2月の読書メーター
読んだ本の数:35冊
読んだページ数:9877ページ

人格転移の殺人 (講談社文庫)人格転移の殺人 (講談社文庫)
馬鹿だなあ・・・と頭をグリグリ撫でたい気持ち。こういう話を考えつく頭を本当に尊敬します、馬鹿は褒め言葉です。SFとミステリの融合であり、西澤保彦のこの分野の面白さが溢れ出ている傑作。「人格が転移する」というのは一対一では比較的設定としてあると思うものの、このように「複数で」行われしかもある条件が付随しているというのは珍しいかも。設定そのものがきちんと説明がなされているところが優れているし、最後のミステリ部分の犯人探しで驚愕しました、こういう方法があったのかと。途中で混乱して眩暈を起こしながら読むのも一興。
読了日:02月28日 著者:西澤 保彦
冷たい肌冷たい肌
「予備知識ゼロで!」「帯を見るな!」という二つの教えを忠実に守り大正解。どういう話か全く手探りの中、衝撃の本でした、それも面白いという意味で。孤島にある男が政治的なことから逃れ行くことになる、というのから始まるホラー&サスペンス&エンタメ小説です(このくらいは書いてもいいだろう・・・)。読んでいる途中解説にもある(風刺?)というのは思うのですが、それより何より圧倒されるのです、この奇妙奇天烈な世界に。また心理状態が刻一刻と変化していく様子が振り子のようで大変読み応えがありました。なんておぞましい小説!(褒
読了日:02月28日 著者:アルベール・サンチェス ピニョル
太陽のパスタ、豆のスープ太陽のパスタ、豆のスープ
ま。宮下奈都大ファンですが、ごめんなさい、合いませんでした。丁寧な描写、徐々に春が訪れてくるような日々の細かな出来事への温かい眼差し、こういうものは高く評価できました。ただ、私には全く主人公の気持ちに寄り添えなかったと言うのが敗因かも。婚約破棄されながら立ち直ろうとする姿に、けなげとかいとおしいとか思わなくてはいけないのだろうなあ・・・自分探しを見せつけられている(しかも他人を介在させての)気がしたのです、すみませんすみません・・・。どちらかというと郁ちゃん造型に惚れ惚れしました。
読了日:02月28日 著者:宮下 奈都
さよならドビュッシーさよならドビュッシー
中間層という感想。つまらなくはないし最後の驚きもあるけれど、そもそも「音楽成長&克己物語」と「ミステリ」が融合しきれていない気がしました。音楽を一生懸命不自由な体でやる頑張る少女の話だと思っていたらミステリだったというのが一番のミステリかも(まあこの賞を取ってる時点でミステリだけれど)。演奏部分とかいいところは多々あるのですが、何だか全て(最後のオチを含めて)がどこかで読んだ感をぬぐえないのだよね・・・新人さんなのでこれからの成長に期待します。
読了日:02月28日 著者:中山 七里
夜鳥 (創元推理文庫)夜鳥 (創元推理文庫)
震えるほど好みの本。一作一作は20ページにも満たない本当に短い小説ながら、ここに狂気、孤独、猟奇、ペーソス、そして溢れるほどの陰鬱な雰囲気が溢れていました。田中早苗の訳がまた素晴らしく、漢字にあてたルビを見るだけでも一興。乞食がいて自殺があって孤独な人間がうろついていて・・。後味がこの上なく悪いのに強烈に惹きつけられる恐怖の闇の世界の本です。「或る精神異常者」の素晴らしさに舌を巻きながら、ダントツの好みは「青蝿」の気持ち悪さでした。(ラストに江戸川乱歩・夢野久作など多くの人が言葉を寄せているのも必読)
読了日:02月26日 著者:モーリス ルヴェル
秘密の花園 (光文社古典新訳文庫)秘密の花園 (光文社古典新訳文庫)
私が読んでいたのが子供向けダイジェストというのに気づいて、本物にあたってみました。土屋京子訳を選んだのは彼女の訳が好きだから。読み終えるのが惜しいほど素敵な物語でした。最初不機嫌でわがまま女王だったメアリーが人の心に接し土と戯れることによって自分を取り戻す、そして鏡像のようなコリンが立ち直っていくその姿にただただ圧倒され涙しました。花園の情景描写も美しく、周りの人達の善意の心が子供をいかにはぐくんでくれるかという奇跡のような珠玉の一冊だと思います。花園も再生したけれど傷ついた子供達の心も再生したのですね。
読了日:02月26日 著者:バーネット
蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア)蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア)
架空の街の作家の連作集。福田作品以外は全員これ以外でも読んだことがあるのですが・・・。やはり群を抜いているのは伊坂幸太郎。最初の道尾さんのある部分をさりげなく助けてあげる優しさに惚れ直しました。話も面白くいつもどおりの軽妙洒脱な会話が光る伊坂幸太郎。私は伯方さんのプロレス小説好きなだけにこれを機会にまた出して欲しいなあ!もうちょっと強烈なリンクがそれぞれにあったら更に面白いかも。地図を載せたのはナイス!
