9月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
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短篇コレクションI(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集) (池澤夏樹=個人編集世界文学全集3)短篇コレクションI(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集) (池澤夏樹=個人編集世界文学全集3)
どこから開いても楽しい傑作短篇集。作家のエッセンスのようなものが凝縮されている作品群だと思いました。コルタサル作品は何度読んでもその時々で感激できる傑作中の傑作。好みで言えば、ルルフォの暗さの素晴らしさ、バスの時間の使い方のうまさ、イドーリスの官能性の怪しさ、アトウッドの・・・、と書き始めてどれも好き、ということに気がつきました(一作だけやや好みから外れるというのはあったものの)。バーセルミのバットマンモチーフ小説がいかにも彼らしくてにまり。ジョン・バースは何の話かというのが途中で分かると実に面白い。
読了日:09月16日 著者:コルタサル他
おとうとの木おとうとの木
最初からネガティブキャンペーンかと思うほど、主人公がぐだぐだぐだぐだ過去の回想と愚痴を言う・・・私なんかこの男がよくぞこのいい嫁と結婚できた(嫁はいい)とそこに感動し、これが大きなトラップなのかとまで思ったけど、別にそうでもなく。実は真相は途中で分かりました。ただそれが分かっても尚且つ面白さを保てているかというとそこは微妙。血液の中を這いずり回る感じ、ムカデの場面とかは気持ち悪くて良かったけれど、全体に茫洋としているかなあ。昭和史もあり転生もありで、やや分散してるのかも。化身は大好きなので次回作期待。
読了日:09月11日 著者:宮ノ川 顕
からくりがたりからくりがたり
わからない・・・深く深く考えています・・・これはミステリ?ホラー?それともサスペンス?幻想?エロはいいんです、もう西澤保彦はエロは仕方がない、だけどこれって最後にずるっと真実が出るとかひっくり返るとかそういうのを期待しながら読んだので、最後まで意味不明でした。読み取りが浅いのかもしれませんが。計測機とは?人智を超えたもの?兄の自殺は?最後、「全てが●●」と言う言葉が出てきたところで腰抜かしました。だけど読み続けてしまった自分がいる・・面白くなりかけなんだけどなあ・・(←ファンなのでとりあえずフォローを)
読了日:09月07日 著者:西澤 保彦
市立第二中学校2年C組市立第二中学校2年C組
中2ってこんなだっけなあ・・あまりに遠い話で忘れてしまったのですが。話としてはある一日のあるクラスの全員の心を時系列に並べる、という単純な手法なのです。読了後ずしりと残るものは少ない気もしますが、さくっと読めて、いじめとか初恋とか体感できました。そして最後に最初に掲げてあった座席表を見ると、誰が誰やらわからなかったのがわかるようになっている不思議。今度はこの一人一人を細かく炙り出していくような話が読みたいかなあ。
読了日:09月07日 著者:椰月 美智子
繰り返し読みたい日本の名詩一〇〇繰り返し読みたい日本の名詩一〇〇
懐かしい!!のただ一言。教科書に出てきたような名詩がずらっと並んでいて、朔太郎、中也、八木重吉と、懐かしのクラスメートにあったような気持ちでした。やっぱり好きだったのは村野四郎の研ぎ澄まされた洗練された詩の数々。宮沢賢治の妹への詩も今読んでも涙が出ました。知らない作者もいたのでちょっと驚いていましたが・・・
読了日:09月06日 著者:彩図社文芸部
ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)ヨーロッパ思想入門 (岩波ジュニア新書)
ジュニアというのにはあまりにレベルが高いのですが、とても面白く読みました。最初の方の古代ギリシアの思想とヘブライ信仰の解説も、そして後半の哲学の流れも、脈々と体の中になだれ込んできました。特に最後の方の哲学の流れがわかりやすくて良かったです。これもでも入門だからここから、だね・・・
読了日:09月06日 著者:岩田 靖夫
ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫)ギリシア神話を知っていますか (新潮文庫)
ギリシア神話入門、というのにはとても手っ取り早い本。格調はないがでもわかりやすい、わかりやすいがこれでいいのか、と言う気もする、そういう本。途中で作者が卑近な例を挙げるたびに(うううん・・・)とは思いもするものの、手っ取り早いのです、わかり方としては。ただ、ここから発展したいよね、是非とも。
読了日:09月06日 著者:阿刀田 高
アンティゴネー (岩波文庫)アンティゴネー (岩波文庫)
「ちゃんと埋葬してあげないと楽園に入れない」という当時の風習を頭に入れた上で、アンティゴネー(女性)が自分の兄弟遺体が野ざらしになってるのを王の命令に背いてまで埋葬しようとして逆鱗に触れる、と言う悲劇。逆らった王様は自分の叔父さんで、しかも婚約者のお父さん。だからここでまた悲劇が生まれ、更にお后様にまで悲劇が及ぶ・・・だけど、元はと言えば、アンティゴネーのお父さんのオイディプスの罪まで遡るので、実に東洋的に言えば、因果は巡る、みたいな。とても面白いです、時代を経てもこういうのって変わらないから。
