爛れた闇の帝国爛れた闇の帝国
(2011/01/28)
飴村 行

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評価 4.8

うっぷ・・・となった、拷問場面に。
途中から慣れてきたのだが・・・(慣れていいものだろうか・・)

交互に語られる物語だ。
一つは、独房監禁でなぜか旧日本兵であるらしく、上官にひどい拷問を受け記憶を失っている一人の男。
一つは、自堕落な母を持つ正矢という高校生だった少年。
この二つがどうリンクしていくのかというのはとても興味があった。

面白いには違いないが、あ!という滅茶苦茶さがないのが淋しい。
掟破りのような作者にしてはとてもノーマルともいえる作品だと思う。
この中で、元高校生の正矢君が、こんなだけどいい子だなあ・・・もう一人の医者の息子とお友達でよかったなあ・・・女の子と三人でワンダースリーを作っていたのに惜しいなあ・・高校を辞めて、と思っていたら、最後にちょっとした驚きがあった。
悪というのがどれか、というのがちょっとした見誤りがあった。

一切の記憶をなくした男が意味わからず拷問されている。
この部分が非常に面白かった。
何か拷問がひどくなるたびに何かを思い出す。
そして自分が誰だったか、なぜこのようなことになったのか、というのも思い出す。
ここらあたりが読ませるのだった。
ただ、タイトルの闇の説明とかはあえていらないような気もした。
これは読者各自で考えさせれば、自明のことではないか。

以下ネタバレ
・医者の子供晃一が、単純にホラー映画が好きないい子だとばかり思っていたら
実はあくどくて、
正矢の母と密通していて(正矢の母は、正矢の高校の上級生とも密通していた)
更に、三人の中の女の子絵美子を犯そうとしていた、という最後の事実に驚愕した。
また
そしてこれが、実は正矢の父の(医者)慧雨は、晃一の父と同一人物ということにも驚いた。
更に、
最後、化け物になった晃一の父の弟尚人が(これが拷問されていた人間)、
正矢を殺すという救いのない展開にも驚いた。

また尚人拷問場面で明らかになったのは、
これが実は偽の拷問で、拷問を仕掛けていた憲兵は、尚人の婚約者を犯した直人の兄の慧雨が化けていた。