読了日:02月24日 著者:道尾 秀介,伊坂 幸太郎,大山 誠一郎,福田 栄一,伯方 雪日
三谷幸喜のありふれた生活8 復活の日三谷幸喜のありふれた生活8 復活の日
あ、猫のおとっつぁんが死んじゃった・・・シリーズ愛読しているだけに登場している動物にも思い入れが出来ました・・合掌・・・。相変わらずの三谷節炸裂で、人見知りと言いつつテレビにでまくったり(宣伝とはいえ)、お茶目な舞台の出方をして共演者を驚かせたり、吹き替えをしたり、八面六臂の活躍とはこのことだと思いました。とんでもない自意識過剰がまた読んでいて笑いを誘うのです。最後の東京サンシャインボーイズの座談会も読んでいて楽しくてならず、昔の仲間っていいなあ・・三谷さんは幸せ者です。
読了日:02月21日 著者:三谷 幸喜
W――二つの夏W――二つの夏
ま。かすかに微妙。二つの話が交錯していて(ただ片方は短い)、トラックの運転手をしている女の子とかつて同級生だった女の子とのメールのやり取りがあります。ここに家出少女を拾う話、家族間での相克、暴走族での友人の死、などが絡み合い、物語になっているのですが・・・ラスト、ああっという驚きが欲しいかも。伏線はあそこだったんだね・・とわかっても、なるほど!!と膝を打つ気にならないぐらいの驚きしか残らないのです。女の子二人に好感は持てるし、全体の話としては読ませるのに。
読了日:02月21日 著者:永嶋 恵美
美女と野獣 (創元ライブラリ―コクトー双書)美女と野獣 (創元ライブラリ―コクトー双書)
コクトーの書いた、映画の美女と野獣のシナリオ。周知の物語が研ぎ澄まされ、贅肉を全て省いた美しい物語に昇華されています。これだけの単純な話を高みにのぼりつめさせるところがやはりコクトー。全てが詩であり、歌であり、そして彼一流の美学なのです。途中に写真がありそれも興味がそそられます。また解説が海野弘で絶品の解説。新たな視点を与えてくれてとても読み解きにためになりました。
読了日:02月21日 著者:ジャン コクトー
ScopeScope
スコープ少年の不思議な旅、の先にあるこの作品。現実にある、というのが奇跡のような美しい作品集でした。相変わらずスコープからのぞく小さな世界観に魅了されます。この中でThe Secret Gardenは特に好みであり、またナルニア国物語のあの箪笥の先をじいっと見つめました。オブジェもあるのですが、卵オブジェが私の好み。また解説も巌谷國士、四谷シモン、種村季弘とゴージャスな文章が連なり、好みの人にはたまらない一冊です。
読了日:02月21日 著者:桑原 弘明,巖谷 國士
銀の鍵銀の鍵
私の大好きな映画アキ・カウリスマキの『過去のない男』の「感想文」と作者が書いているけれど、オマージュに読めました。ある日ふっと気づいてみると自分が異国にいて人々の言葉がわからない。そんな中お金もないのにただただ人の善意で知らない人の家で温かい家族の食事を取る日本人の女性。花火大会で倒れた時に溢れて出てくる過去の記憶・・・・静かな物語がこちらにしみわたり人を信じる心を取り戻す記憶のない人間・・・この先、を考えさせられる小品でした。
読了日:02月21日 著者:角田 光代
水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)水魑の如き沈むもの (ミステリー・リーグ)
