2008.01.31 温かな手
温かな手温かな手
(2007/12)
石持 浅海

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評価 4

人間ではない異形のモノが謎解き役になっている異色のミステリだ。
内容的には本格の部類に入るのだろう。

どう人間ではないかというと。
吸血鬼のように人間に手を触れると、そこからある気のようなものを抜き出していく。
だから吸われる人間側はいくら食べても太らない。
その吸われているのが苦痛ではない。
辛いときにその辛い感情も吸ってくれると言う優れた異形のモノなのだ。

この設定がまず受け入れられないと話全体が面白くもないだろう。
ちょっとした変型のミステリだ。
出てくる異形のモノは、男(擬態だけど)のギンちゃんと女(擬態だけど)のムーちゃん。
日常の謎だけれど、殺人事件が起こるので案外話としてはシビアーな話だ。
最初の白衣の意匠が私は面白かった。
白衣を着ているというところから発する逆転の発想。
なぜ白衣を着ているか。
下の服を汚さないという白衣が思わぬ使い方をされている。
子豚をつれて、も面白かった。
子豚を連れた人妻の家出話から嘘を見破るという連続の推理は、ちょっとケメルマンの小説を思い出した。

またこの話自体はそれぞれそれほど大きなものではないけれど、最後の大団円のまとまる形がほのぼのとしていて良かったように思った。そういう意味か、二人謎解きがいたのは。