と兄との回想場面、魂を寄り添った女性との恋愛場面はミステリということを忘れるほど堪能しました。あるところで、あ!とそれまでのことが一気にわかり、前のところで交わされた会話を読み返し、こういうことを言いたかったんだ!と思いました。ラストシーンもまた印象的で映像が頭に浮かびました。好きな本です。
読了日:11月30日 著者:
Dの殺人事件、まことに恐ろしきはDの殺人事件、まことに恐ろしきは感想
江戸川乱歩の作品群を現代のIT技術を駆使して今の物語にした作品群。ベースになった乱歩作品を知っていると更に比較ができると思います。一番驚いたのが、、陰獣幻戯、執拗にあることが書かれていますが、最後に(ああ・・だからだったのか!)膝を打ちました。スマホと旅する男は、基本はスマホ技術のあれこれなのですが、乗り物の不思議さ、よくわからない感じがぞくっとさせてくれました。赤い部屋~は原作も好きですが、これもラストがとても良かったです。表題作は展開が面白い。ただ、乱歩の怖さとは全体に違った怖さだとも感じました。
読了日:11月30日 著者:
本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド感想
愛すべき馬鹿(ミステリ馬鹿・誉め言葉)でおおいに楽しめました。博士が女子高生とともに多くの古典ミステリをばしばし斬っていく部分も読ませたし未読本で読んでみたいと思った作品が数多くできました。ネタバレなしでこれだけ語れるってすごい!!みつをのもじりのみすを、には毎回毎回笑わせてもらったし、文字のなぞり書き(ミステリの一文)も笑ったしそのあとの一文もとても良かったし漫画もいいし。国樹由香の探偵の日常も犬愛とミステリ愛に満ちた喜国雅彦の日常が垣間見え楽しめました。トークショーにも行きましたがこれまた極上でした!
読了日:11月28日 著者:喜国雅彦,国樹由香
黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)黄色いマンション 黒い猫 (Switch library)感想
一般のタレント本とは一線を画した本だと思いました。原宿に住むということ、原宿で遊んだ思い出、彼女のボーイフレンド、複雑(と私には見えます)な家庭環境、ちょっとやさぐれていた中学時代、アイドルであるということ。この中で、別のアイドルのことについて書かれているところが一番胸に刺さりました、そしてそのことを持ち出したファンに食って掛かるところも。生き残りの激しい芸能界という中で、芸能人であり続けるということは自分を問い続けることでもあると感じました。
読了日:11月28日 著者:小泉今日子
罪の声罪の声感想
最後の場面のエピローグで胸詰まりました。グリコ森永事件(ここではギン萬事件となっている)に子供の声が使われていること、未解決のこと、社長が誘拐され途中で解放されたこと、警察の失態があったこと、事件そのものが子供の食べるお菓子をターゲットしていること、など本当の事件とリンクして非常に綿密に描かれていました。この小説の成功は、子供の側の疑問で(それも育った子供の視点)始まっていること、だと思いました。かつてその声を録音した記憶すらないのにふっと見つけてしまった自分の幼い声・・・ここから全てが始まりました。
読了日:11月28日 著者:塩田武士
あひるあひる感想
表題作とともにあと二作品が入っていました。非常に読みやすくそして心のどこかをざわざわとさせる作品群でした。あひる、は、普通の家であひるを飼う(だけの)話、なのにこの不穏さと言ったら!まず語り手が資格試験の勉強をしているけれど謎であり、更には最初微笑ましくやってくる小学生たちの群れが徐々に変化していく様子も怖いし、両親も謎だし、でも一番怖いのは、あひる・・なぜ?なに?どこかが歪んでいる世界が非常に読ませました。あとの二作は緩やかにつながっていて、これまたおばあちゃんが優しいけれど不安感に満ちていました。
読了日:11月28日 著者:今村夏子
パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)パードレはそこにいる (下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
二転三転するストーリー展開、そしてなんといっても度肝を抜くような開き方が読ませました。
読了日:11月21日 著者:サンドローネダツィエーリ,SandroneDazieri
パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)パードレはそこにいる (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
11年間幼少期に農場のサイロに監禁されたという異常な過去を持つダンテの造型が見事でした。彼の推理が際立っていて、さながらシャーロック・ホームズのようでした。加えて、これまた過去の捜査で心に傷を負った女性捜査官コロンバとの出会いにより、自分の過去と向き合うと同時に現在でも生きているらしいかつての犯人を追い詰める・・・下巻へ。
読了日:11月21日 著者:サンドローネダツィエーリ,SandroneDazieri
危険なビーナス危険なビーナス感想
読みやすいし読ませる、相変わらず。けれど、ミステリ云々の前に、私は白朗の女性に対する視線とか態度が薄気味悪くて仕方ありませんでした、すみません。
読了日:11月16日 著者:東野圭吾
秘匿患者 (ハーパーBOOKS)秘匿患者 (ハーパーBOOKS)感想
面白く読みました。重大事件を犯した患者の入る精神医療施設に送られてきた一人の男性ジェイソン。彼を診る側の医師リーサは、彼が全て来歴を隠してこの病院に来たということを知り何とかその精神状態を探ろうとします。彼の生育状況、事件、それを聞き出しているうちに・・・。いくつかフックがあり、そこに引っかかりながら読んでいくと最後であ・・・!これはこれだったの?とかあれはあれだったの?とか色々人と話し合いたくなる本だと思いました。場面展開が非常に多いのですが全く気にならず読めました。まだ腑に落ちないところはあるものの。
読了日:11月12日 著者:ジョンバーレー
何様何様感想
前作の何者も読んでいるけれど特に読んでいなくてもこれはこれで・・・。アナザーストーリーかなあ。ちょこちょこと何者の人たちが遠くで出てきたりします(瑞月のお父さん!!しっかりして!!。)強烈に前の何者と関連しているのは最初のコータローの話で、これは高校時代の模索のあれこれで若者の心の揺れとか良かったと思います。しかも光太郎が『何者』でなぜあんなに出版社にこだわったかというのがこれでわかってきます(遠くできっとこのことがあるのでしょう)。烏丸ギンジもある人の叔父さんとして出てきます。ただ・・展開的には・・
読了日:11月12日 著者:朝井リョウ
夜行夜行感想
衝撃的に良かったです。はじまりは、かつて英会話教室のグループで行った京都の鞍馬の火祭りに10年ぶりでメンバーで集まって・・・という話です。ところがその10年前に長谷川さんという一人の女性が姿を消したというところから、夜行という連作の絵がモチーフとなり・・・。全体に漂う不思議感、京都の夜のもやっとした感じ、夜行列車のイメージ、加えて独特の語り口で物語が語られます。全体が茫洋とした靄のようなものに包まれた優れた作品だと思いました。某乱歩小説も思います。そしてあるページで本を取り落とすほど私は驚きました。
読了日:11月12日 著者:森見登美彦
九十歳。何がめでたい九十歳。何がめでたい感想
笑いました、もうそこここで。おっしゃてることがただの「怒りの愛子」ではなく実にまっとうだから、うんうんと頷きながら笑えるのです。以前からのファンですが、お嬢さんもはやこのお歳・・・あら・・・。しかし90歳を超えてもそれを受け止め、しかも世の中の理不尽に目を向けられるという頭を持っていることに驚嘆しました。流されていない、ということが素敵なことですね。犬の話だけはもうじいんとしました。いつまでもお元気で!!(トイレの流すところのわからなさも実にわかりました)
読了日:11月12日 著者:佐藤愛子
ゴールドフィンチ 4ゴールドフィンチ 4感想
ラスト・・・ここがこの物語を好きになるかどうかの分岐点だと思いました。自己認識の内省が続いて・・・。私は最後まで物語で終わらせてほしいと勝手ながら思いました。ボリスが大好きなので(どういう人間であるにしろ)、彼が出てくると物語が輝くような気がします。全体に一気に読めましたが、途中もラストも非常にもやもやしました。これって映像化の方が圧倒的に面白い気がします。
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ 3ゴールドフィンチ 3感想
少年テオは青年テオになり、ニューヨークに戻りましたが・・・。絵に翻弄される人生が哀れでもありました。骨董商としてなんとかなんとか・・・と思っていたのですが、これでは・・・
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ 2ゴールドフィンチ 2感想
この巻、全体を通してみると一番私は好きな巻かもしれません。大人に見放された二人の少年が心を通い合わせる場面が特に好き。好き勝手にしている父親と義母には怒りしかありませんが、生涯の友になるボリスと結果的に出会ったので相殺かぐらいにまで思いました。しかし父がまたしてもネックに・・・
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
ゴールドフィンチ1ゴールドフィンチ1感想
大切な母をニューヨークの美術館で、テロの巻き添えになって失ってしまう、そこから物語は始まりました。しかもこの時に瀕死の老紳士からある絵を託されて・・・この絵が話全体を引っ張ります。少女の造型が素晴らしく一気読み。
読了日:10月28日 著者:ドナ・タート
分かれ道ノストラダムス分かれ道ノストラダムス感想
ノストラダムスの大予言を使っているのはかえますが、全体に盛沢山すぎる、感じがしました。前半の基(もとき)君の死がもしこちらの道だったら、と考える部分と、後半のサスペンス(?)部分がすみやかに移行していない感じが。ごめんなさい。
読了日:10月27日 著者:深緑野分
三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手三谷幸喜のありふれた生活14 いくさ上手感想
祝800回突破!今回も楽しませていただきました。今回は特に真田丸裏側を読みたくて。学校の先生の歴史の原因と結果の話、とても参考になりました。先生も嬉しいだろうなあ、自分の話をこんなに覚えてくれていて、しかも今大河を書いている教え子なんて。自意識の強い話が多いのですがそこもまた三谷流。お子さんの話もちらほらっと出て、しっかり親馬鹿していました。
読了日:10月25日 著者:三谷幸喜
その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)その雪と血を(ハヤカワ・ミステリ) (ハヤカワ・ミステリ 1912)感想
一編の美しい詩を読んでいるようでした、残虐なシーンもあるのに。場面場面が映像的で非常に印象的です。殺し屋として生きてきた一人の男性の愛に目覚めた心が奔流のようになだれ込んでいく場面場面が読ませました。裏切り、暴力、死に囲まれながらの静寂観があります。彼が家庭環境を語るのがあるのですがこれも重要。最終章の一歩手前、(ああ・・・こうだったんだ・・・)と思ったら、最終章で(あ!)と、ここもとてもグッド。ミステリとして読むより文学作品として読んだ方が吉かも。だから好みは分かれると思いますが、私は好きです。
読了日:10月25日 著者:ジョー・ネスボ
メビウス・ファクトリーメビウス・ファクトリー感想
出だしから途中までは、(P1って何?お巡りさまって何でいうの?お身削りって何?)と興味津々で読んでいました。最終的に工場で何が作られているか全く誰も知らないという不思議な工場に、外の町から来たアルト一家が町の謎に徐々に気づいていくのです。町が閉ざされた感じもグー。視点も新人鑑定士とか、熟練工とか、外に運び出す人とか変わっていくのも面白かったです。ただ・・・中盤から失速感が。私はラスト消化しきれませんでした、ごめんなさい。
読了日:10月25日 著者:三崎亜記
QJKJQQJKJQ感想
ページをめくる手が止まらないほど楽しみました。前半と後半と一気にテイストが違いますが、どちらも堪能しました。最初、文章の「、」が多いのでそのリズムに慣れませんでしたが、あとは一気呵成に。帯にもあるように「一家全員猟奇殺人鬼」で秘密を共有しながら生きていく女子高校生の目線で語られていきます。全体がペダンディックで思弁的なところが多いのですがそこすら好きで、全体が私には衝撃的でした。伏線回収も丁寧でありました。強烈な殺人場面よりも、私が怖かったのは後半のある一場面。夢にうなされそうに怖かったです。
読了日:10月18日 著者:佐藤究
校閲ガール校閲ガール
読了日:10月18日 著者:宮木あや子
傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)傷だらけのカミーユ (文春文庫) (文春文庫 ル 6-4)感想
面白く読みました。前作2作を読んでいたので目を凝らしていたのですが全く分かりませんでした、258ページまで全く。281ページの会話で釣瓶打ちの驚き。今回残虐シーンは少ないのですが、カミーユ警部の心の内に沿って読んでいくことができました。繊細なカミーユ警部が思わず我を忘れてしまうほどの逆上にとらわれ暴走するシーンが読ませます。人物の語りが途中で変わるのも楽しめました。私はラストシーンがとても好きです、美しくも悲しい描写だと思いました。長編は終わりのようですが中編楽しみにしています!!
読了日:10月11日 著者:ピエール・ルメートル
許されようとは思いません許されようとは思いません感想
表題作が賞候補になった作品のようですが、今一つ現代の都会に住んでいる私には、動機が腑に落ちませんでした、ごめんなさい。それよりも!「姉のように」が非常に面白かったです。最初の新聞記事から始まり、憧れだった姉が犯罪を犯しそれを知り段々壊れていく妹の姿、と思いきや!!ラストでええええ!という驚きが。伏線がたくさんのところにちりばめられています、もう一度読み返すと。ああ・・そうだったんだと。
読了日:10月10日 著者:芦沢央
お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人お茶をどうぞ: 対談 向田邦子と16人感想
「男の人がステキだなあと思うのは、お金を出す時と、髭を剃る時と、死ぬ時ですね」などの名言(!)が飛び出してくる楽しい対談集でした。対談のお相手がお亡くなりになっているのも多い対談で古いのが多いのですが話そのものは全く古びていないのです。向田邦子の人となりが分かり、肉声がその場から聞こえてきそうです。ここには「生活を愛し、猫を大切にし、仕事をバリバリとして、ちょっとユーモラスで頭が良いお料理好きの向田邦子」の姿が見事に焙り出されています。それにしても死にまつわる話を読んでいると彼女の悲劇的な死を思うので涙。
読了日:10月10日 著者:向田邦子
スタフ staphスタフ staph感想
最後の最後まで違和感が・・・。
読了日:10月10日 著者:道尾秀介
ルキノ・ヴィスコンティの肖像ルキノ・ヴィスコンティの肖像感想
写真とそれにまつわる文章にうっとりしました。書いている時期はまちまちでそれを集めた感はありますが、全く古びていない文章に驚きました。書いている人たちも淀川長治に始まり、海野弘、佐藤忠男、荻昌弘、円地文子(!)、そして澁澤龍彦等々、ヴィスコンティ作品に魅せられた人たちの様々な声が圧巻でした。
読了日:10月10日 著者:淀川長治,海野弘,河原晶子,石田美紀,増村保造,佐藤忠男,荻昌弘,倉橋健,寺山修司,高崎俊夫,斎藤龍鳳,唐十郎,三島由紀夫,澁澤龍彦,松田修,円地文子,巖谷國士,由良君美,ルキノ・ヴィスコンティ,白石かずこ,寺岡裕治,山内由紀人,渡部幻
蜜蜂と遠雷蜜蜂と遠雷感想
傑作。恩田陸のいいところが全開になった作品で一種の興奮状態で読みました。ピアノコンクールの話で、音楽の話であると同時に、激しく美しい青春群像劇でもあるのです。天才肌の風間塵、かつての天才少女栄伝亜夜、優勝候補のマサルの三人が非常に魅力的に描かれています。そして冒頭で、風間塵の推薦状を音楽界の亡き重鎮が書いているのですがそこに謎めいた一文があるのです、ギフトか災厄かと。これが後半にわかるのです。コンテスタント達の逡巡、怖れ、祈り、懊悩、それらが伝わってきます。また市井の人高島明石も見逃せません。
読了日:10月8日 著者:恩田陸
泉
読了日:10月8日 著者:キャサリン・チャンター
女子大生桜川東子の推理 ベルサイユの秘密女子大生桜川東子の推理 ベルサイユの秘密感想
愛からず楽しい・・・昭和ネタ満載と脱線話のあらゆる方向の蘊蓄満載でここが楽しめるかどうかの肝かも。毎回大爆笑させてもらってます、ヤクドシトリオの突込みに。とりあえず殺人事件はあって、それを解く美女大学院生桜川東子さんは毎回いるのだけれど、横道が多すぎてたまになんだっけ?謎は?と思うこともしばしばで、でもそれがまた楽しいのです。ウィスキーの蘊蓄なんか素晴らしいです。今回宝塚歌劇の演目が出てきますが、これだけエリザベートとかを簡潔にまとめたものってないだろうなあ。
読了日:10月7日 著者:鯨統一郎
地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)地上最後の刑事 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
良かったです!もうぐりぐりに良かったです!!小惑星が半年後に地球に衝突する、この事実が分かって人々がどうするかという、主人公以外の周りの様子がとても面白く読ませました。狂信的になる人、ドラッグに走る人、自殺する人、好きなことをしまくる人・・・・。自殺者が多い世の中で自殺とされた一つの事件を殺人事件ではないか?と愚直に追い続けている刑事パレスの姿にも胸打たれました。騒然としている世の中で、職務を全うする人達がいるという救いが。文章も短文が連なっていて小気味よく読みやすく、三部作だそうなので次に行きたいです。
読了日:9月30日 著者:ベンHウィンタース,BenH.Winters
霧に橋を架ける (創元SF文庫)霧に橋を架ける (創元SF文庫)感想
ものすごく好みの作品と普通の作品とに分かれました。ものすごく好みは、以下の三作品。26モンキーズは消失する猿たちの謎、で、謎は謎のままですが非常に印象深く読ませます。絶望している人に1ドル渡しもいいなあと。スパーがもう怖くて怖くて、宇宙で遭難してこんなことになりたくないもんだ!とぞくぞくしました。最後は希望なのか新たな絶望なのか?表題作は霧が全てを決定づけている世界観が素晴らしく、プラス恋愛がほのかに混ざっている好みの作品。連綿と続く渡し守一族の姉弟造型が素敵でした。
読了日:9月30日 著者:キジ・ジョンスン
ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)感想
またまた再読。懐かしいし、安西水丸さんがお亡くなりになったということを考えると絵を見るだけでぐっときました。ちょこちょこっと軽く書いたように見えるけれど(実際そうなのかもしれないけれど)こういう大上段に構えていない気の張らないエッセイって貴重だと思いました。そして村上春樹、ぶれてないなあ・・・とも感じました、言ってることが。ウォークマンの記述とかは明らかに古いけれどね。
読了日:9月30日 著者:村上春樹,安西水丸
四人の女【新版】 (創元推理文庫)四人の女【新版】 (創元推理文庫)感想
有名コラムニストに成り上がるまでのラリーの姿に最初のうちは(最低の男!!)と思っていましたが、後半なんだか哀れで可哀想になってきました。あくまで自分の出自を隠すラリー。コネゼロの中なんとか強力なコネをつかもうとなりふり構わぬ姿をさらすラリー。これを一番理解していたのが最初の妻シャノンであり、次の現夫人クレアは美しいけれど頭足らず、次の愛人マギーは本の共著者でラリーにとっての重要人物、そしてフィアンセのディーは若くて妊娠中。この4人がラリーのそれぞれの時代を語りながら、話は進んでいきます。傑作。
読了日:9月29日 著者:パット・マガー
新 怖い絵新 怖い絵感想
このシリーズ大好きなわけは、いわゆる怖い絵を語るだけではなくそこから派生する小説とか映画をも縦横無尽に語ってくれているところです。今回も非常にそこが楽しめました。どうしたって幼年期の終わりをある部分を確認するために再読したくなります。また表紙の絵の話から、ハムレットは勿論のこと、漱石の草枕、椿姫にまで辿り行くのがお見事。またゲイシー『自画像』のピエロの絵が、キングのITのピエロのモデルの人だというので驚愕しました。暗鬱な修道院の絵から、ゴシック→オースティンのノーサンガー・アビーに移っていくところも良く。
読了日:9月29日 著者:中野京子
鳥肌が鳥肌が感想
穂村弘の笑える部分と怖い部分がミックスされたようなエッセイでした。ほむほむの目で見ると、世界はこう見えているのだなあ・・・。(あ、私もあるある!)(こういうことあるある!)とあるある感を持たせるのが天下一品に巧い人、だと思います、穂村弘という人は。この中で、現実ではこうという、子ヤギの話と千人針の話とが怖かったし、似た奥さんと結婚した人の話も怖かったし、あと、子役の話を語りつくしている話のオチが最高潮に怖かったです(と同時に笑いました)。ところでこの栞、乙一のある種の本の栞と同じですが、怖すぎます!!!
読了日:9月29日 著者:穂村弘
ささやく真実 (創元推理文庫)ささやく真実 (創元推理文庫)感想
とても優れた本格ミステリだと思いました。美女クローディアが悪魔のような心を持ち、ただのお遊びで自宅パーティーで全員に自白剤を飲ませ本当のことをしゃべらせる・・・そして殺される・・・誰が一体殺したのかというミステリでした。告白大会のある部分で切れているのでその先が非常に気になりました(後半分かります)。随所に伏線が潜んでいて、それを読み解きながら進んでいくのが楽しい読書でした。探偵役になっているウィリング博士のお手並みご披露がお見事の作品でした。最後まで行くと最初に戻って読みたくなりました、確かに。
読了日:9月29日 著者:ヘレン・マクロイ
終わりなき道 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)終わりなき道 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
読んでいてとてもつらい物語ではありました。なんせ少女監禁レイプが話の軸になっているので。冤罪でひどい監獄に閉じ込められていた元刑事エイドリアン、監禁された少女チャニングを助けるために犯人射殺が過剰防衛ではないか問題視されているエリザベス、それぞれが自分だけの強烈な秘密を持っているのです。そしてまたこれはジョン・ハートお得意の家族の物語でもありました。この中でなんといっても魅力的なのは、エイドリアンでもエリザベスでもなく後半出てくる老弁護士でした。彼の映画を撮ってほしいと思うほど大好きでした。
読了日:9月29日 著者:ジョンハート
ミスター・メルセデス 下ミスター・メルセデス 下感想
そして下巻へ。面白かったです!犯人は早い段階で名前すらわかっているのですが、追う側が段々増えていく、というところに妙があると思いました。年取った男性(元刑事なので足場がしっかりしている捜査をする)、若い男性(だからIT系に強いし頭冴え冴え)、若い女性(これまたIT系に強く尚且つしぶといので食らいついたら離さない)の三つ巴が魅力的でした。ホラーの要素はありません、ほぼ。ミステリとしてまた心理サスペンスの側面もちらほらあって非常に楽しかったです。続巻があるようなので、ぜひぜひ!この三人にまた会いたいです!
