シティ・マラソンズシティ・マラソンズ
(2010/10)
三浦 しをん、近藤 史恵 他

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評価 4.4

それぞれ、ニューヨーク、東京、パリとマラソンのことを書いた小説だった。
軽くさくっと読めたが、忘れてしまいそうな気もする・・・

三浦しをんの語りって巧いなあと感心した。
かつて家庭教師で教えていた女の子(社長の子供)のお目付け役としてニューヨークにとんだ一人の男。
この男の戸惑いとかがくすっと笑えるタッチで描かれている。
そしてラスト、なぜお目付け役になったのか、というのがわかったときなるほどなあ・・と思った。
(ただ練習量が少ないのに、これだけを走れるってちょっとありえない気もしたけれど)
この三浦しをんの作品のみが、マラソンの時のそのもの、だった。

あさのあつこの作品は、ちょっと屈折したかつての長距離ランナーの思いが描かれている。
ライバルの男をゴールで待つ中途半端といわれた男・・・
これは、ちょっとこれだけのページ数の中で安易に人を殺して・・と思ったりしたのだった(なんだかこの死って必要だったんだろうかという想いに囚われた。更に言えば恋の話も必要だったんだろうか、この少ないページ数で。男性との友情だけでよかったのでは・・・)

近藤史恵の作品は、どちらかと言うと、マラソンの前の前、といった段階の話だ。
バレエに才能を持った妹に対する屈折した思いを持ちながら、パリに留学する姉。
パリに溶け込めずそのうちに、ある一人の犬連れの女性を見かけて、ジョギングを始め・・・・・

三浦しをんの話は、この物語自体スポーツメーカーの以来の話のようなので絶対に出来ないのだろうけれど、「社長の娘」が「社長の息子」だったら、そして屈折した想いを両方で持っていたら、もっと面白い話になっただろうに(三浦しをんだけに)とそこは惜しく思ったのだった。