7月の読書メーター
読んだ本の数:33冊
読んだページ数:9115ページ

ヴィクトリア朝の寝椅子 (20世紀イギリス小説個性派セレクション)ヴィクトリア朝の寝椅子 (20世紀イギリス小説個性派セレクション)
予備知識ゼロだったので、この寝椅子の果たす役割に途中で愕然としました。これって・・物なのですが、それが他の・・物と一線を画するのは、渾然となったミリーとメラニーの意識なのです。単純な・・物ではなく、ここにあるのは自我があり周りを見渡す余裕があり更に、自分の記憶の不確かさを確かめられる自分がいる・・・読んでいるうちにこれがミリーなのかメラニーなのか読者すら曖昧になってくる境界線の曖昧さに慄きながらとても面白かったです。このふっとしたゆらぎが非常に怖い気も。そしてこのラスト・・きゃあーーー!
読了日:07月29日 著者:マーガニータ・ラスキ
あなたに贈るキス (ミステリーYA!)あなたに贈るキス (ミステリーYA!)
キスをしてはいけない近未来。キスで死に至る病になることもある近未来。その設定で女子寮に入った美詩(みうた)と言う女学生が憧れの先輩織恵のただならぬ死の解明に乗り出します。謎そのものより、少女少年達の恋に恋する気持ち、同性同士の憧れと愛、のような学園生活ならではの心理描写に心惹かれました。キャリアの設定があと一歩なんだよね・・だけどそれはご愛嬌になるようなちょっぴりビターな青春小説。最後意外な終わり方でした、私には。(表紙も挿絵も素敵!表紙をめくって横からこの表紙を見ると白い中に細かい花が見えます・・)
読了日:07月29日 著者:近藤史恵
わすれなぐさ (河出文庫)わすれなぐさ (河出文庫)
乙女の世界の物語にただただうっとりしました。クラスの中に派手な軟派グループ、地味な硬派グループ、中立グループ、そして孤独な人々・・というグループが出来ているのも今とさして変わらないと思いました。何より恋もしていない女学生が、お互いの友情を作りたいだけどどうやって接近したらいいかわからない、そういう未分化な少女の感情がたゆたっていて読んでいてどきどきしました。美しい言葉、家族愛、そしてその中に見え隠れする戦争の影・・男尊女卑思想を揶揄しながらもロマンチックな心を掻き立てる不滅の少女小説だと思いました
読了日:07月28日 著者:吉屋 信子
まぼろし綺譚 (ふしぎ文学館)まぼろし綺譚 (ふしぎ文学館)
3分野の短編集で、ミステリ・怪奇小説の1、SF小説の2、綺譚物語の3、とどれをとってみても水準が高く、今日泊ワールドというものを確立している様に見えました。特に私の好みは、SFではややヴェルヌ小説を思わせる核戦争後の奇天烈な世界「東京湾地下街」でした。綺譚の方はもう全部が好きで、浦島太郎をモチーフとして玉手箱の謎を解く話も好きだし、河童が捕らえられる直木賞候補作も大好きだし。幻想の風味が強い「瀧川鐘音無いを姫物語」の切ない男の子の話も忘れがたいし、「新版黄鳥墳」などの綺譚の独特の語り口に魅了されました。
読了日:07月28日 著者:今日泊 亜蘭
小さき花々 (河出文庫)小さき花々 (河出文庫)
階級差というのが歴然とあり、それを上の者は勿論のこと、下の者も受け入れていた(受け入れざるを得ない)時代の女学生を活写した珠玉の短編集だと思います。今ではない優しく美しい言葉、たおやかな心持ち、清純な乙女の想い、人を思いやる心、恥じらい、そして更に屈折したお嬢様側の気持ち・・・・どれをとっても現代の目から見ると一瞬ベタにも見えるのですが、読んでいて心打たれました、小説とはいえこういう時代もあったのだねと。
読了日:07月25日 著者:吉屋 信子
緋色の記憶 (文春文庫)緋色の記憶 (文春文庫)
