2010.12.27 夢の遠近法
夢の遠近法 山尾悠子初期作品選夢の遠近法 山尾悠子初期作品選
(2010/10/26)
山尾 悠子

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評価 5

非常に面白かったのだが、感想がこれだけ書きにくい本もない。
イメージ炸裂の世界にいきなり投げ込まれる、といった感じの小説だ。
山尾悠子独自のワールドと言うのが小説界の中にすっくと屹立していると言ってもいいだろう。
読み手を翻弄し時に嘲笑うかのような小説。
そして読み手はその翻弄に惑わされたぶらかされ引きずり回されるのが快感の小説。
それが山尾悠子の小説のような気がする。

イメージが乱立していても、それはばらばらのようでまとまっていて、まとまっているから手に入れようとするとするっと手から逃れて・・・
ほの暗い幻想の世界、に酔いしれるのだ。

いくつかは既読でいくつかは未読だったけれど、既読の中でやはり夢の棲む街は非常に印象深い作品だ。
バクというものの存在、バクが見るもの、舞台での薔薇色の脚たちの活躍とその失速、浅いじょうご型の街そのものの形態、舞い落ちてくる羽根、円形舞台の最後・・・と私を別世界に連れて行ってくれる。
一種悪夢の世界であり、ゴシック世界でもあり、それらが目の前で一挙に崩れ落ちていく様がが素晴らしい。

眠れる美女、の短いながら、まとまりのある話も一生忘れられないだろう。

・・・・
『夢の棲む街』、『月蝕』、『ムーンゲイト』、『遠近法』、『童話・支那風小夜曲集』、『透明族に関するエスキス』、『私はその男にハンザ街で出会った』、『傳説』、『月齢』、『眠れる美女』、『天使論』