読了日:9月29日 著者:スティーヴン・キング
ミスター・メルセデス 上ミスター・メルセデス 上感想
職探しの列に車が突っ込んだ・・・というところから始まる掴みから、定年退職してまるで何もやる気のしない元刑事ホッジスと、彼に今どきの挑戦状をたたきつける犯人とのやり取りが読ませます。ただこの巻の前半から中盤あたりまではやや、ですが、乗り切れませんでした。しかし。後半から一気に加速、ぶぅーーーん!下巻に続く。
読了日:9月29日 著者:スティーヴン・キング
テロテロ感想
サッカースタジアムの7万人を救うために、そこに突入しようとしているテロリストを含む乗客164人の飛行機を撃墜した・・・その空軍少佐は有罪か無罪か。法廷劇でありました。最初の方ですぐにサンデル教授の講義にあった「トロッコ問題」を思い出しました。具体的な例とともに進んでいく法廷の場。弁護側と検察側との丁々発止のやり取りが考えさせられました。ただ、娯楽性は非常に薄いかも。
読了日:9月7日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
夜を徹して読むほど引き込まれました。この世界本当はどうなってるのだろう?自分という人間は誰なのだろう?系(本の虚構の男、映画のトゥルーマンショー系)が好きな人なら吉。冒頭でピストル自殺をまさにしようとしている男の元に実に奇妙な依頼をする人間が飛び込むところから、え!?第一部で腰が抜けるほど驚いていたら、第二部冒頭で更にえ!!!これは・・・誰が誰を殺したの?息を持つかせぬ展開で、第三部第四部に突入で、更にえーーー!!各部の冒頭に登場人物表があり、それが実に感慨深いのです。着地点は全く全く読めませんでした!
読了日:8月31日 著者:フェデリコ・アシャット
その先は想像しろ (集英社文庫)その先は想像しろ (集英社文庫)感想
面白い!悪意の波紋が「あることが起きることによって野連鎖反応」ミステリとすれば、これは「各自の思い込み」が思いもかけない展開を生む面白さがあると思いました。最初の方で、世界的なロックスター、ニノが失踪した事件が書かれ、そのあと全く違った二人の街のチンピラがどのように破滅の道を辿ったかが描かれていました。ニノは?と思っていると、ああ・・・こういう繋がりが!!しかもページをめくるごとに、え!そうだったの?この人は実はこう考えていたの?という驚きがありました。そして、私は開いたすがすがしいラストが大好きです。
読了日:8月30日 著者:エルヴェコメール
帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく (4)帰ってきた海馬が耳から駆けてゆく (4)感想
相変わらずの菅野彰節炸裂、楽しい!お友達の月夜野も全く知らない人なのにこちらまでお友達気分になりました。そして大爆笑。お爺ちゃんの胸に書く墨の話で一番笑ったかなあ。気持ちの弱い弟君の千羽鶴にも大爆笑。しかし・・・情弱の話の中で、くまモンに驚愕!情弱の私でも知ってる!というか逆にくまモンをどうやったら遮断できるんだろう・・・・。ただ、ですね、私のせいか慣れかわからないのですが、前回より笑いは減った気がします。きっと私のせい。
読了日:8月23日 著者:菅野彰
伯爵夫人伯爵夫人感想
日米開戦の前夜の物語。官能小説のようで、英語で言う4wordsの連続でありました。しかしそこここにそこはかとないユーモアがありくすり(と笑えるかどうかが受け入れかどうかの基準になると思います)。話として面白くて、伯爵夫人とはいったい誰だったんだろう、という根本的なことから、挑発する彼女に翻弄される二朗さんがけなげ(と私には見えた)であり、更に、物語全体が幻想的で迷宮的なのです、卑猥に隠れているので見えにくいのですが。擬音も印象深く、何度も出てくるココア缶(是非調べるといいと思います)も迷宮に拍車をかけて。
読了日:8月23日 著者:蓮實重彦
このあたりの人たち (Switch library)このあたりの人たち (Switch library)感想
良かった~。このところ川上弘美の話がぴんとこなくてどうかなと危ぶみながら読みましたが、これはとてもとても良かったです。いわゆる不思議話で、書きようによってはただの夢のような話でつまらなくなりそうなのに、それが心地よい不思議さがあり心癒されたのです。「わたし」の視点が過去になったり未来から過去を見たり(つまり今は大人)変化し、狂言回しのようなかなえちゃんがたくさん出てきたりの非常に短い話が積み上げられた連作集。不思議な人と不思議な出来事がたくさん起こり、うっとりとしました。
読了日:8月19日 著者:川上弘美
クララ殺し (創元クライム・クラブ)クララ殺し (創元クライム・クラブ)感想
アリス殺しを読まなくてもわかる本です。が、読んでいると懐かしいビルとか井森とかこの奇妙奇天烈な世界観とか理解するのが簡単なのでその面は楽でした、前作よりも(前作は話は非常に面白かったのですが世界観になじむまで時間が私はかかりました)。ただ、アリスの話は多かれ少なかれ知られている話ですが、これは・・・前作知っている人の方が少数派でしょう、知っている人が。巻末のガイドに従って全部読んでからもう一度再読してみたいものです。
読了日:8月19日 著者:小林泰三
人生の真実 (創元海外SF叢書)人生の真実 (創元海外SF叢書)感想
幻想の部分は濃くはなく、それよりも家族の物語だと思いました、そして非常に面白い!アメリカのドラマBrothers and Sistersを私は強く思い出しました、強烈な家長がお母さんで、それぞれの子供達の問題が惹きつけられる問題です、どちらも。笑える部分もたくさんありました(死体が起き上がったところにも笑ったし、ベッドでフランク取り違えのところも大爆笑)。フランクという一人の男の子が8人の女性に育てられていく過程も読みごたえありでした。コヴェントリーの爆撃で『犬は勘定に入れません』がふっとよぎりました・・
読了日:8月4日 著者:グレアム・ジョイス
失われた過去と未来の犯罪失われた過去と未来の犯罪感想
記憶の物語。いわば大いなる法螺話(褒め言葉です)を楽しんで読めました。冒頭の何が何だか分からなくなっちゃったでも賢い女子高校生の物語からしてとっつきやすく、SFだと妙に構えなくても読むことができました。後半になって、自分が何者かという哲学的なところまでいくところも面白く読みました。
読了日:7月28日 著者:小林泰三
自分を好きになる方法 (講談社文庫)自分を好きになる方法 (講談社文庫)感想
リンデという一人の女性の物語でした。各年代で切り取っていて、リンデが自分と心から一緒にいたいと思う人を求めてやまない姿にぐっときました、わかるなあと。学生時代はそれは友情であって友達を求めていく姿であるし、長じては恋愛でのずれ、結婚でのおおいなる齟齬、決断と後悔がないまぜになった感じがそれぞれの年代で色濃く描写され、この世界に引き込まれました。途中三歳のリンデが出てくるのですが、ここのみ満たされたリンデがいるというのもまた胸打たれました。孤独は底辺に流れていますがリンデの常に何かを求めていく姿が好きです。
読了日:7月28日 著者:本谷有希子
エレンディラ (ちくま文庫)エレンディラ (ちくま文庫)感想
堪能。短編もまた素晴らしいのだと改めて思いました。幻想的で魔術的で呪術的な世界。現実とそういう世界が並列に並んでいる、しかも登場人物がそれを平然と受け止めていることに感動すら覚えました。タイトルのエレンディラは他の作品に比べてやや長い中編ですが、一度読んだら忘れ難く、娼婦のエレンディラのラストに戦慄しました。また海底の村を描いた失われた時の海も大変好きでした、海に行くたびにこの物語を思い出すでしょう。木村榮一先生の解説もこれまた素晴らしく、エレンディラのみならず他の作品への温かい道標になっていました。
読了日:7月21日 著者:ガブリエルガルシア=マルケス
不変の神の事件 (創元推理文庫)不変の神の事件 (創元推理文庫)感想
妙な言い方ですが、のんびりとした気持ちになったミステリでした。古き良き時代のミステリで好きです。全編に漂うふんわりとしたユーモアにくるまれ、冒頭から死体を運ぶ車の中を見た、と大騒ぎの一般人が出てきます。更に車の中の人達と一般人がホテルで遭遇・・・。なぜこういうことになったのかという経緯がこのあと語られていきます。かなり初期のここで読者は犯人も動機も方法もすべてを知るのです。は?と思うところは多々あるには違いないのですが、それでもラストは驚きました、完全にミスリードされていたので。
読了日:7月21日 著者:ルーファスキング
犯罪は王侯の楽しみ (創元推理文庫)犯罪は王侯の楽しみ (創元推理文庫)感想
なんてたってアルレー。ところがこの本、全体が私の考えているアルレーっぽくないなあ・・と思いながら最初のうちは読んでいました。お金持ちの男が暇に飽かせて現金輸送車を襲うという計画を立て、その綿密な計画の元色々な人を動かしていく、ある時は脅迫である時は誘拐で。非常に映像的で話はわかりやすくするすると進みます。が!私はこのラスト2ページで(あーアルレー!)と思い直しました。特にラスト2行の衝撃。ここに至るまでのダブルダブルの妻の心理描写が非常に読ませます。ためらい迷い決心する、そして悔悟の念とがないまぜに・・・
読了日:7月21日 著者:カトリーヌ・アルレー
『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命 (ベスト新書)『ベルサイユのばら』で読み解くフランス革命 (ベスト新書)感想
とても面白かったです。ベルばらファンはもちろん漫画とともに楽しめますが、そうでなくてもフランス革命に少しでも興味があれば入門の一冊としてわかりやすく紐解いてくれています。漫画で描かれなかったこと、描かれたけれど多少事実と違うこと、など細かいところが読ませどころでした。ベルばらを読んだ頃にこれがあれば片手にこの本、片手にベルばら、とできたのに、と今の人を羨ましいと思う気持ちでいっぱいです。
読了日:7月21日 著者:池田理代子
珠玉の短編珠玉の短編感想
作者の大ファンですが・・・この哄笑と諧謔のつまった一冊、私には合いませんでした、申し訳ありません。合う人にこの本が届きますように。
読了日:7月21日 著者:山田詠美
ジョイランド (文春文庫)ジョイランド (文春文庫)感想
ノスタルジックな物語。青年時代のひと夏の思い出、それは海辺の遊園地ジョイランドで大学生のデヴィンがアルバイトを始めたことによって引き起こされたことだった・・・。この話、失なった恋があり、友情があり、ホラーがあり、ミステリがあり、超常現象的なことがあり、たくさんの要素がふんだんにつまっていました。特に、デヴィンと二人の男女大学生の友情物語は読んでいて心地よく楽しかったし、デヴィンの新しい恋も胸をきゅっとつかまれたような気がしました。アンとデヴィンとマイクの三人場面が美しいこと。
読了日:7月12日 著者:スティーヴンキング
囀(さえず)る魚囀(さえず)る魚感想
虚実混ざった一冊。とても魅力的な出だしなのですが・・・
読了日:7月9日 著者:AndreasSéché
偽りの書簡 (創元推理文庫)偽りの書簡 (創元推理文庫)感想
当時のスペイン情勢を呑み込むのまでに時間がかかりました、そしてそれはこの物語に非常に重要な事柄なので最初の方で苦戦。また探偵役がこの二人になるというのが意外でありました。それならば、もっと早くこの二人を出せばいいのに、と中盤で思いました。アナが上流婦人たちに探りを入れるところとか、代書屋さんをして色々な階層の人に会うところとか、そういう細かいところは非常に好きでした。
読了日:7月9日 著者:ロサ・リーバス,ザビーネ・ホフマン
戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)感想
読んで良かった!と思った一冊でした。そもそもこんな風に戦争中にアメリカの図書館員たちが軍も巻き込んで戦地の兵隊さんたちに本を送っていたという事実すら知りませんでした。冒頭のヒトラーの焚書の顛末からおおいに引き付けられ涙し、そしてこれに対抗するように(事実対抗していたのですが)本を送り続けそして読み続ける兵士達。表紙の写真にも圧倒されますが冒頭の写真の数々にも心打たれました。そしてラスト、この戦地から戻ってきた人たちがどういう人生を歩むか、ここにも大きく戦地の本が関係しているところにもぐっときました。
読了日:7月6日 著者:モリー・グプティル・マニング
亀と観覧車亀と観覧車感想
申し訳ない、作者の大ファンでありますが、よくわかりませんでした。
読了日:7月6日 著者:樋口有介
帰って来たヒトラー下帰って来たヒトラー下感想
ラスト、私の予想があったのですが見事裏切られ、こういう結末に・・・。でもこの結末が非常にまた納得できるのです。ヒトラーの言葉にいちいち、えっと驚愕しながらも思わず引き込まれていく本でした。過去を踏まえつつの現代の演説もこれだったら人が惹きつけられるだろうなあ・・・と思わせるものでした。またラストの註は一般的な知識しかヒトラーにない私にはとてもとても読ませる註で、初めて知ったこともたくさんありました。この表紙も秀逸、髪型と髭だけで(髭はタイトルだし)ヒトラーと分かるなんて!さあ、映画館へ行きます~~!
読了日:6月30日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)感想
映画のために読み始めたのですが・・・いやあ・・・面白かったです。あのヒトラーがなんだかわからないけど現代に甦って、「彼の目」で現代のドイツの現状を見て憂えたり悲しんだり考えたりする、というある意味荒唐無稽な話なのですが、読ませます。ヒトラーが物真似している人、と捉えるマスコミと一般大衆側、と、本当のヒトラーとの齟齬が笑えました。わからないゼロのところから、ヒトラーの看破力のすごさからどんどん新しい知識を吸収していく、というところも読ませました。EUが問題になっている現在、更にこの本、楽しめます。(下巻へ
読了日:6月30日 著者:ティムール・ヴェルメシュ
虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)虚構の男 (ドーキー・アーカイヴ)感想
大好き。二転三転の展開に取りつかれたように読み進めました。ある映画を思い出すし、このところのある小説も思い出します(だから話としては既存である話)。けれどこの話の面白いところは、こちらが(こうだろうなあ)と思っている展開と違う展開になっていくところ。小さな村にそれなりに暮らしている小説家のアランが隣人リーとのほのぼのとしたやり取りや、村の人たちの温厚な様子とか、最初をよく読んでおくと、後半で、ええええ!の連打が始まりました。しかし1965年に書かれた小説とは!そして小説家が書く小説の設定が2016年とは!
読了日:6月28日 著者:L.P.デイヴィス
魔法の夜魔法の夜感想
色々なものとか人が一気に動き出す月夜の魔法の物語。
読了日:6月28日 著者:スティーヴン・ミルハウザー
ターミナルから荒れ地へ - 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学ターミナルから荒れ地へ - 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学感想
非常に刺激的であり読ませるエッセイでした。翻訳者という立場から、アメリカ文学を縦横無尽に語ってくれています、そこはかとないユーモアとともに。目から鱗という部分が非常に多く、どの文章も一つ一つ頷けたのでした。具体的な署名がたくさん載っているのでそこもまた魅力的、村上春樹にも言及していてその部分も膝を打つと言った感じでした。読んでみたい本がたくさんできて、更にはそれを読んでからもう一度この本を読んでみたいです。
読了日:6月28日 著者:藤井光
希望荘希望荘感想
最初から最後までページをめくる手が止まりませんでした。杉村三郎シリーズの最新刊。衝撃の結末のペテロの葬列以来なので杉村三郎がどうしているかという興味もありました。4編入っていますが、特に表題作の希望荘が秀逸でした。施設に入っていた父が人殺しをしたという告白を残して死んだ、その真偽は、という話ですが、なぜ彼が告白をしたのか、そしてこの中に出てくる人間の一つの姿に対する言葉など忘れない文章がたくさんありました、更にラストも含蓄ある終わり方。次の砂男も実に忘れ難い名品でした、想像していたのを超えていました。
読了日:6月24日 著者:宮部みゆき
ささやかな手記 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ささやかな手記 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
解説にあるように、どんでん返しとか派手なパフォーマンスのあるミステリではありません。じわじわじわじわと主人公と一緒に心を蝕むような監禁がこれでもかと描かれていきます。でも私はこの小説とても好きでした。妻を兄に寝取られ暴力をふるって刑務所に入れられたテオ。前半ある部分までは美しい山歩きでテオが徐々に人間の心を取り戻していき、そのあと老兄弟によって監禁され働かされるという絶望状況が始まります。とことん人間が堕ちていく設定がすさまじく、飼い犬になってしまう人間とそれでも生きていくことを選択する姿に戦慄しました。
読了日:6月21日 著者:サンドリーヌコレット,SandrineCollette
埋葬された夏 (創元推理文庫)埋葬された夏 (創元推理文庫)感想
20年前にイギリスの小さな田舎町で起こった一つの殺人事件。逮捕されたのは問題の多かった少女コリーン。20年後に弁護士に依頼され私立探偵のショーンが再捜査を始めるのです。現在と過去が交互に出てくるミステリで「誰が殺されたのか」というのは最後に至るまで全く分かりません。過去の学生生活場面が非常に読ませます、一人の転校生によって壊される友情、恋の行方、人を支配していく雰囲気がよく描けています。そして最後驚きました、こういうことだったのかと。惜しむらくは、ショーンがキャラクターとしてやや弱いように思いました。
読了日:6月21日 著者:キャシー・アンズワース
スクープのたまごスクープのたまご感想
出版社の週刊誌記者のお仕事小説。わかったこととかそうだったのか、というのは多くあったのですが。日向子があと一歩心に響きませんでした。
読了日:6月21日 著者:大崎梢
あの素晴らしき七年 (新潮クレスト・ブックス)あの素晴らしき七年 (新潮クレスト・ブックス)感想
この素晴らしき本!エッセイの全てに奥ゆかしいユーモアがあり、涙もあり、根底には愛がありました。どの話もどうやったらこんなにうまく書けるのかと思うくらいにエッセイとしても短編としても素晴らしい作品でした。イスラエルに暮らすということ、日々自分がユダヤ人ということを認識するということ、その中で息子が生まれ、ゲットーを生き延びた父が癌のため余命いくばくもなくなり、優秀だった兄がいて、と強烈な家族の物語でもありました。ポーランドのゲットーから抜け出して食料を求めていた少女(作者の母)の話にも涙。奇縁の住居話も涙。
読了日:6月10日 著者:エトガルケレット
記憶屋 (角川ホラー文庫)記憶屋 (角川ホラー文庫)感想
都市伝説でもある人の記憶を消す記憶屋。記憶屋の有無をめぐって、大学生の遼一が探っていくのです、記憶屋は一体いるのかいないのか。そして探っていくうちに幼い日の記憶も鮮やかに甦ってきて。面白く読みました、現代の都市伝説の探り方ってサイトをめぐっていくのだなあというのも新鮮だったし、オフでその人たちに会うという手法もいかにも今、だし。最後多少の驚きもありました(予測していたものの)。が、物語とはいえ記憶がどの部分を消すのかという細かい設定をしてほしいと思いました。記憶って連続なのである記憶のスポットだけ消す?
読了日:6月8日 著者:織守きょうや
大きな鳥にさらわれないよう大きな鳥にさらわれないよう感想
冒頭の静かに外の温泉場で湯浴みをする女性集団、その傍らにいる子供集団の姿に圧倒されました。そしてこれが現在の日本とかではなくSF的世界であると分かった時に、非常に引き込まれました。この世界ではヒトが科目に属していて死なないとわからない(ネズミとかカンガルーとか)、ヒト同志交わらず工場で人や食べ物が作られている、見守りと呼ばれる人が存在。連作集で薄紙をはがすようにこの世界の成り立ちがわかってきます。ただ、私は途中で世界観にのめりこめず非常に微妙な気持ちになりました。この小説、詩なんだと思います。
読了日:6月8日 著者:川上弘美
タマゴマジックタマゴマジック感想
エッセイと小説のサンドイッチ(交互に出てきます)なのですが、このエッセイが不思議と効果を上げていて(日常で見る不思議な話が多いです)小説の方も楽しめたし、エッセイも楽しめたというお得感溢れる一冊でした。ものすごいガツン!はないものの、さくさくと読める恩田ワールドが広がっていました。ブリキの卵(小説)は、途中大いに盛り上げてくれました。また冒頭に魔術師(象と耳鳴り)が置いてあって懐かしい関根多佳雄に再会しました。最後の魔術師は地震後に書かれた作品で仙台の希望のようなものを受け取りました(関根春がここに!)
