2017.05.13 最愛の子ども



評価 5

最初から最後まで懐かしさに胸をキュッとさせられるような小説だった。
ある意味、百合要素もある小説だ。でもそれのみで語るのにはあまりに勿体ない。
セクシュアルな部分も入っているし、女子高生同士の疑似家族のありようもあるし、少女同士の軋轢も、親との葛藤もある、小さな男子との関りもまた。
この懐かしさは、じゃあどこから来るのか、と思った時に『「まだ何も将来の異性も自分の在り方も何も見えていない女子高生の心の流れ』というのが描かれていて、そのあたりが琴線をつかんだことから来ているのだと思った。
また、遠くの未来も何度も想像されている、それは遠くであるとともに喫緊の大学生の自分を想像するところから始まり、自分が大学生活を送ったらとか、自分と男性が付き合ったら、とか、自分が働いたらとか、の想像だ。
いまある自分の女子高生の時代を『遠くの目』でいったん眺めおろしている。
このあたりも書き方が巧いなあと思った。

このところ、学校物小説というと、まずいじめとかはぶかれるとか突出していて違和感を感じるとか、果ては女子同士のグループのぶつかり合いとか、その方向性のものが多いような気がしていた。
それはそれで読めるのだが、普通の女子高生、普通に過ごしている女子高生でちょっとだけ周囲から浮き上がっている子、がなんとなくクラスにいて、なんとなく皆がそれを受け入れていて、なんとなくのグループがあって、なんとなくのリーダーがいて(これまたボスではない)、という等身大の姿が鮮やかに切り取られている、周囲の『わたしたち』とともに。
そう、この物語、人称が非常に特異なのだ。
『わたしたち』視点があちこちに散逸されていて、文章全体が揺らいでいて(そこも非常に面白い)、パパ役の日夏、ママ役の真汐、王子役の空穂を見ている。
そしてそれは、実際にあったことかどうかは別にして、『わたしたち』の想像、妄想でもあるのだ(と何度も書かれている)。
途中、何度か、このわたしたちの主語のわたし、は誰なのか?と思ったことがあって読んでいったのっだが、周囲の誰かではあるけれど、『わたしたち』であることだけしかわからなかった。
そしてこのクラス、仲が良いので有名なクラスでもある。だからグループはおそらく日夏グループのほかにもあるのだろうが、そこもゆるく全部が繋がっていている感じが漂っている。
体育の走り高跳びの部分とかも本当に見事だと思った。
こういう出来事って忘れているけれど掘り起こしてもらった気がした、全く同じことではなくても、運動神経の鈍い子の感じとか、最終場面まで進める子の感じとか、とてもリアリティーがあった。


冒頭から、私立の女子教室(一応男女共学だが、男女別クラスになっているのでクラスは女子ばかり)での女生徒同士の会話が始まる。
この会話が秀逸で一気に物語に吸い込まれていく。
なんて瑞々しい感情が流れている会話なのだろう。
なんて何かを予感させる会話なのだろう。

冒頭、真汐というちょっと尖がった少女が反抗的な作文を書き、先生に呼び出されるのをその周りの子たちがわいわい話して待っている。
ここに一人かつてやはり教師に反抗的だった真汐を全員の前で素手でぶって逆に立場を取り戻させ、そのあと親友になった日夏がいる。
またこの二人にいつもいつも可愛がられている空穂がいる。
空穂は忙しい看護師の母と二人暮らしなのだが幼い頃から彼女に軽い虐待を受けている。
日夏がパパ、真汐がママ、そして男の子という設定で王子が空穂という疑似家族が出来上がっている。
日夏も真汐も看護師の母がいない時には空穂の家に泊まり込みに行くほど空穂を「可愛がっている」・・・
空穂はグループの皆にも可愛がられていて、いつも誰かしらにちょっかいを出されている・・・


この小説の中で、美少女の苑子が意外に侮れないなあと思っていた。
中身がないと思われている苑子。
話しても全く面白くないと思われている苑子。
でも女子のグループの中に彼女の美少女ぶりにひたすらあこがれている女子生徒もまたいる。
気持ちを推し量ることのできない苑子、それでもあまりの美しさで周りは目がくらんでいく。
こういう少女、高校生の時に確かにいるなあ、クラスに一人はと感慨深かった。
そして、彼女は当然のように男子クラスの男子から告白を受け付き合い始めるのだが、あっさりと別のリーダー格の男子生徒と付き合い始める・・・
気持ちの裏とかを考えない美少女の残酷な傍若無人ぶりは最強だ、そして後半のそのリーダー格の男子生徒の行く末にちょっと残酷な笑いが漏れたのだ。