傑作。お得意のクックのカットバック形式で物語は静かに進んでいきます。非常に緻密な作品なので、読み込んでいく喜びが確実にありました。最初の方でわかることは、この老人の男性の町でかつて女性教師をめぐって何かがあったこと、それに老人が関わっていたこと、ということです。これがトランプカードをめくるようにどんどん真相がわかってくる過程が素晴らしいのです。真相が何かということもですがそれよりも、途中のノスタルジーに溢れた少年時代の描写と現在の行き来の話の語り口に魅了されました。ただの驚きのみを求めている人には不可。
読了日:07月24日 著者:トマス・H. クック
来来来来来来来来来来
パワーあるなあー本谷有希子は!今回は夫に逃げられた嫁に、鳥フェチの(意味があるのだが)姑と思い切り意地悪な小姑とが絡み、強烈な劇が進んでいきます。途中でこれだけの話なのにくすっと笑う場面すらあるのが勢いがある証拠だと思いました。嫁がどういう出自だったかがわかり、何を望んでいたかがわかる時、介護も何もぶっ飛びで!!
読了日:07月24日 著者:本谷 有希子
松岡正剛の書棚―松丸本舗の挑戦松岡正剛の書棚―松丸本舗の挑戦
何度も行ったことのある松丸本舗。そして行けば必ず何か発見はあるし行く価値もあるのです。こういう思いで松岡さんが作っているのだという思いのようなものはよくわかりました。ただ・・・全部は網羅できない、私の能力的に。能力もあるし興味の方向もあるし。ややスノッブかなあ・・・というのが印象。だから、本棚ってやっぱり自分が作った本棚が一番可愛いんだと、自宅の本棚を見ながら改めて思ったのでした。この松丸本舗の試みは非常に高く買っておりますが!
読了日:07月24日 著者:松岡 正剛
猫背の目線 (日経プレミアシリーズ)猫背の目線 (日経プレミアシリーズ)
久々に横尾忠則のエッセイを読みました。彼のエッセイは非常に面白いのですが、ややスピリチュアルなことに筆が進むと(本当にこんなことあるか?)という疑問に私はとらわれるのです。そこが久々に読んだから素直に読み取れました。ちょっとした体の不調の話、散歩の話、絵に対する気構え。思い込みって芸術家だから仕方ないだろうと。しかも語り口が面白いのでついつい引き込まれて楽しい読書の時間を過ごせました。
読了日:07月24日 著者:横尾 忠則
天狗 (探偵クラブ)天狗 (探偵クラブ)
短編集ですがどれもとても面白く読みました。今でも全く古びていない作品群だと思います。特に表題作の天狗は、今で言うストーカーのような偏執狂の男が、ある女性に懸想してその破綻までを独特のねちっこい筆致で描いたものです。ラストシーンにもぞくり。「零人」は、天才園芸家の幻想的な光景がラストと共に忘れられずとても好きです、個人的に。透徹した論理の中に一筋情緒が混じっているようなところがいいなあと思いました。
読了日:07月24日 著者:大坪 砂男
プラチナデータプラチナデータ
近未来ミステリなのですが、なんだかテンコ盛り過ぎる、というのが印象でした。主人公の・・・・でまず、え!(ありふれすぎているのにすぐにこれが出てくる)。謎の天才妹とその兄(この兄もよく見えないし)、そしてこのDNA管理されようとしている国家そのものの存在、更には謎の女性スズラン(これも真相がすぐに想像がつく)・・・。途中、機械から犯人の顔が出てきて神楽が驚愕する場面は、ディックの某作品と酷似しているなあと思いました(そのあとの逃走劇も)。また、今一つ神楽周辺の人間関係の繋がりがよく見えてきませんでした。
読了日:07月24日 著者:東野 圭吾
百年読書会 (朝日新書)百年読書会 (朝日新書)
これは新聞で連載していたらしくその時に、一冊の読書会のテーマ本を決めて、皆で読書会をして感想を言い合おうというものらしいです。面白く読みました。取り上げられている本はいわゆる名作といわれるもので、斜陽とか雪国とかノラやとかで、それに対して津々浦々から感想が出てきてその一行感想が並んでいるのです。年齢があり賛否両論があり自分も参加したかったなあと思いました。後書きの98歳のお婆ちゃんに拍手したい!すごいことです、この年齢で読書できるって。
