もう年はとれない (創元推理文庫)もう年はとれない (創元推理文庫)
(2014/08/21)
ダニエル・フリードマン

商品詳細を見る


評価 5(飛びぬけ

途中で何度笑ったことか。
それも気持ち良い笑いに包まれるのだ。

老人、が主人公で、しかもナチ、を内包した話、と聞いたら誰だって暗い話を思い浮かべるだろう。
しかしこの話、違うのだ。
確かに老人といってももう87歳になっていて、とても用心深くなっている。
隣りにいる人間をつっついただけでも肘が痛くなったりする。
食べ物に気をつけたり、転ばないようにしたり、人を殴っても自分の手が真っ赤になって痛くなると言う有様なのだ。
しかも奥さんが途中で倒れて病院に行くという場面まである。
老人ホームに行く場面もあるが、それも決してひとごとではないので、色々な感想を彼は持っている。

それなのに、笑えるというのは、この老人元刑事が威勢がいいからだ。
新しいこと、GPSとかパソコンで調べるとかそういうことは出来ない。
出来ないがそれがいかほどのものか、というのをバック・シャッツは思い切り身をもって教えてくれる。
途中でシャッツ頑張れ!という気持ちになってくる。
途中の彼自身のメモ書きが何か最初はわからない。
この意味がわかった時にはほろりともさせられる。

かつて捕虜収容所でひどい目にあったシャッツ。
その時の殺されかけたナチス将校が実は生きていたと言うのを臨終間近の友人から聞かされる。
将校が持っていたという金の延べ棒は本当にあるのだろうか。


金の延べ棒を探す過程で、かつての将校にも意外な場所で出会う。
シャッツは「老人である」ということを最大限の武器にして、色々な行けない場所を突破していくのだった。
ここが非常に痛快無比のところだ。
痛烈な皮肉を彼が言うたびに喝采したい気持ちになった。

ラスト、緊迫した場面で、目をつぶりたい気持ちにもなったのだが。
ああ・・・シャッツ!!!
最高に素敵だ!!!!