ミステリ・オールスターズミステリ・オールスターズ
(2010/09/25)
本格ミステリ作家クラブ

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評価 4.4

出来不出来ということではなく、私の好みということで、玉石混淆の短編集だった。
唸るくらいに面白い作品がある一方で、なんだこれ・・・と思う作品があったのも否めない。

唸るくらいだったのは、北村薫の続二銭銅貨。
乱歩の作品をベースに、あああ・・こうやって作ったのか・・・という作品の作りぶりに魅せられた。

また大変好みだったのが、羅漢崩れ(飛鳥部勝則)。
羅漢伝説とともに、実際に村であった「道にばらばらの死体が落ちている」真相がわかるのと同時に最後の驚きもまたカウンターパンチのようにあった。ホラー作品という部分も垣間見え面白い。
アイディアが抜群だなあ・・と思ったのがある終末夫婦のレシート(柄刀一)だった。
レシートのみで二人の関係性を出していって、しかもラストのレシートのたたみかけがとても怖い。こういうアイディア最高だなあと思う。
深夜の客(山沢晴雄)も地味なミステリなのだが、この会話でつないでいく妙が読んでいて引き込まれる。

好みではなかったのは、奥の湯の出来事・・これはこのオチかという脱力する感じがあった。

最後のリレー短篇は、ラストが西沢保彦なのでそちら方面へというのがちょっと笑えたのだが・・・
この短編の中でやっぱり好きだったのは綾辻行人だった。


完全犯罪あるいは善人の見えない牙(深水黎一郎)/続・二銭銅貨(北村薫)/「静かな男」ロスコのある部屋(早見裕司)/水密密室!(汀こるもの)/二毛作(鳥飼否宇)/奥の湯の出来事(小森健太朗)/星空へ行く密室(村瀬継弥)/深夜の客(山沢晴雄)/位牌(伊井圭)/腕時計(小島正樹)/少しの幸運(森谷明子)/受取人(奥田哲也)/最後の夏(松本寛大)/羅漢崩れ(飛鳥部勝則)/長い廊下の果てに(芦辺拓)/幻の男(藤岡真)/密室の鬼(辻真先)/ある終末夫婦のレシート(柄刀一)/完全無欠の密室への助走(早見江堂)/騒がしい男の謎(太田忠司)/つまり誰もいなくならない(斎藤肇)/神々の大罪(門前典之)/蒼淵家の触手(井上雅彦)/リレーミステリ かえれないふたり(不安な旅立ち(有栖川有栖)/失われた記憶(光原百合)/増殖する影(綾辻行人)/双子の伝承(法月綸太郎)/災厄の結実(西澤保彦))