2011.01.28 放課後探偵団
放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)放課後探偵団 (書き下ろし学園ミステリ・アンソロジー) (創元推理文庫)
(2010/11/27)
相沢 沙呼、市井 豊 他

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評価 4.8

全体に高水準だったアンソロジーだった。
青春万歳!という気持ちが伝わってきた。

一番すごいなあ・・・と思い、不覚にもラスト涙しそうになったのが、梓崎優の「スプリング・ハズ・カム」だった。ミステリとしては一種の反則技なのかもしれないけれど、この人の手にかかるとこれはなくてはならないもの、というミステリになるのが不思議だ。
最初の方から再度読み直すと、実に伏線がよく出来ているというのがわかる。
最後の最後で腰を抜かすほど驚いた作品だった。
驚きのみだけではなく叙情とノスタルジーにも溢れている。
今は30代になった高校生達が同窓会をして卒業式で起こった椿事について回想していく・・タイムカプセルを交えてそれはそれは読ませる一品だった。


市井豊は初めて読んだけれど、好感度大だった。
聴き屋という設定がまず読ませるし、ワインがこぼれた話、として忘れがたいものがある。
真相に行き着くまでの論理の展開もとても面白い。
全体がまとまった聴き屋の話が待たれるところだ。

・・・・・・・・・・・・・・・
以下ネタバレ
・スプリングハズカムでは、
卒業式に仰げば尊しではない元気のいい当時のみんなの歌をかけた人間は
死んでいた。
それが見えていたのはハト君のみ。
放送室から脱出する手段と言うのは、天井からなのでかなり危険なのにそれをしたのは、当時死というのが遠くにあったと述懐する「死んだ女子生徒」の言葉が胸に突き刺さる。
ハト君のなじみやすい性格というのがまた、「死んだ人間にすらなじみやすい」ということに繋がっていくところも見事である。
最初の方から読み直してみると、確かに女子生徒の支倉春美は誰とも話していないし誰も彼女を認めていない。
更に、途中で死んだものもいる、という話もきちんと出されているのでそういう意味でフェアー。
ただ、幽霊が存在するというのを前提としているのでここに引っ掛かる人もいそうだけれど。



お届け先には不思議を添えて(似鳥鶏)/ボールがない(鵜林伸也)/恋のおまじないのチンク・ア・チンク(相沢沙呼)/横槍ワイン(市井豊)/スプリング・ハズ・カム(梓崎優)