2011.06.11 神様のカルテ
神様のカルテ (小学館文庫 な 13-1)神様のカルテ (小学館文庫 な 13-1)
(2011/06/07)
夏川 草介

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評価 4.2

変人と言われている医師の見ている様々な医療現場の話だ。
変人は別にいいし、漱石に影響されたのもいいのだが、話し言葉がいかんせん変だ。
変というかこれじゃあ会話にならないだろう、と突っ込みたくなる。
地の文はこれはこういう口調の文章なので、これはこれでいいとは思ったのだが・・

読んでいて、作者の照れみたいのを感じた。
こういう風に書いたけど受け入れてもらえるだろうか。
受け入れてくれるよね。
だけど本当のところはどうなのだろうか。
面白いよね。
もしかして面白くないかも。
こんな揺らいでいる照れを。
だからそのあたり、こなれれればもっともっと面白い小説になったのだと思う。
書きたいことはこちらに伝わってきた、という小説ではあった。

・・・・・・・・・・・・・

話そのものは、異常に忙しい医療現場の話、医師不足、死を目前にした人達、など、身につまされるものがい多い。
そして医局という存在が医者にとってどういうものか、それもよくわかった。

やはりこの話の中で
高齢の身寄りのない安曇さんの話が一番ぐっと来た。
安曇さんに大病院から言われた一言、というのも病院が言いそうなので実にわかる。
そして最後に彼女に救われた主人公・・
また視覚的には、同じ建物内に住んでいる男が旅立つ時の話門出の桜がとても美しい。
ここは映像で見たいなあ・・と思うところだった。

また信州の自然風景が美しい。
いつもさりげなく主人公の背を押してくれている写真家の妻とともに、忘れがたい光景が多かった。