読了日:6月8日 著者:恩田陸
砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)感想
途中までは「高校で壮絶ないじめを受けている後輩女子」を救う先輩の男子の話と思いきや、途中で反転しました。いじめは表面に見えている小さな問題なのだと。もっと山のようにそびえる大きな問題があったのだと。あくまで玻璃を救おうとする清澄の姿が印象的です。ある作品とコンセプトが似ているなあと強く思いました。なんですが!ラスト20ページで?一応の解釈は出しましたが、まだ咀嚼しきれていません。あと、UFOとか、真っ赤な嵐とか、!!とか、特有な言葉遣いが連発するので私にはなんというか・・・。あ、尾崎姉妹はいいなあ。
読了日:6月8日 著者:竹宮ゆゆこ
たましいのふたりごと (単行本)たましいのふたりごと (単行本)感想
川上・穂村の両人と編集の方が出したお題に対して、二人が対談していくという趣向。一番の驚きは、作家と歌人が個人的に親しいということでした、違う雰囲気の二人だったから。でもこの対談を見ていると、二人の違っているところはもちろん大きくあるのですが、もしかして理解度ということで深く理解しあえる何物かが二人にはあるなあと思いました。二人の話、必ずしもぴったりと噛み合っていないのです、齟齬があるのです。そこが面白いと思いました。ただ・・・お題に対して、文章の多少があるのはなぜでしょう?ちょっと掘り下げが少ないかなあ。
読了日:6月6日 著者:川上未映子,穂村弘
ささやかで大きな嘘〈下〉 (創元推理文庫)ささやかで大きな嘘〈下〉 (創元推理文庫)感想
「誰かが殺された」というのは途中の会話文で間違いがないのに、最後の方に行くまで一体誰が殺されたのか、そしてもちろんのこと誰が犯人なのかというのもわからず、状況もわからずという構成が面白かったです。しかも途中で私は違った人が殺されたと思い込み(あーあ)と思い込みました。それぞれの秘密を抱えたデスパレートな妻たちじゃなくて(このドラマをちょっと思い出した)、ママ友たち。予備知識ゼロであらすじも見ない方が楽しめると思います。私は驚きました、この事件の全貌が見えた時に。そして爽快でした、読み終わって。
読了日:6月6日 著者:リアーン・モリアーティ
ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)ささやかで大きな嘘〈上〉 (創元推理文庫)感想
微妙かなあ・・・と思いつつ(ママ友トラブルから発展した殺人事件の話という事前情報)、読み始めたら、これが意外に面白かったです。ママ友トラブルは海外でもあるんだなあ!と感心していましたが、そこよりも、それぞれのママの生活が浮き彫りになっていって、ついでにその人の性格もくっきりと現れていて、すぐに誰が誰かというのが頭に入りました。公立なんだけどいわゆるセレブ幼稚園に一人のシングルマザーの異分子がやってきた・・・。なぜ彼女はここに来たのか。彼女の子供は本当にいじめをしているのか。そしてなによりも、(以下下巻に)
読了日:6月6日 著者:リアーン・モリアーティ
SFのSは、ステキのSSFのSは、ステキのS感想
楽しい~!池澤春菜なのでほとんどSFまみれの本ですが、本の話だけではなく彼女の日常もまた描かれています。SFの知らない本が出てくるとばしばし読みたくなるし(そして一緒に笑いたい、引用で多分笑いがあるんだけど知らないのは笑えないという悲劇が)読んでいる本だと、そうなのよそうなのよ、とほっこりしていました。何しろ註(用語解説)が素晴らしくてじっくり読ませていただきました。いい意味でのオタクワールド全開で、彼女らしさの溢れた軽妙な文章でした。乙女の読書道も楽しいけど、COCOさん付きもいいな!ピンクの紙も重要!
読了日:5月30日 著者:池澤春菜
古城ゲーム (創元推理文庫)古城ゲーム (創元推理文庫)感想
読ませはするし、若者達が14世紀を疑似体験する体験型ゲームに入る、という魅力的なストーリーなのですが。どちらかというと、ミステリ部分は薄いと思いました。それぞれの若者が秘密を抱えていて、それが大きくこの物語に関係していきます。あるところで意外な真相はわかるのですが・・・そして私はごめんなさい、乗り切れませんでした。決してつまらなくはないんだけども!も!
読了日:5月30日 著者:ウルズラ・ポツナンスキ
バトル・ロワイアル 下   幻冬舎文庫 た 18-2バトル・ロワイアル 下 幻冬舎文庫 た 18-2感想
クラス内のお互いの立ち位置、知力、体力、人望のようなものが全てこの殺戮ゲームに関係しているというところが非常に読ませました。特に秋也グループは思わず頑張れ!と応援したくなる三人組。女子委員長のグループの場面は印象的でこの話の中でも際立っていました。三村班と秋也班が合体すればなあ、とずうっと思っていました。桐山の怖さがひたひたと迫ってきました。杉村の切ない話も大好き。ただ、文章とか、人によってあと一歩内面を描いてほしいという人がいたり、難はある作品だと思います。でも作品から熱のようなものが伝わってきます。
読了日:5月25日 著者:高見広春
バトル・ロワイアル 上  幻冬舎文庫 た 18-1バトル・ロワイアル 上 幻冬舎文庫 た 18-1感想
初めて読みました。そしてとても面白かったです。ただただスプラッタ的に人が死んでいく話、と思って敬遠していたのですが、実はSF学園小説であり(架空の国の架空の統治になっている)、中学三年生の子供達のそれぞれの背景などが際立ってぐいぐいと読み進めました。修学旅行中にバスごとの拉致である島に来た一つのクラス。そこで殺戮を始めろと言われる。今の目で読むと、ハンガーゲームに似ているとも思いましたが、大きな違いは、これは『日常生活を知り尽くしている教室の子供達』がお互いに殺戮しあう話だ、ということだと思います。
読了日:5月25日 著者:高見広春
太陽がいっぱい (河出文庫)太陽がいっぱい (河出文庫)感想
贋作の前に再読。この話、アラン・ドロンの映画と比べると、きっちりトムがゲイであるというのを打ち出している、とまず思いました。トムのディッキーに対する屈折した愛憎の思いが心理描写として非常に細かく描かれていて物語としての厚みがありました。白眉は、これは映画でも印象深い場面ですが、洋服ダンスからディッキーの服を着て自分に見惚れる場面です。ここをディッキーに発見され気持ち悪がられる、一つの分岐点だと思いました。またマージの存在も大きく、彼女がいるがためにトムになったりディッキーになったり。ラストに唖然。
読了日:5月22日 著者:パトリシアハイスミス
十五歳の課外授業 (集英社文庫)十五歳の課外授業 (集英社文庫)感想
なんだかっ!理解できたのでしょうか、私。この作者の作品いつもいつもこういう感じで自分の中で終わっています。つまらなくはないのです、一種の青春物語で、恵まれた環境の十五歳の卓郎が非の打ちどころのない美人女子に愛されるという男子にとっての夢物語です。その青春部分に、冴えない教育実習生が来るというところから話が展開していきますが、後半ぐるっと話が変わっていきます、そして卓郎も変わっていきます。ミステリ要素もあり。メッセージ性もあり。が・・・下ネタっていうか下半身っていうか、そうところが多いのが私はちょっと。
読了日:5月22日 著者:白河三兎
ロマンティックあげないロマンティックあげない感想
とても面白いエッセイでした、私には。折々に大爆笑し納得しつつ読み終えました。著者がいい意味でオタクなのです。フィギュアスケートを見ていてのちょっとした考察、映画のマッドマックスへの愛、ある舞台への中毒っぷり、そして最初と最後に出てくるテイラー・スウィフト愛。映画とか海外ドラマとか本とかファッションとかそういうものに目が向いている人なら、わかるわかる!の連続だと思います。前の本についてのエッセイも楽しかったし、ここで著者の小説(英子の森、スタッキング可能)をもう一度読んでみたい、と強く強く思いました。
読了日:5月15日 著者:松田青子
世界の不思議な図書館世界の不思議な図書館感想
奇妙な感動すら覚えました、色々な不思議な図書館に。普通の図書館も勿論含まれていますが、ラオスとかバングラディシュなどの開発途上国の図書館も含まれていて、本を運ぶのが象だったり船だったりしているのを見て、そしてそこで目を輝かせている子供達の姿に涙が出ました。またアメリカの電話ボックスの中の図書館とか、カンザスの図書館の駐車場の壁が本の巨大な背表紙とか(セレクトが非常に良い)、面白く見ていました。図書館、を見るというよりも、その周辺で図書館を楽しく使う、真剣に本を読む人たちの姿に心打たれる、そういう本でした。
読了日:5月14日 著者:アレックス・ジョンソン
教場2教場2感想
面白く読みました。教場という警察学校の話に私自身が前の本から比べると慣れたからかもしれません。風間という厳しい教官がなにも見逃さないのがお見事で、話は警察学校の内部の話なので見えにくいのですが、日常の謎系だと思います。ただ非常に苦い味わいの結末もあります。厳しい世界で鍛え抜かれた警察官の人たちの姿がくっきりと浮かび上がります。医師から転身した桐沢という異色の経歴の持ち主が群像の中で何度も出てきてひときわ目立ちました。まだ風間のこれまでの経歴の謎というのは出ていないので、楽しみにしています!
読了日:5月14日 著者:長岡弘樹
GONE ゴーン 下 (ハーパーBOOKS)GONE ゴーン 下 (ハーパーBOOKS)感想
ゴーンシリーズの第一弾ということで、ここで終わりというのが悲しいです・・・続編お願いします・・・。善側のサムの苦悩と段々増していく指導力を見るのが楽しみで、天才少女アストリッドが自閉症の弟を庇う姿に涙し、ケインの邪悪さの源って何だろう?と思い、ドレイクにおののき、クインの人間らしい心の揺れ動きに心奪われ、拒食症のマリアが子供達を見る姿に涙し(この子大変だと思います・・・)、あの二人の過去にはいったい何があったのか、原子力発電所のあるこの町に何が起こったのか。知りたいものです。
読了日:5月6日 著者:マイケルグラント
GONE ゴーン 上 (ハーパーBOOKS)GONE ゴーン 上 (ハーパーBOOKS)感想
小松左京のお召し、を思い出しました、同時に、アンダー・ザ・ドームも、蠅の王も。ある日学校で突然大人が消滅してしまい、子供だけの世界に。当然善側の子供と悪側の子供との間で闘争が起こり、階級社会が出来上がって・・・・。プラス、様々な超能力を持つ子供達の苦悩というのも語られていて読ませます。登場人物の中で淡々とマックでバーガーを作っているアルバートの姿にいつも癒されました。下巻に続く。
読了日:5月6日 著者:マイケルグラント
忘れな草 (創元推理文庫)忘れな草 (創元推理文庫)感想
丸美中毒なのでしょうか・・・私。雪の断章から二冊目。必ずしも読みやすいとは言えないし後味悪いのですが・・・。ここでは二人の少女(またしても孤児!)が大企業の継承権をめぐっての駒にされている物語です。突っ込みどころは大いにあって、こんな所に軟禁状態でいいのか、とか、クールな高杉の立ち位置は微妙、とか。でもでも、雪の断章のトキさんがこう考えていたのかというのが再登場で見えているのと(同時進行です、雪断と)、私のご贔屓史郎さんが後半で思いもかけぬ登場をするので、そこで満足。
読了日:5月6日 著者:佐々木丸美
カエルの楽園カエルの楽園感想
カエルが主人公の寓話。
読了日:5月6日 著者:百田尚樹
雪の断章 (創元推理文庫)雪の断章 (創元推理文庫)感想
初めてのの佐々木丸美作品。今現在大人になって読んだのと、自分が10代に読んだらどうなのかというのは全く違うと思います。いい意味でも悪い意味でも『毒』のある作品だと思います。天涯孤独な少女と心ある青年の心象風景が、札幌の街を背景としながら叙情豊かに語られていきました。独特の文章で好み分かれると思います。
読了日:4月30日 著者:佐々木丸美
書店主フィクリーのものがたり書店主フィクリーのものがたり感想
本好きの心をつかむキーワードに溢れている本でした。
読了日:4月30日 著者:ガブリエル・ゼヴィン
グランドフィナーレ (ハヤカワ文庫NV)グランドフィナーレ (ハヤカワ文庫NV)感想
映画を見たので、その場面場面の確認のために読んでみました(映画は好みはわかれる映画ですが、私は非常に好きな映画でした)。これは原作ではなく「監督が映画を小説化した作品」なので忠実に映画をなぞっています。スイスの高級ホテルに、かつての有名作曲家とか有名監督とか有名スターとかが集う・・・・エピソードの連なりがあり、そのエピソードを改めて読み直して満足しました。ただ、単体よりも映画の後に、または映画の予習のために読むとより一層深みが増すと思いました。
読了日:4月30日 著者:パオロ・ソレンティーノ
ひぐらしふる 有馬千夏の不可思議なある夏の日 (幻冬舎文庫)ひぐらしふる 有馬千夏の不可思議なある夏の日 (幻冬舎文庫)感想
頑張れ!と応援している、どちらかというと好きな作家さんです。話は、作家志望の女性が祖母のお葬式で故郷に戻る、旧友に会うというところから始まります。正確に言えば、その前にプロローグでよくわからないスイカの中のおぞましい幻影を見るところから始まって・・・。人の名前がわかりにくかったかなあ・・・でも、読ませます。それぞれの連作が苦い味わいなので好き嫌い分かれると思います。途中のミステリ小説とかミステリの話は楽しめます。ラスト、あ!とは確かに思ったし驚きはしたのですが・・・・もやっと感がちょっぴり残りました。
読了日:4月24日 著者:彩坂美月
心理療法士ベリマンの孤独 (ハヤカワ・ミステリ文庫)心理療法士ベリマンの孤独 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
心理療法士であるシリ・ベリマン(女性)が患者と向き合う傍らで何者かから脅迫を受けていて、段々それがエスカレートしてついに一人の患者が殺されるという事態に。読ませるのですとてつもなく。特に心理療法の部分は患者とのセッションが読ませます。ミステリとして見た場合、犯人像のインパクトが今一つ大きくないように私は思いました。ベリマンの心の秘密も徐々に提示されていきますが、ここも割合想像の範囲内。前半から後半に至るまでどちらかというと静謐なのにラストのばたばたっとした感じが・・・。
読了日:4月23日 著者:カミラ・グレーベ,オーサ・トレフ
世界を動かす巨人たち <政治家編> (集英社新書)世界を動かす巨人たち <政治家編> (集英社新書)感想
政治家編で、今現在の6人の政治家たちの生い立ちから思想からを語ってくれている本でした。池上さんらしく相変わらず平易に語ってくれて、ちょっと興味を持っているけれどどこから入っていいかわからないよという人向け。とてもわかりやすいです。テレビで散発的に語っていることとかぶってはいるのですが、本なので何度も納得するまで読み込むことができる利点がありました。個人的には、プーチン、エルドアン、アリー・ハメネイの項が知らないことも含めて非常に刺激的に面白く読みました。
読了日:4月23日 著者:池上彰
あの日あの日感想
読み終わってもなお、よくわかりませんでした。スタップ細胞ってあるのでしょうか?ここが解明されない限りは・・・・。確かに嫉妬とかはめられた部分とか加熱したマスコミ報道とか実際にあったとは思います、実名をこれだけ出して糾弾しているのだから。ただ・・・なんとなく心の中でもやもやがあるのは、これは著者側の話、なので別サイドの話というのも読んでみたいという気持ちがあるからだと思います。
読了日:4月23日 著者:小保方晴子
体の贈り物 (新潮文庫)体の贈り物 (新潮文庫)感想
数年前に読んで号泣したのですが、今回再び読んでみてまた号泣。ただ解説にもあるようにこの短編集の良さ、非常に説明しがたいです。死を目前に控えた患者と向き合っていくホームケアワーカーの視点で語られていく話、なのです。もうここだけで暗いっと思われそう。でも違うのです、それぞれの贈り物の構成が見事だし、死を通じて「生きる」とは何かというのを語ってくれています。ゆるやかに登場人物もあちこちに散見されます(それがまた病状変化でぐっときます)。特に動きの贈り物の最後の光に満ちたラストが素晴らしく涙が止まりませんでした。
読了日:3月18日 著者:レベッカブラウン
シンドローム (ボクラノSFシリーズ)シンドローム (ボクラノSFシリーズ)感想
ある日謎の物体が山のふもとに落下するのをクラスの全員が見ていた・・・ここから物語はスタートします。触手が出たり、陥没が始まったりと、SF小説の趣を持ちながら、その実しっかり青春小説であって、自意識の非常に高い屈折した思いを持つ一男子高校生の理屈の捏ね回し方がすごいと思いました。女子の久保田への思い、現実的な平岩との三角関係、なんでもかんでも映像に置き換える頭脳の持ち主倉石と登場人物も多彩です。非日常から日常、そんなに距離はないのかも。あと挿絵が素晴らしく、文章と一体感のある挿絵でした。ただ人は選ぶかも。
読了日:3月16日 著者:佐藤哲也
死体泥棒 (ハヤカワ・ミステリ文庫)死体泥棒 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
シンプルプランと出だしのあたりはとても似ていると思いました、飛行機事故の中からあるものを取り出してお金にしようとする・・・こちらの方が途中まで単独で全く孤独ですが。あと暑いし。読ませるし話の転がり方は面白いのですが、どこもかしこも適当すぎる感じが・・・・。ブラジルミステリ(ドイツで賞を取ったらしい)初めてだと思いますが、熱気と偏狭の地の怖さは(ブラジルでもボリビアに近い地域)印象的ですが、ラストまで読むと、あれは?これは?と疑問がふつふつと沸いてきました。
読了日:3月16日 著者:パトリーシアメロ,PatriciaMelo
ドルフィン・ソングを救え!ドルフィン・ソングを救え!