中心人物の日夏。彼女自身はどちらかというと常識人であり、この中で大人であり(パパだし)、なんでもこなす女子高生である。
彼女は真汐を気にして意識している、常に。
それは彼女のことを心配して皆の前でぶった日から、ずうっとずうっと気にし続けている。
ママ役の真汐は、不器用に生きていくのが途中でわかっていく。
そしてその実際の家庭での窮屈さも徐々にわかってくる。
空穂の家は、虐待と放置があるのに、空穂がある意味したたかに生きているのがすごいことだ。
彼女もまたぼうっとしているようで大人にならざるを得なかった女子高生だった。
この三人が、修学旅行でお尻をぶつことを始めたり、三人で空穂の家に泊まって寝たり、空穂の顔を撫でまわしたり(これはでもグループの多くの子もやっている)、とセクシュアルなことの萌芽、のようなことが次々に行われていく。
ところが途中で、真汐がここから抜けていってしまうのだ・・・
そこで家族の均衡が崩れていっている、というように読めた。

・・・・・・・・・・・・・・・

面白いと思ったのは、学校だけの世界ではなく、彼女たちの家庭環境もきちんと書かれていたことだ。
女子高生なのだから家庭があってそこは学校とともに重要な場だ。
だからそこを描かれていることによって、(ああ・・だから真汐は・・・)とか(ああ・・日夏の家は・・・)とか、(ああ・・だから空穂は・・・)とか(あああ・・・だから美織は・・)とか心の中に落ちていく部分が多いのだ。
美織の家庭で、彼女の家に集まって美織の(歌の好きな夫婦仲が良い)父のコレクションしたポルノを見るという集まりの楽しいエピソードも、特殊ではあるけれど、一つの家の形として心に刻まれる、そこにいる女子高生のヴィヴィッドな会話とともに。

途中である現実的な出来事で、疑似家族は崩壊する。
そしてそれは現実的な対処法を一家族の両親が提案してくれて、一人の女子高生が救われていく。
彼女が救われることで他の『わたしたち』の女子高生も救われるし、家族の残りの二人もまた救われる。
読んでいて(この世界、ずうっと続け・・・)とひそかに思ってしまった。
でも女子高生の時代は永遠には続かない、虚構でも現実でも。

そしてラスト1行で私はぐっときたのだった。
2017.05.08 象と耳鳴り


評価 5

再読。
いい意味の初期の恩田陸らしさが、ぎゅっと濃色されて入っている短編集だ。
こういう話、好きだなあ・・・と思った。
途中途中出てくる、いつものような薀蓄話ですら光を放っている。
この話、関根多佳雄という元判事が色々な年代でどの話にも登場してくる。
また息子の春(しゅん)も出てくるし、娘の夏も出てくる(二人の子供も法曹界に属している)
恩田陸作品を読んでいくと、この人たち関根一族が色々なところに顔を出している。
たとえば、デビュー作の六番目の小夜子には高校生の関根秋が出てくる。
つまり関根家は、春、夏、秋の三人兄妹であり、父が多佳雄で母が桃代という設定になっている。
多佳雄は、元判事でありながら、ミステリマニアであるので、この話がとても面白いのも魅力の一つになっていると思う。

何かのミステリをある事件で思い出す・・・ハリー・ケメルマンの9マイルでは遠すぎるを非常に巧みに背景に使った、待合室の光景、など、一つの会話の違和感から行われようとしている犯罪を見破る、というのが優れている。
新・D坂の殺人事件は、タイトルからすぐにわかるように乱歩小説からなのだが、新たな時代のD坂が道玄坂であり、そこでの落下事件が何が引き金になったのかというのがきちんと伏線で描かれている→キャンペーンガールでとても騒がしい状況であったというのが描かれていて、だからこそ、携帯を持っている人が一斉に移動して、一斉に移動したからこそ一斉に大量の電波が流れ、心臓に負担のある人に負荷がかかったという因果関係。

給水塔は、不気味な終わり方で締めくくられている、さて真相とは?と思わせられる。
これもまた乱歩のパノラマ島奇談をモチーフにして東京の不思議が語られているのだ。

そして、タイトルの象と耳鳴り。
なんて魅力的なタイトルなんだろう。
このタイトル、を思いついたところでもう価値があり、また老婦人の独り言に近い語り口の怖い話が前半を盛り上げ、後半でコーヒー店店主が真相を明かす。
しかし、ここに一つの疑問が読者にも主人公にも投げかけられるのだ、ではなぜ?なぜここにあれがある→なぜ象に恐怖を持つ夫人が来ることがわかっていながら象の置物が置いてあるのだろうか。
一つの話の裏側というのを考えされる一編だ。

往復書簡も面白く読んだ。
関根多佳雄と新聞社に入った姪との手紙のやり取りだけで、多佳雄が姪の危険を察知する。
文章の端々を読み込んでいくのが魅力的だ。


評価 5

読む手が止まらなかった。
口の悪い(と思われる)幻想小説で有名なクリストファー・プリーストが絶賛していた、というのが解説で書いてあるけれど、私もこれで興味を持ったのだ、この小説に。
あのプリーストが!というところに。
そしてその期待は裏切られなかった。