読了日:07月24日 著者:重松 清
凍える島 (創元推理文庫)凍える島 (創元推理文庫)
とても面白く読みました。「人間同士の心理のやり取り」みたいなのを楽しむことが出来るかどうかに作品の楽しみ方のツボが詰まっているような気がしました。だからそこが合わなければなんだこれ・・になるかと。これも孤島に集う8人の男女なので当然クリスティを思い出しますが(文中にもある)、猟奇殺人とかもさることながら、入り乱れた皆の感情の糸(恋愛を勿論含めて)のようなものがもつれたり離れたりそしてまたもつれたり・・そのあたり楽しめました。ほのかに漂う幻想っぷりも。そしてラスト驚きました!
読了日:07月24日 著者:近藤 史恵
夏の入り口、模様の出口夏の入り口、模様の出口
この間のエッセイよりこちらのくすっと笑えるエッセイの方が私の好みでした。もうどこもかしこもくすくす笑い通しで、特に整体のひどいセクハラの話でありながら、それが悦子と言う人を思い出すくだりなど顔をしかめながらも(整体のひどい医者に憤り)大爆笑でした。頭のいいお嬢さんだなあと言う印象がとてもあった軽くすとんと読めるエッセイでした。
読了日:07月24日 著者:川上 未映子
修道女フィデルマの洞察 (修道女フィデルマ短編集) (創元推理文庫)修道女フィデルマの洞察 (修道女フィデルマ短編集) (創元推理文庫)
素晴らしい。このフィデルマ短編集二冊目もとても私の好みでした。特殊な時代と場所でしかも特殊な尼僧という設定のいわば歴史ミステリでもあるのに読ませること読ませること!この中で、全員が招待主に恨みを持っているという会で、招待主が死ぬ話は、真相の後に医者から開かれる一つの真実が素晴らしいし、孤島でなぜ修道女が不可解な死を遂げたかというのもどきどきするし、なんといっても横にいた恋人が自分が眠っている間に殺されたという「まどろみの中の殺人」の動機に目を見張るものがありました。フィデルマワールド万歳!
読了日:07月24日 著者:ピーター・トレメイン
作家の読書道3作家の読書道3
ウェブで見ていたものの、こうしてまとめて本の形で見るとまた新たな発見がありました。直木賞作家になったばかりの賞以前の中島京子さんの一言一言が身にしみ、また道尾秀介、柳広司、乙一、有川浩、畠中恵、近藤史恵など(他多数)などの読書遍歴が見えてそこもとても興味深かったです。こういう風に作家が生まれたのだという作家以前の姿を垣間見ることが出来ました。またどの人がどういう本を読んでいるかというのがいかにもその人らしいので、そこにも感動しました。
読了日:07月19日 著者:柳 広司,高野 秀行,阿部 和重,畠中 恵,宮田 珠己,モブ・ノリオ,道尾 秀介,近藤 史恵,坂木 司,有川 浩,宮本 昌孝,中村 航,乙 一,小池 真理子,中島 京子,米澤 穂信,貴志 祐介,豊島 ミホ
頭の中身が漏れ出る日々頭の中身が漏れ出る日々
こういう40代独身女性(しかも両親同居)のエッセイってとても難しいと思うのです、下手すればただの日常駄々漏れか、そうじゃなければ独りよがりの面白さを狙った文章。だけどこれは違う!!とても面白く恩田陸推薦だけあると思いました。特に「とある大雪の日」のラストのお母さんの呼びかけに大爆笑。「真ん中の人たち」の岐阜への考察にも笑ったし、全く最後まで話がわからなかった「ゆで卵に海苔」はわかった瞬間に涙が出るほど笑い転げました。お父さんお餅に気をつけてください・・・・
読了日:07月19日 著者:北大路 公子
NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション (河出文庫)
