8月の読書メーター
読んだ本の数:49冊
読んだページ数:13275ページ

プリズン・トリックプリズン・トリック
確かに、二度読みました、特に最初の方のある部分を。ああ・・そうだったんだ・・と目を見開いて。タイトルは有名海外ドラマの脱獄物プリズンブレイクを意識しているのでしょうが、この話も、脱獄部分「も」あるのですが別の要素が大きいかなあ。ラスト(なるほど!)と思うところと(・・・)と無言になるところがあって非常に微妙。ラストの一行は私は途中で読めました。なんかね、登場人物がさほど多くない割にはごちゃっとしている印象が。つまらなくはないんだけど。次回作に期待。
読了日:08月31日 著者:遠藤 武文
ことりのオデットことりのオデット
いかにも手描きの線でほんわりとした絵に魅せられました。お話も「おじいさんと小鳥のお話」で心癒されました。チェイルリー公園とか地下道とか、光と影の部分も綿密に計算されていて、最後の部分に突入していきました。あるものが重要なものになるというのに注目。幸福の王子をちょっと思ったわね、最後の方で。
読了日:08月31日 著者:ケイ・フェンダー
おさがしの本はおさがしの本は
好きな作家さんなので楽しみに読みましたが・・・。図書館レファレンスの人へ投げかけられる問題があまりに高等でそれが作者の韜晦趣味の文章と相俟っていて癖はあるものの「本を探す」と言う部分の謎解きは好感度大。だけど、図書館廃止という対お役所というもう一つの問題が大きく入ってくることでその良さがやや消えているかなあとも思いました。本にまつわる謎解きの話なのか(私はこの一本の方が好きよ)図書館現状を憂えると言う話なのか・・両方なんだろうけど虻蜂取らずっぽいような気も。あと潟田さん造型がよくわからなかったな、私には。
読了日:08月30日 著者:門井 慶喜
百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))
一週間じっくり読みましたがおそらく人生の一冊、になると思います。読書ってこうして何かを投げかけてくれて何かを楔のように打ち込んでくれるものなのだなあと改めて感じました。マコンドという架空の町に住まうある一族の物語。全ての話が圧倒的な迫力で迫ってくるし、何しろ物語の濁流に読者が呑み込まれてしまいます。語り部が話すような圧倒的な物語力と幻想性を兼ね備え、人間の営みの果てしなさを全ての登場人物から読み取れる傑作。そして、ラスト数ページの感動と言ったら!
読了日:08月29日 著者:ガブリエル ガルシア=マルケス
フランスの古い紙―蚤の市で見つけたアンティークのデザインフランスの古い紙―蚤の市で見つけたアンティークのデザイン
美しい「紙物」が大好きなので読んでみたら楽しめること楽しめること!アンティークということにさほど興味がない私ですら、パリの蚤の市行きたい!と熱烈に思いました。使用した絵葉書、シーリングスタンプ、花柄の手帳、カード、紙箱、そういうのも美しいのですが、アンティークレースのラベルなどそこまで集めているので感動。ああ・・いいなあ・・こういうのって。カリグラフィーとかも見所がありチーズラベルにですら愛着が!丁寧に作られたものって、たとえそれが印刷の大量生産になっていても見る者を引き付けてやまないと思ったことでした・
読了日:08月29日 著者:オルネドフォイユ
花と流れ星花と流れ星
懐かしの(ぐらいに遠くなった)真備シリーズの短編集を楽しみました(背の眼・骸の爪とかだけど、読んでなくても全くオッケー)。そもそも、死んだ妻に会いたいので真備が探求所を作ったというのが根底かな。トップの『流れ星の作り方』は惨殺犯人はどうやって逃げたかの謎解きなのに何て切なくどきっとするラストなんでしょう。あと私が好きなのは『花と氷』で、花嫁さんのブーケとある事の結びつきになるほどなあと感心したのと同時に、それぞれの人の内面描写が優れていたと思いました。
読了日:08月28日 著者:道尾 秀介
あるキングあるキング
