2010.08.03 砂の都
砂の都砂の都
(2007/04)
マルセル ブリヨン

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評価 5(飛び抜け)

最初から最後まで緊密な線に導かれた一級の幻想小説だった。


最初の方でラマ教遺跡の噂を信じて、シルクロードに考古学者が訪れる。
そこは砂砂砂・・の隔絶された世界・・
ここで突然砂嵐に巻き込まれ、洞窟に避難するのだが・・・
そこから13世紀(らしい)オアシス都市に移動してしまうのだ・・・


きらびやかなバザールをうろつく中、男は三人の重要な人物に出会う。
・講談師の男でここでの言語体系を教えてくれた非常に重要な人物、バルドゥク。
(彼の語る話自体もとても面白い)
・不思議な絨毯売りのペルシア人
・金銀細工師カルケイドス

その内に、男は病に倒れ、この三人が駆けつけてくれるのだが、この中で金銀細工師の家に厄介になることになる・・・

・・・
現代の千夜一夜と言うような話だがそこここに哲学的話があるのも誠に好ましい。
星々の息子たちという教団があり、そこに「しるしの母」という導きの人間がいたりする。
全体にエキゾチックであり、しかも既にどこかで見たようなたとえようもなく懐かしい光景も広がっていたりする。
絨毯一つ取ってみても美しいしその描写に心惹かれる。
また、最初金銀細工師のところで指輪をと言う部分でも、指輪がどちらかと言うと人を選ぶ、ようなところも面白い。
幻想の衣をまとっていながら
案外、愛妻の、金銀細工師の娘アラトとの間に子供が二人生まれるところまでありながら、麗しき娼婦ダクリに誘惑される部分も妙に人間臭い。


以下ネタバレ

・最後全てが夢とわかるのだが
その指にしっかりと夢でもらったはずの指輪がされていることもまた余韻が残る。