評価 4.7

とても長いのだが(なにしろ4巻)、長さを全く感じさせない本だった。
楽しめなかったといえば嘘になるだろう。
なのだが・・・

どうなのだろう、3までは私は興奮状態で読んでいて、次を次をゼイゼイ!という気持ちだった。
母の死、それに伴うある絵の謎、ほのかな恋心、恩人への裏切り、自分の複雑な家庭環境の中で生き抜く術、そこで培われた強烈な友情、そしてその友情から発展した絵の(また絵に戻る)行方・・・息をもつかせぬ展開だった。
特にボリスとの友情場面が青春物語としても読めて、孤独な大人に見放された少年二人、が互いの家で映画を見たり冗談を言い合ったり、人生経験がありすぎるボリスにロシア語を教えてもらったりと、目が離せないくらいに面白かった。

ところが4を読んでみて、前半は意外な展開で終わる→テオが殺人をやむなくとはいえ犯してしまう怒涛の展開。
後半に至り、こういう感じにまとまるわけ?ととても残念な気がしてならなかったのだ。
なぜなら、テオ自身の自分を見つめる独白、彼の内省のような話になってきたからだ、特にラストの方、これなのかこれで終わりなのかこの素晴らしい物語は、と思ったのだった。

ラストは哲学に終わってるのか。
あとボリスとの会話は長すぎないか。
ボリスとの友情場面(この前の巻とかで)は素晴らしいので本当にこれで終わるのかと思うと惜しくてならない。
ラストの20ページ余りがこの本を強烈に愛するかどうかの境目だと思った。
私としては、彼の話よりも、全部の物語を物語ってほしかった、それこそが現代のディキンズだと思うから。
謎は解かれたものの、もやっとした気分が流れた。