「全てがクリアーになること」をこの作品に求めると肩透かしなのかもしれない、と思いました。ちなみに私は高評価。野球の王になるべく生まれてきた王求と言う男の物語なのです。でもそれは単なるリアルな一生なんかじゃないところがこの小説のミソ。何度も繰り返し出てくるマクベスの三人の魔女達の言葉に翻弄され、ところどころで引用されるシェイクスピアの台詞改変にうっとりとし。最後で誰だかわかる不思議なユニフォームの男、奇怪な動物、と、ある種特殊な伊坂ワールドにのめり込みました。物語の先を考える楽しみが読者に残されるのかも。
読了日:08月28日 著者:伊坂 幸太郎
マーダーゲーム (講談社ノベルス チA- 1)マーダーゲーム (講談社ノベルス チA- 1)
小学生が「汝は人狼なりや?」ゲームをアレンジして実際にやってみようという計画を立て実際にやり始めたらば・・・というミステリ。このゲーム自体知らないのでその説明が飲み込み難かったです、最初の方。理解した途中からは小学校のリアルな雰囲気が良かったかなあ。女子がきれいな女子に嫉妬したり、それぞれの家庭事情があったり。何を嫌いなものにしたいかと書くモノがいかにも小学生でした。だけど、犯人とこの結末は・・・・微妙。これってフェアなのかなあと。あと途中の視点の揺れと人の名前のぶれが辛かったかしら。雰囲気はいいのにね。
読了日:08月28日 著者:千澤 のり子
7 days wonder―紅桃寮の七日間 (TEENS’ ENTERTAINMENT)7 days wonder―紅桃寮の七日間 (TEENS’ ENTERTAINMENT)
全員ほぼ好きな作者さんなので、うきうきと読書!話の縛りがあって「紅桃寮が舞台、404号室が開かずの間、7日間限定」なのです。だからそれぞれ違う紅桃寮が出てきて別のアレンジになっているのを楽しみました。最初の二人が私のツボ直撃。谷原さんは、夜逃げしてきた男子高校生が寮に入ることである希望が見出せる姿を鮮やかに描いた佳品。野村さんは、櫻の園ならぬ桃の園にいる麗人(女性)との同性同士のあれこれが寮生活と相俟って、謎が謎を呼び、まさかの展開で、最後まで読ませました。好きよ、これ。もっと長くして欲しいと思うほどに。
読了日:08月27日 著者:加藤 実秋,野村 美月,緑川 聖司,谷原 秋桜子
文化祭オクロック文化祭オクロック
この時計の動かす話は、バック・トゥー・ザ・フューチャーへのオマージュなのかな。文化祭、謎解き少女、スポーツ少年、恋の行方、と私の好きなものがてんこ盛りなんだけど・・・・微妙。文化祭の楽しさオンリーにした方が良かったかも。謎の驚き感があれだけ引っ張っておいた割に・・なんだよね・・・ユーリの行動と心がよくわかりませんでした、私には。
読了日:08月27日 著者:竹内 真
容疑者Xの献身容疑者Xの献身
DVDを見たので再読。やはりこの作品、東野作品の中でもずば抜けていると思いました、改めて。推理小説としても仕掛けられたトリック、伏線の回収など良く出来ていると思いますが、それより何より、読者側の私の「ある人」への気持ちが見事に覆させられるラストまでの描き方が傑作たる所以だと思いました。なぜここまでのすさまじい愛を抱けるのかという「理由」が痛みを伴ってこちらに伝わってくるのです。ラストも忘れがたい名シーン。全部を読み終わってタイトルを見るとまたこのタイトルも鮮烈なイメージを残してくれました。
読了日:08月26日 著者:東野 圭吾
フランス短篇傑作選 (岩波文庫)フランス短篇傑作選 (岩波文庫)
岩波だし、おフランスだし敬遠っぽいと思っていたら大間違いで、この傑作選はどちらかというと河出書房から出ている奇想コレクションシリーズに匹敵すると思いました。短いお話できちっとおとしどころがあり、しかも話が抜群に面白いという優れもの。歯医者に行くのが怖くなる歯科医の話、母に愛されたい一心であることを敢行する幼い娘の話、壁などと溶け込める体になった男の話などどれも幻想と奇想に満ちていておおいに楽しめました。
読了日:08月25日 著者:山田 稔
離愁 (角川文庫)離愁 (角川文庫)
