2010.07.25 小さき花々
小さき花々 (河出文庫)小さき花々 (河出文庫)
(2010/07/02)
吉屋 信子

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評価 4.9

とてもよかった。
美しい少女の夢、はかない乙女の一時期に女性は何を思う・・・・

ここにはもう今は絶滅したかと思われる階級差のような話がつまっている。
かたや女学校に通える身分、かたや芸者になる身分・・・
同じ女の子であるのに家庭によってもう激烈に違うのだ、生きていく道が。
どんなに仲良くしていてもそこは一本の川が滔々と二人を隔てている。
そのことに、階級の下の人がひがむこともない、これが人生だと悟っている。
ここが最大に今とは違うんだろうと思う。
今だったら
(なんで私が!!!!)(なんで私があの人より下に!!!)
と憤激の嵐になっているだろう。
けれど、もう階級差が歴然としてあり、お金持ちはお金持ちの生活がありというこの世界では、それは当たり前に受け入れなくてはならないことなのだ。

この中で
お母さんが、偉そうな我が子を戒める場面も忘れがたい。
「素直な心の人々」で、自分の友人に昔の汚い友達を見せたくないと言う気持ちが、せっかくくれたお菓子を捨てると言う行動に出た時に、お母さんがそれをたしなめるのだ。

また「小さい父さん」では、いばっているお兄さんが、亡きお父さんの代わりになるような模範のお父さん姿になるところがまことにいじらしい。

けなげとか純情とかそういう光に包み込まれているような小説だった。