新訳 チェーホフ短篇集新訳 チェーホフ短篇集
(2010/09/24)
アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフ

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評価 4.6

読んだ作品も未読の作品も入り混じっていたけれども・・・・

大胆な訳文が際立っている。
そもそも、可愛い女は、かわいい、になっているわけだし小犬を連れた奥さん、は、奥さんは犬を連れてとなっている。
人口に膾炙したタイトルを変更するというのは勇気がとてもあったと思うけれど、読む側から言うと、もう可愛い女で刷り込まれているので今更困ってしまう、というのが率直なところだ。
更に、中でもオリガちゃん、とか、虫野ケラ男とか、もうこのあたりは趣味の世界の訳とも言っていいだろう。

この新訳の短篇集は、訳者のそれぞれの短編に対する解説が並外れて面白いのが特徴だ。
ここを読んでいるだけでも、ためになるし、またトルストイ、ゴーリキーなどの文豪話も交え実に闊達に楽しくそれぞれの作品を語ってくれる。
この中で、可愛い女(ここではかわいい)が滑稽譚として読めばいいというサジェスションは目を見開かされた。

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女たち(かわいい─「可愛い女」はかわいい?/ジーノチカ─「憎まれ初め」の物語/いたずら─ナッちゃん、好きだよ!あるいは人生が芸術を模倣することについて/中二階のある家 ある画家の話─ミシュス、きみは いつまでもどこか手の届かないところにいる)/子供たち(とわんちゃん一匹)(おおきなかぶ─累積する不条理/ワーニカ─じいちゃんに手紙は届かない/牡蛎─未来の世界文学/おでこの白い子犬─子供のためのチェーホフ?)/死について(役人の死─アヴァンギャルドの一歩手前/せつない─ロシアの「トスカ」/ねむい─残酷な天使/ロスチャイルドのバイオリン─民族的偏見の脱構築)/愛について(奥さんは小犬を連れて─小犬を連れた奥さん、それは私よ!)