極上の恋愛小説でもありミステリでもあり、歴史小説の側面を持ってもいる、そういう小説。私の宝物になりました。文章のあちらこちらに点在する叙情溢れる言葉の数々、「なぜ叔母が寡黙だったのか」というミステリアスな叔母を追求していくと次々に浮かび上がってくる過去の出来事・・これらがある日本の歴史的大事件とともになだれのようにこちらになだれ込んでくるのです。地味で声高に訴えない物語ではありますが、心の中に一つの楔を打ち込んでくれた小説でありました。最後までいって最初に戻って読み返すとまた味わい深く・・・・・
読了日:08月23日 著者:多島 斗志之
大きな枝が折れる時 (扶桑社ミステリー)大きな枝が折れる時 (扶桑社ミステリー)
サイコサスペンス。古い本で(1989年)決して心地良い犯罪ではないけれど私は面白く読みました。ある少女が(しかも発達障害っぽい)残虐な殺人事件を目撃したがその事を語れないので、引退した若い臨床心理医が引っ張り出され語らせようとする・・・・ここから始まり怒涛の展開に。動いているのが臨床心理のお医者さんなので色々な人が口を次々に開いていき、過去を開き新たな事実がめくれるように出てくるのです。驚きもあるしダンディズムもあるし好きだなあ、こういう作品。
読了日:08月22日 著者:ジョナサン ケラーマン,Jonathan Kellerman
矢上教授の午後矢上教授の午後
細かい50章の章立てで出来上がっているミステリ。すごくいい雰囲気で始まったけど多くの人が多くの場所に点在していて(一つの研究棟とはいえ)錯綜状態。ゆるゆると話がつながっていって把握しきれない内に殺人事件が起こってちょっと戸惑いました。ミステリファンの矢上教授なのだからもっとミステリ本についての話とか薀蓄があったら良かったのに。重要事件よりその周辺の事件の謎解きの方が面白かったかなあ。あと小動物にさほど興味がないので、おおお!という感動が小さいのかも、私には。これは英国伝統ミステリユーモアなのかなあ・・
読了日:08月21日 著者:森谷明子
村上春樹「1Q84」の世界を深読みする本村上春樹「1Q84」の世界を深読みする本
怪しい本・・・と思いつつ(だって空気さなぎ調査委員会って・・)こういう解説本は、思い切り怪しい方が面白いと思いました。場所の白黒写真がついていてそこも必見。あと、私も読みながら作ったんだけど、登場人物の一覧と関わりが表になっているところをじっくり見ました。あと武器とかもね。出てくる小説とか映画の解説もチェック。それぞれの解説は自分で考えればいいし、これとはまた違った感想を持つ人もいるだろうし、馬鹿にする人もいるだろうけれども「こういう意見もある」という目で見るとなかなかのもの。薄いとか言うのは簡単だけどね
読了日:08月21日 著者:空気さなぎ調査委員会
本の雑誌 315号本の雑誌 315号
最初の対談、よくタイトルを見てなかったので途中まで騙されてました。読んでない本をあたかも読んだと言う前提で語るという奇抜な発想の対談。でも、これって読んだ人にとっては苦痛?とも思ったけれど。今回ピクウィック・クラブという書店員さんたちの対談がとても面白かったです。何しろトップがカルヴィーノ、次がボルヘスというのでわかるように本読みでもツワモノ揃いで。年齢拝見するとお若いので感心致しました(ただ澁澤はもっと上、とか、マキューアンもっと上とか、個人的思いはあるけれど)
読了日:08月21日 著者:本の雑誌編集部
フィーヴァードリーム〈下〉 (創元ノヴェルズ)フィーヴァードリーム〈下〉 (創元ノヴェルズ)
最後深い満足の溜息とともに本を置きました。ファンタジーでありホラーでありそしてまた深い人類に対する洞察もあって構築力が非常にある話だと思います。単純にヴァンパイアVS人間ではなく、ヴァンパイアと人間との確かな友情、ヴァンパイア一族の滅びの悲哀、日に当たると弱ってしまう体、など読みどころは多く、また、ヴァンパイアと人間が中心としてあるけれど、人間の中でも奴隷の黒人と優位の白人という対立構造も見えていました。ヴァンパイアの歴史がそのまま暗黒の世界の歴史にもオーバーラップしてそのあたりも大変読み応えがありました
読了日:08月20日 著者:増田 まもる,ジョージ・R・R・マーティン,George R. R. Martin
フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)フィーヴァードリーム〈上〉 (創元ノヴェルズ)
物語力というのを大変感じた作品でした。夜の種族と名乗るヴァンパイア一族の悲哀と闘争があり、人間側の正義があり、まさに血沸き肉踊るストーリーでした。蒸気船に愛を持っているアブナー船長さんと、ヴァンパイア一族のジョシュアの絡み合いが息をつかせぬ展開に!上巻ラストの方でジョシュアのヴァンパイア告白がまた素晴らしいお話になっているわけです・・・下巻に続く・・
読了日:08月20日 著者:George R. R. Martin
あの子の考えることは変あの子の考えることは変
駄目女二人の物語。本谷さんの描く世界ってエンタメ度がとても高いのでついつい読みふけってしまいました。自分の臭いが気になる日田と、同居する感情爆発のある巡谷。会話の妙がありました。やっぱり劇の人だと強く思いました。また一瞬不思議ちゃんなのだけれどそれは誰にもある部分だと言うのも感じたかなあ。4ワーズ連発、ダイオキシン、矢沢あい、と現代社会の言語も多用されていて私は好感触。ラストが良かったねー(装丁がピンクで栞がピンクと女の子らしいのに大爆笑、だってピンクと対極にある二人・・)
読了日:08月19日 著者:本谷 有希子
シルバー村の恋 (光文社文庫 あ)シルバー村の恋 (光文社文庫 あ)
ハートウォーミング系日常の謎連作ミステリ。最初の話が一番良かったかな、驚いたもの、最後の展開で。このタイトルだけど(失敗だと思う・・・)シルバー村を書いたわけではなく、コミュニティーセンターで起こるあれこれに巻き込まれていくある一家の物語。それぞれの視点から見た感じ方の本音と外に出す建前があるところに頷いたり反発したりと私の心は大忙し。ただ、先の展開が、特に後半読めすぎかなあ・・・とは思いました。
読了日:08月18日 著者:青井 夏海
沈んだ世界 (創元SF文庫)沈んだ世界 (創元SF文庫)
冷房のない部屋で読むのがぴったりの暑い暑い本。バラード三部作の一作。先に読んだ結晶世界の幻想さはここでは薄らいでいますが、その代わり宮崎アニメの腐海のような世界が広がっています。太陽膨張で生態系が崩れ古生代に戻っている地球の姿があまりにリアルでぞくっとしました。中盤からいわゆる「狂気にとりつかれた悪者」が出てきて、冒険活劇になるのが意外。排水をして沈んでいたビルが出てくるところに泣けました。ラストがまた秀逸。こういう終わり方しかなかったのだろうなあ・・・・(ちょっと7SEEDS(漫画)も思い出した・・)
読了日:08月17日 著者:J.G.バラード,峰岸 久
下りの船 (想像力の文学)下りの船 (想像力の文学)
複層で楽しめた本でした。最初の部分で不思議な村が出てくるので隠れ里話と思って、でもそうするとここはどこだろう・・と思っていたら、そこからいきなり宇宙へ!SFになるのです。地球外に移民させられた貧しく汚い地球人がもがきあがきつつ混沌とした世界でひたすら生きていく姿に圧倒されました。残虐な蛮行もあるし飢えもあるし暴力もあるし支配者もいるし反対グループもある。ここがあたかも地球上のある種の紛争地帯のようにも思えました。想像力溢れた強烈な世界観にただただひれ伏すばかりです。とても面白かったです最後の一ページまで。
読了日:08月17日 著者:佐藤哲也
素数たちの孤独(ハヤカワepiブック・プラネット) (ハヤカワepi ブック・プラネット)素数たちの孤独(ハヤカワepiブック・プラネット) (ハヤカワepi ブック・プラネット)
最後まで読んで改めてタイトルを見ると、素数の意味がひしひしと胸に迫りました。人間世界の素数である二人の男女の一生がすれ違ったり重ねあったりして進んでいきます。男女どちらも形は違えど「欠損」と「喪失」と「孤独」を胸に秘めている姿を読みながら、静かにこの物語世界に沈潜していきました。また家族の物語でもあると思いました、そこにいる人達もまた限りなく孤独なのです。ラストも私はこれでいいかと。どの場面も忘れがたく、映画になるのが本当に楽しみです。
読了日:08月16日 著者:パオロ・ジョルダーノ
パラドックス実践 雄弁学園の教師たちパラドックス実践 雄弁学園の教師たち
