11月の読書メーター
読んだ本の数:36冊
読んだページ数:11604ページ

ソフィー (創元推理文庫)ソフィー (創元推理文庫)
恐ろしく面白い小説で、語り手が、現在「女性を監禁している」状態と、過去「両親には顧みられなかったけれど利発な姉と至福の美しい少年時代を持った」話が交互に出てきます。過去の少年時代が秘密のベールに彩られていてもどかしくてもどかしくてページをめくる手が止まりませんでした。最後戦慄の展開!ではあるのですが、私自身数回読み直しても理解しがたい部分が小骨のように残っています。
読了日:11月30日 著者:ガイ・バート
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 上ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 上
動けなくなっているリスベットなので、安楽椅子探偵ならぬ安楽椅子戦士なのです。徐々に彼女を助ける人が集まりだすところが面白いと思いました。情報戦を制した者が勝つ、という部分に強烈な面白さを感じる人は感じるのかも。ただ三部作の中で私はここが一番面白いと思う。下巻へ。
読了日:11月30日 著者:スティーグ・ラーソン
ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 下ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 下
後半法廷闘争になっていて、そこにきてようやく、このミレニアムって、孤島物、サスペンス、スパイ物、法廷物と全ての要素をぶち込んだミステリだということに気づきました。意外な過去がめくれていくたびにわくわくはしました。あと法廷部分が非常に面白いと思いました。ただ色々疑問も。ストーカー事件は彩り?ザラあっけない?最大の疑問は妹。4部にあったのかなあ?合掌。
読了日:11月30日 著者:スティーグ・ラーソン
ミレニアム2 下 火と戯れる女ミレニアム2 下 火と戯れる女
で、謎は解けたわ。ボクサーが(実在らしい)素敵よね。あとレズの友達がお気の毒。ザラがキーパースンになっているところがミソかな。驚きは小さかったけれど。ううんとううんと、でも正直なところ、私は実に普通の小説かも。そこまで評価が高い?というのがよくわからない人間です・・・読ませはするんだけど・・・とりあえず最後まで行きますが。ここ好みね、もう、すみません・・・
読了日:11月28日 著者:スティーグ・ラーソン
ミレニアム2 上 火と戯れる女ミレニアム2 上 火と戯れる女
1のあれこれを踏まえた上での2であるけれど、2上の後半になってからの方がずうっと面白い、と私は思いました。女主人公の「最悪の出来事」がどうなっていたのか、闇の事実の本を出版しようとする人間の行方、と興味は尽きません。どんなに皆が疎外している人間にも支援者はいるんだねえ・・のまま、下に突撃。
読了日:11月28日 著者:スティーグ・ラーソン
沈黙の教室 (ハヤカワ文庫JA)沈黙の教室 (ハヤカワ文庫JA)
言論統制があるようなひどい中学校のクラス3年A組。そこにやってきた新担任。そこには恐怖新聞というものが発行され、粛清という嵐が吹き荒れていた・・・その十数年後に復讐者がやってくる・・・全てを見通している恐怖新聞がとても怖くて、次々とクラスで災厄が起こるたびにぞくっとしました。一体誰が・・。ただ、中盤から誰がどういう役割なのか、というのが見えてくるのが惜しいかも。記憶を失った人間が誰かというのも比較的わかりやすいかも。『意外性』が少ないのが決定的に惜しいと思いました。恐怖新聞発想は面白いのにね。
読了日:11月26日 著者:折原 一
SOSの猿SOSの猿
読んでいる間中、多幸感に満ち満ちていました。懐かしい章ごとに上の影絵があって、一見関係ない物語が交互に語られています。それが結びついていった時の驚愕もあるし、西遊記幻想・猿の幻影・猿の囁きと猿尽くし。二つの話がばっと結びつく巧みさもあるのですが、何よりも言語表現のセンスの良さと細かなエピソードにくらくらしました。現代的テーマ(引きこもりとか虐待)を含みつつ、ユングありフロイトありエクソシストありの盛り沢山。幻想と異相の世界観があるところが面白いなあ・・・
読了日:11月26日 著者:伊坂 幸太郎
本の読み方本の読み方