ホテル、普段何気なく泊まっているホテル。
これは完璧なホテルの物語なのだが、ホテルの特質をよく衝いていると思う。
・ホテルの部屋というのは独立していて、扉の向こうでは各々がおのおのの生活をしている。
・扉一つだけで隔てられている空間が広がっている
・普通、自分の指定されたホテルの部屋と必要のある場所(ほぼレストランとロビーと日本だったら温泉場とか)の同じ場所への行き来しかない。
(自分の部屋と逆方向には行かない、そちらに知り合いの部屋などがない限りは)
・壁には装飾の絵が飾ってあることが多い(特に海外)。
・ロビーの無機質な感じがある
・ロビーのところにフロントがあるが、フロントの人もマニュアルがある。
・多くのホテルで、カードキーになっていてそのカードキーはたまに不良になる。
などなど・・・

カードキーの不良とかは、何度かホテルに泊まったことのある人だったら必ずや開かなくなる時があり、それをフロントに持って行って調整してもらうということを経験しているだろう。
これがこの物語の主人公、「ぼく」のあれ?と思うホテルウエイ・インホテルの体験の始まりなのだ。
なんせ、何度も不良になり、しかも歩いているうちにどうも自分が歩いているホテルの道が覚えがない場所というのに気づいていく。
防火扉は何だ?
この219号室(本人が泊まっていた部屋)はもう一つあるのか?
見覚えのない部屋の扉は何だ?
赤毛の女性が言った飾られている絵は特殊な絵なのだろうか。

ホテルウエイ・インはとても現代的でチェーンホテルであり、高級感を漂わせている。
そこに、ある仕事をしに何度も色々なウエイ・インに泊まっている「ぼく」ニールは、大規模見本市とホテルとの往復で3日間を過ごすことが多い。
それは自分がとても好きな仕事であり、向いている仕事と自負している。
時には決まっていない女性との情事を含みながら楽しく仕事は進んでいく・・・はずが・・・


赤毛の女性との出会いが、「ぼく」に不思議な体験を開かせてくれる。
と同時に、彼の仕事自体が危なっかしいものであり、フェイクの人間と出会って騙されれる失態など、が怖かったし、このあとどうしても会場につきたいのにいけない状況、というのはカフカの不条理小説を読んでいるようだった。
時折彼の過去の回想が入っていく、大好きだった父がセールスマンでありある種似た仕事をしていて、幼いころからホテルになじんていた話や、両親の不和に心傷めている少年の様子も如実に描写されている。
また、女性問題で、情事の相手が常に変わっていくので、名前を間違えて飲み物を頭から浴びせられるという失態もある。
ここのあたりは失態の連続だ。

が、この物語の真の面白さは、後半、ホテルの秘密が明らかになっていく場面だった。
そしてここは同時にとても怖い。
シャイニングが解説で挙げられていて、確かにそこも思うのだが、あの怖さとはまた違った怖さがあった。
後半のヒルバートとの対決が凄まじかった・・・・
階段、ロビーへの廊下、部屋番号の上下、エレベーター、特別な人しか行けないビジネスセンター、語り始め点滅するネオン、錯綜する情報・・・・眩暈がするような感覚だった。
ここで走り回って歩き回っている彼の姿は、コニー・ウィリスの航路の中の右往左往を彷彿とさせた。
また、コンベンションセンターになんとか行こうとしているのに行けない悪夢のような不条理は、読んでいてここまたはらはらしたのだが、カフカの迷宮世界に入り込んだようだった。

赤毛の女性ディーの不思議な感じも楽しめたのだった。
彼女が中庭で光を浴びながらいる姿は忘れ難い。
この作品、映像にしても面白い作品だろうなあと思った、巨大なホテルをCGとかで作ってそこで迷走する姿は見てみたいものだ。

(でも何より私が怖かったのは。
これを読んでいた時に、旅先のホテルであって、私の泊まっていた部屋の番号が219号室だったという事実だ。
カードキーは滞在中アウトにならなかったけれど!)

