僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ・ミステリワールド)僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2010/06/24)
小路 幸也

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評価 4.8

思いがけず良かった小説。

このタイトルの通り
特殊体質を持った男、と言うのが主人公で
睡眠障害を背負っている。
50時間起きて20時間寝るという体質だ。
これがなぜ起こるかというのと
この主人公の生い立ちというのが連動して兄弟愛としても読ませる。
虐待が出てこようと死体が出てこようと
全くおどろおどろしさを感じさせない不思議な小説だ。

更に思ったのは
ナタネさんという不思議な人物がひょっこり現れるが
この人が飄々としていて実に実に魅力的なのだ。
誰だったかというのがまたラストでわかる(全くわからなかった、私は)
わからなかった割に厚かましくいえば
ミステリのオチとしては確かに弱い。
でもこのほの甘い小説の優しげトーンみたいのには優しくて合っているのだろう。

唯一惜しいのは
主人公がある状態になりそのあとの意味、というのがさほど大きく変わらないような気がした。
状況は変わるのだが、それでもね、もう少し使い方があったんじゃないかと。

以下ネタバレ
・ナタネさんというのは
刑務所の前でかつて主人公がアイスクリームをあげて
それによって感動し
この主人公をずうっと見守っていた男であった。

また、リローというネット友だちは
ナタネさんそのものであった。
リロー=離牢