2010.11.13 晩夏
晩夏 (創元推理文庫)晩夏 (創元推理文庫)
(2010/10/28)
図子 慧

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評価 5

しみじみと良かった作品。
これを私はミステリ作品としてどうやら読んでないようだ。

私の琴線に触れまくりで、ある一つの青春の終わりというのを肌でびしびし感じ取ったのだ。
想子という少女の潔癖さ、美しさ、揺るぎのない想い。
そういうのがこちらに伝わってきたのだった。
少女という時代が終わりに差し掛かっているそのときを捉えた作品だと思う。

ミステリ部分を強く求める人にははっきりと向いていないだろう。
それよりも、青春の甘酸っぱさ、人を恋する気持ち、
何よりも「大人の女性になる前の少女の寸止め」の造型が素晴らしかった(更にこの驕慢な叔母に少女の顔が似てきたという描写もありそれはそれは時は残酷なのだ)。

その時にしかない少女の一瞬の美しさけだかさがこちらに伝わってきたのだった。
また病床のいとこ、加えて大人の男性唐沢と魅力的な男性も登場し、ある種の禁忌を秘めつつ物語の美しい進行に胸弾ませて読んだのだった。
いとことのやや屈折した背徳的な愛情の発露もまた読むに値する。

晩夏・・・・タイトルも秀逸だ。