以下ネタバレ
・見本市に行ってたいした情報もないのに3日間を過ごすのは無駄。
なので、そこに代わりの人を派遣して、必要な情報を取ってくる仕事、それが「ぼく」の仕事だった。
それを主催者が見抜き、彼を排除しようとして通行証を停止する、このことによって、バスに乗れなくなり会場に行けなくなる主人公が、あらゆる手を使ってそこに行こうとする姿が情けなくも面白く読んだ箇所だった。


・ホテル自体が生きていて、全てのホテルが空間で繋がっていて、空間を自由にしている。
つまりあらゆるところに歩いて行ける、ウエイインホテルがある場所だったら、というところがとても面白かった。
歩いて歩いて走って走ってホテルを駆け抜けていく・・・
2017.04.27 双蛇密室



評価 4.8

いやはやいやはや・・・
エロ炸裂、どう考えたって男性向け(男子向け?)だ。
もう最初の方からずうっとそれが出てきて、何しろ探偵さんその人が援助交際している女子高生『らいち』であり(この設定、シリーズ最初の方で読んだ時に、(もしや何かのフェイク?)と思ったがそれはないみたいで本当にこの商売をしているようだ)、この女子高生の元に通ってきちゃってるのが、警視庁捜査一課の現役の警部補の藍川という、もうどこから見ても違反中の違反だろう!と突っ込みたくなる設定だ。

なのだが・・・
このシリーズも含めて、早坂吝、読ませる。
何しろ強烈なエロもあるのだが、ちゃんと伏線が生きているしそれが落ちている。
途中途中の小さなことへの言及もちゃんとしているし、ミステリとしても面白い。
この本で蛇の生態の色々を知ったが・・・
そういうことではなく!

警部補、藍川の幼少時のトラウマで蛇が超苦手になった。
このトラウマになった過去の家の記憶の矛盾を、まず、らいちが変だと指摘する。
これによって藍川は実家に行くのだが・・・
というのを解き明かす過程で、二つの密室事件があったということを知る。
そこで思わぬ真相にぶち当たり・・・・


アナコンダが出てきたときには驚いたし、また、らいちが体を張って(文字通りに)情報を引き出そうとするその姿にただただ感服した。
また、藍川の夢の開き方・・・誰も考えつかないだろう、これって。
ここを笑えるかどうかで、こういう話、好きか嫌いかが分かれると思う。

・・・・・・・・・・・・・・
エロというかもうぎりぎりラインの作風が続くけれど。
これで名を成した(というのも変だけど)ので、作者に一度でいいから普通の本格物を書いてほしい。
エロなしで。
十分十分それでも面白いと思うのだけれど。
そしてそうしたら人に気軽に勧められるのだけれど。



評価 5

じわじわと両方の側から迫ってくるような美しく忘れ難い物語だった。
ミステリの趣もあり、前半で語られている、孤児院で兄妹が偶然聞いているラジオの場面がとても印象深いのだが、この謎が後半するっと解けていく。
盲目の少女と一人の孤児の男の子の話ではあるものの、この二人は一瞬しか邂逅しない。
その一瞬の邂逅で、二人は何かを分かち合うのだった。

物と人の出る場面との調和もバランスが良く取れている作品だ。
物は、炎の海と呼ばれるダイヤモンド、重要なことを知らせてくれるラジオ、家のミニチュアセット、そして忘れてはならないのがジュール・ヴェルヌの『海底二万里』の本だ。この本が何度も登場してこの物語の根底を支えている。
触るダイヤモンド、触るミニチュアセット、音で聞くラジオと本、と五感があらゆるところに感じられる。

章の冒頭ごとについている1934年から1944年の間の年号と日付を丹念に見ていると、今がどういう時期なのかということがわかってくる。
最初は、盲目の少女がなぜか一人で家に残されているという状況(おじさんはどこに行ったんだ!と思った。お父さんはどこに行ったんだ!と思った。盲目の少女を一人置いて)が語られて、避難しろというビラがまかれていて手には取るのだが盲目なのでそれを読むことができない状況というのが淡々と語られている。

パリの戦時下で育った盲目の少女マリー=ロールは、パリの博物館に勤める父に愛されて育っている。
父は彼女のために近所の道路と家の街のミニチュア模型を作り(これがあとになって仇となる)それを触らせて近所を教え込み、外に実際に連れ出すということをしている。
また博物館には伝説のダイヤモンドがある。
みるみる戦火は激しくなり、二人はサンマロにいる大叔父の元に身を寄せる。
一方で、孤児院で妹とともに育ったドイツに住むヴェルナーは手先が器用でラジオを組み立てることから始まり数学も独学して才能を秘めている。
彼が作ったラジオで、不思議な無線通信を聞く兄と妹・・・
彼はナチスドイツの技術兵に抜擢されてそこで過ごす日々になるのだった、妹とは離れた場所で。
そこで出会った親友が鳥の大好きなフレデリックだった・・・


ほぼ交互に二人の様子が語られている。
断片のような言葉の羅列もあって、一つ一つがとても短い。
だからそれに従ってどんどんどんどん読んでいける。
長い物語だが、読み始めたら意外にすぐに読み終えるのだった、深い感動とともに。

