セカンド・ラブセカンド・ラブ
(2010/09)
乾 くるみ

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評価 4.8

途中の風俗を含めた文章、男性の暗いコンプレックスの塊のような考え方、性描写、そういうのは辟易と言った感じだったが最後の最後で驚いた・・・

・・・
この小説、イニシエーション・ラブを読んでいる人と読んでいない人では読み方が違うと思う。
そして明らかにイニシエーション・ラブを読んでいる、ということを前提にして書かれた本だと感じた。

なぜなら、
・時代性があるものがたくさん散りばめられているから(ピンクの電話、サザンの曲、携帯電話のない時代、喫茶店などなど・・・)そこをイニシエーションラブを読んだ読者なら、もうとてもとても読み込むと思う。
何か意味があるのではないか。
目を凝らしてじいっと読むことになる。
・女性が出てきて、うぶな男性が出てくる状況がある。
これも女性が二人似ている女性が出てくると言った時点で、色々思うだろう。
普通に思うのが、ここのトリックだからここはさほど新機軸がない。
それより、最後の4行で、(あ!あそこが!!!重要な地点だったのか!)というのがはっとわかる仕掛けになっている。
そこがとても快感だった。
最初の章に戻ると、そここそがミスリーディングの元、というのもよくわかる。

付記
・偶数章のタイトルは宇多田ヒカルの曲タイトル、奇数章のタイトルは中森明菜の曲タイトル
・英語題のThe Priestessはタロットカードの女教皇の意。
カード番号が2(セカンドラブだからだろうか)
「秘密・神秘・英知」を意味する(内容からだろうか)


以下ネタバレ
・男性がうぶで女性が悪女であると言うパターン。
女性はそっくりな二人だが、問い詰めるとミナが、自分には双子の姉がいると告白する。
・一人は水商売の女性ミナ
・そっくりなもう一人は大学院生の女性春香。
つけぼくろと厚化粧でごまかすというのは読めば誰にでも想像がつく。
双子そのものが嘘の話、と思っていたら、それは本当だった。
但し、双子の片割れは、1年前に死んでいた。
ということは、これは「双子がいた女性の一人二役」というケースになるだろう。
性描写も含めてこの二人が違う人だ、というのをうぶな青年に信じようとさせている。

最大の引っ掛けは時事性と風俗だ。
ほぼ風俗は関係がなく(話の色をつける程度)、
大学院生のほうの女性が
「霊が見える」様なことを言う場面があり、そこが大きな伏線となっている。
それは、

この語り手の男性里谷正明は死んでいたのだった(多分全てがわかった時点で自殺)
だから、最初の結婚式の場面が、この語り手の男性と女性、ではなく、
語り手の男性の友人男性(女性と共謀した)と女性の結婚式であり、
モノローグは、語り手の男性(幽霊)だったということだ。