この作者の相変わらずの衒学趣味的な言葉と文章、また話の内容が論理を前面に出した作品なので好悪くっきり分かれる作品かも。論理と言ってもこれは論理じゃない!と怒る人もいそうだけど。私は学園内部事件と論理の応酬をとても楽しみました。煙に巻かれる感じもあるのでがちがちの本格ミステリとかを思うとちょっと違うかも。雄弁学園(この名前も笑った)の最初の事件の証明が特に好き。あと初等部弁論大会での展開は、別作品とのリンクもあってお見事だと思いました。あと知識の薀蓄が楽しいかなあ、私は。
読了日:08月16日 著者:門井 慶喜
アンダルシアの肩かけアンダルシアの肩かけ
わかりやすい小説かと聞かれたらわかりにくいのだけれど、楔のように心に何かを打ち込んでくれる小説。カフカ的迷宮話もあるし(視点がぐるぐる変わる)、これは夢なのか現実なのかと戸惑う小説もあるし。子供と親と言う関係性の話が多く、表題作は、かまって欲しい子供と突き放す母だと思っていたら途中で変転しまた最後の方で変転しという、母息子の恋愛のような感情の波打ち方が大変好みでした。想像力で子供たちだけで厳格な現実を耐え抜く虚構の世界を作り上げた秘密の遊び、もとても面白く読みました。祖母と言う作品のラストは震えました。
読了日:08月15日 著者:エルサ・モランテ
女中譚女中譚
相変わらず非常に面白かった中島京子小説。これは、ある落魄したお婆さんが女給&女中だった時を回顧する形式でありながら、その時代の風俗を描き出していて、またその時の自分の心のありようが出ていました。面白いのは林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中小説に捧げられた小説なので、3つの話にそれぞれ元ネタがあるということでした。この変人文士は荷風なんだなあ・・とか、吉屋信子のちょっと危なげな女性同士のあれこれとか読んでいてこの世界にどっぷり浸りました。元ネタも読みたいわね。
読了日:08月15日 著者:中島 京子
天地驚愕のミステリー (宝島社文庫) (宝島社文庫 C お)天地驚愕のミステリー (宝島社文庫) (宝島社文庫 C お)
こちらが最初か・・こちらも微妙。特に微妙だったのが下ネタな百恵さん作品・・・ううんううんううん・・・。山口雅也はもうちょっとでいい気も。あと鳥飼さんはこういうのありだろうなあと。この二冊って、内容より小山さんの日本ミステリ暗黒史のあとがきが非常に重要で面白かったです。ここを読むために買いました、私は。だってバカミス系譜と言えども乱歩、夢野久作まで出ているのだもの。
読了日:08月14日 著者:鳥飼 否宇,北原 尚彦,船越 百恵,山口 雅也
奇想天外のミステリー (宝島社文庫)奇想天外のミステリー (宝島社文庫)
バカミス集合体のミステリ。このドタバタぶりを楽しめるかどうかってとっても難しいところかも。笑えたら勝ち(出版社の)、笑えなかったら負け(出版社の)みたいな感じ。辻さんのはありがちだけど心惹かれるかも。あとご贔屓鯨さんのバカミスはミステリの重要人物が出てくるけれどもうちょっと何とか・・・もごもごもご・・・
読了日:08月14日 著者:辻 眞先,鯨 統一郎,かく たかひろ,戸梶 圭太,霞 流一
渋カフェ―憩いの全112軒 (散歩の達人テーマ版MOOK)渋カフェ―憩いの全112軒 (散歩の達人テーマ版MOOK)
渋谷のカフェではなく渋いカフェ。本読みとしては落ち着いた空間でコーヒー片手に読みたい欲望が充満していまして。このカフェ本で(書棚は要らない・・・家にあるから・・)とか、(おしゃれすぎて私が落ち着かないのでは・・・)とか、それはもう色々思いました。なんだか行った気になっちゃったわ。スタバとかドトールじゃないカフェのソファに沈み込みたいなあ・・・本とともに。(ほぼ東京限定のカフェ、なのです。ごめんなさい。)
読了日:08月14日 著者:
刻まれない明日刻まれない明日