マリー=ロールが大叔父の家にいる様子は最初の方ではとても美しく気高く微笑ましい。
前の戦争がもとで外に出られなくなった大叔父と、家政を切り盛りしているマネック夫人の様子も手に取るようにわかり、ここには戦時下と言えども愛があり、本があり、その本で繋がっていって、読み聞かせがあり、本の世界がこの悲惨な状況をある意味救ってくれている。
それぞれの人間のマリーへの心遣い、それに対してしっかり答えていくマリーの幼いながらも人間的に成長していく様子などが如実に語られている。
しかし一転、マリーのために模型を作ろうと近所を測量していた父が捕まってから暗転していく。
必要ない電波を遮断するためにラジオの撤去が始まるが大叔父の秘密のラジオは渡さないのだ。

一方で孤児のヴェルナーはよくわからないまま、それが栄光への道と信じてナチスドイツの技術兵となっていく。
兵隊なので、そこは肉体的にも訓練されていくのだが、落ちていく生徒というのがいて、それを兎を追いかける狐のように集団で追いかける種目(ゲーム?のようになっているが)が怖い。
捕まらないで逃げおおせようとする兎役。
誰が一番弱いと思うかという上官の問いに対する答え。
ヴェルナーはある時期までは信頼しきっていた組織だが、親友のフレデリックが標的になり始める少し前から、おかしいのではないか、とやや思い始める。
が、彼はいかんせん子供なのでこのすべてを止めることができない。
このあたりのジレンマがこちらに伝わってきて、ヴェルナーの妹への手紙で、検閲で黒い部分がありすぎ本当のところは何と書いてあったのか、とそこにもぐっときた。
ヴェルナーが自分が来てしまった場所がもしかしたら違うのではないか、という逡巡が芽生えてきてしかしそれに対して何もできないという場面が大変読ませる。
フレデリックの実家に行って、母親が当時のナチスドイツ熱烈支持者で裕福な暮らしをしていてパーティーに明け暮れ、おとなしくそもそも兵士に向いていない息子の様子を全く見てあげない場面も印象に残り、これがあるからこそこの後の悲劇もまた際立っていた。

マリーとヴェルナーという二人の子供がどのように心が動いていくか。
いつもいつもある種の取捨選択がありそれをどのように決断していくのか(子供なのに。しかも少女は盲目なのに)
どのように自分の心の中で全てをこなしていくのか。
その結果、二人とも年齢より大人になっていく成長具合をこの小説で読み取ることができた。

後半、マリーの父に預けられた炎の海と呼ばれる伝説のダイヤモンドを求めて、ドイツの下士官がやってくる。
彼の名前はフォン・ルンペルで、彼がとうとうマリーのいる家にまでやってくるところは息をもつかせぬ緊迫感に満ちていた。
そしてここでも大叔父の隠されていたラジオが役に立つ。

最後、登場人物の中で生き残った人たちのその後、が描かれている。
この部分も非常に思いのこもったその後、であった。
あれだけヴェルナーが心を砕いていた妹ユッタの戦時中のその後、もまた悲しみに満ちたものだったが、最後に光を見出してくれたような気がしたのだった。

(表紙はロバート・キャパ)
2017.04.14 処刑の丘


評価 4.4

このミステリ、時代背景というか、フィンランドの内戦というか、そこがとても重要なのにそこが全く知識がなかったので、何度も最初の方を確認しながら読み進めた。
最初の方に、日本人のための註として、こういう内戦があってロシアとドイツがこういう乗り込み方をしてきて、赤と白に分かれていて、この村はどちらになっていて、というような簡単な背景を書いてくれないものだろうか。
いきなりロシアボリシェビキの支援を受けた赤衛隊・ブルジョワジー中心のドイツの後ろ盾の白衛隊と言われて、わかる日本人ってどのくらいいるのだろう。

1920年代初めの内戦がまだ終わったばかりの南部の都市ラハティ。
このサウナにマッサージ係として勤めているヒルダという女性には娘をかつて白衛隊に殺されたという悲惨な過去があった。
サウナでは分け隔てなく疲れた体でやってくる人たちを慰撫するのだった。
ヒルダにはまた、内戦で心に傷を負いかつてしていた靴づくりの職ができないまでになって酒浸りになっている夫がまたいた。
そして、仲間の思想に染まっていく息子もまた・・・・


処刑の丘とは黒い岩に覆われた丘で、死体が次々に見つかるという状況が出てくるのだが、なんせ警察はほぼ機能していない。
どれも密輸業者とか酔っぱらいの単純な死として扱おうとしているのだ。
上司に阻まれながらも巡査のケッキがこの死の真相に近づこうとする。
その捜査の中で、娼婦のロシアから流れてきたヴェーラと知り合い彼女を愛するようになっていくのだ(なのでここもまた上司に目を付けられる原因ともなる)

この状況下で、虐げられながらも、ケッキの公正であろうとする姿は読みべきところがあった、女には弱いけれども。
また解説にもあるけれど、サウナが一つの『場』になっていて、そこで皆が本音を語ったりくつろいだりしている様子も非常によくわかったのだった。



