2010.10.19 狂風世界
狂風世界 (創元SF文庫)狂風世界 (創元SF文庫)
(1992/05)
J.G.バラード

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評価 4.8

単純な感想だけれど、風が吹いてどうしようもなくなったら、そうか、地下に潜るのか、というのが実に新鮮な発見だった。
建物が倒壊するぐらいの狂風。
どこでもかしこでも飛んでいってしまうような狂風。
強風というより狂風の中だったら、木なんかあっという間だろう。
石の文化のヨーロッパですら、こんな狂風が吹いたら石が飛んでくるだろうから、更に危険だろう。
そしてこういう中でも愛し合う男女がいて、愛が進んでいるというのがすごいと思った。
もう終わりのほうの世界だからだろうか。

日本の東京が壊滅状態であり、ヴェネチアが壊滅状態であるというのも実にリアルである。
そしてまたピラミッドを作って大丈夫と思っていた資産家もまた穴がある。
だからどうやっても自然には勝てないのだ。
どうしたらいいのか、と思っていたらば、ラスト・・・

この小説、徐々に盛り上がっていくところが面白いと思った。
盛り上がっていくと言うか、風がひどくなっていくと言うか。
そして、風さえやめば、元の生活に戻れるのにという気持ちがなんとなくあるような気もしたのだった。