2010.12.24 ひなあられ
ひなあられ (講談社ノベルス)ひなあられ (講談社ノベルス)
(2010/10/07)
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評価 4.7

暗黒少女物語。
後味悪く、血の惨劇、虐待、目も当てられない殺人、などもあって万人に薦められる話でないことは確かだ。
だが私は案外面白く読んだのだった。
最初のばけばけは既存作品と重なる部分が多く、微妙だった。

でも、ひなあられとかものはしが面白かった。
ひなあられ、は、
血の繋がった姉の美しさに嫉妬する妹がいる。
妹の僻みが激しい、という姉妹の物語と思ったら、途中で兄弟まで出てきて、家族の物語に変容していくところもまた面白かった。また推理小説のある種の手法が入り組んで使われていて、読んでいて複雑さに酩酊したのだった。

姉・かなりあ
妹・ひなげし
兄・晃一
弟・星ニ

この中で姉妹は離婚した父に引き取られ
兄弟は離婚した母に引き取られたと言うのが途中でわかる。
面白いと思ったのは、妹のひなげしは自分を極端に醜いと思っている。
しかし真実は姉かなりあをしのぐほどに美しい。
さてどちらが本当なのか。

ここに一つの客観的な目が入る、それが弟の星ニの話だ。
彼は、妹ひなげしが美人だと認定している。
ここで読者はひなげしが美人なんだ、という認定が出来るのだ、ようやく。
そしてなぜひなげしが自分を醜いと思っているかという真相が星ニの口から語られる。
ここらの揺らぎが面白い。


以下ネタバレ
ひなあられ「入れ替わり」が大きなテーマになっている・妹ひなげしは姉かなりの虐待を受け、自分が醜いと思い込まされているのだった。
・弟星ニが母から凌辱を受ける、というのを晃一は知っている。
そして母を晃一は殺して地下室に投げ出していたのだった。
・中学校に行っている妹ひなげしは、姉かなりあが化けた姿だ。
(と、妹は言っている)
・星ニは妹ひなげしを愛している。
姉かなりあからひなげしが虐待されていることを知り、ひなげしを守るために星ニがかなりあに化けて中学に行くことにする。
そして「かなりあに化けている星ニ」は「ひなげしに化けているかなりあ」を包丁で刺す。
かなりあはひなげしに化けているうちに多重人格になって、自分がひなげしと思い込む。
そして「かなりあに化けている星ニ」を殺す(だから偽ひなげし(本当は星ニ)と本物ひなげしの相打ち)

そして最後に衝撃的なことがわかる。
・晃一は晃一ではなかった、彼らの父だったのだ。
彼らの母が虐待し晃一を殺してしまったので「晃一に化けた父」が出現したのだ。

ラストに本物のひなげしのみが残る。

・・・
かものはし(これも入れ替わりと最初の方は小説内小説という凝った作り)

・最初の部分の方の話が、154ページから小説の話になる、という作りが面白いと思った。
更に二人の少女が実は犬であるというところが。
沢地という鴨ちゃんしか見えない女の子が、鴨ちゃんを山に置き去りにして殺したという事実が判明する。
この鴨ちゃんを主人公にした部室の話、というのが小説になって語られている。
復讐に沢地がやってきたのだ。

遊姫は犬。犬としての認識があるけれど、周りは可愛い女の子と扱うので齟齬が出来て苛立っている。
チョコも犬。自分を人間と思い込んでいる犬。

鴨ちゃんに憧れていた沢地は、鴨ちゃんそっくりに変身して最後殺して、その名札をつけ鴨ちゃんになるのだった。