評価 4.8

SFでもライトSF寄りの物語だ。
とても面白く読んだ、この作者初めてだけれど、このシリーズだったらもっと読みたい。
続くらしいのでこの次も絶対に読みたい。

ちょっと、楳図かずおの漂流教室を思い出した。
ばっと教室ごと子供たちが異世界に飛ばされてしまう漫画だ。
でもこの小説は、ばっと異世界に飛ばされてしまうのだが、
それが複数の小学生で飛ばされたのはある一組を除いてそれぞれが一人であるらしい(まだ全員出てきていないのでわからないのだが多分そう)。
しかもこの飛ばされた世界が、
『地球ではないどこか別の星らしく、それぞれが別の星に飛ばされていて、しかもその星と星は近くにあるらしい』
という状況なのだ。
更には、飛ばされた時には小学生なのに、もう5年たっているので、少年少女になっている。
このあたりもとてもうまい設定だと思う。


あるものは記憶をわざと失ってボーダーになって
あるものはなんとか生き延びようと有名なダンスを踊る人間になって
あるものは過酷な労働環境の星でなんとかお金を貯めてどこかに行って(これも次巻・・・続くのだろう)
そして皆のところを訪ねて回る一人の飛ばされた少女・・・・魚住二葉(彼女が一番謎がある)

必死に生きていこうとする彼女たちの姿が心に響く。
太陽が二つだか三つだか見える世界にいるってどういう気持ちだろう。
誰も知らない人ばかりの世界、言葉さえ通じない世界(これは意外に簡単な通じ方があった)。

最初のきっかけが、どうやら同級生が始めてしまった
「13匹の猫の首をビルの屋上から投げ落とし、自分も身を投げると異世界に行くことができる」
という都市伝説からだった。
この都市伝説からの設定もとても面白い。
元々のこの同級生はどこに?
過酷な工場を脱出したあの少女はどこに?
一時期二人でいたうちの片割れの少年はどこに?
知りたくて知りたくてたまらない。

次巻、5月が待ち遠しい。
またこれと同時に出ている少年Nの長い長い旅も読んでみたい。


評価 4.7

面白く読んだ。
東京藝大の特殊性、そこで暮らす(勉強する)彼らの生態、などが本人たちの声で語られていく。
そもそも、この作者の奥さんが実際の東京藝大の学生さんなんだ、ということを最初に知り、そこからのスタートなんだ!ということに驚いたのだった。
身内のそこから入っていくという驚きがあったのだ。
副題が、天才たちのカオスな日常、というのでとても巧い副題だと思った。

・・・・
藝大といっても、音楽分野と美術分野で大きく違っているというのがよくわかった。
少し前に恩田陸の小説、蜜蜂と遠雷を読んだが、音楽分野の話ではこの小説を何度か思い出した。
やはり常にコンテストなどとの戦いであり、自分が見られる立場であり(美術はそれがないに等しい)、師匠と弟子の関係であり(美術はそれがあってなきがごとし)、同級生と言えどもライバルである(美術では分野によるのだが共同作業というのも確実にあるので総じて仲が良い)

藝術、という一つの物差しでは測れない世界。
その最高峰というべき藝大にどういう人たちがいるのか?
音楽分野では、邦楽や(これなどまだわかるほうである)、ファゴットや打楽器やマイナー楽器に行く人たち、口笛(!)の人、はどういう気持ちでそれをチョイスしたのか。またその後はどうなっていくのか。
そういうところも読んでいて面白かった。
美術系になると更に混沌としていて、私がまったく知らに世界が広がっている・・・・彫金はまだなんとなくわかっていたつもりになっていたが、鋳金っていったい何だろう?と思って読んでいくと・・・・ああ・・果てしない作業・・・・

・・・・
将来ということを考えると、それはそれは厳しい世界だろう。
けれどこの中にいる限りとてつもなく楽しい世界だというのもわかるのだ、また自分の才能を突き付けられる場所、でもあると思ったのだ。
生きていくということ、稼ぐということ、と、芸術性を高めていくということの矛盾を抱えながら彼らは生きていく。

・・・
これ、第二弾を出してほしい。
とても面白かったのだが、やや、突っ込みが足りないような気がしたのだ。
周辺の人たち、親(出てくるのだが、間接的にしか出てこない)、学内の先生(出てくるがもっと出してほしい)、への聞き取りなどがほしい。あともっともっと多くの藝大生にあたってほしい、願わくば、ドロップアウトした人にもインタビューしてほしかった。
藝大生の話だけでもおなかいっぱいになるのだが(満足した)、彼らへのレポのみではなくその先、を語ってほしかった。
2017.02.22 失踪者




評価 5

ああ・・とても面白かったし、考えさせられた。
巧い!
ミステリではあるものの、一人一人の心理描写が細かく描かれているので、それぞれの人物像がくっきりこちらに伝わってくる。
一方で、
「ある結婚式に出るために飛行場に向かった女性が失踪する。
どこに行ったのだろうか。」
という元々の謎は最後までこちらを引っ張っていく力がある。