民俗ホラーと本格ミステリの融合と言われるこのシリーズで、水魑~は比較的読みやすいと思いました。そして相変わらず面白いです。視点が、正一君の満州引き揚げから村に至るまでの視点があるのでそこがまた味わいが違って読ませました。人々が色濃く描きこまれ、雨乞い、または治水という水をめぐっての村の儀式の中殺人事件が起こる・・最後に至るいつものどんでん返しに次ぐどんでん返しは今回も健在!私、最後の一歩前までは真相にたどり着いたのですが、最後の最後は全くわかりませんでした・・・(怖さはやや減ったかなあ・・)
読了日:02月21日 著者:三津田 信三
このどしゃぶりに日向小町は (ハヤカワ・ミステリワールド)このどしゃぶりに日向小町は (ハヤカワ・ミステリワールド)
最初の方はまるでディックのSF。目覚めたら記憶がなく白い部屋に閉じ込められ自分が誰かもわからない・・・ある男がある施設になぜ預けられたか、というのをめぐる物語。ところが、SFっぽい?と思っていたら後半に向けて、この施設で彼を救おうとする「鉄拳」メンバー潜入物語へ。施設の人の皆の壊れ方とすさまじさにただただ圧倒されました、最後表紙を見ると、右下にうさぎが。ぎゃーーーーー!!(好みが非常に分かれる作品)
読了日:02月21日 著者:鳥飼 否宇
崩壊崩壊
ホンジュラスの架空の名門一族物語。最初読んでいる時に、娘の結婚式に出ようとする夫をバスルームに閉じ込め行かせないという暴挙に出るレナ夫人のすさまじさに圧倒されました。嫌悪感を持ったかも。その後も政変が続き、国を出た娘にも電話でわめき散らすレナ夫人。ところがラストに向かって家族の歴史が動いていく時に、夫人への印象ががらっと変わってきました。彼女のエキセントリックな感情がわかってくるのです。それは皆が右往左往している政治変化の中彼女だけは何も変わってない不撓のポリシーを持っているからだと思うのです。
読了日:02月21日 著者:オラシオ・カステジャーノス モヤ
エドワード・オールビー(1)動物園物語/ヴァージニア・ウルフなんかこわくない (ハヤカワ演劇文庫3)エドワード・オールビー(1)動物園物語/ヴァージニア・ウルフなんかこわくない (ハヤカワ演劇文庫3)
特に、ヴァージニア・ウルフなんかこわくない、が面白かったです。不条理劇であり、ヴァージニア・ウルフはただの言葉遊びでウルフそのものは出てこないのです。最初から夫婦の強烈な応酬があり、深夜に友達夫婦が訪ねてくるという四人劇。最初の夫婦の息子がどこにいるのか、次の若い夫婦に子供の話をしてはいけないのはなぜか。それらが会話で徐々に解き明かされながら最後の場面はぞくっとしながらも夜明けが見えてくるのです。不言葉も多岐に渡って縦横無尽に操られ、人生を考えさせられる一冊でした。
読了日:02月21日 著者:エドワード オールビー
ハサミ男 (講談社文庫)ハサミ男 (講談社文庫)
とてもとても面白く読みました!事前情報がゼロで読んだことが幸せだったかも。ミスリードが畳み込まれるようになされていて、一種の倒叙物でもあるのです。美少女ばかりを狙う「ハサミ男」。医者との会話部分はどういう事なのか比較的わかるのですが、じゃあ真相は?と聞かれると最後の最後で驚愕の結末でした。終わってから再度読み返すと(特にある部分)とても精緻に出来ているのがわかります。ああ・・思い込みってあるんだなあと改めて思わされた驚愕の一冊。
読了日:02月21日 著者:殊能 将之
ペトリの祭檀 (絵物語・永遠の一瞬)ペトリの祭檀 (絵物語・永遠の一瞬)
ホフマンの「ファルンの鉱山」を読んで教えていただいたので、逆ルートでこちらに。東逸子さんの絵がまず目を惹きます。表紙の不思議な笑いをたたえた表情に魅せられ中を開いてみれば・・そこは幻想の世界。しかも鉱物の幻想。異国を旅するような雰囲気に満ち満ちていて、一緒に旅をしているような気がしてきました。色々な物語が錯綜しているので、そのあたりを紐解いていくと楽しいかも。そしてファルンの鉱山、が出てきたところに感動。
