100歳の少年と12通の手紙100歳の少年と12通の手紙
(2010/10/21)
エリック=エマニュエル・シュミット

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評価 4.8

一種の童話だなあと思った。
最初から結果が見えているのでそこはとても読んでいて辛い。
自分が死ぬことを知っている男の子オスカーをいかに楽しく過ごさせてあげるか。
それをさせてあげるのは、お父さんでもなくお母さんでもない、全く赤の他人の宅配ピザの女主人ローズだけなのだ。
彼女がプロレスの選手だったと言う笑える嘘をつき続け、それをオスカーは信じてけらけら笑う。
この姿にぐっと胸が詰まる。
また両親が息子が死ぬと言うことに動転しているのをちゃんとオスカーは知っていて、両親に冷たくする。

そして付添婦がある一つの提案をするのだ。
神様に手紙を書きましょうと。

この手紙を書くと言う作業もだけれど、それ以上に、一日10年過ぎていくことにしよう、というアイディアがとても心に響いた。
嘘だけど、オスカーの納得ずくの嘘の一日10年過ぎの話。
嘘だけど、オスカーが信じきっているローズおばさんのプロレスラーの話。
この話、嘘と本当の話のせめぎあいなのだ。
大人のつく嘘を嫌っているオスカーもどこかですがりたい嘘もまたあるのだ。
折々に触れられるオスカーに対するローズの言葉の数々が限りなく愛に包まれている。
病院にいる女の子に恋をして、結婚してみると同じ床で寝てキスまでしたオスカー。
何歳になったか毎日数えていてその年にふさわしい行動をするオスカー。

最後の最後でローズさんの言葉の手紙がまた胸にしみたのだった。