またイギリスの田舎の美しさの描写にも目を引かれた。
ひっそりとそこで生きていくということ。
そこから離れるということ。
何度もロンドンとの往復があるけれど、彼我の場所の違いが際立ちそれが作品全体に陰影を与えている。

・・・・
5年前にイングランドの田舎町で、兄の介護をしているエレインが幼馴染のロザンナの結婚式に招待される。
飛行機に乗っていかなければならないジブラルタルへの旅だ。
しかし運悪く霧で欠航になってしまう、呆然としているエレインに一つの救いの手が・・・・
ところがそのあとエレインは失踪してしまうのだ・・・



まず、エレインがどのような状況下にあるかというのがわかってくる。
両親のない中介護を必要とする兄に縛り付けられているエレインがいて、彼女は地味でありいわゆる冴えない容貌であり、冴えない人生を送っている。
そんな彼女が初めて外に出るチャンスと思ったロザンナの結婚式・・・
ところがここでも運悪く霧が発生して飛行機は飛ばない。
運の悪い、間が悪い、というのがエレインにぴったりなのだ、可哀想だけれど。
そして飛行場で思わず泣いている子供のようなエレインに声をかけた風采の良い弁護士がマーク・リーヴだだった。
彼は女性に関してはよりどりみどりなので、ここは好意で声をかけ、好意で家に泊めたのに、そのあとエレインが失踪するに至って殺人、強姦などのあらぬ嫌疑をかけられ、全てを失う。いわばマスコミの被害者になるのだ。

この地味などこにでもいる人間のエレインの造型が素晴らしく、彼女がいなくなってからも、彼女の心情を思ったり、本当の彼女はどういう人間だったのかと憶測を皆がするところが読ませるのだ、特にロザンナの推測が読ませる。
エレインが陰の存在とすれば、日の当たる方にいるのが、美人のロザンナだ。
彼女は再婚とはいえ、容姿にも恵まれ、義理の息子には慕われ、夫には愛され、金銭的に何も不自由がない。
しかし何かが足りないと思っている、ジブラルタルに来てからずうっと。
それは、彼女がかつてジャーナリストの仕事をしていた、というところに起因する。
イギリスロンドンから遠く離れたジブラルタルで暮らす(ジブラルタルはイギリスの飛び地でスペインとの国境沿いのイベリア半島にある)ということの淋しさ、愛する兄や父と離れて暮らすということの辛さ、イギリスの自然を見ることができない苦しさ。
そういうものを背負いながら生きているのだ、ロザンナは。
だからこそ、かつての編集長に、失踪した人たちの特集をしないかと声をかけられた時に飛びついたのだった。
調べていくうちに、冤罪ですべてを失ったかに見える一晩だけ宿を貸したマーク・リーヴに惹かれていくロザンナの姿も鮮やかだ。

一方で、隠れて隠れて暮らしていく女性の姿も描きこまれている。
読んでいるときに、これは誰なのか?もしかしてエレインなのか?と疑問が渦巻く(このあたりの描き方もまことに巧い)
更には娼婦が殺されただの、貧困の家庭の中で家出したと思った少女が殺されただの、の事件が入り込んでいく。
これはいったいどうつながるのだろうか・・・・と興味をかきたてられる・・・

・・・・・
この中で、最後の真相にも驚いたには違いないのだが、文章の端々に色々なことを思ったのだった。
思わせてくれる何物かがあった、人間の心理ということにおいて。
そこが非常に面白かった。
たとえば、その中の一つ、
当初から思っていたのだが
『なぜ、さして親しくもないエレインをそもそもジブラルタルにロザンナは呼んだのだろうか』
という疑問がある。
これはエレイン自身も最初の方で自分で自問自答しているくらいなのだ。
幼馴染で、エレインの兄とロザンナの兄が苦しい縁で結ばれている、ということを考慮に入れたとしても。
これに対する回答は、ロザンナ自身がマークに告白している、ここもとても読ませる箇所だ。
人間の心の醜さ、人間の心の動きの不可思議さを如実に表している。


自分の幸せを確認して見せびらかしたいという気持ちもあったのだった、ロザンナには。
これをリーヴに告白するのだ、なぜ呼んだかということを自分で考えていって、たどり着いた結論であった。


また、誰が誰を信じるかという人間の根本的な問いかけには、複数の人が絡まっている。
信頼していたある人間の本性がわかった時にどう思うか、ということも考えさせられる。
その人を信頼していたのに、ある一点で根本的な嘘をつかれた時には、皆、どういう反応が出るのだろう・・・


