2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:4013ページ
ナイス数:233ナイス

アサイラム・ピースアサイラム・ピース感想
読み終わるのが非常に惜しまれるほどの短編集でした。痣を持つ同級生の話から暗転してある場所でのある再会に繋がっていく手腕が見事な母班(あざ)、療養所の異様なひとこまひとこまが硬質な文章とともに切り取られるアサイラムピース連作(特にⅣⅤⅦが好み)、SF的な上の世界へと話も多彩なのですが、ぐっと人間の内面に食い込んでいます。どれも体験したことがないのに(もしかしたらこの光景を私も見たかも)と思わせるような気持ちにさせられました。完全に閉塞感と狂気に満ち満ちた世界なのですが、奇妙に惹かれる自分を発見しました。
読了日:1月30日 著者:アンナ・カヴァン
脳はこんなに悩ましい脳はこんなに悩ましい感想
目からうろこがばしばし落ちまくった本。数回読んでみましたが、まだ咀嚼しきれてないかもしれないので、もう一回ぐらい読んでみたい。 中村うさぎの突込みが非常に鋭くそこにまず驚きました。一見下世話と思われる打話題にもしっかり池谷先生の話がからまりそれはそれは興味深い考察が繰り広げられていくのです。個人的には、アメリカのDNAの話が非常に興味深かったです、生まれつきの部分って大きいんだなあと改めて思いました。あとキリンの首の話も楽しかったなあ。
読了日:1月27日 著者:池谷 裕二,中村 うさぎ
車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫)車谷長吉の人生相談 人生の救い (朝日文庫)感想
不思議な不思議な人生相談、面白く読みました。相談する側は、当然相談の内容を持っていてそれは総じて切実で暗くて切羽詰っている。普通人生相談って、「わかった人が上から物申す、こうした方が良いよ」的なものが多いと思われます。ところが、車谷さんは違うのです、「私はこうです、こうこうです、こういう不幸がありました、こういう宿命でした、こういう生き方しか出来ませんでした」と下から見上げるのです、相談者を。それが決して卑下でもなく、露悪でもなく、ただただ淡々と自分を語るというところに真骨頂があると思いました。
読了日:1月27日 著者:車谷長吉
終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)終わりの感覚 (新潮クレスト・ブックス)感想
とてもとても最初から最後まで楽しめました。大好きですこういう本。いわば、記憶の物語、記憶の改竄の物語としても読めるのですが、最初は青春物語から始まります、ある聡明すぎる男子生徒を入れた4人グループの学校の授業の一こまとか、同級生の死とか、歴史の先生の受け答えとか。やがて巣立ちの時を向かえ、それぞれの道に進む。 そこがあとになって非常に重要になってきました。老年に起こるある衝撃と言ったら。そして人間の記憶の揺らぎと言ったら。ミステリアスでありながら、文章が巧緻で優雅であり最後までまっしぐらに読みました。
読了日:1月27日 著者:ジュリアン バーンズ
禁断の魔術 ガリレオ8禁断の魔術 ガリレオ8感想
やっぱり面白い、このシリーズ。トリックそのものも、なんですが、どちらかと言うと私はそこに至る心情を楽しみました(初期ガリレオ先生よりそういうところが好みに近くなってきたような気が)。人の奥底の心とかが浮かび上がってくるのです。曲球る、とかは、絶対にこの奥さん・・と思うのに全く違った展開が楽しめたと同時にプロ野球選手の悲哀も感じました。ラストの話もまた湯川先生とある結びつきのある若い男性の一こまが切り取られたような話で最後まで引っ張っていってくれました。で、ラストは。も・・もしや?
読了日:1月27日 著者:東野 圭吾
残り全部バケーション残り全部バケーション感想
なんて面白いんでしょう!冒頭の適番メールの話からがっちり心をつかまれ、溝口岡田コンビの軽妙な会話に圧倒されました。タキオン作戦の某映画の使い方には大爆笑いたしました(虐待と言う辛い話なのにここまで痛快無比に描けるのに脱帽)。 途中の小学生時代の「彼」と「彼」の出会いにもなるほど!と。 ラストの話の反転具合がまた秀逸であり、こうだったのかこうだったのか、と全てが腑に落ちる快感がありました。ラストもこれが最高だと思います。溝口に惚れました・・・・
読了日:1月17日 著者:伊坂 幸太郎
物語るあなた 絵描くわたし 萩尾望都 対談集 1990年代編物語るあなた 絵描くわたし 萩尾望都 対談集 1990年代編感想
この対談集で、氷室冴子の宗教的分析がものすごくて、愛を感じました、萩尾望都への。また図版が多く、じいっと見ていると、全て読み返したくなりました。萩尾望都って漫画家の中で私にとっては特別な一人であると同時に、色々な人にとって『自分にとっての特別な一人』であるんだなあという思いを強く持ちました。両親との確執(特にお母様)の話の中の、ゲゲゲの女房の部分でくすっと笑いました。
読了日:1月16日 著者:萩尾 望都
おそろし山おそろし山感想
大人のための寓話、なのだ、と思った。誰も登攀したことのない山。そこにひたすら登っていく人間が見る者は、異形のものに出会い、見たことのない景色に出会っていく。 ひたすらモノクロの世界が広がっていく。 そしてラストが非常に印象的だ、登っていって登頂してそれで終わりではなく・・・
読了日:1月16日 著者:アイナール トゥルコウスキィ
高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
多分私の今年のベスト本に入る本(早すぎる)。 タイトルでわかるように、オースティンの高慢と偏見の後日談だから、読んだ人は勿論読んでいない人も最初のところをじっくり読めばわかるので問題なし。(でも読んでいたら更に楽しめると思います) その後のエリザベスはこういう生活を送っていたのか!!!とか、ダーシーはとか、問題多きあの方はとか。もう全編震えるほど好みの話でありました。 ここに死体が転がりミステリ話になっていてその部分も楽しみました(小さいけどね、ミステリとしては) 最後に読み終わった時の多幸感と言ったら!