読了日:3月12日 著者:樋口毅宏
殊能将之 未発表短篇集殊能将之 未発表短篇集感想
未発表作品3作とデビュー当時の様子を友達に送った「ハサミ男の秘密の日記」が収録されています。どれも、くすっと出来るユーモア、どこか物悲しい感じ、最後ちょっと驚く展開と、作者の原点があると思いました。鬼ごっこが私は一番面白くて、「その筋の方」に追われている誰かの物語と思っていたら最後、(こ・・・こういうこと?)と度肝抜かれました。ハサミ男の秘密の日記は、受賞当時のてんやわんやがしのばれます。お亡くなりになられたのがつくづく惜しまれます。
読了日:3月12日 著者:殊能将之
謎の毒親謎の毒親感想
毒親。しかも謎の毒親。作者の実体験というので驚愕しました。少女の頃からの親からの罵声とか、意味のわからない叱責とか、友達への干渉とか、体へのタッチ。虐待、ではないところがなんとも言えません。相談と言う形式をとっているのが巧いし、その答えと言う形になっているのも巧いと思いました。読ませるのです、こんなことあり得るの?と思いつつも。辛いのは、両親ともにそういう親であると言うことと、一人っ子で目撃者が他にいないということだと感じました。異常な行いが一人以外誰にも理解されていない信じてもらえない怖さがありました。
読了日:3月7日 著者:姫野カオルコ
異類婚姻譚異類婚姻譚感想
面白かったです怖いけど。夫婦でよく顔が似てくるという通説のようなものがありますが、この物語はそれを越えての物語でした。何かに取り付かれたようになってくる夫、違和感を覚えつつ夫の顔の目鼻口がせわしなく動くのをじいっと見るサンちゃん、そして猫の尿害に困っているキタエさん、と登場人物も多彩で会話も読ませます。自分の夫がなんだかわからないものになっていくぬめっとした感覚が非常に私は高くかえました。ラストどうしめるんだと思ったらここも驚きました、このしめかたかと。残りの作品の中では犬たち、が好み。ラスト一行に仰天。
読了日:3月7日 著者:本谷有希子
放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)放課後スプリング・トレイン (創元推理文庫)感想
あ、好きだなと思った一冊でした。日常の謎を友人の彼氏の親友がさりげなく解いていく、と言う福岡が舞台の物語で、円紫さんシリーズのパターンを思い出しました。謎そのものは日常の謎なので強烈なものではありません。だけど学生生活がとても魅力的なのです、学園祭での劇のひとこま、親友との待ち合わせ、その親友の彼氏の友達とダブルデート、席替えでの出来事、と友人達との会話も含め、読んでいて楽しめました。惜しむらくは、あと一歩親友朝名の内面を描いて欲しいということです。ラスト、あることでとても驚きました。シリーズ化希望。
読了日:3月7日 著者:吉野泉
自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)自分では気づかない、ココロの盲点 完全版 本当の自分を知る練習問題80 (ブルーバックス)感想
とても面白く読みました。心理学の本なのですが、練習問題がありそれに自分の中で回答を出して次のページに行くとそこに正解とそれをなぜこうなったかという脳の思考の癖のようなものがわかります、同時にそれがどう心理学で名づけられているかと言うこともわかるようになっています。それぞれの章タイトルが有名作品をもじっているもの、またはそのままのものが多くそこも笑えました(対称の耐えられない軽さ、とか失われた時を求めてとか、高慢と偏見とか)。自分の脳の動きってわかっていると思っても曖昧だったのだなあ・・・・
読了日:2月29日 著者:池谷裕二
鏡の国のアリス (新潮文庫)鏡の国のアリス (新潮文庫)感想
連続で読んでみて、こちらの方が慣れてきたせいもあるのだろうけど、私は好きかもしれません。チェスが基盤になっていて(そこはおおいに不思議~とは違う)、それはそれはハチャメチャな出来事が繰り出されていく、というのは不思議~にも通じるのですが、最後の方で話がまともにアリスと通じる白の騎士(騎士なのでチェスの駒)が貴重な存在です。ハンプティダンプティ、双子、ぐるぐる回ってしまうお茶会など印象深い場面も多々ありました。アリスが途中で、自分の今の状態が王の夢の中?と自問自答するところが非常に面白く思いました。
読了日:2月29日 著者:ルイスキャロル
不思議の国のアリス (新潮文庫)不思議の国のアリス (新潮文庫)感想
ディズニーとか子供向けは知っているけどちゃんとしたのは読んだことがないなあ・・・と思って手に取りました。穴に落ちていくところが長いのでまずびっくりして、そのあとも言葉遊び、ナンセンス荒唐無稽な出来事の数々、次々と出てくる生物と読み進めました。ナンセンスがやや苦手な私としては、途中でうっと詰まったところも多々ありました。この本、たくさんの訳が出ていますが、大好きな矢川澄子訳というのと、あとテニエルではない金子國義の魅力的な挿絵に惹かれ新潮文庫にしました。
読了日:2月29日 著者:ルイスキャロル
Xのアーチ (集英社文庫)Xのアーチ (集英社文庫)感想
難解、だと思います、少なくとも黒い時計の旅より。でもこうしてメモを取りつつ読み終わってみる、とエリクソンの幻視が非常に楽しかったということに気付きました。時制が飛び、人も輪廻転生のようにあらゆる場所に出てきます。最初は美貌の黒人奴隷のサリーが、トマス・ジェファーソンの愛人になる、そして奴隷制のないパリに一緒に行って、パリに残るかトマスと行動を共にするかという二者択一を求められます。このあと、場所と時制の転換点があり、未来都市に行くのです。最後は混沌としているベルリン。どこにもサリーがいてラブがありました。
読了日:2月29日 著者:スティーヴエリクソン
部屋 下・アウトサイド (講談社文庫)部屋 下・アウトサイド (講談社文庫)感想
監禁という重いテーマもあるのですが既存の監禁物とは違います。そこでの残虐非道な監禁というよりも、その後、がとても大きなテーマだと私は感じました。見るもの聞くものが全てはじめてというジャックの無垢な心がこちらにぽんと飛び込んできます。当たり前と思っていたものが全てジャックの眼と耳を通すと新鮮で驚きに満ちたもの、に映ってくるのです、自分自身も新たな目で外を見たくなります。上巻に小さくインサイド下巻にアウトサイド。ラストで、アウトサイドにいるママとジャックとのお互いの精神的分離の姿にもおおいに胸打たれました。
読了日:2月29日 著者:エマ・ドナヒュー
部屋 上・インサイド (講談社文庫)部屋 上・インサイド (講談社文庫)感想
映画になるというので(そして予告の映像がとても良さげ)読み始めました。事前情報が入ってしまっているので、最初のほうの語りがどういう状況かというのがわかってしまっているのが我ながら惜しかったです。けれど、それがわかっていたとしても。一人の男の子ジャックとママがある部屋にいて規則正しい生活をしていて、勉強もして体操もして、ご飯も食べて。なんだか楽しそうでというのは上巻でとても伝わってきました。大好きなママと一緒の楽しい生活は絶望と隣り合わせで。映画のライフ・イズ・ビューティフルを強烈に思い出しました。
読了日:2月29日 著者:エマ・ドナヒュー
真実の10メートル手前真実の10メートル手前感想
ジャーナリストの本質を問うていたような王とサーカスに通じるミステリ短編集。小気味良いテンポで進んでいく物語がどれもラストに至る道筋で、はっとさせられました。いつでも太刀洗万智の目が澄んでいるのです。表題作は真実を色々な物から探り当てていくシャーロック・ホームズのような過程が読ませます。「正義漢」も大好きで電車の飛び込みの場面から始まり、その視点が変化する面白さを味わいました。「ナイフを失われた思い出の中に」はミステリそのものもですが、太刀洗と行動を共にする人に注目しました。「名を刻む死」も心に残りました。
読了日:2月18日 著者:米澤穂信
羊と鋼の森羊と鋼の森
読了日:2月18日 著者:宮下奈都
少女の時間 (創元クライム・クラブ)少女の時間 (創元クライム・クラブ)感想
ちゃんと殺人事件もあるミステリなのですが、兎にも角にも永遠の38歳の柚木草平の格好良さが前面に出ていて、なぜ彼がモテモテなのかというのが痛いほどわかりました。本当に素敵。会話も素敵だし佇まいも素敵だし、美女に囲まれる柚木草平にぼーーーー。娘の加奈子ちゃんも永遠の12歳。もうこれだけでこの小説読んだ甲斐が私はありました。ただ、ミステリ部分については、ちょっとだけ浅いかなあ。あ、でもそれはもういいんです、草平ちゃんがいれば!ぼーーーーーー。シリーズで読み落としている作品があるので是非読みたいと思いました。
読了日:2月15日 著者:樋口有介
消滅世界消滅世界感想
最初この世界面白い!と冒頭から少しの間のめりこむようにして読みました。が、途中で失速・・・、ごめんなさい。夫婦で関係を持つのが近親相姦の世界、二次元のものを愛するのは正当な行為、子供を人工授精で生む、ちょっとだけ現在とずれた世界なのですが、現代世界ともちょっとだけリンクしていることが多く見受けられます。ただ、次々とこの世界の「決まりごと」が出てくるあたりで妄想についていけず、ラストの方で唐突に(と思える)新しい実験都市が出てくるあたりで、は?唯一正常と思われるお母さんの末路も・・・なんだか・・・。
読了日:2月12日 著者:村田沙耶香
黄昏の彼女たち〈下〉 (創元推理文庫)黄昏の彼女たち〈下〉 (創元推理文庫)感想
下巻である大きな事件が起こるのですが、犯人側の気持ちの移ろい、ジレンマ、葛藤というようなものが裁判場面とともに心に染み込んできました。特に後半、犯人もそして読者も全く予想していなかった意外な展開が待ち受けていました。 美しい印象的な場面も数多く、特にスケート場面は心が寄り添っていく様を見事に描いている場面でおおいに堪能しました。誰かと誰かが愛し合った事で周囲の人が傷つく。周囲の人が傷ついた状況(事後)と、ただ二人の世界で愛し合っていた状況(事前)とは世界が違ってしまっていると言うのを痛感しました。
読了日:1月31日 著者:サラ・ウォーターズ
黄昏の彼女たち〈上〉 (創元推理文庫)黄昏の彼女たち〈上〉 (創元推理文庫)感想
猛烈に私好みの小説でした。文字数が多いのと卓越した心理描写の上下巻なのでやや読むのに時間が掛かりますがこの時間の豊穣なことと言ったら!上巻と下巻と趣が違いました、上巻は愛の物語、そして下巻は実に意外な展開が待ち受けていました。戦争後の生活苦のため、上流階級でありながら部屋を貸すことになった母と一緒に暮らしているフランシス、そこに下宿人として現れる美しい若い夫婦。最初の出会いから家の中の共有スペースで折々に出会い、それに慣れないフランシスの姿が途中で変貌してくるのです。喪失感をどの人も持っている物語。
読了日:1月31日 著者:サラ・ウォーターズ
Ker 死神の刻印 (集英社文庫)Ker 死神の刻印 (集英社文庫)感想
ある意味病んでるダークヒロインのヤナの姿がどうしようもなく人を惹きつけるのです。女性検事として冷静沈着であるヤナ、人と交わらないクールなヤナ。でもヤナが崩れ落ちるくらいに動揺する事件が起こるのです。途中で非常に驚いたヤナの行動があるのですが、それをもぶっ飛ばすくらいに後半勢いがありました。警察の中の人達も生き生きと描かれ、折々に挟まっているコンテナの話から続く物語が胸詰まりました。過去にようやく対峙するヤナのこれからを読みたいので、是非是非続編を訳していただきたいものです。何度か首筋を私は撫でました・・・
読了日:1月20日 著者:エメリーシェップ
世にも奇妙な君物語世にも奇妙な君物語
読了日:1月20日 著者:朝井リョウ
カールの降誕祭カールの降誕祭感想
面白い。淡々としたいつもの短い文章の中に、「悪い予測」というのをひしひしと感じました。それがもしかして悪い予測でしかなく、勝手に胸をざわつかせていたのかも、と思った瞬間にどかん!どの話もとても良かったのですが、表題作が一番ラストまでの展開に引き込まれました。版画とも合っていて、本当にブラッククリスマスプレゼント。
読了日:1月19日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)幻の女〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
新訳と言うことで本当に久々に熟読。おおいに楽しめました。スタイリッシュな都会の雰囲気は今の世の中でも健在で、しかもただ一人の幻の女が見つからないために死刑になりかけている男、のありさまがあまりにこちらの心に突き刺さりました。たまたま町で出会った名前を知らない女性とお酒を飲んだり、食事をしたり観劇をしたりする・・・このあとの悲劇を考えると読み込んでしまいました。奥さんの笑い、というのが今回読んで一つのキーポイントと思いました。しかしラストの驚愕(犯人もですが、それよりも幻の女)と言ったら!
読了日:1月18日 著者:ウイリアムアイリッシュ,WilliamIrish
キャロル (河出文庫)キャロル (河出文庫)感想
映画を見る前にさくっと。「あの」ハイスミスなのですが、サスペンスでも意地悪な視点の物語でもなく、二人の女性の強烈な恋愛小説でした、どきどきするくらいに切ない(そしてわかる)二人の出会いの場面から、お互いどうしようもなく惹かれあっていく様子までが克明に描かれています。途中、なぜかページをめくるのが怖かったのは、破綻が見えている二人の愛の悲劇性をずうっと遠くに見ていたから。恋人がいようと、子供がいようと走っていくような二人の愛に心打たれました。そしていい意味でラスト驚愕!ハイスミス、やるな!!
読了日:1月18日 著者:パトリシアハイスミス
ポアロとグリーンショアの阿房宮 (クリスティー文庫)ポアロとグリーンショアの阿房宮 (クリスティー文庫)感想
全く知らないで、死者のあやまち、と途中で気づいて・・・・(原型の中篇です)。でもこの話、大好きなので全てをわかっていても楽しく読めました。ただ・・人物像があと一歩なんか欲しい、だから死者のあやまちはそういう意味でとても良い意味で膨らんだミステリだと思いました。作品そのものは死者のあやまちを読んだほうがいい気もしますが、クリスティー研究家のジョン・カランの解説がとっても貴重で読ませます。
読了日:1月18日 著者:アガサクリスティー
夕暮れ密室夕暮れ密室感想
青春ミステリ部分は好き。でもでも殺されちゃった女の子が、なんでこんなにモテモテなのか、というところがよくわからなかったです、だって出てくる場面があまりに短いから。そしてそのあと語ってくれる人達の言葉でも絶賛は出てくるんだけど、なんで?というのがよくわからなかったです、最後まで。単純に元気で可愛かったから?謎解きが多重で出てくるのですが、これがムラがあるのも惜しい。ちょっと長くて惜しい。すごく良くなりそうなのに、なんだかかんだか惜しい。
読了日:1月18日 著者:村崎友
追いかけるな 大人の流儀5追いかけるな 大人の流儀5感想
伊集院先生ファンなので大喜びで読みました。このシリーズも毎回襟を正したくなります。無頼でしかもおしゃれで、男として格好いいなあ・・・・と憧れます。言っている事のわずかなブレもないので、読ませるのかも。
読了日:1月18日 著者:伊集院静
さようなら、オレンジ (ちくま文庫)さようなら、オレンジ (ちくま文庫)感想
今まで読んだ本と毛色の違う本を読んだという印象でした、そして本当に読んで良かった。一見、二人の英語の出来ない人の自分探し、の本に見えますが(実際葛藤しているし)、実は人間にとって母国語とは何か、否、言語とは人間にとって何か、という非常に深い物語のように見えました。片や元難民の語りと、一方で日本人女性が大学の先生の夫についてやってきたオーストラリアの語りと、が交錯しています。途中で英語の手紙の文章であまりに悲惨で泣けました。割合初期で名前の不思議に気付くのですが、ラストそのわけがわかってまた涙。
読了日:1月18日 著者:岩城けい
ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集感想
もしこれを村上春樹の名前を伏せて出したとして。年齢を間違えると思います、それほど文章から「若さ」が伝わってくる一冊でした。村上春樹の紀行文集、久々でしたが、変わってないなあ・・・というのが強い印象でした。ボストン、アイスランド、アメリカ、、ギリシャ、フィンランド、トスカーナ、熊本と日本も含めて多彩ですが、どこの土地に行ってもやっぱり村上春樹がいるのです。彼流の切り取り、彼流の物事の考え方。特にかつて住んだ場所の再訪というのは作者にとっても思い入れが深いものだと実感しました。写真も豊富で楽しめた一冊でした。
読了日:1月18日 著者:村上春樹
私的読食録私的読食録感想
面白い!堀江敏幸が指摘しているように、二人の読書のスタンスは違うのです、どちらに惹かれるか、というとそれはもう私は角田光代でした。スクエアな切り取りの堀江敏幸のお勧め本は「読んでみたいけれど、いつかね」の感じで、角田光代の方は、「一刻も早く読まねば、または再読しなければ!」と思わせる新たな視点の書評でした。食べ物が出てくる物語、として特化していますが、どの本もそれ以上のところに深化しています。とりあえず伊集院静のクレープを是非読みたいと思いました。danchuで連載中と言うことで次まとまるのを待ってます。
読了日:1月18日 著者:角田光代,堀江敏幸
戦場のコックたち戦場のコックたち
読了日:1月18日 著者:深緑野分

読書メーター
2016.01.04 2015年読了本
2015年の読書メーター
読んだ本の数:164冊
読んだページ数:52502ページ
ナイス数:3582ナイス

黒野葉月は鳥籠で眠らない黒野葉月は鳥籠で眠らない感想
ミステリ短編集でどの話も非常に読ませました、法律知識なしでも話を読んでいるうちに、!とラストの方でわかる瞬間を堪能しました。一方の側(主に新米木村弁護士の見ている側)からもう一方の側(主にベテラン高塚弁護士の見ている側)への真実への道筋が鮮やかな逆転劇が快感。表題作は全く最後までわかりませんでした、石田克志は~もこういう手が!と驚いたし、後味は良くないけど、「三橋春人~」も後半のえいやっの反転の本を取り落としそうになりました。小田切惣太は~は木村弁護士の見方に引きずられますが、真相におおいに頷きました。
読了日:12月28日 著者:織守きょうや
孤狼の血孤狼の血感想
良かった・・・。ヤクザ抗争の話で私の一番苦手分野なのに、するすると読めてラストぐっときました。漢(おとこ)の物語。昭和63年と言う時代背景が非常に重要だと思われます。携帯もパソコンもそれほど普及していなかった時代、いわば泥臭く野暮ったい状況があり、そこに警察の捜査も組されているのです。新人の日岡の率直でナイーブなところと、ヤクザ同然の恫喝もする旧弊な刑事と言った感の大上コンビが捜査していくのですが・・・章ごとの冒頭にある文章の削除べた塗りの意味がラストわかって泣けました。またラストで驚きの事実もまた!
読了日:12月23日 著者:柚月裕子
鍵の掛かった男鍵の掛かった男感想
長いミステリでしたが楽しみました。火村が出てくるまでは長いのですが、アリスのそこまでの奮闘ぶりが好ましく読者として一緒になって探偵になっていく、と言う気持ちでした。一人のホテルに長逗留していた一人の老人が自殺するというところから幕開けですが、この人の過去というのが徐々にいぶりだされてくるところが圧巻。更に途中でウールリッチへの言及とか大阪の町の説明とかそのあたりも話が膨らんで面白かったです。そして何と言っても犯人の動機が、最初の方だけなら、え、物足りない!のですが後半の意外な事実が胸打たれ納得できました。
読了日:12月23日 著者:有栖川有栖
『罪と罰』を読まない『罪と罰』を読まない感想
大爆笑の連続!4人の人達が「罪と罰を読んでなく、登場人物と小さな手がかりと少しだけの本文朗読から内容を類推しましょう」という本だ。なんといっても三浦しをんの妄想力が素晴らしく結構当たっている(外れているところも多いけれど)。長いロシアの名前をラスコ、マメ父(これに涙が出るほど笑った)、とつけるセンス、島耕作からロシアの雰囲気を想像したり、捨てキャラの言葉を使うところ、これだけ罪と罰を身近にしてくれる本って少ないんじゃないかなあ。更に「本当に罪と罰を読んだその後」の話し合いも抜群に面白かったです。
読了日:12月15日 著者:岸本佐知子,三浦しをん,吉田篤弘,吉田浩美
スキン・コレクタースキン・コレクター感想
面白い!!シリーズ中でも上位にランクインする作品だと思います。今回の敵は、刺青を彫りそこに毒物を入れるという残忍な犯行を繰り返すスキン・コレクター。途中途中の小技のどんでん返しは、申し訳ない、こちらも目が肥えてきたのでわかるのですが、かなり後半の怒涛のどんでん返しはここと繫がるのか!!とかこの人が!!!とか、驚きの連続でした。。読んでいなくても楽しめますが、ボーン・コレクターを読んでいると味わいが違うと思います、あと出来たらもう一冊も。個人的ファンのロン・セリットーの回復を祈ります。
読了日:12月15日 著者:ジェフリーディーヴァー
あこがれあこがれ感想
もう良くて良くて!小学生の語りで始まるこの本、私の心の琴線をぐっと押しました。前半は小学校4年生、(男の子が麦君、女の子がヘガティー)の内の麦君の語りで始まっていきますが、学級内のさりげない様子から麦君の家の寝たきりのおばあちゃん、ヘガティーの家での映画会、二人だけのアルパチーノのさよなら言葉、ヘガティーが銃撃戦の物真似をして素直にすごいという麦君の佇まい、そしてヘガティーが麦君の心を喝破するところ、など読みどころ満載でした。後半は女子のヘガティーの2年後なのですがここでも麦君の佇まいが最高に良いです。
読了日:12月8日 著者:川上未映子
ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ありふれた祈り (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
大好きです!こういう話!強烈なミステリというより普通の小説として読むと胸に迫るものがありました。語り手の少年の追想と言う形で始まっていますが、中盤まで1961年の夏のミネソタのある田舎町の光景がそれは緻密に炙り出されます。優しい音楽の才能あふれる姉、穏やかな牧師の父、芸術家肌の母、頭のいい弟、そして13歳の僕。一見平穏に見える幸福な家族がある事件を通してどういう姿を見せていくかというところに心惹かれました。過去を振り返る、という設定そのものがもう成功していました。タイトルの本文部分でおおいに泣けました。
読了日:12月4日 著者:ウィリアムケントクルーガー,WilliamKentKrueger
Aではない君とAではない君と感想
辛かった・・読み進めるのが本当に息苦しく辛い本でした。それだけ胸に迫ってきます、自分の子供が殺人を犯す、それは一体なぜなのか、自分の存在は子供にとって何だったのか、葛藤し苦悩する父親がいて、なんとか自分と息子との距離を縮めようとしているそのもがき、がこちらに伝わってきました。加害者側の目線なので、こういう事件が起こった時、子供の変化に親は気付けとか、親は子供の管理をするべきだ、とか、そういう言葉一切が空しく響くような気がしました。これはでも理由がある殺人でまだほっとしている自分がいるのにも愕然としました。
読了日:12月1日 著者:薬丸岳
小泉今日子書評集小泉今日子書評集感想
一度読売新聞の書評を読んで大変感心したので、この本迷わず買って読みました。結果、大変良い書評集でした。どうしても芸能人のきょんきょんの書いたもの、というので色眼鏡で見てしまうと思うのですが、家族、離婚、子供などへの言及もありながら、等身大の彼女の呟きからさらっと本について語る技が光りました。読んでいない本はちょっと読んでみたいかも!と思いました。難しい言葉は一切使ってないのだけれど、すとんと心に落ちるいくつかの言葉が忘れられません。10年間をまとめた本なので、彼女の10年間の心と読書の軌跡でもあります。
読了日:11月29日 著者:小泉今日子
さよならの手口 (文春文庫)さよならの手口 (文春文庫)感想