どの本を読むべきかみたいな本の案内書ではなくて、本を読む「姿勢」みたいのを真摯な姿勢で語ってくれる好著。引用している作家も作者の博識振りを裏打ちするように、ブラッドベリ、牧逸馬、坂口安吾、ポール・ボールズと多岐に渡り、それらの本との関わりぶりがまた楽しくぐいぐいと読ませたのでした。緑陰の読書って憧れるけれど、確かに自然に眼がうつって本は読めないかもね・・・
読了日:11月24日 著者:草森 紳一
壊れやすいもの壊れやすいもの
二ール・ゲイマンの短篇と詩が入っている作品集。ゲイマンって現代の語り部だと改めて思いました。暖炉の前のソファーでお祖父ちゃんに楽しい昔話を冬の夜に聞いている、そういう気持ちにさせてくれるのです。SF、ミステリ、ファンタジー、ホラーと内容的にも多岐に渡っていて、軽々とそのラインを跳梁していってしまいます。冒頭のミステリとホラーの融合体「翠色の習作」にまず腰を抜かされ、その後も秀作揃いで読み耽りました。マトリックスモチーフ、ナルニアのある人物注目作、アメリカンゴッズの続編と、興味の種は尽きません。
読了日:11月23日 著者:ニール・ゲイマン
こどもたちは知っている―永遠の少年少女のための文学案内こどもたちは知っている―永遠の少年少女のための文学案内
子供を中心に据えて見ると文学ってこう見えるんだ、という視点の文学エッセイでした。とても面白く、ドストエフスキーのカラマーゾフからディケンズ作品の数々から、アメリカ作品のトムソーヤから、果ては日本の名作「銀の匙」や「芽むしり仔撃ち」まで縦横無尽に語っているのを読むのが刺激的でした。既読本は再読したくなったし、未読本はそそられたし。小さな子供のいる暮らし、小さな子供を絡めた文学への温かい眼差し。そういうのをひしひしと感じました。
読了日:11月23日 著者:野崎 歓
まほろ駅前番外地まほろ駅前番外地
懐かしい二人が帰ってきた!三浦しをんの小説って、会話が読ませるのです、嘘じゃない会話、そして実のある会話と言うところで。まほろという町に住んでいる人達のあれこれを描きつつも、実はその中に、多田と行天の能天気に暮らしていると見せかけながら抱えている「深い深い心の闇と鬱屈」が内包されている小説だと思いました。くすっとする話も多くて、私のお気に入りは『思い出の銀幕』と『由良公は運が悪い』と最後の『なごりの月』。にしてもこの主人公の男性二人はほのかに・・・あれ・・・・の匂いが・・もごもご・・次作が楽しみ!
読了日:11月22日 著者:三浦 しをん
製鉄天使製鉄天使
ま。間に入った語り手と聞き手というのが最後にわかるところがいいかなあ。
読了日:11月22日 著者:桜庭 一樹
真夜中に海がやってきた真夜中に海がやってきた
非常に混沌とした物語ながら、面白く読みました。幻視された東京でメモリーガールとして働くクリスティンが冒頭に出てきて、視点が様々に変わり、時制も場所も錯綜して、悪夢の世界をとぼとぼと漂っている感じがたまらなかったです。一つ一つのエピソードも卓越していました。誰と誰がどういうつながりがあるのか。狂気のカレンダーとはどういうものなのか。それらが最後の方で怒涛のように押し寄せてきて、脳を攪拌してくれる圧倒的な存在感に満ち満ちた小説でした。
読了日:11月22日 著者:スティーヴ エリクソン
球体の蛇球体の蛇
とても面白く読みました。最後の数ページまで気が抜けません。ミステリ色は希薄でどちらかというと文芸色が非常に強く、特に乙太郎さん造型にぐっときました。青春回帰の「甘酸っぱい部分」と「非常に苦い部分」がきめ細やかに描かれていました。スノードーム、童話星の王子様の使い方も秀逸。これで終わりか・・と思ったあとに更なるめくるめく世界が。どこにつながるんだろう?と思っていた箇所が読み返すと(ここにこうつながるんだ)とわかったり。これ以外の広がりの話も自分で考えると面白いかも。
読了日:11月19日 著者:道尾 秀介
あの日、少女たちは赤ん坊を殺した (ハヤカワ・ミステリ文庫)あの日、少女たちは赤ん坊を殺した (ハヤカワ・ミステリ文庫)
二人の貧しい白人少女が裕福なエリート黒人の赤ちゃんを殺す、という辛い設定なのです。だから、人種差別問題もあるし、報道のあり方もあるし、裁判のやり方もあるし、多くの問題が入り込んでいる作品でした。冒頭、貧しい、友達のようで友達でもない白人の女の子が二人パーティーに呼ばれる場面から始まるのですが、ラストまで読んでそこを読み返すと実に複雑な気持ちになります。施設に入れられた二人の少女がその後どういう人生を歩むのか。このミステリは、読者もミステリの中の人達も「人に対しての思い込み」を最後見せ付けてくれました。
