2010.12.23 小説のように
小説のように (新潮クレスト・ブックス)小説のように (新潮クレスト・ブックス)
(2010/11)
アリス マンロー

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評価 4.8

マンローが短編小説の天才であることは間違いなく、この小説も綺羅星のごとく素晴らしい短編が揃っている。
特に日本語の表題作になった「小説のように」は、
かつて夫を奪われた妻が立ち直って自分の思うとおりの人生を歩んでいるところに、不意打ちのように過去の奪った女の子供がその当時の小説をひっさげて来た、という話で実に面白かった。
過去が現在に食い込んでくる様子。
こうじゃなかったこうじゃなかった、と過去の子供を通した目を否定する様子。
そのあたりが実に読ませたのだった。

また子供の遊び、の残酷さと言ったらどうだろう。
ちょっと知能の遅れた少女に対して二人の少女がとった行動とは・・そして何年後かにそれを回想していく片方の女性・・・

更に女たち、で、
死の床にある男性と
・妻(あまり男性を省みないように思える)
・頑固な母(しかしマッサージしには心を開いている)
・マッサージ女性(下品で教養もないが、男性を勇気付ける)
の関わりがずうっとある少女の目を通して描かれている。
ここで鍵の使い方が絶妙だと思った。

全体によかったのだが、微妙にイラクサの方が私の好みだったと言うことは書いておきたい。

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以下ネタバレ
・少女時代のキャンプで知能の後れた女の子を二人の少女は水に溺れさせてしまうのだった。
それは誰にも気づかれない。
二人の少女の片方が何年もして死の床についていて、そこでもう片方の少女が回想する。
・女たち。
散々マッサージ師に世話になっていても、最後自分の部屋の鍵を預けたのは、妻だった、という夫の姿がある。
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次元/小説のように/ウェンロック・エッジ/深い穴/遊離基/顔/女たち/子供の遊び/木/あまりに幸せ/謝辞