2014.08.31 悪意の糸
悪意の糸 (創元推理文庫)悪意の糸 (創元推理文庫)
(2014/08/29)
マーガレット・ミラー

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評価 4.8

マーガレット・ミラー本邦初訳ということで読んでみた。

恐ろしいほど読みやすい。
なんだかこれだけさくさくミラーを読んでいいのかという気持ちになったくらいに読みやすい。
なんといっても、登場人物が少ないのだ。
加えて恋愛の話もそれほど複雑でもない。
そしておのずと、犯人は誰かというのも見当がつくし、この人は誰に言われてきたかというのも見当がつく。
でもこれはこの時代の良さなのだろう。
解説にもあるように、当時の理想とされた女性像の欺瞞というのを見破った作品と言う意味では意義があるのだろう。

この作品で、冒頭のところ、ラストまで読んでもう一度読み返してみると大変優れている。
なぜなら、
・なぜ混乱した妊娠した女性は、よりによって、シャーロットと言う女医のところにやってきたのか。
・シャーロットは、なぜこの妊娠した女性が堕胎したいというのを断り追い出した後、これほどまでに気にかけたのか。
このあたりのシャーロット医師の心理があとからわかってきたことによって、紐解いていけるのだ。

ラスト、悪意の糸がもつれているが、それがするするすると解けていくところも快感だった。

が、一方で驚きは少ない。
この人だったのか!とか、これが理由か!というあたりは予定調和の世界だった。

以下ネタバレ
・シャーロットも不倫をしている。
妊娠した若い女性ヴァイオレットのことがひとごとではない(冒頭の行動につながる)
・しかもヴァイオレットの一夜の相手は、シャーロットの不倫相手であった。
・シャーロットの不倫相手の奥さんは心気症を患っていておまけにシャーロット医師の患者でもある。
が、全てを見抜いていて、彼女が殺人犯人だった。
またシャーロットのところにヴァイオレットをやったのも、その奥さんであった。