喪失とそこからの再生の物語だと思いました。街がそっくり失われてそこにいた人達が消失してまう・・・これは消失してしまったことからある意味「取り残された」人達の心の軌跡の物語なのです。取り残された人達は喪失感を何としても埋められない。そして奇妙な出来事がこの街に起こっている・・・・歩行技師、図書館第五分館の謎、一定の人に聞こえる鐘の音と、三崎ワールド全開でした。記憶とそれに伴う痛みが出てくる人達の心に突き刺さっていく様を読みつつ、この独特の街に思いを馳せました。
読了日:08月13日 著者:三崎亜記
くまちゃんくまちゃん
一つの話の主人公の脇にいる人が次の話の主人公になって・・・という、それぞれの恋愛を描いている連作集。恋愛の話ではあるけれど、深い話だなあと私は思いました。それぞれの人が別れてから相手のこうだったんじゃないかという気持ちに気づき、はっとして時に涙を流し、時に別れた人の言葉を反芻し。自分の握りかけた人生のかけらをふっと見つめ直すところがとても好感持てました。書き抜きたいような言葉がたくさんあったな。特にアイドルと同棲してもがく女性の「勝負恋愛」同性への心がよぎるラストに泣けた「光の子」これが絶品。
読了日:08月12日 著者:角田 光代
村のエトランジェ (講談社文芸文庫 おD 5)村のエトランジェ (講談社文芸文庫 おD 5)
やっぱり小沼丹はいいなあ・・いい小説って推理小説の要素を含んでいる、というのはここでも発揮されています。表題作で、二人の女性と足の悪い詩人のある出来事が冒頭にあり、それを目撃するのが少年二人であり(おそらく)そこから紐解かれる大人三人の愛のありようが見事でした。白孔雀のいるホテルのある種の苦い笑いも好みだったし、書物を軸にしたバルセロナの書盗も面白いし。抒情性ある洒脱であり同時に端正な文章で紡がれた日本語と話の妙におおいに惚れ直しました。
読了日:08月11日 著者:小沼 丹
鴉 (幻冬舎文庫)鴉 (幻冬舎文庫)
今頃読んでみたり。私は大好きだったけど、難しいのよねこれって。まず閉鎖的な村が異常な村であると言う設定にのめりこめない人は×でしょ。あと途中の経過を楽しめない人も×でしょ。私はそこを楽しめた上に、ラストの崩れ落ちるような真相に驚愕。大きく分けて二つの真相があるけれど、村全体の真相というのにも驚いたけど、もう一つのとてもわかりにくい(そして引っ掛かった)叙述ミステリが私はおおいに気に入ったわ。鴉も邪悪な雰囲気をかもし出してるねえ。あと紅葉の美しさも(これもねえ・・ひそひそ)只今最初から再読中。
読了日:08月10日 著者:麻耶 雄嵩
静子の日常静子の日常
ぎりぎり魂に食い込んでくる方の井上作品ではなく、のんびりと家族を描いている方の井上作品。静子さんは76歳のお婆ちゃまなのです。彼女の眼を通して家族(浮気寸前の息子、それに気づかない嫁、学校がつまらなくて恋する孫)が浮き彫りにされ、静子の過去も描かれていきます。またジムが出てくるのでしかたのない水を思い出したなあ。ただね、文章のところどころで私は引っかかったわ。(こういうお婆ちゃんものだったら、やっぱり田辺聖子の「姥ざかり」の歌子さんの方が私は好きかなあ・・・)軽く読むのにはいいのかもね。
読了日:08月10日 著者:井上 荒野
もう私のことはわからないのだけれどもう私のことはわからないのだけれど
最初、人生相談を集めて載せている「実話」と思ったら、この投書の人の履歴から家族構成から何から全てが虚構というところが面白い、と思いました。カオルコさんの現在がきっとこうなのだね・・・介護の大変さとか嫁姑のあり方とか家族そのものとか、そういうのを考えたかなあ・・・・どんよりしたけどね。
読了日:08月10日 著者:姫野 カオルコ
シートン(探偵)動物記シートン(探偵)動物記
(再読)シートンがホームズになっている発想がまずかえます。ホームズと懐かしいシートンの混ざり合いが一つの世界を作り上げていました。シートンファンだった子供だったので、何度読んでも面白い。狼王ロボの謎解き(シートンに対する罵倒っぽい子供の手紙がシートン本の冒頭に。なぜかという謎)が私は強烈に面白かったかなあ。あとアメリカ象徴するある動物の話も(パーティーでの人の引き方に笑った笑った)。ともかくも懐かしい友人に会ったような気持ちになりました。
読了日:08月09日 著者:柳 広司
9の扉 リレー短編集9の扉 リレー短編集
