2009.12.28 NOVA
NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫 お 20-1 書き下ろし日本SFコレクション)NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫 お 20-1 書き下ろし日本SFコレクション)
(2009/12/04)
伊藤 計劃円城 塔

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評価 5

SFそのものもあったし、SFっぽいものもあったし、という多彩な面白さがあった作品集だった。
何しろ伊藤さんの話が読めないのが辛い。
これってシャーロックホームズのパスティーシュの一面もあるだろう、というのは容易に想像が尽くだけに、一筋縄ではいかないだろう、と想像できる先の話が読みたくてたまらない。

一番良かったのは飛浩隆の「自生の夢」。
飛びぬけての好みだった。
映画のミツバチのささやきが(大好きな映画)こうして使われることも素晴らしかったし、この世界観がたまらなく好きだった。
この話って、ここにあるだけではなくずうっとその先を感じさせるのだ。
この一編だけでも、このNOVAは買った価値があるといったら言い過ぎだろうか。

小林泰三の忘却の侵略も記憶、ということをテーマとした侵略もの、だけれど、前半が全く何だかわからない分、後半ほどけるようにわかってくるところが面白い。
女性との掛け合いの会話がきらりと光るのだ。

田中哲也の隣人は、糞尿譚でにおいもあるけれど、これもまた読ませる読ませる。
全く会話にならない隣人とのやり取りがむなしく響く不条理感が面白い。
円城塔のBeaver Weaverは、途中の数学的なところはよくわからない。
でもわからないながら、全体には硬質な文章を楽しみ尚且つ読み応えのある作品だった。

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社員たち(北野勇作)/忘却の侵略(小林泰三)/エンゼルフレンチ(藤田雅矢)/七歩跳んだ男(山本弘)/ガラスの地球を救え!(田中啓文)/隣人(田中哲弥)/ゴルコンダ(斉藤直子)/黎明コンビニ血祭り実話SP(牧野修)/Beaver Weaver(円城塔)/自生の夢(飛浩隆)/屍者の帝国(伊藤計劃)