読了日:02月21日 著者:池内 紀
善良な町長の物語善良な町長の物語
前半部分は、夫にかまってもらえない町長秘書と善良すぎる町長さんのひそやかでふくっと笑えるような初々しい恋物語。不倫なのにちっとも汚くないのです。この表紙を何度も見てしまうというマジックが。くっつきそうでくっつかない二人・・後半が意外な展開で、ファンタジック方向へだけど、これもまたいい味わいで、特に消えたサーカス団の人達の描写が良かったなあ。まさか最後あのような展開になるとは。これ、ティム・バートンに映画化して欲しい、ビッグフィッシュのような感じで(もちろんアガーテはヘレナ・ボナム・カーター!)
読了日:02月16日 著者:アンドリュー ニコル
紫色のクオリア (電撃文庫)紫色のクオリア (電撃文庫)
強烈に面白い!前半やたら女同士のあれこれが多く(百合っぽい)しかも主人公が「人間全体がロボットに見える目を持っている」という荒唐無稽さについていけず、手に携帯を入れ込む・・はあ?・・難儀をしましたが。後半なのです、この話のよみどころは!一気に怒涛の展開が始まり、涙が出るようなゆかり救出作戦が始まり、もうここは完全SFでした。平行世界、あたしからあたしへの電話、量子力学、クオリア、繰り返す日常。感動のラストまで一気になだれ込むように読み尽くしました。(SFが読みたい!2010年度版第10位)
読了日:02月14日 著者:うえお 久光
幸福論 ―精神科医の見た心のバランス (講談社現代新書)幸福論 ―精神科医の見た心のバランス (講談社現代新書)
春日先生の「自分体験にひきつけて幸福を考える」の姿勢が根底にあるので、彼に興味がない人が一般的な意味の幸福論を求めるとつまらないかも。私はとても楽しみました。シニカルで皮肉な目、いつもながらの屈折した春日論の展開、引用している小説類の卓抜さ。卑近な「自分中心の日記」のような文章の幸福論から見えてくるものが多くありました。
読了日:02月14日 著者:春日 武彦
ドイツ幻想小説傑作選 ――ロマン派の森から (ちくま文庫)ドイツ幻想小説傑作選 ――ロマン派の森から (ちくま文庫)
悪くはないのですが・・・・私の求めている幻想とここにあるファンタジックな色合いの幻想と大きくずれているような気がしました。ファンタジー好き・メルヘン好きな人ならたまらないのかも。おとぎ話と幻想との中間点、魔女が当たり前のようにいて、大理石像が動き出す・・・・最後のホフマンの鉱山の話とアイヒェンドルフの大理石像の話が比較的好みかなあ・・・・
読了日:02月14日 著者:
ハムレットQ1 (光文社古典新訳文庫)ハムレットQ1 (光文社古典新訳文庫)
海賊版といわれていた伝説テキストQ1。最初のところで、訳者も語っているように通常のハムレットは長いので実際の劇のためにこれを訳したという・・・ハムレットが悩むのが少ないなあと私は思いました。ある場面からある場面に移行するのにさほど独白場面もなくあっさりと次の行動がある印象でした。通常の「原型」ということを考え、舞台化ということを考えると、これもまた十分根源を表現しているのかもしれないとも思います。さっぱりあっさりハムレットではあるけれども。
読了日:02月14日 著者:シェイクスピア
煙滅 (フィクションの楽しみ)煙滅 (フィクションの楽しみ)
