評価 4.8

村上春樹の翻訳がこんなになったんだなあ・・・とまずそこに驚いた。
ぽつぽつぽつぽつ見ている気がしていたが、まとまるとこんなに膨大な数になるんだと改めて茫然とした。

この中で、チャンドラーとか、サリンジャーとか、人が訳したものを新たに訳すというのはとても勇気がいったことだと思う。
私も野崎孝世代なので、ライ麦畑でつかまえてをなぜ訳すかと思ったのだが・・・
実際に村上春樹訳を読んでみるとこれはこれでとてもいい!現代に会ってる!と思ったものだった。
この本を読んでチャンドラーも新しいのは読んでいないのだが、読んでみたいものだ、と強く感じた。

途中で柴田元幸さんとの対談が入っていて、そこで翻訳のあれこれが語られる。
ここがとても面白かったし、二人の違いと同じようなところが垣間見えたような気がした。
また、それぞれの訳した作品にたいしての村上春樹の思い入れのような文章もたくさんあってそこも読ませた。

それにしても、翻訳を楽しんでやれるというのは素晴らしいことだ。
あと・・・この本を読むと、安原顕さんの存在がとても村上春樹にとって大きかったことがわかる。
自由にほぼやらせてくれた感があるし、最初に翻訳をする時教えてくれた翻訳集団の人たちのセレクトなど、こういうことになっていたのか、と驚きだった。