2010.11.27 黒と愛
黒と愛 (ハヤカワ・ミステリワールド)黒と愛 (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2010/09/22)
飛鳥部勝則

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評価 4.1

作者のファンだが、この作品は・・・・
なんだったんだろう?
ホラー?それともミステリ?青春物語?
どれでもいいとは思うのだが、青春物語にしてはあまりに黒がありえない造型であり、ホラー部分はどろどろしていて面白いものの、途中で怪獣もののようになってくる。これは何だろう。
ミステリということだと、驚きというのが最後まで緊密に保てていないので、真相を明かされても・・・・という感じなのだ。

最初から中盤までは非常に面白い。
作者の持ち味のゴシックめいた雰囲気とホラーが程よく混ざり合って、わくわくしながら読んだのだった。
が、中盤からやや失速・・・
しかも黒という少女が鋏の質問をする意味が、途中でやや明かされている。ここがとてもとても惜しい。
ラストまでこれが何だったか謎にしておけばいいのに、とつくづく思ったのだった。
最後の最後でどんでん返しが起こるのだが、そこまでに失速しているので、(ああ・・そうなんだ・・この人が真犯人なんだ・・)ぐらいの感慨しかなかった。

読ませたところは、異形の者達が集まっている場所の描写や、最初の海に行きたいという謎めいた話のラストの絶妙な終わり方(この章での終わり方。でもわかってみると何だか・・なのだが)、幻視のように繰り返される冷蔵庫の死体とか。
ばらばらのモチーフに酔える人はとても幸せなのだと思う。