こちらあみ子こちらあみ子
(2011/01/10)
今村 夏子

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評価 4

すっと心に入り込む人には入り込むんだろうなあと思う小説だった。
二つ話が入っていて
・こちらあみ子、は
子どもを亡くしたことで精神の均衡を失った母を持つあみ子の奇矯な行動とその生き方と少女の目に映るあれこれ・・・
・ピクニックは、お笑い芸人と恋人同士である、という話を職場でしていて周りが応援してくれる女性のところに歯に衣着せぬ新人が現れ・・・

どちらかと言うと不思議ちゃんの話だ、どちらも。
理解されがたい人間ということの共通項はあるし、ある種の人たちには愛されている(こちらあみ子で言えば、野球少年に愛され、ピクニックで言えば同僚に愛され)という話なのだ。
こちらあみ子は、心を病んだ母のために一家が壊れていく姿もあるけれど、あみ子がわざわざ傷をえぐるように弟の墓を作ってしまって母に言う、とか、弟が死んだんだねと言ってしまったりとか、ストレートな物言いがあり、あみ子の純粋性が滲み出ている。
段々お風呂にも入らなくなり、ご飯も食べさせてもらえず、と崩壊が進んでいく中、あみ子はあくまでマイペースで進んでいく。そこにイラッとするノリ君(母の習字教室に来ていた)の殴る場面もまた印象深い。

ピクニックは虚言とわかっていて、それに乗る同僚達がいとおしい。
そして最後に一人、現実を見つめている新人の姿が浮き彫りになっているところもまた興味深い。

ただ・・・どちらも、私の心に食い込むかというとそうでもなかった。
場面場面は忘れがたいところもあるのだが、そして読み取りを深くすればある気もするのかもしれないが・・・。