なんとも贅沢な一冊でした。文庫でこのボリュームで内容とは!葉村晶シリーズで一番好きかも。葉村も40代になり、相変らずの運の悪さは天下一品で、ひょんなことから入院中の病院で知り合った元有名女優に失踪した娘の捜索を依頼されることから次から次へと謎が始まるというミステリでした。娘を探している内に他にも失踪している人が出てきたり、娘の意外な過去が出てきたり、それはそれは目が離せません。プラス舞美という謎の女性の佇まいも気になるところ。更にビブリオマニアにはたまらないミステリ談義も楽しめ、ラスト一覧の遊び心もグー。
読了日:11月28日 著者:若竹七海
だれがコマドリを殺したのか? (創元推理文庫)だれがコマドリを殺したのか? (創元推理文庫)感想
素晴らしい!冒頭から美男美女の燃えるような恋愛が始まり、美女ダイアナ(コマドリ)を得たことによって、美男医者のノートンが驚愕の人生を歩むというミステリ。一気呵成に読みました。最後まで読んで驚愕、こういうことか!最後の一歩手前で真相がもしや?とわかったのですが、じゃああの時は?じゃああれは?あの人は?と疑問が渦巻き読み返してみると、全てがきちんと回収されていました。冒頭から実は提示されていたと。人間心理が緻密に描かれていて伏線も多々あり、ミステリと言うよりオースティンの物語を思わせる文芸作品のようでした。
読了日:11月25日 著者:イーデン・フィルポッツ
欺きの家(下) (講談社文庫)欺きの家(下) (講談社文庫)感想
満足。そして話は下巻になっても相変らず穏やかな川のようにゆったりと流れています。カプリ島の美しい島での燃えるような恋、そこからの暗転の部分が特に好きでした。ヴィヴィアンの変貌が痛々しく、過去の部分のヴィヴィアンを知っているとますます可哀想で抱きしめたくなります。細部を楽しむ話だと思うので、どんでん返し!えっ!とか、誰が犯人か!とか、そういうものを求めている人には違う物語だと思いました、私はおおいに楽しめましたが、ゴダード節を。シメが非常に巧みです、満足感とともに本を閉じました。
読了日:11月24日 著者:ロバート・ゴダード
欺きの家(上) (講談社文庫)欺きの家(上) (講談社文庫)感想
ほんと、久々のゴダード。そしてこの物語、ゴダードらしい過去と現在が交錯し、そこにきらめくような青春の恋愛の話、が絡んでいるミステリで楽しんで読みました。ミステリといっても、現在のぱぱっと進んでいくミステリではなく、ゴダード時間とも言うべきゆったりとした時間が進んでいくので好み分かれるかもしれません。しかも何が起こっているか、何が問題なのか、よくわからないのです、主人公のケラウェイとともに読者も(一体何が?)と思いつつ読んでいるのです。3つの時代が交錯して、現在の皆がわかっているだけに、過去がいとおしい。
読了日:11月24日 著者:ロバート・ゴダード
読めよ、さらば憂いなし読めよ、さらば憂いなし感想
本と映画についてのエッセイで面白く読みました。独自の本の切り取り方、物の見方が特に楽しく最初本と映画が混在しているので戸惑ったのですが、最後まで興味深く読みました。最後の柴田元幸さんとの対談もこの本の読みどころの一つだと思います、ここもまた海外本へのアプローチが目うろこのところがありました。この中で、ドラマすいかへの言及がどこに書いてあるものよりも私にすとんと胸の中で落ちました。こういう風にすいかを語れるって素晴らしいです(すいかも傑作ドラマなんですが)惜しいのは、レベッカで貴族の名前が違っているところ。
読了日:11月22日 著者:松田青子
我が家の問題 (集英社文庫)我が家の問題 (集英社文庫)感想
面白かったです。前作に(家日和)続いてのシリーズ物ですが、全くこの巻からでもオッケーでした。小さな出来事に対処していく家庭の人達・・・新婚なのに家に戻りたくない夫の気持ちを描いた甘い生活?は、途中出てくるスタンプラリーとか思い出作りとか(妻側がすることに対しての言葉)がわかってわかって、しみじみ考えさせられました。夫が会社で重要視されてないことに気付く妻の物語「ハズバンド」UFOと川原で交信していると言い放つ夫に対処する妻の物語「夫とUFO」、どちらも笑いながらも妻がいじらしく愛らしく前向きで素敵でした。
読了日:11月18日 著者:奥田英朗
家日和 (集英社文庫)家日和 (集英社文庫)感想
ものすごく良かったです。読後爽快感を感じました。家庭の話なのですが、どの家庭にもちょっとしたきしみのようなものがあります。そのきしみを家庭内の誰かが受け止め、実に明るい方向で受け止め咀嚼し、そして前向きに過ごしていく・・・。時に笑いながら、時に共感しながら楽しく読み終えました。良かったのは、サニーデイと夫とカーテン、前者はリストラされて主夫になった夫の好感度に乾杯、後者は一見ダメな男に見える夫のいいところを見つける妻に乾杯。家においでよは、おしゃれな空間をぶち壊し自分の巣作りをする男の姿に胸打たれました。
読了日:11月18日 著者:奥田英朗
消滅 - VANISHING POINT消滅 - VANISHING POINT感想
物語の骨子は「飛行場の密室の11人で、その人達がそれぞれ何者かわからない中、この中にテロリストがいるのを炙り出していく」という面白いものです。分厚いですが一気に読ませます。きらりと光るところもたくさんあります。が、なんせ人物描写が特徴で押し通しているので(鳥頭とかがらがら声女とか)名前は出ているものの混乱しました、読者側は。あとラストは・・・・ちょい尻つぼみ?かなあ・・・。これね、映像にしたほうが面白い。
読了日:11月14日 著者:恩田陸
君の膵臓をたべたい君の膵臓をたべたい
読了日:11月14日 著者:住野よる
ハリウッド白熱教室ハリウッド白熱教室感想
NHKで映像を見ていたのですが(これまたとても面白かったです)、今頃これが出ていたことに気付いて・・・遅いよ自分。非常に面白いです。特に具体的な映画を引き合いに出し、具体的に理論をつめていくこの方法、わかりやすいし、心にすとんと落ちます。ただの映画論に落ちずに、キャスパー教授の体を張った授業、時には生徒をも巻き込む授業が魅力的過ぎて、自分もこの授業にいるような気にさえなりました。教授の問いかけの答えを見る前に自分で考えたり、これから何度も読み返すことになる本になる、と思います。ただ映像には負けるけれども。
読了日:11月11日 著者:ドリュー・キャスパー,NHK「ハリウッド白熱教室」制作班
ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)ガール・オン・ザ・トレイン(下) (講談社文庫)感想
犯人・・・・・もうもうもうもう・・・・・・(怒) 映像化は楽しみです。
読了日:11月11日 著者:ポーラ・ホーキンズ
ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)ガール・オン・ザ・トレイン(上) (講談社文庫)感想
冒頭で通勤電車で車窓から見える家を見ている女性レイチェルが出てきて、ただただ偶然にその場所を観察している人、だと思ったら、意味があったのね・・・。三人の女性の視点で進んでいくミステリ。レイチェルとアナのどちらにもいらいらっと気持ちを逆撫でされながら、下巻へ。
読了日:11月11日 著者:ポーラ・ホーキンズ
天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)天国でまた会おう(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:10月25日 著者:ピエールルメートル,PierreLemaitre
天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)天国でまた会おう(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
読了日:10月25日 著者:ピエールルメートル,PierreLemaitre
悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)感想
面白かった!その女アレックスの第一弾。そして我ながらこの順番で読まなければならないのを惜しい、と思いました。(おなじみの)登場人物一人一人が丁寧に描かれています。殺人事件そのものが非常に残虐だし他の箇所も非情なので抵抗力のある人にお勧め。でもこのミステリ、犯人よりも残虐な殺し方よりも、第一部を読んで第二部を途中まで読んだ時、ああああああ!!!そういうことか!というこの驚きがあるのです。ミステリ好きには途中たまらない部分もあります。ただ・・・この邦題タイトルはいかがなものでしょうか・・・
読了日:10月20日 著者:
中野のお父さん中野のお父さん感想
読みやすいし、博識のお父さんの佇まいも悪くはないけれど・・・私は合いませんでした。太宰治の辞書を読んだ後の感じと非常に似ています。エッセイとしてだったら面白いけれども。
読了日:10月19日 著者:北村薫
恋読  本に恋した2年9ヶ月恋読 本に恋した2年9ヶ月感想
申し訳ないけれどこの女優さん全く知りませんでした。でも本を読むスタンスと選書の良さが光るこの本、読んでいてとても楽しかったです。楽しかった一つの要因は、彼女が背伸びをせずに等身大の本好きの女の子として本に相対していること、でした、本が「読める」人なんだと思います。感想と言うよりエッセイに近いのかなあ。日本のものもよく読んでいますが、二流小説家、ミステリガール、ジェイコブを守るため、など海外本もよくこなれて読んでいて、それを自分のものにしているに好感が持てました。彼女の感性でまた第二弾出して欲しいものです。
読了日:10月19日 著者:小橋めぐみ
柘榴パズル柘榴パズル感想
この表紙、そしてほわほわとした文体。家族の温かさ、ちょっとぼけかけたお祖父ちゃんとそれを温かく見守る母親と、物分りの良いお兄さんと、そして「わたし」と、可愛い甘えん坊の妹とのある一家のひと夏の物語。ほのぼの家族が日常の小さな謎を解き明かす物語、と読んでいて(どうしたってそう読む)・・・・・いやあ・・・・・驚きました。うっちゃり食いました。途中の衝撃新聞記事はなんとなく予想がついていたものの!ただ、エピローグは蛇足、だと私は思いました、ごめんなさい。
読了日:10月19日 著者:彩坂美月
流感想
台湾の話かあ・・・興味が持てるだろうかと思いつつ読みましたが、のめりこみました。青春物語としても読めるし、ミステリとしても読めるし、また台湾と中国の歴史と日本人のそれに対する関わり方のようなものとしても読めるし。この物語、力がありました。そしてその力の奔流の前にただただ脱帽。時折「未来の自分」が顔を出し、未来からその時を冷静に語ってくれるという趣向も面白かったです。特に恋愛の話と、友情の話が胸に切々と迫ってきました。ラストの閉じ方もお見事、このあと、が読者はわかっているだけに胸に迫るものがありました。
読了日:10月19日 著者:東山彰良
その時の教室その時の教室感想
学園ミステリで、一つ一つの謎の出来事(名前がなぜダッシュになってるかとか、試験問題をなぜ全員が解き始めないのかとか)は魅力的だし、仕掛けもある程度(時制とか人のミスリーディングの仕掛け)は凝っているのです。なのに、なぜかすっきりしない感が漂う・・・・のはなぜでしょう?どう考えても、ないだろうこれは・・・と思うものが多すぎて。だから惜しい。とても惜しい。
読了日:10月19日 著者:谷原秋桜子
リバースリバース感想
平凡な深瀬と言う男の恋人に「深瀬は人殺しだ」という怪文書が届いた、事から、かつて大学時代のゼミ男子学生が旅行に行き、その中の一人が自動車事故で死亡してしまう・・・・という深瀬の過去の物語が炙り出されてきます。そして深瀬が、死んでしまった広沢の知らない部分を探っていくうちに、友情の探りあい、彼の人間性のあれこれが噴出します。そしてようやく怪文書の出元がわかっていく、という話、と思いきや。このミステリ、ラストに茫然。ラストがともかくも見事でした。深瀬は好きじゃないけどね(これも作者の意図かも
読了日:10月10日 著者:湊かなえ
駝鳥 (Children & YA Books)駝鳥 (Children & YA Books)感想
うわ!なんてこったい!駝鳥の絵も印象的ですが、砂漠を旅する旅人の話、とのほほんと読んでいたらこの展開に度肝抜かれました。筒井先生怖い!最後の展開が特に怖かった・・・・駝鳥は何を表しているのだろう?と深く深く考えました。
読了日:10月10日 著者:筒井康隆,福井江太郎
声感想
ホテルドアマンだった地味な男が殺されたというところから始まるミステリでした。捜査官が徐々にドアマンの過去を知っていくとそこに誰も知らない彼の過去が・・・・。このミステリ、捜査官自身の現在と過去の家庭の話とか、別の場所で起こった児童虐待の話とか、プラス殺された男の過去の家庭の話とか、家庭の話というのが大きな要素を占めていました。読ませます、栄光と転落を目の当たりにしました。ただ・・・・ちょっと思ったのは、犯人側の事情があと一歩足りなかったような感じが漂いました、ここもうちょっと掘り下げて欲しかったと。
読了日:10月10日 著者:アーナルデュル・インドリダソン
風の歌を聴け (講談社文庫)風の歌を聴け (講談社文庫)感想
デビュー作。これがなかったら今日の村上春樹もなかった、と思うと非常に感慨深いです、そしていつ読んでも新鮮。鮮烈な翻訳文学のような文体にも衝撃を受けたのを思い出しました。
読了日:10月10日 著者:村上春樹
本なんて!作家と本をめぐる52話本なんて!作家と本をめぐる52話感想
多くの古今東西の作家さんが本について語る文章が並んでいます。なんて贅沢な!持ってくるところもとてもいいものを持ってきています。角田光代の覗きはとてもわかるし、小川洋子の妄想交じりのラーメン店での本好きとの会話も残るし、長嶋有の図書館本へのばしっとした一言も刺さるし、室井佑月の本はなんだったんだろう?と思ったし、久世光彦の太宰暦にも微笑んだし。でも何と言っても、塩一トンの読書の須賀敦子の文章は、何回目かでも尚、心打たれました。寺山修司も良かったなあ・・・良かったと言うか破壊力がある騙りと言うか。語り?騙り?
読了日:9月18日 著者:芥川龍之介,朝井リョウ,浅田次郎,荒川洋治,有栖川有栖,池内紀,石川淳,伊集院静,いとうせいこう,稲葉真弓,江國香織,小川洋子,開高健,角田光代,紀田順一郎,草森伸一,久世光彦,窪田空穂,小池真理子,最相葉月,椎名誠,庄司浅水,須賀敦子,鈴木清順,園子温,高山文彦,田村隆一,多和田葉子,土屋賢二,出久根達郎,寺山修司,常盤新平,栃折久美子,外山滋比古,長嶋有,西村賢太,萩尾望都,藤野可織,穂村弘,堀江敏幸,万城目学,宮内悠介
にょにょにょっ記にょにょにょっ記感想
楽しすぎる~~日記、なんだけどにょっ記。このシリーズ、最初のうちは、フジモトマサルさんの絵になじみがなかったのですが、もういまやこの人の絵があるから余計に楽しめる、ような気がします。 くすっと笑って、ちょっと考え込む時間がある、そんなにょにょにょっ記。まだまだ続けて欲しいものです。 ところで天使って誰でしょ?
読了日:9月18日 著者:穂村弘,フジモトマサル
王とサーカス王とサーカス感想
すごく良かったです。ミステリとして良かったいうよりも、一人の女性太刀洗万智の心の動きに魅せられました。そしてジャーナリズムとは何かという問題も改めて突きつけられました。私の心の中に一つの錘を投げかけられた感じです。社会派でも間違いなくあるので、ほわほわとしたものを求めているのなら違うかも。実際にあった王族殺人事件は背景の一つの重要なアイテムではありますが、それよりも、この小説に出てくる一人ひとりの生き方、全く日本と違った国のあり方、そこでの子供達や警官、僧侶、宿のおかみ、の動きの一つとして見逃せません。
読了日:9月18日 著者:米澤穂信
働く男 (文春文庫)働く男 (文春文庫)感想
初めて、なんですが。映画の評論が鋭すぎてそして視点が面白く一気に読みました。後半のコラムのモニカ病も抱腹絶倒(でもファンに殺される・・・)。ただ、我ながら惜しいことに、音楽についての言及は、その音楽を知らないとなんだか・・・(要は熱烈ファンじゃないと)でした。 最後の又吉直樹との対談も読みどころ。
読了日:9月18日 著者:星野源
職業としての小説家 (Switch library)職業としての小説家 (Switch library)感想
非常に面白く読みました。今までの村上作品を読んでいると尚更作品の背景のようなものが見えてきて楽しめると思います。神宮球場で啓示のように降りてきた小説を書くと言う話は知っていたのですが、改めて読んでみるとここも実に味わい深く、風の歌を聴けを再び読みたくなりました。芥川賞への思い、自分の作品についての日本での毀誉褒貶、作品を定点観測してくれる人間の必要性、文章の推敲につぐ推敲(トンカチ仕事と言っています)どれも読ませます。私が一番知りたかった海外展開の当初からの出来事も率直に語られ、まさに読ませる一冊でした。
読了日:9月16日 著者:村上春樹
掲載禁止掲載禁止感想
気持ち悪いんだが、思わず読んでしまうというそんな作品。ただ、今回は短編集なので途中の作品からラストが予測可能でした。絶対にありえないだろうーと思うようなシチュエーションなんだけど、(ひょっとしたらあるかも?)と思わせるところがネットとか動画とかそういうのを使って巧いなあと思いました。ただ・・・ちょっと途中飽きたけれど、私は。申し訳ない。
読了日:9月15日 著者:長江俊和
夏の裁断夏の裁断
読了日:9月15日 著者:島本理生
老骨の悠々閑々 (一般書)老骨の悠々閑々 (一般書)感想
昭和史の10大事件があまりに面白かったので、調子付いて半藤さんエッセイ本をもう一冊。これは85歳の彼が文学的な立場を踏まえ色々なことに言及している随筆本でした、これも楽しめました。版画がもう初期の頃から後半プロなみでしかもユーモアがあってそれはそれは楽しくて私も欲しい、と思いました。漢詩の読み下しも大爆笑して、ともかくもユーモアセンス(下品じゃないユーモア)が抜群なのでぐいぐい読ませます。途中漱石の草枕の言及もまたとても面白かったです、なんかずうっとこれを続けて欲しかったな。
読了日:9月15日 著者:半藤一利
昭和史の10大事件昭和史の10大事件感想
作家宮部みゆきと、歴史探偵半藤一利の対談本。とてもとても面白く読みました。宮部みゆきの作家としての視点、歴史を冷静に分析している半藤一利の視点がうまく融合された対談集でした。年代が違うのに話が噛み合っていて読ませる読ませる。決して堅苦しくなくこういう風に歴史を紐解いてくれると過去の出来事が非常に身近に感じられます。私の個人的な興味は東京裁判でしたが、ここもまた読み応えがありました。あと、半藤さんのボートの話と思いきや、隅田川の定点観測の話になるところなどもお見事。
読了日:9月15日 著者:半藤一利,宮部みゆき
真夜中の図書館真夜中の図書館感想
谷山浩子の独自の切り取り、それも児童文学への切り取りというのがとても好感が持てました。独自ワールドが広がっています。知っている児童文学も改めてもう一度読んでみたいと思わせる一冊でした。決して上から目線ではなく、(ちょっと年上のお姉さんがこういう読み方もあるよ)と教えてくれるような本。星の王子様の中の幸福への言及、アンの読者がエネルギーをもらう話、賢いエルゼのわからない感じ、など読んでいて楽しかったです。小川未明のこの作品を知らなかったので、ちょっと探ってみたいなあと。
読了日:9月15日 著者:谷山浩子
まるで天使のような (創元推理文庫)まるで天使のような (創元推理文庫)
読了日:9月9日 著者:マーガレット・ミラー
まるで天使のような (創元推理文庫)まるで天使のような (創元推理文庫)感想
6年ぶりの再読。そして鮮やかな一撃は健在なり。
読了日:9月9日 著者:マーガレット・ミラー
三谷幸喜のありふれた生活13 仕事の虫三谷幸喜のありふれた生活13 仕事の虫感想
どんどん三谷さんの個人的環境は変わっているのに(犬も家族も)、彼の仕事に対する情熱は衰えていないし、舞台に映画、そしてテレビと仕事に燃えている姿を見るのは読んでいて楽しいです。そしてかつてと変わってプライベートはほぼゼロ、かも。キングのあの作品を読んだ感想もまた読ませたし、話題の山本耕史に対する一章も面白かったし。ただ・・・・ここでも触れられている自信満々のポアロはテレビで見たので、どんなに理由を言ってもあのポアロの話し方をどうしてあのようにしたのだろう、という疑問はいまだに私の中に渦巻いてます・・・
読了日:9月9日 著者:三谷幸喜
あしながおじさん (光文社古典新訳文庫)あしながおじさん (光文社古典新訳文庫)感想
新訳なのでどうかなあ・・・と思いつつ読みました、なんせ子供の頃のバイブルなので。でもでも、この訳、品があって適度にお茶目でとても良かったです。孤児のジュディの生き生きした大学生活に憧れたこと、サリーとの友情が羨ましかったこと、そして何よりたくさんの知らない本に囲まれてもりもりそれを消化していくジュディに好感を持ったこと、などを懐かしく思い出しました。一種の叙述ミステリでもあると思うのです、結末を知って読んでいると、(これってあの人の嫉妬?)とか色々思えるところがまた魅力がありました。解説も非常に良いです。
読了日:9月9日 著者:ウェブスター
朝が来る朝が来る感想
読ませはするし最後ぐっとはきたのですが・・・。前半の方が良いかなあ・・・。
読了日:9月9日 著者:辻村深月
斜陽 (新潮文庫)斜陽 (新潮文庫)感想
次回の100分で名著の作品なので久しぶりに読みました。全く古びていない話で、ちょっとしたユーモアもあるし読ませます。語り手のかず子が「結婚して子供を死産した出戻り」なのに、どう見ても生娘にしか見えない発言のあれこれが、あー没落貴族・・・と思いました。最初の方ですうぷを啜るお母様の場面、そしてそのあと続く衝撃的な(だった)庭でのおし・この場面、全てが優雅で美しく繊細なお母様の貴婦人っぷりがうかがえます。無頼派を気取っていた兄も結局は貴族の血が脈々と流れていて、作家の上原とかず子の絡みも非常に読ませました。
読了日:8月31日 著者:太宰治
新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)感想
新訳と言うので再び読んでみました。このミステリ、自分と言うものが揺らいできます、自分は誰なのか一体なにをしたのか。このあたりの不安感がぞくぞくとします。話は、自分の雇い主の車サンダーバードをちょっとだけ拝借し南仏の方に行く地味だった女が、初めてのはずの場所で皆が彼女を知っているという恐ろしい状況に投げ込まれる、と言うところから始まります。左手をつぶされる場面ですら、前にも左手に包帯をしていたじゃないかと言い張る人達・・・一体自分が間違ってるのか、皆が嘘をついているのか。連城さんの解説も読ませます。
読了日:8月31日 著者:セバスチアン・ジャプリゾ
女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)女王はかえらない (「このミス」大賞シリーズ)感想
スクールカーストの話、と思いきや・・・。第一部は残酷な子供視点、第二部は大人視点、そして第三部の真相・・・。読ませます、第一部のラストでおなかいっぱいになりながら、第二部はわかりました。が、ラストの章であるところ完全に騙されていて驚きました。騙されのある部分は、これあり?とも思ったし、ここは必要?と言う部分もあったしあざといところも多々ありました。でもあのあとどうなったのか、という興味は満たされました。でもなんといっても最後のところ、二人がおそらく二人とも「わかっている」というのが怖すぎ。
読了日:8月30日 著者:降田天
もしもし、還る。 (集英社文庫)もしもし、還る。 (集英社文庫)感想
起きたら灼熱地獄のサハラ砂漠!上から公衆電話が落ちてくる!荒唐無稽の状況で「僕」がしたことは・・・。現在と過去が交互に出てきて、ここに至るまでの「僕」が徐々にわかってきます。前半から中盤非常に読ませるし、混沌ぶりも良いし、最後まで読ませる力はありました。が、一方で、この「僕」の強烈な一人語りについていけるかどうかがポイントの作品かも、私はかなりそこで苦戦しました。セックスフレンドとかの言葉自体も、もやっ。最後も、もやっ。
読了日:8月30日 著者:白河三兎
このミステリーがひどい!このミステリーがひどい!