技巧中心(原本はeがなくなり日本語訳はい段が消える)で言語遊戯に溢れている小説と思いきや、話そのものも大変魅力的でした。最初にある人間が失踪し、その人間を追っていくうちに壮大なある一族の秘密に突き当たる・・・・最初の方でカサーレスのモレルの発明と思わせる場面があったり、オイディプス王、白鯨があり、果ては萩原朔太郎まで、本好きだったらこのあたりも琴線に触れるはず。消滅ということに関して作者自身の体験が大きく含まれているということを解説で読み納得。しかし・・よくぞ訳したと思います、こういう形で。
読了日:02月14日 著者:ジョルジュ ペレック
フロム・ヘル 下フロム・ヘル 下
下巻に来て、ようやくグラフィックノベルそのものに慣れてきてノリノリ!流れるような絵が映画を見ているような幻視感すらありました。怒涛の最終段階まで強烈に伏線が張り巡らされ、最後の補遺を読み込むとまた色合いが違ってくるという・・・狂気、暴力、暗黒。小説にひけを取らないかもね、これだったら。
読了日:02月14日 著者:アラン・ムーア
フロム・ヘル 上フロム・ヘル 上
最初の部分を10回ぐらい読みました、それほど絵と話が頭に入ってこず・・・途中も、「同じ人」なんだろうけど「同じ顔」に見えないので、これ誰?状態。話は切り裂きジャックの話だと見えてきたのですが・・・・以下下巻に続く・・・
読了日:02月14日 著者:アラン・ムーア
メビウス・レター (講談社文庫)メビウス・レター (講談社文庫)
面白いし、非常に作りこまれた(ここが好み分かれるかと思う)複雑なミステリでした。読み返すと、単純に、過去と現在の入り乱れとか、作家の元に来る謎のレターとか、作家の謎の過去、とかだけではないのが、本当にメビウス状態と言うのがわかります。二転三転のトリックがやや技巧に走ってるかなという雰囲気も。謎が多いのです、それもかなりの説明を要する謎が。ただ途中のどきどき感とラストの怒涛の展開で欠点(と見えるところ)が相殺されるかなあ。
読了日:02月11日 著者:北森 鴻
プールの底に眠る (講談社ノベルス)プールの底に眠る (講談社ノベルス)
むむむ・・・ボーイミーツガール話として、読ませはするのですが。語り手に村上春樹の影のようなものを感じました、特にイルカとセミの会話に。語り手の心に寄り添える人はプラス評価なのかも(私はいらいら組)。焼き鳥屋、バット、ゴミ屋敷、プール、裏山と印象深い場面も多々ありました。13年後の留置場と言う設定がわかるのですが(事件が事件だけに)、それでもなんだか小骨がつっかえたようなそういう設定に感じました。雰囲気は嫌いじゃないんですが。
読了日:02月08日 著者:白河 三兎
V.T.R. (講談社ノベルス)V.T.R. (講談社ノベルス)
「スロウハイツの神様」でチヨダコーキが17歳に書いたデビュー作、というのがこの作品の触れ込みなのです。17歳の作品でしかも中高生に絶大な人気作品(という設定)なので、私には普通だったのかなあ・・・・。チヨダコーキの書くものって、もっと魔法のファンタジック作品とばかり思っていました。何より本の作りが面白いです、裏にはチヨダコーキ表紙があり、奥付が二つあり、しかも日付がドラえもん誕生日。
読了日:02月08日 著者:辻村 深月
NのためにNのために
ある殺人事件があり、それに対して数人の人がモノローグで語っていく・・・読ませはするし、一種「藪の中」状態と言うのも面白いのですが。気になったのは同じような心的トラウマの人間がこんなに集合するのかということでした。タイトルのNは皆のイニシャルになっているので、ここもまたわかりにくいし(とりあえず考えてはみたけれど)。誰が誰のためにどういうことで自分の役割を果たしていったか。どういう真相を隠していたのか。そこらあたりが読みどころなんでしょうが、サプライズが決定的に不足しているように思えました。
