2014.03.31 少女庭園
〔少女庭国〕 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)〔少女庭国〕 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)
(2014/03/07)
矢部 嵩

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評価 4.5

大好きな話の部分と、(ああ・・・これはちょっと・・・)という話の部分にわかれる話だった。
私にとっては、惜しい、の一言だった、ここはもうその部分が受け入れらるかどうか、好みの問題だとは思うものの。
そして、「その部分」をあえて使わなくてもこの話、十分面白いと思うので、強烈に惜しいと思ってしまったのだった。

全体のつくりは猛烈に面白い。

何しろ、一人の少女がぱっと目を開けるとある部屋で寝転がってる。
彼女の記憶の中には、「卒業式に向かっていた廊下」という記憶しかない。
そして一人で目覚めた彼女は、ある張り紙が貼ってある扉に向かって進んでいく。
反対側にも一つの扉があるのだが(つまり二つの扉がある)そこには取っ手がないので、そちら側には行けない作りだ(このあたり非常に面白い設定だ)
張り紙でに書いてあることがよくわからないながらも、当然起きあがった少女は、開く方の扉を開ける。
すると、そこに一人の少女が横たわって・・・・


中三女子がぶつかる不可思議な世界。
どんどんどんどん少女は増えていく。
それなのに食料もなく水もなく、更には、部屋は同じ大きさなので息苦しくさえなってくる。
ある場所で、ストップして話し合いすら始まる。。
一体誰が何のために。
そして張り紙に書いてある通りに、最後の一人にならなくては生き残れないのか。
そもそも外に出られるのか。
この空間は何なのか。

強烈に映画のCUBEを思い出す。
ただ、次の部屋に行く時に、安易だけれど、少女庭園の話の中では。

・・・・
最初の話は、この集団の少女たちがあるところに集まっての出来事を、実に詳細に語っている。
そして最後何が起こったかも。

そして少女庭園補遺の方では
延々とこの部屋がつながっていると言うことが明確に出されている。
更に、ここで「あること」が始まっていくのが描かれていく。
単純に「少女が閉じ込められもがく話」の域を脱して、社会ができ、年月がたちというように部屋の様子も少女の様子も変貌していく。
先には少女が必ずいる、というこの事実は、「あること」をするのに非常に重要なことだ、何しろ先の少女は何が起こったのかわかっていないのだから。
また途中で無理やり「逆方向」に行く勇者もまたいたが、その人が見たものは・・・
出てくる単語の一つ一つにも意味がある。
開拓民、奴隷制、特権階級、哲学、娯楽・・・

更にこの話、どこに向かうかというと、
学校、に戻っていくのだ。
ここに行き着くまでに紆余曲折があるのだが、一見静かな穏やかな学校、が語られる。
しかし読み進めていくとこの学校が異常な学校というのがわかってくる(街自体が異常な街だが)

読んでいて思わずやめられなくなるほど面白い。

以下ネタバレ
・人肉食いという「あること」が行われた所が惜しい。
これにしなくても話は十分面白いのだから、食べなくてもこの空間ではひもじさを感じない少女たち、という設定に出来なかったものか。
ホラーに無理やり突っ込まなくても、と強く思ったのだった。