2011.09.30 花の鎖
花の鎖花の鎖
(2011/03/08)
湊 かなえ

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評価 3.8

3つの物語が並行して語られている。
それぞれ語り口も違うし、語っている人物も違う。
きっとこれが最後に絡まって行くのだろうなあ・・・と読者は予想しながら読むだろう。
花、というのが一つのキーポイントになっている。
贈られる花、折々に出てくる花、花の名前をつけた和菓子・・・・
私もそうして読んでいったのだが・・・・

一つは
・手術を前にしているたった一人の身内の祖母を持つ若い女性・梨花
彼女の両親は亡くなっているが、その母の元には毎年Kという人間から花が贈られてきていた。
Kとは?

一つは
・母と二人暮しのイラストレーター・紗月
紗月は、学生時代希美子という同級生と、浩一という男性を争った。
そして希美子が浩一を奪ったという過去がある。
希美子はある一つの頼みを紗月にしに、何年もたってから紗月の元に現れる。
一つは
・幸せな結婚をした女性・美雪
美雪の夫は和弥であり、ある一つの建築物のコンペに設計図を出すが、その功績を同じ事務所の陽介に取られてしまう。
そして和弥は陽介との山登りで・・・


どうなのだろう。
読んで行く面白さというのは確かにある。
最後のところである一つの意外な事実が明かされるのにもなるほどなあ・・と思った。
ただ明かされた時点で、なるほどとは思うものの、それほどの意外性はない(そこまでに予想はついていたので)
予想がつくということを差し引いても、それぞれの話に出てくる人達が、とても把握しにくい。
なんだか話の流れが見えにくい、と思うのは私だけだろうか。
一人一人、語っている人が違うのに、どの人も同じような人に見えるのだ。

更に、Kという人間が毎年花を贈ってくるという話が主眼、であると思っているとそこがずれてくる。
Kが誰かということを考え始めると、あまりにKが多すぎて混乱するのだ。
血縁というのも錯綜している。
ここに出てくる人達、一体どういう繋がりなのか、と途中で図を描いてみたりもした。

あと、わからなかったのが、最初の方で、梨花が英会話教室の母親達への憎悪のようなものを語るが、これって必要があったんだろうか。
何かの暗示なのかと思ったが、唯一つの彼女の感情の吐露だけだったのか。

以下ネタバレ
・並行して書かれているが、時制がずれている。
時代がずれている物語、なのだ。
それぞれ名前はかたっていても、最後まで、苗字が語られていないのがミソ。
ただ、これが非常に混乱する。
血縁もあれば、画家の名前もあり、混乱しているので、最後の時制のオチの「波」のようなものに乗れないのだ。

最初の梨花は「前田梨花」
その母親が「高野紗月」(浩一を希美子にとられた後、高野と結婚した)
紗月の母親(つまり梨花の祖母)が、「高野美雪」(和弥と幸せな結婚をしていたけれど、コンペを陽介に取られてしかも一緒の山登りで死亡。その時に美雪のおなかには子供がいた←これが紗月)
親子三代の物語が並列に語られている。

Kとは浩一。
ドナーがあわない急性骨髄白血病を希美子が訴えてきたあとに、悩んだ末にドナーとして彼を救った(が、浩一自身はかなりあとに死亡している)

浩一と別れた紗月ははとこ同士の血縁であった。

Kの秘書として梨花の目の前に現れる感じの悪い男は、希美子と浩一の息子。