2010.07.29 まぼろし綺譚
まぼろし綺譚 (ふしぎ文学館)まぼろし綺譚 (ふしぎ文学館)
(2003/07)
今日泊 亜蘭

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評価 5

短編集であり、三分野にわかれている。
ミステリ・怪奇小説の1、
SF小説の2、
綺譚物語の3。

どれをとってみても水準が高く、今日泊ワールドというものを確立している様に見えた。
特に私の好みは、SFではややヴェルヌ小説を思わせる核戦争後の奇天烈な世界「東京湾地下街」だった。


綺譚の方はもう全部が好きであった。
浦島太郎をモチーフとして玉手箱の謎を解く話も好きだ。
玉手箱のとらえかたが面白いし、最初にさりげなく出てくる老婆の使い方が最後で意味があることがわかる。

河童が捕らえられる直木賞候補作も大好きだった。
くすっと笑えるこの河童の物語は一読して忘れがたい味がある。
幻想の風味が強い「瀧川鐘音無いを姫物語」の切ない男の子の話も忘れがたい。
まさか途中までこの幻の迷い込んだ場所の人たちが、→金魚←だったとは思いもよらなかった。
子供が水を上げるのを忘れて、ひからびさせたというのもとてもわかる所業だけに、
また同時にこの子供が母親をなくしている可哀相な子供だと言うことも考えるだけに、
痛切にここらあたりが心に響く。
「新版黄鳥墳」などの綺譚の独特の語り口に魅了された。
これまた、今度は→←の恩返しのような話で、実に心に残ったのだった。