2011.02.15 海に沈んだ町
海に沈んだ町海に沈んだ町
(2011/01)
三崎 亜記、白石 ちえこ 他

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評価 4.3

三崎亜記作品って、こてこてのSFファンが好きじゃないだろうなあ・・・と思うような設定が多い。
SF「がかって」いるのだ。
きっとこてこてSFファンから見るとなんだこれ!と憤慨するところも多いような気がする。
だけども、ここにあるのは単純に奇妙な世界で、現実と似て非なる世界だがきわめて現実に近く、更に独自のルールがある世界。
日常にもありえそうな世界がするっと向こう側の世界と手を繋いでいる不可思議さがある。

特にこてこてのSFファンでもない私は、面白いなあと思う作品と微妙だと思う作品に分散していた。
ともかく一編一編が短すぎる。
これで終わりかと思うようなところで終わってしまう。
また、最初ものすごく新鮮に感じた三崎ワールドがさほどでもない、と思えてきたのだ、この頃は。
いいと思ったのは団地船、微妙だったのが、オチが最初から見える巣箱だった。
また写真とのコラボなので写真も見入ったが、読書の助けにはなるけれど、どうなのだろう、これは。
いるのかなあ・・というのは正直な気持ちだ。
写真になると一気に形が限定されるから、特に団地船とかは。

これも最初、沈んだ町の話と軽く思っていたら、
どんどん話が突拍子もないほうに進んでいく。
・遊園地の頻繁に夢を見る人間が病院に行く話の遊園地の幽霊(最後の二行がいらない気がした)
・かつて住んでいた場所が海に沈んでしまったのを妻と見に行く海に沈んだ町
・団地船(団地全体が船として浮遊しているの奇天烈発想がありながら、若者がいなくなって過疎化しているなど、現代の団地にも通じる話にもなっている)
・眠りの訪れない場所の四時八分
・ペアと呼ばれている存在があり、そのペアの影が自分の影になるというユニークさ溢れる彼の影
・ペアの解消を願って手紙を書いたら、それに対して丁重な断りがきてラストの驚きになるペア
・橋の架け替えということを巡っての橋(これはラストの一行が私はいらないと思った)
・突然出来てしまう巣箱の撤去を巡る巣箱(二階扉をつけてくださいをほのかに思い出した、町内会と家との関わりと言うことで)
・そして最後のニュータウンの話

設定は奇妙なものの、その説明が短い中であり、それが消化しきれないままに(小説的に)次に行くという感じがしてならなかったのだ。