2009.10.25 初恋ソムリエ
初恋ソムリエ初恋ソムリエ
(2009/10/02)
初野 晴

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評価 4.3

やたら文章がさくさく読めない気がしたのはなぜだろう。
手間取った一冊。
ここにきてこの作家の文体が自分の読みと合わないんだなあと思ったりした。

前作の「退出ゲーム」の方が私は好みだったと思う。
それは、これが青春ミステリではなく、青春物にシフトしたからかもしれない。
音楽を真摯にやっていくという姿勢の部員達には好感が持てるし、チカとハルタの掛け合いとか楽しいし、草壁先生をめぐっての話もにやっとするのだけれど、それと全体のトーンと噛み合っていない気がしたのだった。
どたばたっとしたところは楽しい。
でも一転普通のミステリの謎解きみたいなところになると、首をかしげるところが出てくるのだ。
謎そのものはとても面白そうであるのに(特に席替えのあの図とかは一見面白そうなのに)

青春物、とは言いながら
全ての話に謎はあるのだ、そして答えも。
しかしそこに釈然としないものが横たわるのはなぜか。
テーマが、身体的な損失、登校拒否、教師の過去(それもかなりハードな)、更に、ある一定の年代の人達にはわかる社会的事件、と重いからかもしれない。
謎が解けてもまだ私にはなぜ?という思いが激しく残ったのだった。
特に、謎の席替えが三回も行われる顛末の話は、そもそもなぜこの原因を作った人間はこういうことをしたのだろうか。そのあたり釈然としない。これって立派な犯罪なのに。

以下ネタバレ
・教室内で盗撮されているために、席替えを要求した女子委員長。
それは盗撮というのにはあまりにひどいもので、赤外線で中までの盗撮だった。
その挙句教育実習の先生の背中にあった刺青までわかってしまう。

そもそもこれやった女子生徒はなんでやってのか。
この説明が何もない。
もっと徹底的にこの生徒は弾劾されてもいいんじゃないかと私なんか思った。
それだけのことをしているのだから。
あと理由があったのなら、その理由を説明してほしい。
だから釈然としないのだ。

・表題作の初恋ソムリエ。
これは、初恋の人を探すと言うもの。
この話全体が、叔母さんのわけのわからない森の話、から始まっている。
この森の話、で、これが連合赤軍の話と、ピンと来る人ってどのくらいの年代層からなんだろう。
またピンと来なかった若い層の人達はどこでわかるようになるんだろう。
そのフォローが何もないと思った。
まさか最後の参考文献で、(ああ・連合赤軍ね)と思うのだろうか。