2008.07.31 不連続の世界
不連続の世界不連続の世界
(2008/07)
恩田 陸

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評価 4.5

月の裏側の多聞君が出てくる不気味な話の数々。
最初の木に見える木守り男が面白かったか。
何かが見えると不幸になる。
木に隠れている人間が見えると何か不幸なことが起こる。
夜明けのガスパールの、夜行列車の窓に見える自分の顔がデスマスクに見えるというのも怖かった。
何度もかかってくる無言電話もまた。

いわゆる怪談話の連続なのだが、不気味な雰囲気とかは恩田陸のお手の物だ。
ざわざわとした怖さがじわじわと迫ってくる。
その中、多聞の飄々とした姿がいいなあと思っていたが、最後の方で彼は彼で重いものを背負っていたと言うことに気づいた。

読んでいる時には面白かったのだが、エピソードが会話で語られる。
そのエピソードがこうだったのね、というあまりに生の姿で投げつけられるところが少し興ざめだった。
小説の形にするのなら、こうだったのね、とか、何々の作品ではこうだったのね、とか、そういう引用の連続ではなく、完全な消化した文章が読みたい。これだと、人の噂話を聞いているというのと大変似た感覚なのだ、しかもその噂が知っているものだった時は新味と言うのがないに等しい。
ポーの大鴉、十倍ズームの話、ローマの休日の宣伝効果、映画のサブリミナル効果、川端の山の音・・・
何かの作品からの喚起されるものというのが、あまりに具体的に出すぎのような気がする。
あと、美術館の話(砂丘ピクニック)とか、オチをつけなくても良かったのではないか。
オチなし、のものとオチあり、のものとあるのもスタンスがわからない。
なくて私個人はいいと思うのだが・・・・・

怖さとして一番怖かったのが
幻影キネマ、だった。
なぜ自宅に帰るのが嫌だったのか、映画の撮影隊を見るとなぜ胸がつまるのか。
ただ怖かったが、この話、お母さんがもっと気付かなかったのかとも思った。

今一歩どうにかしたい。
面白いのに惜しいと思うのだ。