読了日:11月18日 著者:ローラ リップマン
黄昏の囁き (講談社文庫)黄昏の囁き (講談社文庫)
「囁き」シリーズ第三弾。死んだ男の弟の小さい頃の抜けた記憶。これが時折ぶおーんと出てくるところが何とも怖かったです。幼い頃の記憶で、何より私が驚いたのは、犯人ではなくて、殺された人間の真相でした。まさかこのような記憶の改変があるとは・・・。犯人は、ちょっと動機が納得したようなしないような。一旦終結と見せて、最後の方でもう一度違う犯人像が出てくるところも巧みでした。囁きシリーズの私の順位は、緋色≧暗闇>黄昏。ああ・・楽しかった囁きシリーズの旅終了。
読了日:11月18日 著者:綾辻 行人
暗闇の囁き (講談社文庫)暗闇の囁き (講談社文庫)
「囁きシリーズ」第二弾。ミステリ色よりホラーとかサスペンス色が強いシリーズ。そして記憶がテーマになっていて私は楽しめました。細部突っ込めば突っ込みどころはあるものの(特に最初の事件の犯人)なぜ黒髪とか眼とか爪が奪われたのか、という大団円にくらっとしました。謎の二人の美しい幼い兄弟と彼らと常に遊んでいるらしい「あっちゃん」の存在が不気味です。二手に分かれるんだろうなあ・・・ミステリを求めていて違うぞと言う人と、こういう耽美的なのが好きだという人と。私は好きです、このシリーズ。なんせ読む手が止まりませんから。
読了日:11月18日 著者:綾辻 行人
化身化身
表題作は、安部公房の「砂の女」を思い出しました。設定は非常に面白いし、とんでもないところに落っこちた人間の、最初から中盤までのサバイバルと生き延びるための工夫みたいのも読ませるし、この状況下で恐ろしく冷静なのもかえって怖さをそそりました。また途中の猿場面がとても怖いし(見つめられるって怖い)途中でこの人が「ある状態になる」こともぞくっと感じさせるあたり、読ませる力がある人だと思いました。ただ、ラストが私の好みではないかなあ。もっと強烈なものを!(残り二作は・・・無言・・)
読了日:11月16日 著者:宮ノ川 顕
三十九階段 (創元推理文庫 121-1)三十九階段 (創元推理文庫 121-1)
スパイ小説と言われていて敬遠していたのですが・・・全く違って(まあスパイ小説ではあるものの)牧歌的な雰囲気の中、ある一人の青年が巻き込まれた「二つの組織から追われる」という逃走劇でした。逃走劇と言っても、逃げるところは、羊飼いのいる場所だの、酔っ払いの道路工夫がいる場所だの。本の最初に手描きっぽい地図があるので、それを見ながら変装した青年と旅をした気持ちになりました。三十九階段の意味は、意外にあっさり解けるのですが、その解けてからがちょっとだけ怖かったかな。
読了日:11月16日 著者:ジョン・バカン
毒入りチョコレート事件 (創元推理文庫 123-1)毒入りチョコレート事件 (創元推理文庫 123-1)
推理小説のある意味原型で更に反骨精神もある作品。渡されたチョコレートを別の人にあげてその人の奥さんが亡くなる。単純にこれだけの事件なのですが、それを数人が推理しまくるのです。推理してはひっくり返される。ひっくり返されてはまた別の推理が出る。この繰り返しで推理合戦が展開されていきます。説得力が一人一人あるので私なんか毎回これか!と思いつつ読んでいました。誰がどういうことを言ったか、誰が推理の何に注目したか、誰が秘密の情報の何を知っているか。それぞれが違っているのが最後の方の一覧表でわかって興味深かったです。
読了日:11月16日 著者:アントニイ・バークリー
ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)ジャンピング・ジェニイ (創元推理文庫)
ウッドハウスのジーヴス物ととてもよく似たユーモアが散見した推理小説でした。そもそも最初からこの人達が稀代の有名な(解説を読むとばっちり誰だかわかるようになっている)殺人犯の仮装パーティーをしていると言う出だしからにっこり。ロジャー・シェリンガムの「迷」探偵役に笑いつつ、やることなすこと全て裏目に出るという不運にもくすくす笑い。何度も真相が出てきてはひっくり返り、ラストの一行の真相には、驚きながらも大爆笑したと言う何とも幸せなミステリでした。にしても、椅子椅子椅子!