読了日:8月29日 著者:小谷野敦
歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)歩道橋の魔術師 (エクス・リブリス)感想
素敵な物語でした!台湾の話なので感情移入できるかとか危惧したのですが、全く問題なく、それどころか(なぜこの話が懐かしいのだろう?)という温かい思いに包まれました。話は、1900年代初頭の台北の一種のショッピングモールで商売をしかつ住んでいる家族達の物語(主に子供の視点)で、そこに歩道橋があり不思議なマジックをする魔術師がいるのです。現在大人になった人間が子供時代を回顧する部分もかえますが、何と言っても魔術師の「本当の」魔術にわくわくどきどき。幻想的で死を内包した美しい情感に満ちた語り口にも魅せられました。
読了日:8月29日 著者:呉明益
街への鍵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)街への鍵 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
人物の描写が非常に緻密であり読ませました。浮浪者連続殺人事件が起こっているのですがそれよりも、自分の身を削った人間に恋してしまう女性像とか、深く女性に執着してしまう男とか、仕事をしながら虎視眈々と上昇志向がある人間とか、人生を転落しきってそこに停滞している人間とか、どの人間の行動もぐいぐい引っ張っていってくれました。後半ある部分はわかっていたのですが、ある部分が全く想像圏外だったので、え!と驚きました、こういう繋がりがあるとは!作品全体に漂う安穏とはしていられない雰囲気がたまりません。ラストが唐突かなあ。
読了日:8月29日 著者:ルース・レンデル
抱く女抱く女感想
相変らず読ませるなあ・・・・この作者。1972年の大学生なのでさすがに知らないのですが、この時代を写し出しています、見事に。20歳の大学生直子の行く場所が、大学生のたむろしている麻雀屋、ジャズ喫茶、友達の狭いアパート(間違ってもワンルームマンションではない)とかここも昭和。社会に反発し物事を斜めに見て、はすに構えている直子。一方で時代はあさま山荘、革マル派、セクト、ウーマンリブと激動の時代で、これに洗礼されていく人々の暮らしの様が生き生きと炙り出されていました。恋を見つけた直子のその後、も読みたいかも。
読了日:8月8日 著者:桐野夏生
黒百合黒百合感想
久々に(7年ぶり?!)に再読。やっぱり面白い!と思いました。全てがわかっていても最後のところ、からーん、で度肝を抜かれます。ミスディレクションがたくさんあるので、これが?この人が?と色々思うのですが、そのあたりもとてもよく出来ています。なんと言ってもある夏の六甲別荘での淡い初恋物語にくるまれていてそこがとても心地よく瑞々しく、それと殺人事件と過去の物語がどのように絡んでくるかというのが読む醍醐味でした。時制が昭和年号と西暦で書かれているのでそこも一種の目くらましかも。
読了日:8月8日 著者:多島斗志之
海を照らす光海を照らす光感想
いい話だったなあ・・・読後、遠くを眺めたくなりました。話は、絶海の孤島のようなところで灯台守になる一人の男が、妻を得てそして子供を・・・というところである事件が起こるのです。島から見える情景描写、一人ひとりの心の揺らぎ、などが繊細に編みこまれています。前半は戦争から帰った一人の心に傷を負った男がある女性と恋をして結婚するまで、後半はもう一人の女性が街で差別された男と結婚するまで、と二つの恋愛も対比されています、どちらにも人生はあるのです。なんといってもラスト、泣けました。素敵な映画になることを祈って!
読了日:8月4日 著者:MLステッドマン
ジオラマ (新潮文庫)ジオラマ (新潮文庫)感想
こういういやーな気分にさせてくれる皮膚感覚でわかるレベルの話、巧いなあ・・・と思いました。短編集ですがどれも心ざわざわさせます、そして物語に入り込みました。ものすごく短いものもあるのですが、それすら起承転結がきちんとしていて、もう素晴らしい。心の中の何かが壊れる瞬間、日常がひっくり返る気持ち悪さ、全く見たことのない景色が一気に広がる恍惚感とその転落していく様、読ませます。冒頭の怖さ満点のデッドガールの不気味さと、あとで真相がわかる黒い犬が特に好きでした。
読了日:8月4日 著者:桐野夏生
ぼくは勉強ができない (文春文庫)ぼくは勉強ができない (文春文庫)感想
久々に読み返してみましたが(なんせそののちの時田秀美くんが序盤に登場すると言うので)やっぱり青春文学の名作だと思いました。勉強が出来てスポーツも出来てイケメンで出自も良いお金持ちのお坊ちゃま、というのだったら魅力半減。秀美君は、勉強は出来ないのです、スポーツは出来るけど。で、お金持ちでもなく編集者の母と爺ちゃんの三人暮らしでどっちかっていうと貧乏、でももてもて、というこの人物造型が素晴らしすぎ。大人と子供の中間の秀美くんが特に泣くところで電車の中のおばあちゃんにハンカチもらうシーンが忘れられません。
読了日:8月4日 著者:山田詠美
ぼくの短歌ノートぼくの短歌ノート感想
飄々としたユーモアたっぷりの穂村弘の切り口で切り取られた数々の短歌の新鮮なことと言ったら!知らない人もいるし、知っている人もいるし、だったのですが、一つの短歌からこれほど豊穣な世界が広がるとは目うろこでした。改悪例(改善例じゃなくて)というのが笑ったなあ・・・確かに元のほうがずうっといいや。塚本邦雄、寺山修司、の短歌はぞくっとするほど良かったです。あと葛原妙子も視点が面白い。
読了日:8月4日 著者:穂村弘
この世界はあなたが思うよりはるかに広い ドン・キホーテのピアス17この世界はあなたが思うよりはるかに広い ドン・キホーテのピアス17感想
兄貴!と呼びたいような鴻上(あえて呼び捨て)。時事ネタが多いので、その時に読まないと、と言う感はありますが、とても面白く読みました。適度な品性を保ちながら、世の中の不条理なことを淡々と書いていく・・・声高ではないのです、でも心にすとんと落ちるような書き方で。小保方問題、森・元首相エレベーターエピソード(なんてわかりやすいエピソードなんでしょう)、号泣会見、リクルートスーツ問題と話は多岐にわたっていますが、鴻上の劇とドラマの日常に挟まれながらの視点が独特で面白かったです。
読了日:8月4日 著者:鴻上尚史
BABELBABEL感想
復讐代行業者の話、なので決して明るくはなく、連作それぞれが何かしらの復讐の種、のようなものがあります。でも面白い、と思いました。なぜなら一つの話が、最初私が思った方向から違う方向にいくからです、最初の展望室占拠の話だったら、犯人がなぜそうしたかというところから電話の相手先の話まで、深夜バスのナイトジャーニーだったら、うっかりある人に心寄せていたら実は・・の話まで、そしてグラスタンクの驚きと言ったら(動機も展開も驚いた)!ただ、ラストの話が最初に結びつくのですが、ここがちょっと粗いと思いました、惜しい。
読了日:7月31日 著者:日野草
花のベッドでひるねして花のベッドでひるねして感想
ちょっと離れていたばなな作品。スピリチュアル傾向と思い込み(と見えた)があまりに合わなくなったので離れたのですが、この作品も色濃くスピリチュアルなところが散見されました。なぜかこの本は私の心にフィット。海から拾われた、という荒唐無稽な設定も、超能力を持っていたおじいちゃんの設定も、また考えられないくらい美しい村の光景の設定も全て受け入れられました、私の心のありようなのかわかりませんが。言葉の色々なところでなるほどなあと思いましたが、特に「違うこと」についての話は、忘れないと思います。
読了日:7月31日 著者:よしもとばなな
ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)ミステリー・アリーナ (ミステリー・リーグ)感想
多重解決物(多すぎるほど多い解答が出てくる)で、しかも外側が実に奇妙な枠組みでがっちりと固められたミステリでした。多分ぱっくり分かれると思います、好き嫌いが。私は大好きです。一つの解答が出た時、その前のテキストを読み直すと、(あーそうかも!)と一旦思います。でも次のテキストを見てあれ?そして又次の解答で(あーそうかも!)、この繰り返しがおおいに楽しめました。本格あるあるをちょっと弄りながら、バカミスの要素もふりかけ程度にかけ、読んでいてこちらもミステリーリーグに参戦しているような気持ちになりました。
読了日:7月26日 著者:深水黎一郎
本質を見通す100の講義本質を見通す100の講義感想
初めてこのシリーズ知りました。皆が言葉にしないけれど思っていることを言葉にするって難しい・・・それをクリアーしていました。一方でつくづく理系の人の発想だなあと思いました。だから共感できるところも多々あるけれど・・・・、、、みたいな。
読了日:7月26日 著者:森博嗣
森は知っている森は知っている感想
太陽は動かないを読んでなかったので(前作らしいです)、この本を読んだ後すぐに買いに行きました、それだけ面白かったわけです。鷹野という男の青春物語でもあるし、鷹野という男がどうやって生まれたかという幼少時の物語でもあるのですが、この過酷過ぎる幼少時の話に胸打たれました。鷹野の親友の柳と柳の弟の三人の冒頭場面も忘れがたく(そして後半で重要場面になる)、更に鷹野達のすることが心躍らせるし、後半の二転三転の活劇のようなところもおおいに楽しめました。エンタメとしてとても良い出来栄えかも。風間さんと富美子さんに乾杯!
読了日:7月24日 著者:吉田修一
薔薇の輪 (創元推理文庫)薔薇の輪 (創元推理文庫)感想
ずっしりとした話、というよりも軽妙なやり取りといった感じのミステリでした。自分が妊娠している時に夫が暴力を振るったために身体が不自由で生まれてきた娘、そして彼女と女優の母との交流が新聞の連載エッセイで大人気になっている、という滑り出しの話におおいに心躍らされました。しかもそのあと刑務所にいた夫が出所して・・・・ここから殺人事件が起こるのですが、殺人事件と失踪とが二つほぼ並列で語られているのが興味深かったです。ただ・・・ちょっと私が勝手に思ったミステリとは違ったかなあ(私の勝手な思い込みなのでごめんなさい
読了日:7月24日 著者:クリスチアナ・ブランド
笹の舟で海をわたる笹の舟で海をわたる感想
すごく心にヒットした小説でした。こういうのを書かれると角田光代は天才的、ちょっと対岸の彼女を彷彿とさせました。昭和の歴史とともに二人の異なる人生を歩む女性二人を描いています。平凡な主婦の左織の、有名人の料理研究科になった風美子への忸怩たる思い、畏れ、後ろめたさ、そのあたりの描写が特に胸を打ちました。元は過去の疎開先の出来事(壮絶ないじめ)なので、記憶の改竄とかそこも人間とは・・・・と改めて考えさせられました。ただの二人の人生の変遷として読むと微妙になりますが、感情の波打つ感じが大好きな小説でした。
読了日:7月24日 著者:角田光代
あなたが消えた夜にあなたが消えた夜に感想
一章二章までも混沌としていてわかりにくい推理小説でしたが、それでも被害者加害者の関係がわかるところあたりで、あ、面白いかも!と惹き付けられました。二人とも心に闇を抱える刑事コンビの良さはあまり私はわからなかったけれど(特に小橋刑事のずれてる感・軽妙感は、は?)。三章にたどり着いて、あーここが作者の書きたかったところなのか、と思いました、ここで一気に心理小説+形而上学的小説に変貌。タイトルもここから何度も語られます。ただ・・・私には全体にあいませんでした、ごめんなさい。
読了日:7月18日 著者:中村文則
火花火花感想
お笑いの話でなかったら作者本人の顔も佇まいも浮かばないものを・・・・これが利点にもなっているのでしょうが・・・・。 笑いがわかりませんでした、私には、最初の方から最後のところまでずうっと、会話の突っ込みみたいのもわかりませんでした、ごめんなさい。そして先輩芸人の神谷の魅力が今ひとつ伝わらない気がしました、相方をもうちょっと出した方がいいと思います。ただ、芸人の世界の厳しさを描く、独特の作者の見た世界観、そういう部分はかえました。
読了日:7月16日 著者:又吉直樹
母性 (新潮文庫)母性 (新潮文庫)感想
全体の仕掛け、は面白いと思いました。母部分と娘部分とのパートの語りのずれ、も読ませました。ただ・・・根本のところで、最初の田所と結婚した女性があまりに母の支配を受けている、彼女の目線と愛情をずうっと感じ続けている、というのが腑に落ちませんでした。
読了日:7月10日 著者:湊かなえ
さよなら、ニルヴァーナさよなら、ニルヴァーナ感想
読ませるけれど。あまりに実際の事件と重なりあいすぎていて、非常に割り切れない気持ちになりました。虚構の物語のはずなのに現実とこれだけリンクしているという不思議感。少年A、彼に憧れる莢と言う少女、少年Aに殺された女の子のいた家族、そして外枠に作家志望の屈折した女性が出てきます。もしこれが虚構だったら少年法とか被害者とか考えることは出来ます。が、扱いがとても繊細な事件だと思うだけに、実際の被害者一家の心情を考えると安易に言葉を出せません。また性描写はこれだけ必要だったのでしょうか、その部分辟易しました。
読了日:7月9日 著者:窪美澄
時を紡ぐ少女 (創元SF文庫)時を紡ぐ少女 (創元SF文庫)感想
なんて面白い!最初の部分から惹き付けられまくって、刺繍娘に不合格ってなに?刺繍?反抗する両親は?え?と、世界観が全くわからないまま読み進めました。アラスという世界が非常に特殊な世界というこの設定そのものがどきどきわくわくしました。糸を抜く抜糸の作業が何を意味するか、糸を縒り合わすのが何か、そもそも刺繍娘とは何なのか。これらの問いが世界と共に広がっていきます、ジョストとのラブロマンスもまた。三部作と知らなかったので後半冗長に思えるところもあったのですが、序章と思えばこれもまた。にしてもアデリス、やるな!
読了日:7月8日 著者:ジェニファー・アルビン
ジーン・ウルフの記念日の本 (未来の文学)ジーン・ウルフの記念日の本 (未来の文学)感想
奇想、SF、異世界(SFですが)と多彩な18編が入っていました。ちょっと意味がわからないというかもしかして私の読み違い?と不安なものもありましたが概ね楽しめました。ただ解説がもっと詳しくして欲しいかも。この中ではフォーレセンの不条理感が好き、歴史改変の私はいかにして第二次世界大戦に敗れ、それがドイツの侵攻を防ぐのに役立ったかも楽しめ(ドワイトはわからなかった調べるまで)、ラ・ベファーナも六本足の生き物?と最初かなり引いていましたが、最後まで読み終わると大好きでした。ラストが光る取り替え子も好き。
読了日:7月4日 著者:ジーン・ウルフ
サキ―森の少年 (世界名作ショートストーリー)サキ―森の少年 (世界名作ショートストーリー)感想
大好きなサキ。少年少女向けですが、非常に良いセレクトで楽しませてくれました。数ある短編の中で、最高峰と思われアンソロジーにもよくとられている、開かれた窓(出だしから最後の言葉まで緊密でオチに震える)、もしかしたらあるかもと思わせる猫がしゃべって人間が辟易する話、トバモリー、電車内で自分の洋服の中にネズミが入り込み美女の前で裸にならざるを得なかった男の顛末のネズミ(これもオチが素晴らしい)、電車内のうるさい子供に語って聞かす話の残酷さが光る話し上手、最後までラストが読めない夕暮れ、の面白さが光りました。
読了日:7月3日 著者:サキ
ブエノスアイレスに消えた (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ブエノスアイレスに消えた (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
厚いのですが意外にさくさく。可愛い娘モイラを誘拐されたファビアンの苦悩がそれは伝わってきました。誘拐といっても、何も脅迫もなくただただの失踪ということで、途中で探偵や刑事達も絡み一つのうねりのような物語になっていきました。誘拐物にしては珍しく長期間の記録にもなっています。ファビアンの妻リラ像が前半今一つつかめなかったのが。後半あああああ・・・そういうことだったのか、とある一つの真相に行き当たり愕然。ファビアンが電車に寸前で乗れなかった様子や。後半単独旅で、秘境のような場所が映像として見えました。
読了日:6月28日 著者:グスタボマラホビッチ
虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)虹の歯ブラシ 上木らいち発散 (講談社ノベルス)感想
ま・・まさか「らいち」が主人公の連作とは!思った通りいやそれ以上にエロでお下品で・・・・なんですが!一つ一つのミステリの落ちるところが非常に納得するところがあり、汚いーぎゃーぼーううむううむーーーと思っていたら。紫で仰天し、青は海とマニキュアの色で大爆発して(これもシモネタ&エロネタですが大変感心)、そしてラストの章、こ・・・これは!!!脱帽しました、ここまでいくことに。
読了日:6月28日 著者:早坂吝
ドクター・スリープ 下ドクター・スリープ 下感想
大変満足しました、この終わり方に。ダンがアブラとかかわりを持っていくところ、悪の権化真結族との戦い(ローズを罠にはめたアブラに拍手喝采)なども読みどころたっぷりなのですが。更正したダンが折に触れて幼い時の父親とか両親のあり方とかを考えるところ、ディックを懐かしく思うところ、ホスピスに勤務して死に行く人の手を取って救ってあげるところ、の静の部分もとてもとても心打たれました。かがやきを持ったことで辛い人生を歩まざるを得なかったダン。彼は強大な力を持ったアブラにかがやきを持つ人生とは、を教えたと思っています。
読了日:6月27日 著者:スティーヴン・キング
ドクター・スリープ 上ドクター・スリープ 上感想
面白い!なんといってもシャイニングを読んでないと、と言う作品ではありますが(単独でも楽しめますがそこここで疎外感があると思います)、過去の父親を見ているダニー坊やがこんなに大きくなって・・・(涙)。でもまたダニー(ダン・トランス)もまた父のあとを追ってしまうという悲劇もまた・・・かがやきを持つ人間の悲しみ、サガのようなものをひしひしと感じました。そしてアブラ!!という魅力的な少女のかがやきが素晴らしい!少女とのかかわりで、今度はダンがディックになって行くんだなあ・・・というのを感じながら下巻へレッツゴー!
読了日:6月27日 著者:スティーヴン・キング
少女は本を読んで大人になる少女は本を読んで大人になる感想
良かったなあ・・・。読書会の作家さんの語り部分だけれど、思い入れのある本を一冊選んでそれについて語ってくれています。人によって濃淡はありますが、特に良かったのが、嵐が丘の明快な分析とネリーの存在を光らせてくれている鴻巣友季子、第七官界彷徨の角田光代(この作品についてもだが、自作品八日目の蝉への分析も素晴らしい)、彫刻家の父親と高村光太郎との結びつきを書く末盛千枝子(名前の由来にぶっ飛んだ!)、苦界浄土を語る竹下景子(泣けた、言葉の力にやられた、朗読を聴きたかった。)、の方々でした。ところでレシピはいるの?
読了日:6月21日 著者:
地球で生きている ヤマザキマリ流人生論地球で生きている ヤマザキマリ流人生論感想
媒体が色々なせいか、文体が途中で変わって・・・。これが最初の彼女の本だったら詠むところがたくさんあると思います。今までの本を読んできた人なら、重なるところが多くてちょっともやもやっとすると思いました。話そのものは面白いのですが!
読了日:6月21日 著者:ヤマザキマリ
悪魔の羽根 (創元推理文庫)悪魔の羽根 (創元推理文庫)感想
相変らずよく出来た心理サスペンス。E-メールも、怯えているコニーが変貌していく感じも克明に描かれていました。
読了日:6月20日 著者:ミネット・ウォルターズ
歪められた旋律(下) (扶桑社ミステリー)歪められた旋律(下) (扶桑社ミステリー)
読了日:6月20日 著者:ジェニファー・ヒリアー
歪められた旋律(上) (扶桑社ミステリー)歪められた旋律(上) (扶桑社ミステリー)感想
ジェットコースター小説。上巻の途中まで私は非常に忍耐が要りました。イーサンの執拗さに辟易して。何もかも持っている大学の美しい先生シーラが一時の気まぐれで助手イーサンと関係を持った・・・ここから全てが始まるのですが。
読了日:6月20日 著者:ジェニファー・ヒリアー
忘れられた巨人忘れられた巨人感想
アーサー王伝説、竜のいる世界、騎士、もやもやと立ち込める霧、修道院、と、ファンタジー道具立てが揃っています。記憶をなくした老夫婦があたかもイニシエーションの旅のように、いなくなった息子を探しに行く旅の途中で色々な出来事にあう・・・と言う物語ですが。いかようにも読めますこの本、メタファーと思えばどれもメタファーであるし。確かに読ませます、読ませるんですが、私はファンタジーではないカズオ・イシグロのほうが好きかも・・・・。
読了日:6月16日 著者:カズオイシグロ,KazuoIshiguro
霊応ゲーム (ハヤカワ文庫 NV レ 5-1)霊応ゲーム (ハヤカワ文庫 NV レ 5-1)感想
イギリスの名門パブリックスクールでの男子同士の友情、いじめ、少年同士の独占欲、そして尊敬から恐怖に変わる心の支配、これらが先生の話を交えて心理状態を克明に描き出していました。読ませます、全体に。 ただ、私の期待していた感じの話と後半違ったかも、ごめんなさい。あと肝心なゲームをもうちょっと詳細に描いて欲しかったかも。
読了日:6月14日 著者:パトリックレドモンド,PatrickRedmond
さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)さよなら、シリアルキラー (創元推理文庫)感想
とても良かった!ミステリで後半の場面などはトマス・ハリスのハンニバルとクラリス場面を思い出すくらいの濃厚な場面もあるのですが。それより何より青春物語で、人を愛する心を失わないということがどれほど人間の心を救うかというのが見事に描かれていると思いました。主人公ジャズが、異常な環境で殺人犯の父に薫陶を受けてきた・・この悲惨な状況の中真っ当な心を失わないのは、愛するガールフレンドコニーと血友病のハウイーと言う親友がいるから、だと思いました。三人の造型が素晴らしかったです。次作品の翻訳を楽しみにしています!
