中年クライシス (朝日文芸文庫)

評価 4.2

日本の名作12編を通して、そこに出てくる中年の心の深層を探っていく、という話。
らしい。

らしい、というのは、いくつかはそうであったけれど、なんだかいくつかはそうじゃなかったのではないか、と思ったからだ。
最初の方、漱石の話とかものすごく面白かったのに、中村真一郎の恋の泉とか、佐藤愛子の凪の光景とか、あらすじが多すぎる。
だからそこに色々付随していることが出てきても、これがあらすじなのか、河合先生の想像なのか実にわかりにくい。うねうね話がつながってるので、もうこれは河合先生の恋の泉か、と思ったくらいだった。
物語の分析と言うよりも物語を再構築しているように見えたのだった。

ただもう一度読んでみたいなあ!と熱烈に思った本は何冊かあった。
円地文子の「妖」
これ多分絶対に絶対に今読むと違った感想が出てくると思う。
安部公房の「砂の女」
ハンミョウが懐かしく涙が出た。そうだそうだ、ここでハンミョウが出てきて、これに誘われるのだと。あと一回脱出する場面とかもう一度読んでみたい。