読了日:1月12日 著者:P・D・ジェイムズ
白光 (光文社文庫)白光 (光文社文庫)感想
藪の中、ね、これは。一人ひとりがねちっこいほどに少女の死をめぐって語っていく・・・解説にもあるように誰一人として死んだ少女に思いを寄せていません、つまりは悲しんでいないわけです。そこが息苦しく暗鬱な物語にしているところだと思いました。 が、この話は精緻に作られていて、仲の悪い姉妹に始まって、その子供たち(の一人が死ぬ)、愛人の男、夫、ぼけた舅とそれぞれの過去と現在を残酷なまでに語っていてそこから誰が犯人かというのが二転三転していくのです。子供の死があってそこに胸痛めながら、この手法の鮮やかさに驚きました。
読了日:1月12日 著者:連城 三紀彦
フランス白粉の秘密 (角川文庫)フランス白粉の秘密 (角川文庫)感想
面白かった!!積み木を一つ一つ積み上げてさあ最後に何の形が出来る、と聞かれているようで、途中の読者への挑戦状を読みました(当然ながらわからなかった) 机の上の本、の謎も非常に面白かったし、肝心なある一点も目を見張ったし、更には最後の最後で、畳み掛けるような消去法の犯人当ても息をもつかせませんでした。
読了日:1月12日 著者:エラリー・クイーン
迷走パズル (創元推理文庫)迷走パズル (創元推理文庫)感想
おお!クェンティンがこんな本格を書いているとは!この話の面白さの原点は、「ここが精神科療養所」であることだと思いました。だから誰の話も胡散臭いし信用が置けない。患者、病院の先生、介護の人が入り乱れての変事が興味惹かれました。 何よりも、探偵役の患者さんダルースのピュアな恋心(初々しすぎてこちらが照れる)もまた可愛らしい、そう、憎めない主人公なのです。そこがこの話の牽引力になっているのかも。あとこういう病院の話なのになぜか暗くないのも好感が持てました。 真相は私はわかりませんでした、意外だった!
読了日:1月12日 著者:パトリック・クェンティン
小説の聖典(バイブル) ---漫談で読む文学入門 (河出文庫)小説の聖典(バイブル) ---漫談で読む文学入門 (河出文庫)感想
世界文学は面白い、が大変良かったので手にとってみました。面白いような面白くないような・・・・ 楽しめる部分と楽しめない部分とにくっきりと分かれたと言った印象の本でした。あと脚注が・・・・ しかし奥泉光ってお茶目なのね・・・
読了日:1月12日 著者:いとうせいこう,奥泉 光,渡部 直己
世界が終わるわけではなく (海外文学セレクション)世界が終わるわけではなく (海外文学セレクション)感想
私の思っていた奇想では全くなくて、特に最初の話とかはもうファンタジーに近いような気もするので(ああ・・駄目だ・・・)と思いつつ、じわじわ読み進めていきましたが。 途中でふっと普通の小説っぽいもの、そのほうが私の好みでした(忘れ形見とか結婚記念品とか) ずるずるっと話の中に同じ人が出てきたりするので、後書きにある人だけじゃなくて別の人とかも見ていると楽しいと思いました。 記憶がなくなる男の戸惑いの話ドッペルゲンガー、死んでからも見守っている時空の亀裂がマイベスト。
読了日:1月12日 著者:ケイト・アトキンソン
逆回りのお散歩逆回りのお散歩感想
読ませるのだけれど好みとしては微妙。読みたかった類の三崎亜記ではないかなあというのが印象でした。ごめんなさい。 『となりまち戦争』の発想の驚きというのとはまた違って、現実で起こっているようなステマ、ネット社会の問題、情報操作というところがリアルなだけに、そこらあたり舞台の非現実にぶちこむ噛み合わせの部分で、ちょっと齟齬があるかなあ・・・と感じました。 戦争研修、文庫になる時にとなり町戦争と一緒にすれば良いのに。あ、となり町戦争はもう文庫なのか・・・とつまらんことを思ったりもいたしました。
読了日:1月12日 著者:三崎 亜記

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