読了日:02月08日 著者:湊 かなえ
灰色の魂灰色の魂
フランス小説であり、沈鬱な趣が実に好みでした。優れた作品がミステリの要素を帯びてるという典型作品。まず語り手の「私」は誰か。小さな女の子ベルの殺人事件の犯人は誰か。若き妻を失った検察官はどういう役割を果たしているのか。村に突如現れた美女の先生の死は何なのか。一見推理小説に見えるのですが、暗鬱な雲に隠されたような人々のもつれた心理の糸が解けてくるところが読ませました。すぱっとした答えがこれまたある小説ではないけれど、噎せ返るような複数の愛の物語なのです。タイトルも絶妙で感じ入りました。
読了日:02月07日 著者:フィリップ・クローデル
Anniversary50 (アニバーサリーごじゅう) (カッパ・ノベルス)Anniversary50 (アニバーサリーごじゅう) (カッパ・ノベルス)
わくわくするような作者名が並んでおりますが・・・・申し訳ない・・・とてもとても正直微妙。宮部さんですらこういうの私は苦手なのでううむううむ・・・綾辻作品は、そもそもこのシリーズが好みじゃなかったことを読んでいる間に思い出したり。あ、地味に横山ファンなので、どう転んでも彼の作品は(これも)好きかも。50に無理矢理落とそうとしなければ、もっと百花繚乱になったのかなあ・・・
読了日:02月07日 著者:綾辻 行人,有栖川 有栖,大沢 在昌,島田 荘司,田中 芳樹,道尾 秀介,宮部 みゆき,森村 誠一,横山 秀夫
アーサー・ミラー〈1〉セールスマンの死 (ハヤカワ演劇文庫)アーサー・ミラー〈1〉セールスマンの死 (ハヤカワ演劇文庫)
何十年ぶりに再読。今の方がずうっと理解できたと思いました、空しい仕事をしているセールスマンの父の気持ちが。普遍的な物語で、反抗する息子達、思い通りにならない人生、人生の岐路の失敗・・・どれも現代日本でもあり得ることであります。またセールスマンが何を売っていたかというのは最後までなく、自分(自我)を切り売りしていたというのが見えた時に、人生をえぐっている作品だなあと改めて感じ入りました。また「謎」があり、それはなぜ息子が数学の再試験を受けなかったかと言う秘密が最後の方で明らかになります。
読了日:02月05日 著者:アーサー ミラー
君がいなくても平気 (カッパ・ノベルス)君がいなくても平気 (カッパ・ノベルス)
ま。ファンだったのですがここにきて全く琴線に触れなくなり・・疑いのそもそもの元が、レシート?それで一見途中の語り合いが、ロジック展開に見えるけれど、都合の悪い事はロジックに入らないと言う不思議。あと、これだけのエロシーンって必要なのでしょうか、サービス?(だ・・誰に対して・・)
読了日:02月05日 著者:石持浅海
ミリー―天使にであった女の子のお話ミリー―天使にであった女の子のお話
センダックの息を呑むような絵と、グリムの残酷で美しい物語の調和が何ともいえない味わいを出しています。戦争があるので愛しい娘を森へ逃がす母親。そしてそこで何とか生き延びる娘。そして・・・・大団円でセンダックの絵がこちらにぐうっと迫ってきます。物語の強さと絵の緻密な美しさが合体された稀有な絵本。
読了日:02月03日 著者:ヴィルヘルム・グリム

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