読了日:6月12日 著者:バリー・ライガ
夏の沈黙夏の沈黙感想
順風満帆の生活を送っていたキャサリン、突然自分が主人公の小説が送り届けられてきた・・・秘密の暴露とともに、というなんとも魅力的な冒頭です。この小説の正体は案外あっさりわかるのですが、そのあとストーカーめいた話にシフトし、視点が増えて行き、色々な人の心が崩壊していく様が読み応えありました。後半の真実はやや弱いのですが、私はそれよりも、最後の最後でのある事実に胸突かれました、だからか・・・と、色々なことが腑に落ちて。ただ一方で腑に落ちないことも多々あって、そういう意味でもどかしいミステリではありました。
読了日:6月6日 著者:ルネ・ナイト
誰でもない彼の秘密誰でもない彼の秘密感想
とてもすぐれたヤング・アダルト小説でした。なぜこの本に興味を持ったかと言うと、あの詩人のエミリー・ディキンソンの少女時代をミステリ小説(あくまでフィクションですが事実も踏まえています、各所に)にしている、というところでした。そして私の中の白い服を着たディキンソンの沈鬱な静かなイメージとは全く違う、生き生きとした少女探偵のエミリーが実に魅力的に描かれていました。ミステリそのものは深い謎とかではないのですが、ミスター・ノーバディとの一瞬の邂逅がエミリーを突き動かしていくその観察眼と感性が素晴らしかったです。
読了日:6月5日 著者:マイケラ・マッコール
夏のおわりのハル夏のおわりのハル感想
「夢」の話が主体になっているといってもいいので、つかみどころがなく、好悪分かれると思います、なんのことだ、と。私は、といえば、ぎりぎりこの人の夢の話が聞ける、という気持ちで案外面白く読みました。前半と後半、二人の人間の話が交錯しているのですが、このリンクの具合も興味深く読みました。このシュウちゃん(ハルのいとこ)、伊吹(ダイチのかつての同級生女子)、双子、うさぎ(アリスを明らかにモチーフにしている)が出てくる奇妙な「夢」の世界については、私はあることを思いましたが・・・・。
読了日:6月4日 著者:畑野智美
世界を変えた100の本の歴史図鑑: 古代エジプトのパピルスから電子書籍まで世界を変えた100の本の歴史図鑑: 古代エジプトのパピルスから電子書籍まで感想
図鑑なので、図を見ているだけかなあと思ったら、とても面白く刺激的な本でした。副題に古代エジプトのパピルスから電子書籍までとあるように、内容的に面白い本、とかではなく、全ての大陸から色々なタイプの本を選ぶ(パピルスに書いてある本とか骨に書いてある本とか)という主旨にのっとって、世界の本の歴史を見ることが出来ました。解説も楽しく読めます。どういう変遷を経てきたかと言う点も面白いし、ちょっと変わったものに書かれた本もまた興味深かったです。グーテンベルクの革命がやっぱり一大事だということもよくわかりました。
読了日:5月29日 著者:ロデリックケイヴ,サラアヤド,樺山紘一
寺山修司のラブレター寺山修司のラブレター感想
意外とストレートな文章だなあと思いました、寺山修司のラブレターは。そこがまた微笑ましかったです。自筆のあの特徴ある字の手紙の写真もあり、その印刷したものもあり大変丁寧に作られた本でした。ラブレターを公開しているけれど、それのみではなく、二人が歩んだ道、恋愛、結婚、そして天井桟敷の設立、そして離婚も炙り出されているのが胸打たれました。九條今日子の若い時の写真を知らなかったので、こんなに可愛いとは!自由闊達な女性、くりっとした目が印象的な女性で、寺山修司が追いかける気持ちがちょっとわかりました。
読了日:5月29日 著者:寺山修司,九條今日子
時計じかけの熱血ポンちゃん時計じかけの熱血ポンちゃん感想
楽しい!相変らずのつっぱしりぶりの山田詠美のエッセイ。毎回楽しみにしているけれど、今回も過去の恋愛の話、村上春樹の本についての感想(とても頷けた)、ロビン・ウィリアムズの映画についての感想、顔面相似形(おおいに笑った)、途中で飽きたらしい水キムチ(でも美味しそう)、今の旦那さんとのやり取り(笑った笑った)・・・・日常を書いているのに自由闊達で面白い話を聞かせていただいてありがとう、という感じ。ところでこれ終わりなんでしょうか?ラストそんな感じで・・・ひとまず終了なので「ひとまず」であることを祈ります。
読了日:5月29日 著者:山田詠美
バタフライ・エフェクト (小学館文庫)バタフライ・エフェクト (小学館文庫)
読了日:5月26日 著者:カーリンアルヴテーゲン
岩窟姫 (文芸書)岩窟姫 (文芸書)感想
さくさく読めます。芸能界と言う特殊な場所で起こったアイドルの自殺、それに伴う友人の蓮美の激動の日々・・・・。自らがいじめたという事実がないだけに、自分の無実も晴らしたいけれど、それと同時に死んだアイドルはなぜ死んだのだろうというのもわかりたい。その気持ちの蓮美に心寄せることができました。ただ、後半急ぎすぎかも、途中までいいのに。ラストが意外、というものだけに惜しい。それはそれとして、最後まで読んでタイトルをみると、(ああ・・・)と納得します。
読了日:5月25日 著者:近藤史恵
死を笑う うさぎとまさると生と死と死を笑う うさぎとまさると生と死と感想
死に実際に直面した中村うさぎと元外交官である論客佐藤優の対談ですが、なかなか読むべきところがありました。 死生観というのも宗教がらみで非常に面白かったし、三島由紀夫の自決、小保方問題(この視点が驚いた)、安部首相のポエムの話(ものすごく納得し不可解なところが全てこの話で落ちた)、と読むべきところが多くて全体に楽しめました。しかしそれにしても佐藤さん、あらゆること(下世話なことまで、Vシネマとかも)を知ってるなあ・・・とキャパの大きさに驚愕。
読了日:5月25日 著者:中村うさぎ,佐藤優
柔らかな犀の角 (文春文庫)柔らかな犀の角 (文春文庫)感想
俳優の軽い手さすびではなく、とても良質な、本についてのエッセイでした。文春に連載当時からファンでしたがこうして一冊になってみると、本の話というより彼自身の老いをも見つめる滋味ある文章です。俳優ならではの視点でシェイクスピアの話とか、訳の話とか、また子供っぽく本屋でお目当ての本をうきうきしながら買う様子とかそれはそれは「本を読む喜び」に満ちていて、読んでいて心地よいものでした。びっちりした活字なので意外に読むのに時間がかかりますが、それでもおおいに最後まで楽しめました。池澤夏樹さんの解説も秀逸。
読了日:5月22日 著者:山﨑努
呪われた町 (下) (集英社文庫)呪われた町 (下) (集英社文庫)感想
面白かった!前半を踏まえ一気に加速していく下巻のスピード感の半端なさは素晴らしいものでした。吸血鬼物の怖さを体現してくれる本。敵である吸血鬼が誰かを襲ったら今まで味方だった人が敵になる逆転現象の怖さもあるし、何より20世紀のアメリカで吸血鬼の存在を信じてくれる人が少数だけしかいないという弱さがこちら側にはあり、もう手に汗握りました。町の人達の綿密な描写、彼らの後ろ暗いところの記述、それらが全て悪となり血みどろの町になったようでした。町の人達の無力感はアンダー・ザ・ドームを思いました。ああ、スーザン・・・。
読了日:5月22日 著者:スティーヴンキング
呪われた町 (上) (集英社文庫)呪われた町 (上) (集英社文庫)感想
これもまた、不気味な館がどーんと町に存在していて、そこに住む人達が・・・問い話でした。面白い。出だしが全く何だか見えず、父子っぽい(でも父子ではないと明記されている)二人組が何かに怯えて放浪していて。これがコーマック・マッカーシー のザ・ロードっぽいんだけど、違うのは「外の世界」は正常であって、おかしいのはただ一点その「町」だけだったということ。スーザンと言う魅力的な女性も出てくるし、賢いマーク少年も出てくるし、セイラムズロットという町の全員を見ているような気持ちにさせられて下巻へ。
読了日:5月22日 著者:スティーヴンキング
時穴みみか時穴みみか感想
SFとして読むと、ここは???と疑問だらけで、そもそもどうして彼女がタイムスリップすることになったんだみたいなところは全てすっ飛ばされておりました。けれどそれでも尚話としては、面白いのです、知らないそれも超大昔ではなく手の届くくらいの昭和、というところがミソ。懐かしい物が満載で(トイレットペーパーがないというのがリアルすぎる、汲み取り便所もだけど)、こっくりさん、まだキティちゃんがいない世界、コンビニがない、黒電話、駅の掲示板・・・。そこで新しい友達づきあいを覚えていくさら(みみか)にも好感が持てました。
読了日:5月20日 著者:藤野千夜
ナイルパーチの女子会ナイルパーチの女子会
読了日:5月20日 著者:柚木麻子
三月は深き紅の淵を (講談社文庫)三月は深き紅の淵を (講談社文庫)感想
かなりの時を経ての再読。やっぱりこの本面白いー。4つの短編で成り立っていますが、あるところでは、「三月は深き紅の淵を」という本が書かれていない、あるところでは存在している、あるところでは書き始めるところとそれぞれが違った語り(騙り)になっているのです。くっきりとわからない謎めいた不思議な話というのが魅力だった頃の恩田陸のエッセンスがぎゅっとつまっている本。そしてラストでは理瀬が登場(懐かしい)。まだこの本が出た当時にはそれこそ書かれていなかった黒と茶の幻想も本の中に登場。色々な意味で不穏なミステリ。
読了日:5月20日 著者:恩田陸
ジョーンズの世界 (創元SF文庫)ジョーンズの世界 (創元SF文庫)感想
自分の過去の(小生意気な)感想を読んで、この話色々考えないでただ楽しんで読めばいいんだなーと思いました、過去の私よりはるかに今の方が楽しんで読めたので(体調とかその時の気分もあるのでしょうが)。話の食い違いとか、ジョーンズとか途中でどうしたのよ、とか、破綻しているところに色々思うことはあるのですが、今も。でも見世物小屋から始まって、最初の小さい人達の正体とか、不安定な読み心地とか、やっぱりディック。ディック作品の中でどういう位置か知らないけど、読ませる力はものすごくあると思います。
読了日:5月20日 著者:フィリップ・K.ディック,白石朗
日時計 (創元推理文庫)日時計 (創元推理文庫)感想
なんだか好きだわ、このほのぼのとした雰囲気ミステリ(後半は冒険物になりますが)。ネビル・シュートのパイド・パイパーあたりを思い出しました、古き良き時代の爽やかなミステリ。 三歳の子供が誘拐される、という見方によっては陰惨な事件なのに、みーんなのんびりしていて(おいそこは食事をしている場合じゃないだろう!)(おいそこは恋愛している場合じゃないだろう!)と色々突っ込みながら読んでいたのですが、それもまた楽しい。なんといっても、タイトルの日時計、が全ての鍵になるところと、その日時計が何かというのがまた魅力。
読了日:5月20日 著者:クリストファー・ランドン
こころと脳の対話 (新潮文庫)こころと脳の対話 (新潮文庫)感想
箱庭療法は知っていたので、茂木先生が箱庭をやる姿をとても興味深く読みました。全体に面白かった対談なのですが、茂木先生の側の言葉があと一歩なかったような。茂木先生が遠慮していたのかな?大御所だから河合先生。なんとなくの感想ですが、河合先生単独、茂木先生単独の本の方が私は心に響いたかも。
読了日:5月20日 著者:河合隼雄,茂木健一郎
シャイニング〈下〉 (文春文庫)シャイニング〈下〉 (文春文庫)感想
それで、後半も同じ、恐怖の目に見える形としては、庭の刈り込み動物が襲ってくる、過去の血まみれの壁、過去の浴槽の中のぶよぶよの女、過去の奇妙なバーの仮面パーティーとあるのですが。この話、ホラーだけではなく、ダニーの理解されがたい内面、ダニーの父親のどうしようもない破壊衝動と暴力行動と彼の育った家庭、ダニーの母親の育った家庭環境と彼女の持っている屈託、このあたりが並ではないくらいに緻密に描写されていて、そこにおおいに魅せられました。単純な何かが出て怖い!というだけの小説ではないと思いました。
読了日:5月20日 著者:スティーヴンキング,StephenKing
シャイニング〈上〉 (文春文庫)シャイニング〈上〉 (文春文庫)感想
「かがやき」のある5歳のダニーが大人びていて可愛い!!その可愛さの裏で、「見えてしまうもの」があってかわいそうだなあと話にのめりこみながら思いました。両親の心の亀裂があるのになんとか修復しようとしてこの屋敷(ホテル)に住み込み、そこから怪異現象が始まる・・・スズメバチその後がとても怖かったし、それよりも怖かったのは、スズメバチと対峙している時のはしごの上のお父さんの心の動き(過去への追想)も怖かった!なんでお父さんが勤務していた学校を追われることになったのかが滅茶苦茶怖いです。(以下下巻に続く)
読了日:5月20日 著者:スティーヴンキング,StephenKing
夏目漱石、読んじゃえば? (14歳の世渡り術)夏目漱石、読んじゃえば? (14歳の世渡り術)感想
14歳向けと言う感じで書かれていますが、大人で漱石を読んだことのある人でも楽しめる本だと思います。敷居が高いと思われている作品を、気楽にこういう視点もあるよ、という(そして下卑てはいない)ことを教えてくれてそれはそれは楽しめました。あと、この本、漱石のことだけじゃなくて、本、読書そのものについても語ってくれているところも魅力的。自分が中学生の時にこういう本があったらなあーと夢想しました。
読了日:5月20日 著者:奥泉光,香日ゆら
あぶない叔父さんあぶない叔父さん感想
これってもしかして?と思いつつ読んでいると、途中のある作品で、(あ、違った)ということになるのですが。でもそのあと続けて読んでみると、えっとやっぱり?とちょっと翻弄されました。
読了日:5月20日 著者:麻耶雄嵩
永い言い訳永い言い訳感想
どこからこの本の良さを語ればよいものでしょうか。今年(まだ4月だけど)のベストに入るピカイチの本でした、少なくとも私には。妻を失ったと言うところから始まる物語ですが、安直な心の再生とかそういうものではなく、実に巧みに人の心理状態の「ゆらぎ」のようなものを描きこんでいると思いました。言葉も書き抜きたいような言葉がたくさんあるし、視点が変わっていくこの手法も好きだし、どこからどこまでも大好きな本でした。主人公の嫌な感じが、自分に突きつけられているような気がしてそこもぐっときました。おじいちゃんには笑ったなあ。
読了日:4月20日 著者:西川美和
お引っ越しお引っ越し感想
いやーーーやめて~~~と足をじたばたさせながら読んでいて、それが快感でした。 お引越しにまつわる話が続き、生理的に嫌な感じを出す話と、社内のいじめみたいなところから発する嫌な感じの話とかの連作集です、ホラー寄りかなあ。壁に前の住人がつけた画鋲の穴とか、汗をかき続ける上司とか、ありそうな感じが臨場感増していました。小さな会社に入った主婦の小さな疑問から意外な展開の「机」が私は好きでした、あと「壁」も全く読みを間違えていました。ラストの「解説」が面白かったです・・・(奥付も!
読了日:4月19日 著者:真梨幸子
裏面: ある幻想的な物語 (白水Uブックス)裏面: ある幻想的な物語 (白水Uブックス)感想
面白かったです。かつての旧友が大金持ちになり西アジアの辺境に夢の国を作った、招待を受ける、と言うところから物語は始まります。そこまでの妻と一緒の旅も非常に面白いし、町に入る時のぞわぞわした気持ちもまわかるし、陰鬱な太陽のささない町でのひとこまひとこまにも、奇妙でねじれている不条理さにも引き込まれました。いわばリアリティーのあるしかも終わりのない悪夢の中をさまよっているようでした。後半の瓦解感もすさまじくおぞましく、ぞくぞくしながら読みました。作者自身の挿絵もまた小説の不気味さを増していました。
読了日:4月17日 著者:アルフレートクビーン
ひと皿の小説案内 主人公たちが食べた50の食事ひと皿の小説案内 主人公たちが食べた50の食事感想
小説で出てきた食べ物を再現して写真に撮りましょうというこの本、面白く読みました。絵本的なものでは良く見かけますが、このタイプの本。けれど、この本は、百年の孤独とか変身とか白鯨とかミドルセックスとか大人の本が多数を占めていて、その中に子供の本が入っている、というところが斬新だと思いました。変身のザムザへの料理(っていうか混ぜ合わせ)が強烈で目を奪われました。百年の孤独の写真も、うっと声を詰まらせました。あと左側の四角の中にミニ知識コラムがあるのですが、それもとても楽しかったです。
読了日:4月17日 著者:ディナ・フリード
死のドレスを花婿に (文春文庫)死のドレスを花婿に (文春文庫)感想
面白くて一気読み。その女、アレックスの作者なのでそれはそれは警戒して読んでいましたが・・・いやあ・・・最後驚きました。冒頭も衝撃場面で始まりました。ソフィーという女性が自分の行動が記憶にない、奇行繰り返し、過去どういう人生を歩んできたか、というのが徐々に明かされていくところもスリリング。おぞましいところも沢山あって堕ちていく女というのをソフィーがひたすら体現していました。ソフィーの章のラストとフランツの章のラストがぞくっとするほど面白かったです。ただ、後半が書き急ぎ感がありそこがとても惜しいと思いました。
読了日:4月13日 著者:ピエールルメートル
男役男役
読了日:4月12日 著者:中山可穂
ウェイワード―背反者たち― (ハヤカワ文庫NV)ウェイワード―背反者たち― (ハヤカワ文庫NV)感想
パインズ(前作)読破は必須だと思います。前作の「わけのわからない怖さ」から一転して「わけのわかる怖さ」になって怖さ度アップ。ちょっとキングのあれこれを思い出すけれど、こちらの方がある種のSF寄りかなあ。実に絵が脳内で出るので、映像向きと言うのはわかります。祭りって・・・ひいーーー。アビー・・・ひいーー。ラストの驚きがあり、これが完結じゃないことを知らず、そこでまたひいーーーーー!3巻を早くっ!
読了日:4月11日 著者:ブレイククラウチ
国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)感想
自伝っぽいところもですが、時々で読んできた本というところに私はおおいにそそられました、そして意外でした、三島由紀夫のしかも豊饒の海が語られているなんて!安部公房はいかにも、と言う感じでわかります、無国籍だと思うから。プリニウス、待ってます、次巻を楽しみに!
読了日:4月11日 著者:ヤマザキマリ
グッド・ガール (小学館文庫)グッド・ガール (小学館文庫)
読了日:4月11日 著者:メアリー・クビカ
お葬式お葬式
読了日:4月8日 著者:遠田潤子
悪意の波紋 (集英社文庫)悪意の波紋 (集英社文庫)感想
非常に楽しめました。ラストのところの一歩手前ですら(まあこの終わり方でも面白かったし良かったな)でしたが、その先に仰天。どんでん返しとかではありませんが、想像の斜め上を行く展開で予想だにしませんでした。40年前の強奪事件からずうっと息を潜めて生きている男のところに、一人の勇敢な女性ジャーナリストがなぜか真相を知ってやってくる話が一つ。元彼女を6年間思い続けているのに、元彼女がかつてのラブレターをテレビで晒し物にするという行動に憤慨した男の話が一つ。これが交錯していき、見事な群像劇が出来上がっています。
読了日:4月7日 著者:エルヴェコメール
the SIX ザ・シックスthe SIX ザ・シックス感想
6人それぞれの超能力を持っている子供達、その孤独と苦悩が描かれていました。超能力物大好きなので楽しんで読みました。子供達の超能力が普通考えられる超能力で「相手の思っていることを透視する」とか「テレパシー」とか「テレポーテーションでどこかに瞬間移動する」とかではない、新しい能力が多いのでそこもまた魅力的でした。ただ、続きがあるといいなあと思います、最後ちょっと物足りない感が。あと連作というので最後に大団円と言う形のみではなく、それぞれの話が少しずつどこかで引っかかりがあるといいと思います。
読了日:3月30日 著者:井上夢人
バラの中の死 (光文社文庫)バラの中の死 (光文社文庫)感想
あの日下圭介の本がこんな美しいバラの表紙で甦るとは!なんて素敵なお仕事!時代は古いのです、携帯もパソコンもない時代で。でも内容は改めて古くないなあと思いました。この中で一番巧いなあと思うのは「木に登る犬」で、なぜ木に登る?犬が?まさか?と子供達の話を中心に謎が頭を駆け巡り、そこから意外な結果が生み出されるところが面白いと思いました。個人的に大好きなのが鶯を呼ぶ少年で(懐かしい・・・)、盲目の貧しい祖母のために鶯の音を聞かせようと奮闘する少女と少年の物語、と思いきや、ラストがお見事。
読了日:3月30日 著者:日下圭介
太宰治の辞書太宰治の辞書感想
初々しかった「私」が大人になっちゃった・・・・あの「水を飲むように本を読む」という精神はそのままに、懐かしい円紫さんシリーズが帰ってきました。太宰の話、朔太郎の話、芥川の話、と文学好きには、お!と思わせる話が満載でした。円紫さんはラストに出てきて、そうそう、あの正ちゃんも出てきますっ!懐かしい・・・。ただ、ただですね・・・・個人的には、ずうっと「私」は大学生のままで円紫さんと砂糖合戦(シリーズ中一番好き)のような小さな謎を解きあっていてほしかったなあ・・・。
読了日:3月29日 著者:北村薫
EPITAPH東京EPITAPH東京感想
好みがぱくっと分かれそうなもやっと作品。そして私は好きでした。東京と言う巨大都市を幻視している語り口が好みでした。大きくは3つの部分に分かれていて、「筆者」が東京を題材にした戯曲を書いて悩みつつ東京を回る部分、その戯曲そのものの部分、吸血鬼を名乗る吉屋と言う男の独白の部分、でした。都会の鏡の中に吉屋がぽっといるところとか、尾行しているつもりが察知されているところとか、死の気配に満ちた都会の真ん中のあちらこちらの部分の話とか楽しんで読みました。ただ・・・これだけ装丁に凝っているのに誤植があるのが実に残念。
読了日:3月29日 著者:恩田陸
倫敦千夜一夜物語 あなたの一冊、お貸しします。 (集英社オレンジ文庫)倫敦千夜一夜物語 あなたの一冊、お貸しします。 (集英社オレンジ文庫)感想
19世紀ロンドン版ビブリア古書堂のような話。貴族が身分を隠して兄と妹で古書店を開いていてそこに持ち込まれる謎を解いていく・・・ほのぼのと読みました。引き合いに出てくる小説が、HGウェルズとかホームズとかポーとか若草物語とかから、スティーブンソンの自殺クラブまで多彩で楽しめました。特に若草物語のジョーの氷の話は、確かにとても印象深い話なのでそれを上手にミステリに取り込んでいると思います。あと自殺クラブの話も好きです。ラスト次に続く予感で終わっているので(両親の死も解明されてないし)また読みますっ!