1に比べてこちらの方が私にはストライク率が低かったみたい・・・。が、が!圧倒的傑作が2作あるのでもうそれで満足致しました。恩田陸の「東京の日記」と津原泰水の「五色の舟」です。「東京の日記」は普通の日記のスタイルでありながら読み込んでいくと夜間外出禁止令の東京であり東京幻視にうっとり。「五色の舟」はくだん、の話なのです。だからあれとかあれとかを読んでいると更にぐっとくるかも。最後の一行にすさまじい美しさと哀愁がありました。あと他には「バベルの牢獄」とかも案外好き。
読了日:07月19日 著者:東 浩紀,恩田 陸,法月 綸太郎,宮部 みゆき,神林 長平,倉田 タカシ,小路 幸也,新城 カズマ,曽根 圭介,田辺 青蛙,津原 泰水,西崎 憲
明日の空明日の空
なんだかんだ言っても貫井ファンなだけに惜しくてたまらない・・サプライズはありました、私は。二つの全く違ったように見える話がかちっと結びつきしかも驚愕の真相が見えてくる・・・最初の章と次の章で私が見ていたものの意味が後半の章で違っていたところにも感心しました。が。高校生活そのものとか、アンディとの友情話とか、書き込みが薄いんだと思います。だからとても惜しい。厚くなってももっと細かく克明に書き込めば、もっと心に響くのに。このネタ自体はとても面白いだけに。(あと守ってる側がちょっと・・と思うところもマイナス)
読了日:07月17日 著者:貫井 徳郎
この国。 (ミステリー・リーグ)この国。 (ミステリー・リーグ)
まず「少しだけ今の日本とずれている架空の日本」と言う設定が非常に面白く読めました。「少しだけ」というところが特に。公開処刑、中立国、12歳で将来が決まる、国家の売春宿がある、そういう国家。独裁国家日本で体制側の番匠少佐の機敏さと凛々しさと賢さ(特に1話の頭脳戦)は柳広司の結城中佐を彷彿とさせました。ただ後半の話はミステリ的には弱く、世界観のみを楽しむ方向に行ってしまったのが自分としては残念。あとラストがこれって・・・・・。読ませる話なのになあ全体には。ハンギングゲームとドロッピングゲームが私は好き。
読了日:07月16日 著者:石持 浅海
修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集 (創元推理文庫)修道女フィデルマの叡智 修道女フィデルマ短編集 (創元推理文庫)
私は大好き!修道女なので宗教臭いのかなと勝手に敬遠していたのですが、非常に面白く読みました。フィデルマさんは探偵役なのです、そして修道女だけじゃなくて色々な資格を持っている偉い人でした(だから言い方が偉そうでオッケーと私は思う・・)。歴史ミステリでもあり当時の古代アイルランドの宗教的背景と風俗もわかりやすく描かれ、それでいてミステリもきちんと落ちていてしかも物語力もあり、まさに私の好みの作品でした。一番面白かったのが、後半くるくる犯人が変わっていく大王の剣かなあ・・・
読了日:07月16日 著者:ピーター・トレメイン
八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)八月の暑さのなかで――ホラー短編集 (岩波少年文庫)
子供向けのレーベルと侮るなかれ。非常にセレクトされたホラー世界がここには詰まっていて、既読ですら楽しめました。ダンセイニ、サキ、Fブラウン、ハートリー、ダールなど有名どころが揃っていて、尚且つローズマリー・ティンパリ、R・ミドルトン、ハーヴィーなど見慣れない作家作品もまた面白いのです。私が怖かったのは表題作のラストの怖さ、既読だったけど「ハリー」の(途中ですごい事実がめくれて)救われない怖さなどでした。入門にもいいし、すれた人にもそれなりに楽しめるし。あと、挿絵が抜群でした。2を是非作って欲しい!!
