2010.11.24 嘘をつく舌
嘘をつく舌 (ランダムハウス講談社文庫)嘘をつく舌 (ランダムハウス講談社文庫)
(2009/11/10)
アンドリュー ウィルソン

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評価 4.5

微妙。
帯に「パトリシア・ハイスミスへの極上オマージュ」とあるので読んでみたけれども、ハイスミスの不穏な感じというのはたまに見受けられたけれど、何だかはぐらかされた、という感じがしてならなかった。
ヴェネツィアという特殊な街の雰囲気はもう溢れて出ている。
海のバス、ゴンドラに乗って迷宮のような街を行く・・・
ヴェネツィアだから5割り増しぐらいだけれど、肝心の話といえば・・・
老作家のところに助手の青年が来るという話の外側は、ギデアの「閉じた本」にも似ていると思う。
が、閉じた本の最後のは!という驚きというのが「嘘をつく舌」にはなかった。
予想範囲内の驚きであるのだ。


絶対に過去の作家としての栄光に触れて欲しくない老作家クレイスの過去に触れ始めるアダム。
その過去の一冊だけの大ベストセラーを秘め隠遁生活を送っているクレイス。
アダムはイギリスから送られてきた恐喝文章を頼りに、クレイスの過去を探るべくイギリスに飛ぶのだった・・その途中で伝記を書きたいという伝記作家の女性と会い・・・・


私がこの話で面白かったことは、真相よりも、このアダムという青年がなぜヴェネツィアに来たかという彼の過去の所業だった。
最初のうちは全くわからないのにそれが徐々に明らかになっていくところが面白い。
しかしこれも最後にあることがわかると、もしかして・・・と思うのだ。

以下ネタバレ

・クレイスが過去、学校で男子生徒に性的なことを強要したということを突き止める。
彼の性癖というのも。
この中でアダムが過去、クレイスが同居までした男性と(死亡する)酷似している、というのは何だか意味があるのだが、偶然過ぎる。
これが偶然じゃないのかとか色々読んだのだが、偶然らしい・・・どうなんだろうこれって。

・最後のところでクレイスが実はアダムのしたことを全部わかっていて、余命いくばくもないというのもわかる。
更にアダムの物語を書いているということもわかる。
この話自体、クレイスの想像物なのか?(ここは読者の読みに任せられるのだろう)
もし想像物だとすれば、伝記作家の女性を殺したのも想像。
アダムの過去も想像。

・クレイスが死んでから
謎解きの紙が色々なところに仕掛けられているのをアダムが発見していく。
ここがまた偶然過ぎる。
こんな調子よくぱっぱと見つかるのだろうか。
また見つからなかったらどうなるのだろう。

・アダムは過去、女性を傷つけ(ほぼレイプ)というのがあり、故郷を終われるように旅立っていた。いわばストーカーのようになっていたのだった。ここも話としてはわかるのだが、書き込みが少ないので今ひとつ意味不明。