太陽が死んだ夜太陽が死んだ夜
(2010/10/09)
月原 渉

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評価 4

第二十回鮎川哲也賞受賞作。

どうなんだろう・・・
とても最後に割り切れない思いが残った。
なんだか釈然としないことが多すぎる。
実際にあったらしい(私は知らない)第二次世界大戦中のニュージーランドでの捕虜の暴動事件とか、歴史的なことでは学ぶことが多かった。
けれどもそれと内容とは・・・
全寮制の女子学園というところで、わくわくしていたのだが。

ここには3つの殺人事件がある。
最初は、第二次世界大戦中にニュージーランドで捕虜になった日本人の男の殺人事件。
次は同時期に、近くの別の島の全寮制学園であった女生徒の殺人事件。
最後は41年後に同じ全寮制学園であった次々起こる殺人事件。
亡くなった祖母の手紙を軸に話は始まっていく・・・・


全寮制学園という魅力的な設定はかえる。
しかもそこに出てくる女生徒の描きわけがきちんと初期に出来ているので、誰が誰やら混乱することもなくすぱっと入っていける。
けれど、誰が犯人かというのがさほど意外でもなく、それぞれ時期が違った殺人事件のつながりも予想範囲内であった。
トリックは、ありえるといえばありえるけれども・・・

それより何より私が気になったのは、
女の子の言葉だった。
特に、日本人女学生のベルの言葉・・・・
~なのよ、~だわ、の連発って、とってつけたような女言葉ではないか。
更にこれって会話で話すような言葉なのかというのも疑問だった。
だから会話部分と普通の地の文がおそろしくべたっと繋がりすぎているのだ。
起伏がないとでも言うのだろうか。

以下ネタバレ
・この傷ついた日本兵コゴロウをかくまっていたのが、ケイト・グレイ(ジュリアン・グレイの祖母)
ケイトとコゴロウが恋仲になって、ケイトが妊娠したというのがまずある。
そのあとにシスター(最初の方の犯人&後半の共犯者)ナシュがコゴロウと関係して妊娠、とあるのだが・・・

両方を妊娠させたということなのか。
またシスターが首にキスマークをつけていたのは、ケイトが食べ物を持っていった次の日、ということはすぐにそういう関係になったのか。
なんだかここが一番釈然としなかった。

・密室で雑然とした部屋の中で
「灰とシーツで」自分が隠れていた・・・・どうなんだろうどうなんだろう。
ありえるけれども、でも。

・腹部を切り裂いてハラキリを連想させる・・・この発想もわかるようなわからないような。

・シスターは男性の精液ってどうやって入手したんだろう。

・ジェニファ(後半犯人)の男性に対するすさまじいまでのトラウマが彼女を反抗に至らしめるのだが。
この男性に何かというところが曖昧なので、ここもまた納得できない。
というか、こういうトラウマでこの犯行と言うこと自体、嫌な気持ちを残すけれども。