読了日:07月16日 著者:
晴れ時々、生ビール晴れ時々、生ビール
ぐだぐだでもゆるくて許せる菅野エッセイに惚れこんでおります。酒への飽くなき追求が素晴らしく、飲んでないのに読んでいる内にこちらも酔っ払ってきたような気がしました。女を捨てての笑いでもなく、かといって狙った笑いでもなく、こういうゆるい笑いを提供してくれる男前な菅野さんエッセイ。笑いながらしみじみとする・・・来月もまた刊行と言うことで楽しみにしています!
読了日:07月16日 著者:菅野 彰
小暮写眞館 (100周年書き下ろし)小暮写眞館 (100周年書き下ろし)
後半特に最終章は非常に良く、英一の家族の再生物語としてぐっとくるものがありました。いいところも沢山あるし高校生の活写もうまいしピカちゃんも可愛いし。ただ全体を通してみると申し訳ないけれど微妙・・・・1章2章の前半と後半部分のバランスがなんだか悪い小説のように見えました。また、心霊写真関係のところがこういう結末かというのがすっきりと落ちなかったのです。話はわかったけれど落ちないというジレンマが・・・。あと・・・長すぎないかなあ・・・必要があって長いのはどんとこいですが・・・
読了日:07月14日 著者:宮部 みゆき
陰獣トリステサ---綺想ロマン傑作選陰獣トリステサ---綺想ロマン傑作選
なんておぞましい!なんてエログロ!そしてなんて人間の暗部をえぐっているのでしょう。人外魔境と言っていいでしょうか。今の目から見ると差別に満ち満ちた最初の作品からして足を掬われました、あまりにあまりの設定と毒々しさに。澁澤が絶賛している表題作も獣・の話なのでこれまた目を覆うばかりなのですが、人間の内奥と隠れた欲望を見つめると言う小説でもあります。決して品位が高い小説ではないものの、私は非常に面白く読みました、と告白。(巻末のすぐれた澁澤解説が一読の価値あり)
読了日:07月14日 著者:橘 外男
王国〈その4〉アナザー・ワールド王国〈その4〉アナザー・ワールド
この頃ばななさんの本を読んでもあまり・・と思っていたのですが、これはとても心に染み渡りました。私の心に静かに寄り添ってくれたとでも言うのでしょうか。丁寧に丁寧に書いてある人々の心。雫石の物語から雫石の娘のノニの話になっていて、王国年代記を読ませていただいた気持ちでした。最初の島場面から光っていて、愛すると言うこと、幸せな幼少時代を送ると言うこと、家族と言うこと、そういう語り始めると恥ずかしくなるようなテーマに真っ向からぶつかっていってとても好印象。南の島で気持ちの良い風にあったような小説でした。
読了日:07月14日 著者:よしもと ばなな
変愛小説集2変愛小説集2
申し訳ないが、1の方がずうっと好みのセレクトでした。2はこれは大好き!というものと、はっきりと嫌!というものとくっきり分かれたいわば私の中で玉石混淆でした。好きだったのは、「道にて」の死体を引きずる不可思議さ、「私が西部にやって来て、そこの住人になったわけ」のチアリーダーの出現のファンタジックさ、またわかりやすいSF話[シュワルツさんのために」あたり。「歯好症」はひたすら気味が悪く作者の突っ走る悪趣味さについていけず、「ミルドレッド」は、は?の連続。
読了日:07月08日 著者:
サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)
読者を巻き込んでくれる牽引力のある素晴らしい物語。今までのナチと一線を画しているのは、それが「フランス警察」によって行われたユダヤ人狩りであったことです。愛するがゆえに幼い弟を家の安全な場所に入れ込み鍵をかけるサラ。彼女の過酷な運命と、現代に生きるジュリアという一人の女性が不思議な糸で結ばれていく・・どの部分も目が離せないほどのめりこみました。交錯した糸がもつれほぐれていく様に感嘆しました。最後の数行は屈指の終わり方で、終わりなのだけれどほのかに希望の灯火が見える・・・