・隠れていた女性は、本当のことを警察に初期の段階で話していたのか
・ロザンナが編集者に呼ばれてイギリスに戻ったのは、本当にジャーナリストの仕事をしたいだけだったのか
・リーヴが冤罪をかけられたというが彼の言っていることは全て本当なのか
これらの問いかけが後々まで続いていく。

また、エレインの兄が四肢麻痺になった経緯というのはあとになって説明されるのだが、そこまでどういう経緯があったかわからない。
ただただ兄の怒りと屈辱に耐える姿に胸ふさがれる思いに浸らされるのだ。
最後の最後までエレインがもしかしたら自発的に失踪したのではないかという疑念は付きまとっている。
もし自発的失踪だったら、四肢麻痺の兄は捨てられたことになるのだ。
その感情の行ったり来たりも読ませた。


以下ネタバレ
マーク・リーヴがエレインを故意ではなく事故で死んだと最後に告白する。
そして隠ぺい工作をしたと告白するのだった。


信頼していたロザンナの信頼が一気に崩れる。
それに気づいたのかリーヴは自殺。
極度の鬱状態のリーヴであったのだ。
しかも、連れて帰ったエレインが、不用意に一番触れてほしくないリーヴの別れた子供について触れたのだ。
そこに激怒したリーヴ。


・にしても。
リーヴは本当に故意ではなく事故でエレインを失ったのだろうか?
リーヴの元妻の言うことは本当なのだろうか?それともリーヴの言うことが本当なのだろうか?病的な女好きは単に元妻の妄想だったんだろうか?
全てはマーク・リーヴが自らの命を絶ってしまったのでわからない。
が。

エレインの行方を知らない振りをしていた、という事実はあまりに重い。
なので、リーヴがたとえどこかで本当のことを言っていても、嘘だと思わざるを得ない。
きっとロザンナもそういう気持ちだっただろう。

・皮肉にも当初からマーク・リーヴを殺人犯だといっていたエレインの兄の言うとおりになった(殺人はしていないとリーヴは言ったものの、死体を湖に沈める隠ぺいをした時点で殺人犯と一緒の気がするが・・・)




評価 4.5

エミリーという女性が全てを捨てて家を出る、というところから始まる。
なぜ家を彼女は出たのだろう?
そして彼女の生きてきたこれまでの人生は何だったのだろう?
読んでいくとエミリーには愛する理想的な夫とまだ幼い息子がいたということがわかってくる。
自責の念に駆られているエミリーがいる。
ますますなぜ?何に対して?

どんでんかえし、の部分は確かに驚いたのだがそこよりも、私はエミリーの育ってきた環境、のところの方がずうっと面白かったのも事実だ。
視点も変わるし、心理描写も冴えている。

・・・
この物語の中でエミリーの双子の片割れである妹キャロラインが異彩を放っている。
いわゆる優等生で誰からも愛されているエミリーとは違って、いわゆる問題児のキャロラインだ。
生まれた時の状況から詳しく語られていて、どんなに母親が彼女を疎ましく思っていたかというのも語られている(途中までではあるのだが)

途中まで読んで、ひょっとしてキャロラインが夫を誘惑した?とまで思った。
キャロラインが奔放であるので、そう思ったわけだが、ここある意味当たっていることもあるのだが(←ネタバレではないと思います)
これが決定的なエミリーの家での原因ではない。
そしてエミリーの現在の暮らし、何も持たずに出てきた女性がどうやって生活していくか維持していくかというのが克明に語られている。
シェアハウスの汚さも、同室の女性エンジェルの助けている感じも、とてもよく描写されている。
華やかな広告業界に身を置くようになったエミリーの姿も颯爽としているが、そこにはまだ常に後悔が付きまとっている。

後半に行くにしたがって、名前も変えて全てを捨てたエミリーがいわゆる出世をしていくのだが、依然としてなぜ家を出たのかというのもわからない。
初期のある時に、もしかしたら?とは思ったことがあるのだが、それは別の描写で打ち消された(が、ここがあるトリックがあった)

・・・・・・・・・
真相・・・・
なんだか私はすっきりしない。
どうなんだろう、この結末って。


以下ネタバレ

・初期の段階で
主婦が全てを捨ててリセットするという気持ちになったのは
・夫の暴力(いい人に見えてひどかった)
・夫の不倫(妹と)
・息子の死亡(これは初期に思ったのだが、チャーリーという名前が何度も出てきて、それを打ち消された。が!)

・最後の段階のちょっと前で
チャーリーは犬の名前であり、息子は事故で死亡していたちょっと目を離したすきに、ということだった。
犬?

・この話、双子の相克と見ていたのだが、最後の最後で双子はたいして機能していない。
ただ、自分の息子と最後に一緒にいたのは、妹とエミリーではあったのだが・・・・

・それで。
このあと夫と復縁して双子の女の子を生む?
妹は死亡する?
エンジェルはいい人と結婚する?
これって・・・あまりに都合の良い結末ではないか。