読了日:11月16日 著者:アントニイ・バークリー
寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫 Aム)寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫 Aム)
脳内に「外国の美少年達」というのが回っていたせいか、とても面白く読みました。話は、テルレスという一人の少年がギムナジウム(これだけでどきどき!)に入り、そこで性的発露を交えた苛めに関わっていくのですが・・・青春特有の青臭い論議と理論、男子生徒同士の軋轢とヒエラルキーと鬱屈したどうしようもない性衝動。そういうのが小説と言う形態で見事に語られていると感じました。バイネベルクの語りが面白かったなあ、あと。
読了日:11月16日 著者:ムージル,丘沢 静也
悲しみを聴く石 (EXLIBRIS)悲しみを聴く石 (EXLIBRIS)
モノローグの密室劇を読んでいるような作品でした。植物状態の夫に介護している若い妻が滔々と喋り続ける。面白いのは、最初と最後でこの妻が何だか変わっているのです。こうなるまで夫に本当のことの100分の1も喋っていなかった妻が、自分の思っていたこと、感じていたこと、そして更に重大な秘密をいくつもいくつも語り始める、そして妻は変わっていく・・・。タイトルが非常に意味深く、無言の夫が伝説の石になっているのです。かなり引き込まれました。そして、ラストがまた伝説の石の物語を思い出すとまた味わい深いものでした。
読了日:11月14日 著者:アティーク ラヒーミー
ごきげんな裏階段 (新潮文庫)ごきげんな裏階段 (新潮文庫)
ごめんなさい、猫が喋るとか蜘蛛が喋るとか、乗り切れないままに終わりました。なんとなく習作という感じが免れないのですが・・・。絵本とかだったら良かったかもね。
読了日:11月14日 著者:佐藤 多佳子
フリークス (光文社文庫)フリークス (光文社文庫)
大好き。ミステリのみを望んでいる人には向かないかもしれないけれども、正常と異常の境目の人間達をある精神病院を舞台として鋭く切り取っていると思いました。有名某作品(日本と海外)が二つオマージュとなっているので、それをどちらも彷彿とさせるのですが、また綾辻さんには綾辻さんの面白さが光っていました。信頼できない語り手というのを背中に感じつつも読み進めるスリルが作品全体にみなぎっていました。(私はこの表題作が好き。二重三重の罠が仕掛けられていて)
読了日:11月14日 著者:綾辻 行人
緋色の囁き (講談社文庫)緋色の囁き (講談社文庫)
厳しい戒律のある女子高の寮に転校したばかりの少女の目の前で死亡者が次々に出る。これは殺人か何かの呪いか・・・。非常に面白く読みました。私好みの話でした。「魔女」という言葉の意味、折々にはさまれる幼い姉妹の日常の謎の回想、主人公の女子高生の記憶の欠落。全ての謎が最後にどっと解けるカタルシスがありました。ホラーよりでタイトルどおり緋色が際立つ物語ですが、ミステリとしても私はよく出来ていると思いました。何よりも雰囲気があるし。
読了日:11月14日 著者:綾辻 行人
よろこびの歌よろこびの歌
光り輝く素敵な小説。瑞々しい感性が煌き、丁寧な紡ぎ出されて来る言葉の数々に心を鷲掴みにされました。音楽を志しながら挫折して普通高校に入った主人公。そして彼女を取り巻く級友達。それぞれが屈託を抱えているのです。その屈託が一つの歌で線につながり大きな歌と言う流れになっていく様が見事にきめ細やかに描かれていました。心が疲れている時にこういう本を読むと元気付けられます。忘れかけていたあの頃の「誰かとつながりたい」とか「夢や憧れやそれに伴う微かな痛み」とかも同時に思い出し最後涙が溢れ出て止まりませんでした・・・・
読了日:11月12日 著者:宮下 奈都
AnotherAnother
抜群に面白い!大きな満足感とともに読み終えました。最初のイントロダクションの怖い会話から引き込まれ3年3組の恐怖の世界にずるずると引き込まれました。ホラーではあるのですが推理小説としての伏線も見事で、ラストのwhoは全く予想がつきませんでした。スプラッタ場面もややあるものの、基本のホラーは学校伝説のぞくっとするホラーなので私でも大丈夫でした。メイのクラスでの立ち位置が冒頭から恐怖感を煽り、まずここで驚愕。そしてラストに行くにつれてのただならなぬクラスの不穏さがたまりませんでした。
読了日:11月10日 著者:綾辻 行人
掏摸掏摸
大変面白く読みました。純文学であるのにエンタメ的な企みに満ち満ちていました。スリをしている人間の側の論理、彼が親交を持った男の子との関わり、男の子の母との接触、更に彼の上にいる絶対悪の男の論理。これららががちっと歯車のように噛み合わさって一つの文芸作品を作り上げていました。どの場面も細かに描写され一瞬たりとも目を離せませんでした。久々に純文学も読ませるなあと思った作品。