読了日:09月06日 著者:ソポクレース
アガメムノーン (岩波文庫)アガメムノーン (岩波文庫)
頑張って仕事を終えて(この場合戦争)愛人を連れて(この場合予言者カッサンドラ)家に帰ってみたらば、妻(この場合クリュタイムネストラ)も浮気していて、しかも帰宅後お疲れの夫を自分の愛人とやっつけるという悲劇。(この前段でなぜ妻が夫を憎悪しているかを頭に入れておくと妻の行動が理解できると思う)。死の連鎖であり復讐の回り灯籠であり。このあと、も、更に面白いよね・・・解説がさすがに岩波!と思うほどに良い解説でした。
読了日:09月06日 著者:アイスキュロス,Aeschylus,久保 正彰
神の棘 2 (ハヤカワ・ミステリワールド)神の棘 2 (ハヤカワ・ミステリワールド)
面白かった!後半(つまりⅡ)で怒涛の展開になり、ヴァチカンを巻き込み、更に、マティアスが捨て身で身障者の子供を助ける場面とかも圧巻でありました。私が、ドイツナチスの時代のことで長年疑問と思っていたことをくっきりと描き出してくれたというだけで読んだ甲斐がありました。話としても読ませるし、ラストのサプライズもあって大変満足しました。(誤植を訂正して、あと地図をつけ、願わくは特殊用語の一覧とかがあったら最高かも)
読了日:09月04日 著者:須賀 しのぶ
神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)
読了日:09月04日 著者:須賀 しのぶ
神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)
表紙から何となくBLっぽいのですが違います、真っ当な歴史エンターテインメントでした。ナチスドイツ時代にいた幼馴染のアルベルトとマティアスが両極端の二つの道を行く・・・一人は神を捨て一人は神を信じて。途中、何度も遠藤周作の「沈黙」を思いました。ナチスの蛮行の際に神は何をしていたのだろうと、そして実際のことを言えば教会は何をしていたのだろうと。聖書の言葉が何度か出てくるのですがそこでも立ち止まりました、複雑な思いとともに。まだⅠは話が展開していませんが期待のままⅡに進みます・・・
読了日:09月04日 著者:須賀 しのぶ
音もなく少女は (文春文庫)音もなく少女は (文春文庫)
耳の聞こえない少女の物語、と思っていたら、最初の方から中盤まではその母クラリッサの話。ここがとてもいいのです(後で呼応する教会に行くところなど特に)、そして過去のあるフランという女性が絡んでいって・・・。悪である父の姿が後半で別の男性に二重写しになってくるところが技あり、と思いました。また言葉ではなくカメラで伝える手段を持ったイヴの生き方にも拍手。なんですが。私にはあと一歩の物語かなあ・・・あまりに全体に重苦しく閉鎖的でやるせなく、作品そのものは非常に高く評価できるものの、好みかと聞かれると微妙かも。
読了日:09月04日 著者:ボストン テラン
平ら山を越えて (奇想コレクション)平ら山を越えて (奇想コレクション)
これは・・・ものすごく大好き!!という作品と、普通ジャン・・という作品とくっきり分かれた一作かなあ。前作の「ふたりジャネット」が全部ヒットだったのと比べると。風刺作品というのが今ひとつ私にはヒットしませんでした。だけどファンタジックな作品の「ちょっとだけちがう故郷」(ラストがとてもとても良かった!)とか、語りが並んでいく見事な「マックたち」とかは大好き。異色作らしいけど「スカウトの名誉」も意味わからないところからわかってくると、なるほどーと思えてこれまた面白かったです。「ジョージ」は心が温かくなるね・・
読了日:09月04日 著者:テリー・ビッスン
フォーチュン氏の楽園 (20世紀イギリス小説個性派セレクション)フォーチュン氏の楽園 (20世紀イギリス小説個性派セレクション)
どちら方向に行くのか最初の方で全く見当もつかず、離島に行ったフォーチュンさんと彷徨った気持ちになりました。一種の未開の地で宗教教育しようとして色々するのですが戸惑うフォーチュン氏。そこに一人だけ信者さんができる・・・ある自然災害が起こった時にフォーチュン氏も私達読者も、はっ!とするのです、もしかしてこの感情はあれか?と(あれって・・)。あちらこちらでくすっと笑う場面があり(特にズボン作りで笑った)、不器用なフォーチュン氏の行動に魅了させられました。
読了日:09月04日 著者:シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナー
最後の証人最後の証人
さくっと読めました。ミスリーディングが面白いとは思いましたが、全体にバランスが悪いような気がしました、驚きはあるものの。裁判場面と、夫婦の過去の場面との比重がアンバランスだと思います。あと裁判で(いくらなんでもこれはないんじゃないか・・)と思うことが色々ありまして。仕掛けは面白かったものの全体に微妙というエンタメ小説。(そして時間がたったらなんだか忘れ始めているという・・・)
読了日:09月04日 著者:柚月 裕子

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