切り裂きジャックの告白切り裂きジャックの告白
(2013/04/27)
中山 七里

商品詳細を見る


評価 4.4

ミステリとして読むと、予定調和内に終ったという印象が否めない。
人の内臓をごっそりと取ってしまう殺人事件が数件起こる。
切り裂きジャックを名乗る犯人からの挑戦状があり、それに警察も動くのだが、第二第三の犯行が起こる・・・
しかも担当刑事は、自分の娘が移植手術以外助かる方法がないという立場にある(しかも娘からは浮気のため離婚したので毛嫌いされている)

誰が犯人かというのはミステリ読みならなんとなく見当がつくだろう。
そこに行き着くまでにフェイクは沢山あるものの、枝葉を刈っていくと、本質が見えてくるという・・・ここの言葉で言えば「マジシャンが左手を見せている時には右手を見ろ」ということなのか。
ただ、動機が分からなかった、なぜだろうと。
そして最後の方でそれがわかった時に、なるほど、と思ったのだった。

・・・・・・・・・・・・

それよりも、私は臓器移植の話のほうに目を奪われた。
この話、論議されることも少ないままにどんどん進んでいるからだ。
宗教家と医師との論戦など実に面白く読んだし、日本人の死生観というのも改めて考えさせられた。
政治上の駆け引き、厚生族議員の存在、医師会・・・・これらが絡み合って利権と言うものが移植ビジネスに生まれていくという話にも引き付けられた。
更に、心情的な話で、「移植された人間が有効に人生を使わないと糾弾される」という話も身につまされた。
そうだろうなあ・・・と。
私もきっとそう思ってしまうのだろうなあと。
けれど、人がどう生きるかというのはその人の勝手であって、有効か有効ではないかというのもその人の勝手であることには間違いがない、たとえその人が移植手術を受けたとしても。