このメンツで読まずにいられません・・・お題が次の人に渡されてその人がそれに沿って物語を作ると言う趣向。麻耶(ツイストが面白い)、貫井(キャラクター造形が優れている)、歌野(こんな短編でもこれだけ出来る感)が良かったな。そしてラストの辻村深月も決して見劣りしていなかったと思います。強烈ミステリを求めないで、軽く読む本かもね。(同じ人、同じシチュエーションでのリレーを全部にするという趣向も今度やってほしい。貫井・歌野ラインがそれで面白かったので)
読了日:08月09日 著者:北村 薫,法月 綸太郎,殊能 将之,鳥飼 否宇,麻耶 雄嵩,竹本 健治,貫井 徳郎,歌野 昌午,辻村 深月
にょにょっ記にょにょっ記
穂村さん独特の視点で身辺を切り取った日記。ぼっそり一言日記もあるし、結構追求している日記もあるし読んでいてふくふくっと笑ってしまいました。視点のズレの面白さという事では、岸本佐和子エッセイと通じるような気もするんだけど、穂村さんのは(もしかしたら私も思っていたかも!)じゃなくて、(ええ!思ってもみなかった!)なのです。それが本当に重箱の隅をつつくようなところ。一番笑ったのが柔道でフランスが強い疑問からつながった強烈な話。耳に詰めるものって・・。穂村ワールドを満喫しました(フジモトマサルの絵も大好き)
読了日:08月09日 著者:穂村 弘
身の上話身の上話
最後まで一気に読みつくしちゃいました。面白い!ジャンプのように失踪の物語なのです。地方のある若い女性が職場から買い物に行ったまま出奔して東京へ・・・・そこで起こるあれこれ・・・この小説の妙は「語り手」なのです。誰が語り手かはすぐに書いてあるのでわかるのですが、なぜ?というところでずうっと読まされてしまいます。また女性の犯罪への巻き込まれ方が半端じゃなくてそこもどきどきしました。そしてラストで、ああ!!!だからか!!(どんでん返しとはちょっと違うけれど)最後の一行の重みがありました。大好きよこういう話。
読了日:08月07日 著者:佐藤正午
神去なあなあ日常神去なあなあ日常
読み終わった後、思わず呟きたくなるような素敵な言葉なあなあ。林業の話なのに読みやすく、都会の普通の男の子が林業の村にぶちこまれ、仲間とともに林業に励む羽目になる・・・村の人達が生き生きしているし(特にはちゃめちゃなヨキと婆ちゃんが秀逸)不思議な山の神事に神妙になったり読んでいる間中楽しめました。朝起きて肉体労働をして笑って泣いて怒ってまた夜になる。生活の基本形がここにあり、そして豊かな自然との共生のひとこまひとこまが忘れられません。人に段々受け入れられていって成長していく主人公もいいわね!続編希望。
読了日:08月06日 著者:三浦 しをん
アミダサマアミダサマ
誰にも勧められない作品。でも私は面白く読みました。沼田まほかる、うまいと思っているから。何ともいえない嫌さを出してくれているのです。この作品では、コエに導かれて冷蔵庫に閉じ込められた子供を救う、僧侶と普通の男子との二人の物語がほぼ交互に語られていて。僧侶部分が完全にホラーで村全体が狂っていく様子がそれはそれは圧巻。男子の方は恋愛でこれも壮絶なんだけど、罪と罰のソーニャに当たるリツコ像に引き込まれました。そこにアミダサマ!が投入されブレンドミックス。最後とっても奇妙な舌触りが残るのです。なんて変てこな話。
読了日:08月05日 著者:沼田 まほかる
星間商事株式会社社史編纂室星間商事株式会社社史編纂室
確かにロマンス小説~と似てるかなあ。あとエッセイの延長線上にある小説かなあ。オタクであって同人誌を出していると言うことを隠している女子社員の心の揺らぎと、会社の遠い遠い日の秘密を暴くのが入り混じって・・の話。おおいにオタク語りでは笑って途中でもふきだした部分が多かったけれど、会社ミステリ部分の落とし前がなんだか曖昧で終わった気も。読ませる力はあるんですが、一気に。(あと作中作のBLが私は拒絶反応。ごめんなさい、かちんこちんの人間で・・・)
読了日:08月05日 著者:三浦しをん
伯林蝋人形館伯林蝋人形館
