完全版 池澤夏樹の世界文学リミックス完全版 池澤夏樹の世界文学リミックス
(2011/04/16)
池澤 夏樹

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評価 5

非常に刺激的な一冊であった。
読んでいくと、池澤夏樹選の河出の全集のみならず、あちこちに話が飛ぶ。
海外文学のみならず(これが多いが)日本文学にも言及してくれる姿勢が誠に好ましい。
それはある時には日野啓三であったり、ある時にはカフカであったり、ある時には自作であったりする。
エッセイではないものの、それが実に面白い。
池澤夏樹の読み幅が広いので安心して読んでいられるのだ。
内容紹介をしているけれど、その紹介の仕方がまた単なる粗筋紹介ではないところが読みどころでもあると思う。
ネタバレではないぎりぎりの紹介の仕方というのが巧みなのである。

読みたい本がたくさん出来たのもそうなのだが、こういう読み方があったのかという読み方について目を見開いたところもあった(ロリータのハンバートハンバートとロリータの関係性とか)。
読んだ本については、こういう見方があったのか、という読んだ幸福を再び辿るという喜びがあり
読んでない本については、次はこの本を読みたい!という気持ちにさせてくれる高揚感があった。

たまにこの文体というのはどうなんだろう(何だか語りかけがたまにあるのが目に付いた)と思ったが、初出が夕刊フジというのに納得したのだった。

(ただ、誤植ではないか、と思われるところが数箇所あった・・・34ページと90ページの一文はどうなんだろう・・・)