読了日:07月07日 著者:タチアナ・ド ロネ
あの日にかえりたいあの日にかえりたい
相変わらず語り口は穏やかながら巧いし、奇妙な話とホラーっぽい話との混合も技ありでした。ぐっと来る話が多く、老いを見つめる、かつての少年少女時代を回想する、あったら良かったのにという願望を思う、などノスタルジックな味わいの物語でした。私が好きなのは、へび玉かなあ。ただ、どれもどこかで読んだ感じというのは拭えない気がしました。好きな作家さんなので更なる高みに登って欲しいものです。(個人的には「メグル」の方が好き)
読了日:07月07日 著者:乾 ルカ
旅路の果て (白水Uブックス (62))旅路の果て (白水Uブックス (62))
ジェイコブ・ホーナー君の語りが印象的です。最初は病院シーンから始まり、学校の先生の試験を受け、そしてその同僚の妻との間に・・・・・。こうしたいわゆる「骨」の部分とそれにまつわる膨大な語りの部分が非常に読ませました。読んでいると頭でっかちで自意識過剰のやり取りにいつしか引き込まれます。ジェイコブ・ホーナーと生徒とのやり取り、同僚ジョーとのやり取り、医者とのやり取り。どれも24歳のバースにしてやられたという感じがしました。
読了日:07月07日 著者:ジョン・バース
スリープスリープ
未来にワープ、と言っても、1000年後とかじゃなくて30年後という比較的短いワープと言うところがミソ。30年後の世界描写が細かく描かれているのでそこが面白いと思いました。一方でロリコンなど(兄は何だったの?)性的描写では後味が悪く多少辟易と言った感もありました。ラストこうなるだろうと思ったのとは全く違った印象のラストでしたが、だからと言っておお!という驚きよりなるほど感が強いかも。面白いんだけど!つまらなくはないんだけど!微妙な糸の上にいる小説。
読了日:07月07日 著者:乾 くるみ
「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために「バイバイ、ブラックバード」をより楽しむために
それでこちらに直行。内容的には、最初に伊坂幸太郎のロングインタビューと、中間に評論、ラストに太宰治グッドバイが収録されています。伊坂幸太郎インタビューがファンとしては思考経路とか作品への思いとかとても面白く読みました。グッドバイはこうして再読してみると、実に味わい深い。でも本当だ、これは美人が一緒に別れたい女性を回るんだなあ・・・声がカラスみたいって、ちょっと意地悪で笑ったけれども。最初に伊坂作品を読んで自分の感想を確立してからこの本を読むと、違いとかわかって面白いかもね。
読了日:07月01日 著者:
バイバイ、ブラックバードバイバイ、ブラックバード
あの太宰のグッドバイを下敷きにしていると言うのでどう調理しているのかととても興味がありました。そして面白かった!!!あるバスに乗らされることになっている星野一彦が女性と別れるために次々に訪れていく・・なんといっても巨漢の繭美のキャラが光り(というかすごい)、また星野君キャラが光り、登場する女性のキャラが光り。更には、伏線がたっぷり詰まっていて諧謔に満ちた伊坂節とでもいう文章に酔いしれました。ラストの作り方も絶妙。あと会話がやっぱりうまいんだよね、だれた会話が一つもないでしょ。
読了日:07月01日 著者:伊坂 幸太郎

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