抱きしめたくなるほど大好き!蝋人形館が一つの柱になっていて、最初から虚実入り乱れた物語が展開され、私の脳をぐらんぐらんに揺さぶってくれました。第一次大戦からナチからユダヤ問題とドイツ国内の政治状況をバックボーンにしながら、不可思議な物語と著者略歴(!)の6つの枠組で進んでいきます。蝋人形というところで既に虚があり無がありまぎれもない死と直結した退嬰の美学があり。緻密な構成と幻想漂う文章に脱帽しました。ラストまで一気にいって最初から再読するとまた格別な味が・・・・
読了日:08月04日 著者:皆川 博子
幻の終わり (創元推理文庫)幻の終わり (創元推理文庫)
伊坂幸太郎の推薦帯がついているので読んでみました。ハードボイルドへの危惧はあったのですが(苦手分野)、とても緊密な話でジャーナリストとしてのポリシー、過去の女性への想い、追いつ追われつのアクションシーンと楽しめる場面が満載の本でした。何と言ってもウェルズという主人公新聞記者に惚れた!哀愁漂う背中と苦悩に満ちた過去を背負う姿が忘れられません。冒頭部分プレスクラブの雰囲気からして引きずり込まれました。謎の開き方も面白かったなあ。(伊坂の青柳を遠くで思い出すね、追いつ追われつのところが)
読了日:08月03日 著者:キース ピータースン
作家の家―創作の現場を訪ねて作家の家―創作の現場を訪ねて
この作家(欧米文学)の創作現場である家が見たい!というような作家ばかりを集めての美しい本。私のツボはまりまくりで、特にユルスナール、モラヴィア、コクトー、ダレル、ウルフなどの家をじいっと見つめました。生活感が溢れている家もあるし、ポリシーを持った簡素な家もあるし。作家とやはり家ってつながっているのだなあ。全てが息づいているのです、ここから数々の傑作群が生まれたんだ!という思いがよぎりました。(コクトーと澁澤龍彦の部屋が似ている・・・と個人的には納得の溜息をついてみたり。)
読了日:08月02日 著者:フランチェスカ プレモリ=ドルーレ,エリカ レナード,マルグリット デュラス
ハンニバル・レクターのすべてハンニバル・レクターのすべて
映画公開時に買っていてそのまま読むのを忘れていて(いわゆる積読&発酵・・・)。今回読み直してみたけれど、読む、というよりも、写真を楽しむと言った本。フィレンツェの美しい町並みと出てきた高級薬屋(クラリスへの石鹸を買ったところ)、ヴェッキオ宮殿とその内部(ここで色々あった)、フォションのランチ再現等、映画と本を合わせミックスしたらこんな本が出来上がるんだろうなあと言う本。脚本つきです。重みはないんだけど、レクター好きにはたまらないかも。ハンニバル本のラストについて様々な人が賛否両論でこれも読みどころかな。
読了日:08月02日 著者:
キャッチ=22 下 (3) (ハヤカワ文庫 NV 134)キャッチ=22 下 (3) (ハヤカワ文庫 NV 134)
何度も同じ話が形を変えては繰り返され、そのたびに真実が明らかになっていく・・・特にスノードンの死に様がしつように描かれていたのが印象的。ヨッサリアンのみならず全員の戦争状態における狂気の広がりが怖いし、またオアの物語が最後に開いた時に驚愕しました。狂気に満ち満ちているので虚実の皮がどこまで剥がされるのかそこらあたりも読みどころ。上官にいらっとしながらキャッチ22の不条理に胸詰まらせながら読み終わり。非常に心に残る一冊となりました。
読了日:08月01日 著者:ジョーゼフ・ヘラー
キャッチ=22 上 (1) (ハヤカワ文庫 NV 133)キャッチ=22 上 (1) (ハヤカワ文庫 NV 133)
上巻の最初の方で全くの混乱状態。この人は誰なんだかこの話はどこにとか、霧の中を漂っているようでかなりの苦戦。途中で時系列がばらばらと言う事に気づき、映画のメメントなんだねと。キーの出来事、キーの人、キーのポイントがつかめてくると一気に面白くなってきました。上巻の最後の時系列表が混沌として来た時にはお役立ち。キャッチ22の意味は割合早く出てきたのでなるほどと(これ以降数箇所出てくる)そして下巻に。にしても戦争って奴は!
読了日:08月01日 著者:ジョーゼフ・ヘラー

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