廃院のミカエル廃院のミカエル
(2010/11/26)
篠田 節子

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評価 4

どう語ったらよいかよくわからない作品だった。
面白いんだろうか、面白くないんだろうか、そこすらまだ混沌としている。
まず私の苦手な、悪魔、というのがモチーフとして出てくる。
だからそこでテンションはやや下がり気味だとは言うものの、修道院の話とか、イコンの話は面白いし、修道士の話も面白い。
要は薀蓄的にはとても面白い。

主人公は三人なので、とても話はわかりやすいのだが・・・
・一人は商社で男女スキャンダルで僻地に飛ばされ、そこからギリシアに行った女性美貴
・一人は壁画修復師の仕事を持ち、ある絵が見たいとギリシアに来ている男性吉園
・一人はギリシア人と結婚して彼が死亡したのだがまだギリシアにとどまっている古風な女性綾子

この三人がひょんなことで一緒に、ギリシアのある田舎に行き、廃院となった修道院で奇怪な出来事に出会う。
これは悪魔か。
それとも合理的に解決できることなのか。
魔の手はあらゆるところに伸びていく・・・


綾子がおかしくなるたびに、捨てていけばいいのに、ぐらいに思った。
最初から最後まで綾子の境遇を知っても尚、全く好感が持てなかった。
では、美貴に好感が持てたかというとこれまた何だか厚かましく自分の金になる蜂蜜のことばかり考えていて、さっぱり好感が持てない。
唯一、男性の吉園がまともなことを言っているのだが・・・・

この話、悪魔の仕業としてしまうのか、合理的な解決にするのか、そのブレ具合のようなところが、読んでいてさほどのめりこめないのだ。
最初の方で廃村になった村、とか、廃院になった修道院とか、そのあたりはとても面白く読んでいたのだが、結果こうだったのか、というのがわかってみると、なんだかなあ・・というのが頭をよぎる。
更に、あれほど頼まれた、壁画の修復(はがすと言う作業)をしてみると、あんなことに・・・
頼んだ人間に文句を言いにいきたいくらいだった。

以下ネタバレ
・真菌(カビの一種)を持ち込んだ人間がいるので、それで修道院の人間は全員やられた。
壁画をおおったのは、トルコ人ではなく、修道士達だった。
そこにもまたカビが潜んでいた。

・この小説、ある一人の人間の視点でずうっと悪魔と思わせておいて、最後に・・というようなハプニングにしたらもっと面白かったような気がする。
悪魔であるような描写とそうじゃないと言い張る吉園描写と、混在しているので、そこが読者があちこち引きずりまわされ、最後結局(どちらでもいいじゃない・・)という気持ちにさせられるのだ。
そういうのが作者が求めている小説ではないのかもしれないけれど。

ああ・・でも屈託のありすぎるかたくなな綾子はどちらにしても最後まで嫌いだった。