読了日:11月10日 著者:中村 文則
犬と鴉犬と鴉
わかりやすいわかりにくいの分類だったら、わかりにくい話なのですが強烈jに惹かれる世界でした。表題作はイメージが鮮烈で、唐突に戦争が始まり主人公が病気で徴兵検査を逃れ空から犬が産み落とされ、と内容を語っても意味がない豊穣な言葉に彩られた物語。別の二つも父親不在というところは共通していますが、独特の田中慎弥の世界が広がっているのです、どこまでも。
読了日:11月10日 著者:田中 慎弥
とんぼの本 須賀敦子が歩いた道とんぼの本 須賀敦子が歩いた道
須賀敦子作品を踏まえて読むべき作品、だと思いました。これはあのエッセイとつながっている写真だなあとか、これはあれと関わりがあるなあと思えるから。あの須賀敦子の一生がどのように形作られていったか、そこでイタリアの果たした役割というのもさることながら、煌く至高の芸術作品の数々が須賀敦子の血となり肉となるのを見るような思いがしました。ラストの松山さんの須賀敦子に語りかけの文章もお見事。
読了日:11月07日 著者:アレッサンドロ・ジェレヴィーニ,須賀 敦子,芸術新潮編集部,松山 巖
フランスのアンティークファブリック―フランスから届いた、色鮮やかな布フランスのアンティークファブリック―フランスから届いた、色鮮やかな布
ただただうっとりと眺めて愛でる本。花柄も勿論可愛らしいのだけれど、赤頭巾ちゃんとか物語の絵柄も何とも愛くるしいなあ。ちゃちなプリントじゃなくて細かく模様が入っているところが美しいかなあ。トワル・ド・ジュイという、かつては木版や銅板を使って製作されたらしいファブリックは見ていて精緻で尚且つ芸術品のよう。こういう布でブックカバーとか作りたいものです・・・
読了日:11月06日 著者:SUCRE CUIT
図地反転図地反転
表題が抜群でありそれはそれは期待して読みました。人物はそれぞれかなり細かく描けていたと思います。このタイトルの意味しているところの説明が途中であってそれは面白いのに、作品全体との関わりが腑に落ちるようで腑に落ちないような曖昧な気持ちになりました。テーマ性ということでは面白いのに捻り方が私の期待した捻りとは違ったある意味「真っ当な」捻りというのが残念至極。私が一番驚いたのは平八郎の娘との謎の齟齬の原因だったけれどこれも描き込みがあと一歩のような気が。あと、ラストがねえ・・カタルシスがないかなあ・・・
読了日:11月06日 著者:曽根 圭介
幼女と煙草幼女と煙草
かたや、殺人犯であり最後の一服を所望したために思わぬ展開が待っている死刑囚、かたや真面目な公務員だけど子供嫌いが災いして「煙草」が元になり思わぬ人生の陥穽に陥る男。この二人の物語がほぼ交互に語られています。権利を主張すると言うこと、絶対的に子供優位の社会、一見本当のこの世界の出来事のように思わせるシニカルな目が全篇に漂っていました。でも何より着地が!私はそこに一番のけぞりました、こんな着地とは思いもよらず・・・・(途中の男の子供への苛立ちの気持ちがわかりにわかった私は子供嫌いなのか?)
読了日:11月05日 著者:ブノワ・デュトゥールトゥル
ヒッチコックに進路を取れヒッチコックに進路を取れ
稀代の映画語り手お二人(和田誠の絵もいい!)が、それはもう縦横無尽にヒッチコックを語ってくれるところが震えるほど面白い本でした。ファンであったら尚更、ファンでなくても見たい!と思わせてくれる一冊でした。一つの映画についてこれだけ語れると言う二人が素敵だし、あと、ヒッチコック作品と多くの作家つながりもチェックしました。全部は見てないので、全部見たい!!という気持ちに駆られます。有名ではない作品もこういう見方があると紐解いてくれた貴重な本でした。(見た中での私のベストは、裏窓、かな)
読了日:11月05日 著者:山田 宏一
シナの五にんきょうだいシナの五にんきょうだい
バレエ・メカニックに出てくるので再読。これって、異能兄弟の話だけど、全員が顔が同じというところが話の重要部分になっていると改めて思いました。最初のミスからどんどん兄弟が入れ替わりそれぞれの特技で死刑を免れようとする・・・私が一番うおっと思うのは、ずうっと話が続いてきて、やっぱりラストなんだよね。ラストあたりをバレエ・メカニックに使ったのもわかるわかる!と思いました。(途中の海の底に立つ話も絵として面白いな)
読了日:11月05日 著者:クレール・H・ビショップ

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