ロートレック荘事件 (新潮文庫)ロートレック荘事件 (新潮文庫)
(1995/01)
筒井 康隆

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評価 5

驚いた。
ただただ驚いた。

最初の方から、ちょっとした違和感はある。
だけどこの違和感は何だろう、と思いつつ話を読み勧めていくと、最後の方で、
(こういうもくろみがあったのか!!!)
ということに気づくのだ。
これってアンフェアなんだろうか。
私はアンフェアだとは思わない。
実にたくみに出来ている、しかもロートレックをモチーフにした楽しい推理小説だと思った。

最初のところで
ある少年同士の間で、ちょっとした不幸な事故があり、片方が半身不随になってしまうという悲劇が描かれている。
そしてそこに書かれている重樹という名前・・・

長じて三人の美女が集まるロートレック荘という、ロートレックを収集している別荘に招かれるのだ。
そこで殺人事件が起こり・・・

一番最後に、全てのページと業が示されていると言う(伏線の)前代未聞の推理小説でもある。
懇切丁寧に作者自ら説明してくださった、という感じすらする。
いちいち照らし合わせては、
(あ、私はここで違ったように感じていた)
と何度も思ったのだった。

以下ネタバレ
・不具者になった重樹に常に寄り添うようにしていた従兄弟。
一生つぐなって影のようについていくと誓った従兄弟。
最初のところで名前は明かされていない。
次のところで車場面にある。
当然、この工藤が、寄り添う従兄弟であり、「二人」でこのロートレック荘に行っていると思う、読者は。
ところが、実際はここ、三人の場面であり、工藤は友人であり、プラス重樹(不具者)と、寄り添う従兄弟の浜口修がいた、というのがわかる。

・浜口は、画家。
重樹は、美術エッセイを書く人間。
ここらが、会話の中では、重樹が両方やっているかのように読める。

・重樹がモテモテという状態が違和感があった。
こんなにモテモテなのかと。
この状態でこうなのかと。
しかし、実際はもてていたのは浜口であった。

・ところが重樹はわかっていなかったが、本当に彼を愛した女性もいた。
彼女をそうとはわからず殺したのだが、重樹は・・・