田舎の紳士服店のモデルの妻田舎の紳士服店のモデルの妻
(2010/11)
宮下 奈都

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評価 3.5

主人公の梨々子の気持ちの流れとかが実に細かく描けてはいるのだが、(だから?)という想いが最後までぬぐい切れなかった。
この女性、何をしたかったんだろう。
かつてのアイドルとの浮気に踏み出すわけでもなし、欝の夫に寄り添うわけでもなし、子供のことを考えてあげているのはわかるけれど、常に「中心にあるのは自分」と見えて仕方がなかった。
そもそも、なんで子供の下のほう、歩人君を、どこかで調べさせないのか。
異常か異常じゃないかってとても重要なことだし、皆違って個性でそれでいい、という段階とは違うのではないか。
更に上の子供の学校のことにしても(下校が楽しみという発言)なんでもっと突っ込まないのか。
何より、夫はどうしたんだろう。
10年たって変化がないように見えるけれど、これだけ重大な病気になっているのに、妻のケアというのがあまり見えてこないのだ。
しかも病院ボランティアって・・外に出る前に自分の家をちゃんとしろと言いたい。

だから読んでいて非常に不快だったのは、梨々子が、常に常にきれいである自分がどう生きていくかの模索(模索ですらない)にしか見えなかったのだ。
姑とのやり取りも中途半端だし、かつての幼稚園ママとのメール交換もどうなのだろう。
田舎に来たと言う屈折した想いを描いているのならまだわかる。
そこに自己肯定が入り混じっていて諦めが入っているところが、なんとも御しがたい女、といった感じだ。