読了日:3月29日 著者:久賀理世
号泣 (集英社オレンジ文庫)号泣 (集英社オレンジ文庫)感想
女子高生の自殺をめぐってのミステリ、他殺なのか自殺なのか。ここに描かれている女子高生達の生態があまりに私にはショッキングでした(本とはいえ)。冬姫ちゃんが一番まともでした、彼女以外の四季メンバーと言ったら・・・ううむ。悪意とか男女交際とかいじめとか辛い部分もありました。が、ラストはとてもかえました、ある海外有名作品と基本同じなのですが、全くわからなかったので。
読了日:3月29日 著者:松田志乃ぶ
ぼくが映画ファンだった頃ぼくが映画ファンだった頃感想
面白く読みました。特に映画と伏線のところで、ワイルダー、ヒッチコックからダイハードまで語る部分で細かい小道具の話とか、もう一度読みたくなりました。人生の三冊というのもいかにもこの人らしいかも。 ただ、初出がかなり昔のものもあり(というかそれが多い、1980年代が多い)、あと媒体がばらばらなので文体がまちまちでそこがちょっと違和感ありかも。まあそこが魅力と言えば魅力でもありますが。
読了日:3月27日 著者:和田誠
ソロモンの偽証 全6巻 新潮文庫セットソロモンの偽証 全6巻 新潮文庫セット感想
映画の前篇を見たので、再読しました。やはり生き生きとした中学生達の裁判が素晴らしいし、結末が判って読むと、冒頭の部分がいかに大事かというのもわかるし、全てが計算されたミステリだと思いました。それぞれの子供達が友達と関わっていく中で成長していく姿に胸打たれました。特に三宅さんの孤独な叫びが神原君と言う弁護人に救われたこと(だからこそ最後三宅さんは精一杯の嘘をつき続ける)、野田君も闇を脱出して神原君とともに成長していく様、大出君ですら考えるようになったのです。後半涙がやはり止まりませんでした。
読了日:3月27日 著者:
奴隷小説奴隷小説感想
これを、現実世界を踏まえた虚構の世界のSFと見るか、それとも虚構の世界の形を借りた現実世界への訴えと見るか。それによって読み方がものすごく変わると思いました。一切の予備知識がなかったので、最初の話を私はSFだと思って驚きながら読んでいたのですが、ラストで(もしかしてこれは現代日本ではないだけで現実?)とくらっとしました。小説としてはどれも非常に私は面白く読みました。特に突然拉致されて島に閉じ込められ周りが泥と言う状況の中の女子高校生たちの話は、SF的な視点で見ると読み応えがありました。
読了日:3月19日 著者:桐野夏生
透明カメレオン透明カメレオン
読了日:3月19日 著者:道尾秀介
模倣犯〈下〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)模倣犯〈下〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)感想
犯人像も克明に描かれていて不気味さがこちらに伝わってきました。テンポ良く人間が動いて行って、しかも周りの人達がそれぞれの役割で活躍する一方、実に人間臭いことで悩んでいると言う仕事と心と両方が見事に描かれていました。刑務所の中にいる連続殺人犯とある一人の女性とのやり取りはそれこそハンニバルとクラリスを髣髴とさせ、ここもまたぞくぞくとさせてくれました。今作のミステリ、謎解き重視と言うより、人間の心の動きを読み込む人に向いているかも。しかも前作でドジな人はここでもまた・・苦笑いたしました。ラストが!次巻を待つ!
読了日:3月19日 著者:M・ヨート,H・ローセンフェルト
模倣犯〈上〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)模倣犯〈上〉 (犯罪心理捜査官セバスチャン) (創元推理文庫)感想
これに限っては前作から読むことをお勧め。なぜなら前作の最後で実に重要なことがオープンになっていて、それをこの作品の中心になっているから。前作も面白かったのですが、なんせ最初に出てくる人物達を把握すると言う頭の中の作業があるので、圧倒的に二作目のこちらの方がさくさくとのめりこめました。そしてここではかつてセバスチャンが捕まえた連続殺人犯と同じような手口の殺人が次々に発生。元の犯人は刑務所にいるはずなのになぜ?非常に面白かったです、自信過剰のセバスチャンの心の崩れ方も読みどころの一つ。(下巻に)
読了日:3月19日 著者:M・ヨート,H・ローセンフェルト
ノア・P・シングルトンの告白 (ハヤカワ・ミステリ文庫)ノア・P・シングルトンの告白 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
嫌いではないし最後まで読ませる力もあるのですが・・・・。殺人犯とされて刑務所に囚われている死刑囚ノアのところに、殺された人の母親がやってくる・・・。徐々に紐解かれていくノアの過去とそして現在、そのあたりは読ませました。けれど、なんとなくですが、私の思った方向の話とは違ったような気がしました。
読了日:2月28日 著者:エリザベス・L.シルヴァー
新訳 ハムレット (角川文庫)新訳 ハムレット (角川文庫)感想
仰天しました、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」の訳がはじめてなんて・・・。ということは、私は今までのハムレットでこの訳を脳内変換して読んでいたのでしょうか・・・。非常に耳に心地よく響く訳なので舞台にはいいなあと思いました。字面が美しい訳というのもまた存在して良いし、選択肢がたくさんあるのはいいことだなあと思いました。今回ローゼンクランツとギルデンスターンに注目していましたが、まあお気の毒でお気の毒で・・・・。
読了日:2月26日 著者:ウィリアムシェイクスピア
火星に住むつもりかい?火星に住むつもりかい?感想
とても面白い作品でした。テーマ的に重苦しい監視密告世界、拷問ありの世界、公開処刑のある世界、の話なのでどうしても読むのには時間がかかりますが、それを補って余りある作品でした。冒頭から全てが伏線となっていて、床屋談義、虫擬態の話、魔女狩り、拷問の方法、マジックミラーの逆版、と読みどころ満載でした。警察側の真壁が出てくるあたりから一気にスピード感が加速し謎の武器を操る「正義の味方」の正体が誰か、なぜ救うのに選ばれた人間がいるのか、とラストするすると絡まった糸が解けていくところが圧巻。偽善についても考えました。
読了日:2月24日 著者:伊坂幸太郎
ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館:シーズン1・2公式ガイドダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館:シーズン1・2公式ガイド感想
ドラマ大ファンなので舐めるように読みました。写真がきれいだし、上の世界(旦那様奥様)と下の世界(メイド下僕)がくっきりと分かれている英国貴族の館・・・。ただ、本を読んでいくと途中で話が写真にさえぎられ別の話にさえぎられ、飛び飛びになっているのがとても気になりました。あと語っている人が、役柄なのかその人本人なのか、というのが渾然となっているのでここもちょっとわかりにくいかなあ・・・。アメリカの大金持ちの娘とイギリスの貴族との結びつきが詳細に語られていたのでそこはとてもとても役に立ちました。
読了日:2月22日 著者:ジェシカフェローズ
洋子さんの本棚洋子さんの本棚感想
本について語るところは面白いと思いました。
読了日:2月22日 著者:小川洋子,平松洋子
ウィンブルドン (創元推理文庫)ウィンブルドン (創元推理文庫)感想
若きテニスのスター選手の友情ったら!。もうこの二人が爽やかでそしてイケメンっぷりったら(想像ですが、でもそうも書いてある)!キングはオーストラリアで何不自由ない暮らし、そしてツァラプキンはソ連からの亡命者、いう全く境遇の違った二人がお互いのテニスプレイに一目で魅了される、というところがとてもわかりました。バランス的に決勝戦までが長いのですが(二人でバイクに乗っていく場面も好き)、それが決勝戦のところでとてもきいてきます。タイプの違う二人の性格もまたこちらに伝わってきました。ラスト、まさかあれが!と。
読了日:2月22日 著者:ラッセル・ブラッドン
死と砂時計 (創元クライム・クラブ)死と砂時計 (創元クライム・クラブ)感想
夢中で読みました。架空の国の架空の終末監獄と言う独特の世界観溢れる設定なので乗れるかどうか危惧しましたがなんのその。この作者の作品の中でもっとも腑に落ちもっとも好きです。死刑囚ばかりが集まる監獄での特殊な事件があり、それをシュルツ老人(ホームズのような役割)とアラン(ワトソンのような役割)が解き明かします。謎解きが、宗教や独特の特殊状況の中の謎解きなので目新しくそして斬新で、度肝抜かれました、特に墓守がなぜ死体損壊をしたのかの真相は仰天しました。ラスト賛否分かれるでしょうが、ここも含めて私は大好きでした。
読了日:2月18日 著者:鳥飼否宇
名画とあらすじでわかる! 英雄とワルの世界史 (青春新書インテリジェンス)名画とあらすじでわかる! 英雄とワルの世界史 (青春新書インテリジェンス)感想
名画を通して歴史を知る、歴史の中の人物を知る、こういうのが私は好きみたいです。これもとても楽しんで読みました。各章の最初に男達がいた場所の地図があるのも嬉しいところでした。
読了日:2月18日 著者:
犯罪心理捜査官セバスチャン 下 (創元推理文庫)犯罪心理捜査官セバスチャン 下 (創元推理文庫)感想
面白さ続く!全員(証人、犯人は勿論、捜査官も)が大きな秘密小さな秘密を持っていて、それが徐々にわかってくるところ堪能しました。セバスチャンやるじゃない!と何度も彼の本領発揮っぷりにわくわくしました。また殺された少年像も、いじめのある学校から転校してそこでガールフレンドを作って、と言う姿から、二転三転していくところも読みどころ。そしてラスト全てが解決してやれやれと思いきや、どっかーんと驚くべき真実が!あらーーー(この中で種馬(笑)ハラルドソンがいい狂言回しになって彼が出てくるたびにくすりくすり!)
読了日:2月17日 著者:M・ヨート,H・ローセンフェルト
犯罪心理捜査官セバスチャン 上 (創元推理文庫)犯罪心理捜査官セバスチャン 上 (創元推理文庫)感想
楽しい!タイトルはセバスチャンだけれど、他の刑事さんも生き生きと描かれ、そしてまた小さな秘密大きな秘密を全員が持っていて、それがうまくかみ合っている小説だと思いました。協調性ゼロでセクハラ発言連発、セックス中毒のセバスチャンの変わり者っぷりもその心に受けたダメージがまだわからない段階ではなんだか・・・なのですが、あるところでわかった時に、ああ・・これなら・・・と非常に納得できるものでした。「あるよこしまな目的」のために復帰するセバスチャン。下巻に続く・・・
読了日:2月17日 著者:M・ヨート,H・ローセンフェルト
サンドリーヌ裁判 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)サンドリーヌ裁判 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
知的で美しく皆からも愛された妻を持った大学教授が、妻殺しで疑われた・・・大学教授の夫のいやーな感じが(常に見下しの目線)文章の端々からわかりました。そして過去の二人がいて、大学時代の二人の出会いから愛をはぐくむ様子、どうしてこの夫婦のうち夫がこういう風にねじくれてしまったのか、なぜ妻に小説を書いて欲しいと望むようになってしまったのか。殺したか殺さなかったかということよりも、人の心理状態の揺らぎのようなものを克明に描いている作品だと思いました。
読了日:2月17日 著者:トマス・H.クック
だから荒野だから荒野感想
最初の方の妻のむかつき(夫は勝手、息子達は輪をかけて勝手)が手に取るようにわかって大爆笑してました、お化粧を京劇とか言われた部分には特に!ぷいっと車で逃走していってしまってそのあとの夫からのメールにも(馬鹿だなあ~ここを言うか!)とゴルフクラブを取り戻すことしか考えていないところに大笑い。道中で起こる色々なことも面白かったんですが。次男がよくわからないのと、後半ちょっと違う感じになってきたのが残念無念です、後半こそが大切なところなのかもしれないんですが。
読了日:2月17日 著者:桐野夏生
復讐法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫)復讐法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
ドラマ化されたので再読。とても良かった。
読了日:2月17日 著者:ヘンリー・デンカー
禁忌禁忌感想
読みやすいけれど難解、というのが率直な感想です。文章は相変らず短いセンテンスで語られて、無駄な装飾の言葉は一切ありません。文字に色を感じる共感覚を持ったドイツ名家の御曹司ゼバスティアン・フォン・エッシュブルクの屈折した幼少時代、そして写真家としての大成のあと、若い女性の誘拐殺害で逮捕され法廷に立つことに・・・・。展覧会の後、彼があるものを持って狂気なのかと思わせる描写が卓越していました。そして意外な結末が。読者を翻弄させ混乱させる物語ですが、好き嫌いでいえば、好きな小説でした。
読了日:2月17日 著者:フェルディナント・フォン・シーラッハ
賢者の愛賢者の愛感想
ねじれきっている愛。相変らず巧くて読み終わりましたが・・・ただ・・・想像していたものとは大きく違ったかなあ。。タイトルから痴人の愛を当然思い浮かべるわけで、そして小説内でもこれに触れられ、「女性」が、「男性」の「直巳(ナオミ)」を小さい頃から色々な意味でこっそりと育てる、と言う話でした。こっそりは、友人の子供でかつ22歳年下であるから。なぜそれをしているのかというのがわかるところがスリリング。でも直巳(あと諒一も!)の心がよく見えなかったというのと、この文体が私は苦手かも。ごめんなさい。
読了日:2月17日 著者:山田詠美
予告殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)予告殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
ミス・マープル物の中でも大好きな一冊。新聞の記事で予告の殺人が告げられ、そしてその通りに殺人が起こる・・・この物語、ラストの二つの意外性がとてもよく出来ていると思いました。読み返してみると改めて会話、人の考えの一つ一つにいろいろなことが含まれています。あと確かに悪いんだけど、犯人。ちょっと泣けるところもあるんです、実は悪い人じゃないところも。そのあたりの描写も秀逸でした。
読了日:2月2日 著者:アガサ・クリスティー
プリムローズ・レーンの男 下 (ハヤカワ文庫NV)プリムローズ・レーンの男 下 (ハヤカワ文庫NV)感想
第三部からの大技があまりにあまりで唖然・・・。これって・・・。私はすごく面白く読みました。既存の作品をいくつか思い出すけれど(そして本文中で作家にも言及しているけれど)それはそれ、これはこれ。一切の情報なしで読むことをお勧めしますが、一切の情報なし、だと、好みか好みじゃないかわからないところが辛いところ。ちなみに帯にジョナサン・キャロルとチャールズ・ユウのお言葉があります!(帯つきを買ったほうがいいと思います~)
読了日:2月2日 著者:ジェイムズレナー
プリムローズ・レーンの男〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)プリムローズ・レーンの男〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)感想
好き好き!最初から、正体不明の隠遁の男が出てきて殺され、指はミキサーでぐちゃぐちゃ、しかも手袋がたくさんある・・・どういうことだろうどういうことだろう?サイコパス?当然読み手はある予想を立てるのですが、全く違った方向に話が進んで行って・・・・。愛妻の死後、ペンを持つことが出来なかったノンフィクションライターが事件解決のため立ち上がるけれど、出てくる人出てくる出来事の色々なところに不思議な一致が・・・・ええええ!そして下巻に続く。
読了日:2月2日 著者:ジェイムズレナー
花野に眠る (秋葉図書館の四季)花野に眠る (秋葉図書館の四季)感想
前作から何年・・・今回は長編小説。離婚した親がいる子供の話、記憶と違う本の話、と日常系のところはとても好感を持って読みました。探偵のようなプロの司書さんたちの話も素敵。でも図書館の隣りの敷地内から白骨死体が出てくるあたりから、なんだか違和感が。この話と日常系の話とが噛み合ってない感じがちょっとしました。
読了日:1月26日 著者:森谷明子
名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書)感想
面白かった!!二回読み返したけれど、絵も歴史も両方楽しめる一冊で、ブルボン王朝の歴史ももっともっと知りたくなったし、見ていて知っている絵であっても深く知らなかった絵が、こういう背景があったのか、と思うとまた見たくなりました。自分が知っていることでももう一度語られると、なるほどなあと思うところが多かったです。このシリーズ楽しそうです。
読了日:1月26日 著者:中野京子
家蝿とカナリア (創元推理文庫)家蝿とカナリア (創元推理文庫)感想
緻密な描写で眼前にこの時代のニューヨークが広がる、人の心理状態の裏の裏を覗き見るような視点、この部分はとても面白かったです。劇場での殺人と言うところにもぐっときました。が、ヘレン・マクロイの心理サスペンスではなく、本格ミステリということで、タイトルの部分は私には非常に非常に微妙でした。古き良き時代のミステリ、なのだなあと。ごめんなさい、傑作らしいので。
読了日:1月26日 著者:ヘレン・マクロイ
夜の木の下で夜の木の下で感想
地味だけどいい作品を読んだなあ・・・という思いでいっぱいです。フランスの小品を読んでいるような心持がしました。記憶の底を浚っていくともしかしたらあるかもしれない一つの情景、幼い日の思い、そういうものが繊細なタッチで描かれていました。焼却炉は少女達が燃やしているものが燃やしているものだけに、そこで語られる将来の夢、思い、などが後半大人になった時に巧く着地しています。表題作は姉弟の話ですがこれまた胸打たれました、幼い日々を行きぬいた二人の時間が息を潜めるようにこの二人の間に横たわっていました。
読了日:1月18日 著者:湯本香樹実
晴れた日に永遠が・・・晴れた日に永遠が・・・感想
これを読んで一年を終わる、という恒例行事が、ずるっと年始にもつれ込み・・・。しかしこうして時事ネタ、映画、本、芸能界の話題を全て含め読んでみると、ちょっと前の出来事なのに遥か昔のように感じてしまいます。共感しながら、時にプチ反発しながら読んでいくと、この本の滋味のようなものがじわじわ体に染み渡ります。アカデミー賞のゴールディ・ホーンは私も全く同じように思ったので、同感いたしました。あとへレン・ミレンがお好きなようだけど、わかります、だって雰囲気が似てるもの中野翠さんと。今年末も楽しみにしています!この本。
読了日:1月14日 著者:中野翠
家族シアター家族シアター感想
思ったよりずうっとずうっと良かったです。家族の色々な形、姉弟、姉妹、祖父と孫娘、出来の良い娘と母親、etc・・・を描いていますが、特に私の琴線に触れたのが、タイムカプセルの八年でした。わかりあえないと思っていた父親のしたこと、に泣きたくなりました。しかも息子も父親をきちんと見ていたなんて。全ての話を読んで、これと全く同じことが自分にあったわけではないのに、どこかに(これはあったかも!)と思わせる一つ一つの話の作り方が丁寧でこちらに届きました。
読了日:1月14日 著者:辻村深月
絶叫絶叫感想
この日本、一度落ちたら這い上がるのは至難の業と思いました。ラストで驚きました、二重の意味で、だからこういう風な書き方なのかと改めて。生活保護問題一つとってみても、根が深いということがとてもわかりました。コスモ君!途中で二回ほどコスモ君出てきていますが、彼女の末路はこうなったのかと。それより何より時系列が曲者(驚きが!)。ただ社会問題がこれでもかと詰め込まれていますが、ちょっとだけ盛り込みすぎのような気もしたのと、女性刑事さんの像があと一歩。
読了日:1月10日 著者:葉真中顕
ギリシャ棺の秘密 (角川文庫)ギリシャ棺の秘密 (角川文庫)感想
青くてまだまだ若いエラリーの推理が冴え渡る作品。
読了日:1月10日 著者:エラリー・クイーン
マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫)感想
今、日本は冬で簡単に寒いとか言っちゃいますが、この本を読むと言葉を失うくらいの寒さが感じられました。凍傷の手当て方法、どこかで役に立つかしら?役に立たないことを祈ります(凍傷ということが人生でないように・・・)。この中で、凍りきった道は、チェーンも何も要らない普通タイヤで走れるというのが実に驚きました。あとべろを鉄柵にくっつけちゃった男の子の話も、あいたたた・・・・。テレビ取材で行った話なので、写真の文章は椎名誠さんで得した気分でした。
読了日:1月10日 著者:米原万里
第三の男 (ハヤカワepi文庫)第三の男 (ハヤカワepi文庫)感想
映画館でこの映画の再映を見てそのあとで読みました。良かったです。当時のウィーンがこんな分割統治されているというのが映画でも勿論説明はありましたが、こうして活字になるといかに異常な状態だったのかがよくわかりました。全てその中で起こった出来事なのだと。映画を見越して書いた作品だと最初にあるし、また映画との違いというのも(名前とか人種とかラストシーンとか)も書いてあるのですが、私が一番思ったのは、語り手が警官だったことでした。映画を見る限りでは、警官が敵か見方かかなりの間わかりませんが、本だとすぐにわかります。
読了日:1月10日 著者:グレアムグリーン
ワタシは最高にツイているワタシは最高にツイている感想
三谷幸喜のエッセイは読んでいるので、その裏側バージョンを読んでいるような気がしました。惜しいと自分で思ったのはリアルタイムじゃないこと。ちょっと時間がたってしまっているので、ペットの(だからここは三谷幸喜エッセイの中でおなじみの)とびとかおとっつぁん、とかの話とかリアルだったら・・・とちょっと思いました。あとかもめ食堂の時のロケの話とかもリアルタイムだったらもっともっと・・・。全体には楽しみました。しかしまさかこのあと別れるとはなあ・・・しみじみ。
読了日:1月10日 著者:小林聡美
ラビット病 (集英社文庫)ラビット病 (集英社文庫)感想
可愛い!ロバートをロバちゃんという時点で萌えるし、自由奔放に見えて意外に繊細なゆりちゃんもまたいとおしかったです。自己本位でわが道を行くゆりちゃん、それに翻弄されまくるロバちゃん、二人の間の関係性がハグしたいくらいにぎゅぎゅっと濃縮されて描かれていました。恋ってこうなんだなあ。
読了日:1月10日 著者:山田詠美
女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)女には向かない職業 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
何度も挫折したミステリ本。今回読み終わって、(これってミステリとして読むと辛いところもあるけれど、普通小説の中に入ったミステリとして読むと大好きだ!)ということに気がつきました。なんせ描写が綿密でしかも精緻であるし(だから読み易いとはいえない)、冒頭からうおーーっと惹き付けられるわけでもないし。でもでもじっくり途切れることなく読んでいると、全ての場面の情景が浮かぶのです(川下り場面とか最高に美しい)。そしてコーデリアの可憐でけなげなこと!最後の感情爆発場面も読ませるし、既にいないバーニィの存在も圧倒的。
読了日:1月10日 著者:P.D.ジェイムズ

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