2009.05.31 1Q84 
1Q84(1)1Q84(1)
(2009/05/29)
村上春樹

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1Q84(2)1Q84(2)
(2009/05/29)
村上春樹

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評価 5(飛びぬけ)

読んでいる間中多幸感に満ち満ちていた。
最初の一巻を読み始めて、村上春樹特有の比喩の連続を読んだ時に(ああ・・懐かしいなあ・・・)とつくづく思って、自分のあるホームのような場所に戻ってきたような気すらした。
最初の1で、宗教団体とかが出てくるので、もしかして社会派小説なのかとか宗教団体批判小説なのかと懸念されたのだが、最後まで読んで、やっぱり村上春樹は村上春樹だった。

読み終わったあとに、久々に村上春樹ワールドに取り込まれた自分を発見した。
恋愛、言葉の使い方、ちょっとした物事の捉え方、主人公の口調、洒落た会話、そして何よりもこの世界観といったらどうだろう。
この小説というのは、きっと受け取る人によってどのようにも乱反射していくプリズムのような小説だと思う。
それぞれがそれぞれの物語をこの小説によって心に生み出していく。
そういう小説だと思ったのだった。

青豆と(女性・なんて奇妙な名前だろう!)と天吾(男性)の交互の語りで話は進んでいく。
それらは最初かなり離れていて、ねじれよじれ、そして最後見事に結びついていく。
最初のほうで、青豆が首都高速で実に印象的な動きをするところがある。
ここからしてもう引き込まれ、青豆とは何だろう、とわくわくしたのだった。
そして天吾のほうは天吾のほうで、ある女子高生の応募作品を書き直して世に出すという作家の真似事をしている。
これが違法行為であるというのはわかりきっていることだが、そこから全てが始まるというのが、全部読んでみると意味あることだったのだった。

空気さなぎ、リトルピープル、とイマジネーションが膨らむ言葉も多く、中でも空気さなぎは、作る姿が目に浮かぶようだった。

以下ネタバレ
・青豆は、暴力を振るう男の殺し屋。
ある老女に雇われている。

・何よりも面白かったのは
この世界が1984の現実からスリップした月の二つある1Q84であるということだった。
最初の青豆が首都高速の階段を出たところから、別の世界に入り込んだのだ。
そして更にそこは、フカエリ(女子高生)の作品をリライトした天吾の書き直した世界でもある。

・宗教団体のボスは、近親相姦ばかりか10歳以下の子供を強姦しているというので、青豆が制裁しようと乗り込んでいく。
が、これは実はリトルピープルがらみの深い事情があったのだった。

・青豆は小さい頃、両親とともにある宗教団体に入っていて布教活動を日曜日にしていて、小学校でのけ者になっていた。
そこで手を差し伸べてくれたのが天吾。
天吾もまた、母が別の若い男性に胸を吸われている幻想から解放されず、そして母は死んだと聞かされ、父のNHK集金に日曜日のたびについていっていると言う小学校時代を送ったのだった。
だからこの二人は、環境が似ている。

・二人ともにこの時に、青豆が手を握ったと言うことを忘れていない。
そしてお互いに思いあっている。
でも二人とも探そうともしていない。

・どの宗教も現実の宗教をちょっと思い出すところがある。

・さらっと私が違和感感じたのは、リーダーの少女性虐待があるけれど、そこがぼやんと、これだから仕方がないっぽい流れになっていたこと。リーダーの説明に青豆が納得してしまうところが、こういう話とはいえ、なんとなくの違和感。


・言葉
空気さなぎ